原発・放射能
2011年第二回定例会・委員会での質疑 

6月17日 文教委員会 質問者 中村しんご議員
○(中村しんご委員) 私は20ページの子供の体の成長に関連しての問題と、22ページの食育にかかわる問題についてお伺いをしたいと思います。
 過日の本会議では、発言されるほとんどの方が、とりわけ子供の放射能にかかわる影響についての心配がこもごも出されましたけれども、私たちの会派の質問ではなくて、区長がみずから答えられた部分の中で、文部科学省が、年間被爆量が20ミリシーベルトに、本区の場合には達するのにかなり開きがあるということから、子供の健康に大きな問題はないという意味の発言をされていたのですけれども、私はこれはちょっと問題があると思ったのです。というのは、例の文部科学省自身が、既に最初4月には20ミリシーベルトということを言っていたのだけれども、やはりその後いろいろな意見が相次ぐ中で、年間被爆量の1ミリシーベルト以下にとどめることが必要だという旨の通達ですかね、出ています。まず、そのご認識について。

○(丸山銀一委員長) 指導室長。

○(指導室長) その内容は把握してございます。ただ、20ミリという値につきましては、緊急発生時の上限という定義、それから平常時が1ミリ以下ですので、1ミリ以下を目途とするというふうにとらえて、今は収束に向かっている時期ですので、1から20ミリという判断ではないかというふうに個人的には考えています。

○(丸山銀一委員長) 中村委員。

○(中村しんご委員) 現在収束期に入っているとおっしゃいましたけれども、収束期に入っているというふうにお考えになるところに私はちょっと違和感があります。1ミリシーベルト以下を目指すということを文科省は言っているのだけれども、文科省の計算の仕方で、それでいいのかという意見も、こもごもあるのですけれども、ただ、文科省の計算式をそれでいいのだというふうに仮定した場合に、毎時0.19マイクロシーベルトを超えると、年間被爆量が1ミリシーベルトを超えるということになるのです。葛飾区としても、公式に放射線量を調べ始めて、今後、収束に向かって減っていけばいいのだけれども、現状では、残念ながら0.19マイクロシーベルトを超えている地点がむしろ多いという状況になっているという点についてどうお考えですか。

○(丸山銀一委員長) 指導室長。

○(指導室長) 原子力安全委員会が出している、多分ホームページ等でごらんになっていると思うのですけれども、その表からすると、平常時が1ミリ以下、そして、現時点事故が発生してその対応をしているというところでは1から20というところで先ほどお話をさせていただきました。それで、委員ご指摘のように0.19という数値の計算式も承知しております。それは木造家屋に16時間いて、遮へい効率が40%だというところに基づいた数値を1年間積算すると、0.19でオーバーするということは承知してございます。ただ、現時点で、国や都から安全に対する基準として出されているのは、福島県に対しての毎時3.8を超えるというところ、それが活動制限になっていて、それをもとに福島県の各市が4時間から2時間から、3時間からというような活動制限をしている実態がございます。各自治体のほうで、国として、また都として、基準を早く出してほしいということについては、区長会、または教育長会からも要請をしていただいているというふうに聞いています。今はその0.19という数値はありますけれども、現状でその1ミリを、例えば0.2で計算すれば、1年間で1.05ミリシーベルトになるというところですので、冷静にその数値の発表を待って、混乱がないように対応していきたい。怖いのは、独自の判断をして、それがさらに不安をかき立てたり、過剰な反応になるということについては避けていきたいというふうに考えています。

○(丸山銀一委員長) 中村委員。

○(中村しんご委員) 私は独自の基準を求めてくれというふうに言っているつもりはないのです。ただ、現実この間の対応を見ていると、実際住民や、さまざまな行政の外での動きが大きなプレッシャーになって、行政そのものがそれに後追いで追いついていかざるを得ないという構図になっているところに、私は行政に対する不信というものが何か増幅しているように思えてならないのです。水素爆発の直後は、原子力発電所の外については問題がないのだみたいなことを言っていたのだけれども、実際には大変なことになっていると。それで、国がそういう対応をするものだから、区に幾ら危ないのではないか、おかしいのではないか、何とかしてくれないかと言っても、いや、国が安全と言っているのだから安全なのだという対応を、実際窓口ではやらざるを得ないのです。だけれども、いよいよ葛飾の一部分も含めてホットスポットになっているのではないかというようなことが具体的になってくると、6月2日にようやく区が踏み出して、踏み出したこと自体は私は歓迎すべきことだというふうに思っているのですけれども、ところが本会議でいろいろ、ここまで区の対策が進んでいますと言って、答弁したにもかかわらず、その後、東京都の対策、100メートルメッシュでやるとか、さらにもっと広げてやるということで、区にも貸してくれるということになったら、区議会の本会議の答弁の中では一切触れていないすべての小中学校、保育園も全部調査するというのが出たではないですか。だから何ていうのか、住民のプレッシャーがもう、プレッシャーのプレッシャーに重ねて、何か行政が要望に応じて、事業を拡大していると言えばいいのだけれども、ただ、言ってもなかなかやってくれないと言っている人たちから見ると、やはり手厳しい評価が現実にあるのです。それで、私は、現時点では中央医療学校の支援、東京都が機器も貸し出す、職員がやるということで今事態は動いているのだけれども、よくよく考えてみると、区が何かを買ってこの調査を広げるということが一つもないのです。全部、言ってみれば中央医療学校にお任せ、東京都がやってくれるから東京都のものをやるというのにお任せ、ですから、区の独自の施策がこの面について全くないというところに、私は今一つ問題点があると思っているのです。そこのところで、それこそ教育委員会の責任として、葛飾の子供たちを守るという視点に立って、危険なのか危険ではないのかわかりませんけれども、ただ、少なくとも文科省の言っている上限から上に行っているという現状から考えれば心配が広がるのだから、やっぱり自主的に何かを買って、購入して、予算を使って何らかの調査をする必要があるのではないですか。どうでしょうか。

