一、今定例会に先立って、東京都や京成電鉄、京成バスとの直接交渉、医師会などをはじめとする団体との懇談、水元公園の放射能現地調査などに取り組みました。区民アンケートを作成し、そこに寄せられた区民の声も具体的に取り上げ、区民の願い実現のために論戦に挑みました。予算案では、耐震補強工事の補助率・補助額の拡充、不況対策資金融資の限度額の引き上げや、学校給食の一部無料化が盛りこまれました。論戦の中では、財源問題としては課題が残っていますが、ヒブ、小児肺炎球菌ワクチンが定期予防接種となり無料となりました。小中学校の夏休み短縮、学校選択制の見直しも表明され、公共交通アクセス調査の求めに、「具体的な計画の策定を検討する」と答えるなど、いくつかの前進を勝ち取ることができました。
一、一方、予算全体としては区民に冷たい内容です。区は新基本計画の前期実施計画を具体化しましたが、122の計画事業912億円のうち78.7%は街づくり関連で、福祉・医療関連はわずか5.7%です。新基本計画のプロジェクトは、庁舎建替えを優先する一方、区民に身近な公共施設のリストラを進めるという矛盾をもっています。同時に、低所得者福祉には、何ひとつ計画事業がなく、予算審議の中でも国の生活保護削減計画について、「制度の趣旨に沿ったもの」として合理化する態度をとっています。国民健康保険の値上げを行い、これまでの激変緩和策も廃止し、区民負担の増大を押し付けるものです。また、学校建替えなどのための教育施設積立基金をルールどおりに積み立てず、そのほぼ同額を庁舎建替え基金として15億円の積立てを行いました。学校施設は施設の長寿命化といいながら、区役所庁舎建替えだけは最優先という態度を如実に示していますが、合理的な説明は何一つ行われていません。
一、「子育て支援施設の整備方針(案)」は、公立の保育所、児童館、学童保育クラブを民営化、あるいは廃止をすすめる内容であり、区として果たすべき役割を投げすてるものと言わなければなりません。区自身が策定した2014年度までの「子育て支援行動計画」で、子どもの居場所づくりとして児童館の役割をあげているのに、まともな総括なしに「廃止」する方針とすることは、自ら掲げた目標から逸脱するものです。そもそも、保育所の民営化の根拠を、区は公立保育所の施設整備費が一般財源化され、特定財源がないからだといいますが、このたびの児童福祉法の改定で民営化施設に対する国庫補助も根拠規定がなくなり、今後の動向も明確ではありません。そうした事実を示した上で、区に「公立保育園の建替え財源については、23区共通の課題として、主管課長会のなかで十分議論したい」と答弁させたことは重要です。
一、小菅、高砂両保健センターの統合問題についても、区の説明はますます混迷を深めています。この間、各保健センターの耐震診断がおこなわれました。新小岩、小菅は危険とされましたが、新小岩は建替えで小菅はなぜ廃止なのか、高砂は安全と判定されたのに、なぜ廃止なのか、説明がつきません。他党派からも「はじめから4ヶ所というのには無理がある」などという意見も出され、今定例会ではついに統廃合計画を決定することができないところまで追い込みました。引き続き、区民の世論と運動でこの計画を撤回させるために頑張ります。
一、特別養護老人ホーム待機者のうち、死亡・行方不明者が812名であることが判明しました。その後の質疑でこの死亡者・行方不明者は6年間の積み上げであることがわかりました。区が待機者の現状を把握しなかったからであり、区長にその責任を問うても反省の答弁はなく、「施設は特養ホームだけではない」と開き直りました。しかし、その後の追及で「増設は十分ではなかったこと」とその責任を認めざるを得ませんでした。
問題の解決は、特別養護老人ホームの建設を促進することです。今定例会では、高砂団地跡地に特別養護老人ホームの建設を求める請願が7400筆の署名とともに再度提出されましたが、区議会の他党派は、ふたたびこの請願を不採択としました。区民の願いに背を向けるそれらの党派の姿が浮き彫りになりました。
一、区は同和仮奥戸集会所の部落解放同盟葛飾支部による特権的使用を許し、にいじゅくみらい公園の体育施設もまた、東京理科大学に優先利用を認め、さらに、東金町運動場を特定の営利団体に優先利用させることも明らかになりました。公共施設をすべての区民に公平に取り扱うという地方自治体としての原点から逸脱する行為は見過ごすわけにはいきません。
一、今定例会では、区民アンケートで寄せられた切実な願いにもとづいて、議員の費用弁償廃止、18歳までの医療費無料化の拡大、重度要介護者への手当の創設の三つの議員提出条例案を提案し、これを含めて独自の出産祝い金、保育料の第二子無料化、放射能対策として食材測定器の購入などを実現するため、不要不急の事業を取りやめ、庁舎建替えのための積立てを取り崩して財源に充てる予算組み替え提案を行いました。残念ながら他党から賛同を得られませんでしたが、引きつづき区民要求実現のために全力を尽くす決意です。
2013年3月27日
日本共産党葛飾区議会議員団