1、今定例会は、区議・区長選挙後、初の予算議会であり住民のくらし・福祉を守り前進させるために論戦に挑みました。初日、区長は本会議あいさつで「景気は緩やかに回復」といい、予算委員会の総括質疑では、またもや「格差は縮小している」などと現実を顧みない暴論を展開しました。こうした誤った認識が、区民に多大な悪影響を及ぼす最大の問題です。格差の拡大の最大の原因は、正規雇用を非正規雇用や派遣労働などに置き換え、長年にわたって給与所得が減少したことによるもので、事業所としての葛飾区も例外ではありません。予算委員会の質疑で来年度も正規職員を減らし非正規雇用を増やし、区の非正規職員は、正規職員の二倍以上になりました。また、このほかに、わが党の独自調査で公務労働を営利企業などに、数千人余りも置き換えていることを指摘しました。来年以降、学校給食の民営化のさらなる推進、国保業務委託導入など進めようとしています。保健センターの廃止の口実としてきた「かつしか健康ホットライン」の民営化も説明が成り立ちません。区内で最大の事業所である葛飾区が、こんな姿勢でいいのか、「格差拡大の推進力」でいいのかと区長の姿勢を質しました。
1、区民合意のない区役所建替え基金が100億円を超え、基金残高=巨額の貯め込み金は、過去最高を更新し続け、総額1100億円を突破し、特別区でも総額では6位、1人当たりでも8位となりました。区民のくらしを支える財源はあるのに、国民健康保険、介護保険、後期高齢者医療保険料の値上げというトリプルパンチを区民に押し付け、区民生活に困難をもたらしています。「子育て支援施設の整備方針」の具体化、住民にまともに説明もせず、児童館、区立学童保育クラブ廃止などを強行しました。子育て支援部が所管していた学童保育業務のための予算が全児童対策の「わくわくチャレンジ事業」との一体化のために教育委員会に所管を移したことも児童館・区立学童保育クラブの全廃だけでなく学童保育事業の変質を目指すものであり、認められません。
1、東新小岩の認証保育所が新たに株式会社として認可保育所の設立を予定していましたが、建設会社が建設途中で倒産しました。2月の中旬にこの保育所に4月1日から46名の入所を伝えていましたが、入所不可能になりました。これによるしわ寄せにより二次募集でその分の待機児が生じることになります。保育所の建設を民間任せにしてきた弊害が生じたものとして、これを教訓に区立保育所の建設に取り組むべきです。
1、亀有リリオ館のリノベーション事業として、特定の営利企業を特別扱いして「基本協定」を締結し、4月から絵本劇場なる「図書館もどき」を開設することになりました。当該営利企業は、従業員募集で「図書館」として人材を募集していたこと、営利企業間で丸投げされていること、図書館ではないのに図書館業務の一部を行うこと、図書館であれば図書の選定には条件があるのに「図書館ではない」ことによりその適用外になるなど様々な問題点が明らかになりました。柴又の職員寮のリノベーション事業にも新たな税金投入が行われ、リノベーションと名の付く事業は、果てしない税金投入となる温床です。
1、「生活と健康を守る会」が都営住宅の空き状況を調査しました。葛飾区内の都営住宅11694戸のうち未入居となっているのは1185戸(3月7日現在暫定値)であり、10%を超えています。建替え用の物件という説明も成り立たちません。建替えを予定して居住者を転居させたのに何年も放置されている住宅も少なくありません。都営住宅への入居希望は殺到しており、建替え促進と未入居物件を減らすよう区としても都に働きかける必要があります。
1、公立学校教職員の残業が社会問題になっています。月80時間の残業が「過労死ライン」とされています。区教育委員会、都教職員組合の調査でも、小学校では、1/3の教職員、中学校では、2/3の教職員が、月80時間の残業をし、月100時間以上の残業をしている教職員の例も少なくないことが判明しました。その原因は、葛飾区の場合チャレンジ検定や数々の調査に追われる仕組みにあり、教職員の労働条件の改善も待ったなしの課題です。
昨年の区議選で掲げた公約実現のために四本の条例提案「費用弁所の廃止条例」「国保料の負担軽減条例」「18歳までの医療費助成条例」「精神障害者に手当を支給する条例」を提案しました。また、これら条例に整合性をもたせるとともに切実な要求を実現するため、不要不急の財源を削り、区役所建替え基金を取り崩した予算組み替え動議を提案しました。賛成多数に至りませんでしたが、切実な区民要求実現のために今後も頑張ります。
2018年3月28日
日本共産党葛飾区議会議員団