○(丸山銀一委員長) 教育振興担当部長。

○(教育振興担当部長) 原子力の放射能の測定のお話でございますけれども、区としては危機管理本部で区全体の方針を決めております。具体的な放射線量の測定についても、区独自に機械の購入がなかなかできないということがございました。市場にないということで。それで放射線の学校に協力を依頼したいという経緯がございます。このたび東京都が、機器を貸し出すということがございましたので、それをお借りして、さらに区民の皆さんの不安を払拭するために、はかる地域をふやしていきたいということでございます。
 教育委員会としてというお話がいろいろございますけれども、区全体としてやはり対応していく責任があるというふうに思いますので、本部会の中で、教育委員会ともいろいろ発言しながら、学校の測定を今回より拡大してきたということでございますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。

○(丸山銀一委員長) 中村委員。

○(中村しんご委員) ぜひ調べてほしいのです。一つは今緊急の点は、やはりプールだと思うのです。プールに対する不安が広がっています。各学校の対応でまちまちでした。ヤゴとりと称してプールをきれいにするというのを、子供にやらせては危険だというので、大人だけでやった学校もあれば、子供もやった学校もありました。これはもう済んだことだからしようがありません。ですけれども、やっぱり今プールに入るということについて、不安を持っておられる親御さんが現実にありますから、これこそ調べればいいのです。調べて危険がないというのでしたら、危険がないのですから入ってくださいと。調べないで大丈夫だ、大丈夫だと言って入れというのが問題だと思うのです。ですから私は、プールをはかる機械は空気をはかる機械と違うのだろうから、ただ、機械が市場にないというのは、これは通用しませんよ。東京都が一気に買うと言ったら機械があるのだから。僕も機械がないというから本当にないのかと思ったのだけれども、東京都が買うと言ったら機械があるのだから、ですから買うと言えばあるはずなのです。ですから、プールを調べてほしい。
 それともう一つは、もう一つ言っておきたいのは、こういう緊急の事態なのだから、親御さんが心配をされてプールに入らないという、入れたくないという親御さんに対して、その生徒に対して不利益がないように配慮をしてほしいと。この2点についてのご回答をお願いしたい。

○(丸山銀一委員長) 指導室長。

○(指導室長) ヤゴとりというふうには余り小学校では呼んでいなくて、ヤゴ救出作戦というふうに呼んでいるのですが、清掃は全部業者がやります、本区では。それを誤解されておられるのですけれども、それで子供たちは、倉庫からビート板ですとかロープなんかを出して、気分を盛り上げていくというようなこと、そこが我々も学校のほうも説明が少し足らないというところで、ヤゴ救出作戦についてのご批判を随分いただきました。やはり不安を持っていらっしゃる親御さんがいることは事実ですので、学校の状況によって、教員だけがとったりとか、また手袋、マスクをして、水をうんと少なくして希望者の子供を入れた学校というふうにさまざまでした。プールの使用につきましては、基本的には水道の水を入れますので、現時点での水道の水については不検出ということになっています。ご心配はやはり雨だというふうに考えていますので、それについてはオーバーフロー、または水をたくさん流していけないのは十分承知しているところなのですけれども、使うときにはオーバーフローさせて、そういう危険がない状況をより高めていくというようなことでご理解をいただくということで、我々と校長先生連名で、プールの安全についてということで通知を出させていただいています。そこにもその通知が本当に正しいのかというようなご批判もまたさらにいただいているという状況はございます。学校で牛乳だけ飲ませないというご家庭があったり、水を飲ませない、水筒を持ってこさせろというご意見をいただいたり、さまざまご家庭によっての状況が違いますので、各学校は個別に対応しています。ご指摘のプールに入らなかったからということで、例えば体育の評価についてということでは不利益を生じないということは、もうこれは学校現場では常識ですので、そのことで0点というようなことはないです。ただ、それに見合う運動量だったりレポートだったりということは当然その時間やっていただくということになると思いますけれども、そういうような対応を、プール指導に関してはしていくというふうに思っています。

○(丸山銀一委員長) 中村委員。まとめてください。

○(中村しんご委員) 僕は機械を買って調べるということを改めて求めておきたいと思います。それで、現実に数値が高いという状況があって、やはりいかにそれを減らすかということでは、もう民間の保育園なんかは、それこそもう信用の世界だから、もう本当に園庭を除染して、土を取りかえてやっているというところもありますよね。それをやると、いろいろなまちまち、調査もまちまちだけれども、実際に1回削ると、数値が3分の1、4分の1になるということになっているのです。やっぱりこれだけ今葛飾が高くなっているという恐らく大きな要因は、建屋が爆発した後の放射性物質を含んだ雨が、金町で典型的にあらわれたけれども、そういうものが現実に降り注いで、まだ残っていますから、セシウムは30年だと言われているのですから、半減期が。ですから、そういうものを取ってしまえば、とりあえず急激にダウンするのです、数値が。ですから、そういうことをぜひ、それこそお金をかけるだけが能ではないのです。もういろいろ、ちょっと掃いたりするだけでも違うのだといういろいろな調査の結果がネット上では氾濫しているではないですか。お金をかけなくても、かければいいのだけれども、かけなくてもできることもある。とにかくそういうメッセージを区の側が発信しないと、大丈夫だ大丈夫だと言い続けることは、一層心配している人たちの不安をかき立てることになるので、やはり調べてアクションを起こしてほしい。
 それと、最後ですけれども、給食のことまで言ってしまいますけれども、やはりそこまで神経質になる必要があるのかなというふうに思う人と、いや、心配なのだというやはり両方の意見があるのですから、例えば給食については、1カ月前に出すのは難しいかもしれませんけれども、サンプルがよく学校に置いてありますよね、給食。そこでやっぱり、今ファミレスなんかに行ったら、どこのホウレンソウとか、どこのネギとか書いてあるのが常識なのですから、給食でもそれぐらいのことをやられたほうが皆さん安心されるのではないかというふうに私は思うのですけれども、その点まとめてお答えいただけますか。除染も含めて。

○(丸山銀一委員長) 学務課長。

○(学務課長) 給食の産地、食材の産地の公表についてでございます。
 牛乳についてまずお話しますと、牛乳は基本的にはメーカーの千葉県の工場から直接納品をされているものでございまして、基本的に原料は、ほぼ100%千葉県産で、たまに少ない日があると、群馬県産のものを持ってくるということになってございます。福島県産は入っていないと明言されております。今、挙げた県につきましては、それぞれ原乳の放射性物質の検査を行っているわけですけれども、すべて現在不検出と検出限界値未満ということになっておりますので、こちらについては安心して飲んでいただける状況になっているものでございます。ただ、要するに安全な状況なのですけれども、安心と思うかどうかは別問題なのですが、安全な状況でございます。そこだけははっきりさせておきたいと思います。
 それでもう一つ、食材の産地の事前公表というお話でございましたが、例えば、一部の食材については確かに公表することも可能なのですが、例えばワカメですとかそういったものについては可能は可能なのですが、現在の仕入れの状況が、基本的には当日の市場の入荷状況に左右されてしまう面がどうしても否めないものですから、どうしても事前に公表することが難しいという状況になってございます。
 現在、安心していただくための措置としては、本会議でも答弁させていただいたのですけれども、基本的には学校で全部その産地は記録、確認をしてございますので、学校のほうにお問い合わせいただければ、当日以降でしたらばご案内できるような準備をさせていただいているところでございます。実際にお問い合わせがあった方についてはそういったご案内をさせていただいておりますので、できればそちらをご活用いただければというふうに考えているところでございます。

○(丸山銀一委員長) 教育振興担当部長。

○(教育振興担当部長) いろいろお話をいただきましたけれども、まず先ほど指導室長からもお話をいたしましたように、特別区長会が国に対して安全基準をきちんと定めてくれと。安全基準を仮に超えているような場合があれば、その対策を打ち出してほしいという要望をしております。区としては、そういった要望をしておりますけれども、その前にとりあえずはかることから始めると。それが本当に安全かどうかの基準が国のほうがやはり出していただかないと、どうにも対応のしようがないということが現実でございますので、そういった都や国の方針を待ちながら、区としても十分対応を今後していきたいというふうに考えております。