2019年03月28日

2019年葛飾区議会第一回定例会を終えて(声明)

1、今定例会は予算議会であり、そのために、区民アンケートに取り組み、約3ケ月間で1800通を超える返信がありました。「生活が苦しくなった」との回答は、54%に及び、「良くなった」は、わずか3.4%で、その原因は給料、年金が減った、健康保険・介護保険料が上がったが最多であり、行政の責任は重大です。この間、基幹統計の偽造が発覚し、政府も景況の判断を後退し、今年10月からの消費税増税の根拠が総崩れになりました。それなのに、区長は「景気は緩やかに回復」という政府判断に基づき、国保料の値上げ、後期高齢者医療保険料の特例軽減の終了しようとしています。4年ごとに公共料金の見直しを行うというルールも無視して、自転車駐輪場の一斉値上げも行い、増税の先取りだという批判も免れないものです。区長の間違った景況判断が、区民生活に一層の犠牲を負わせる予算となっているといわなければなりません。

1、学童保育クラブの所管が教育委員会に代わって、初めての予算編成ですが、入会希望者が増え続けているのに、今後、4年間増設しない方針を示したことは重大です。それどころか、近隣の学童保育クラブに待機者が出ているのに、区立新水元学童保育クラブを廃止しました。金町方面では、学童保育の不足が最も深刻な地域ですが、地域の保護者達が「学童保育拡充するための推進委員会」を組織し、短期間に17580筆の署名を添えて請願書を今定例会に提出しました。この運動の広がりに教育長自身も「重く受け止める」と答弁しました。審議の結果、「継続」とされましたが、「推進委員会」は今後も運動を進めることを表明しています。区政の矛盾に対する区民運動のエネルギーが発揮されたことは重要であり、今後のたたかいにとっても教訓となりました。

1、昨年の12月22日、立石駅北口再開発準備組合が本組合設立に向けて「説明会」を行いました。同年5月の計画を53億円以上超の約914億円という計画になりました。この資金計画では、庁舎として使用する保留床の価格が示され1坪、約300万円でした。これは、他の商業床の2~3倍になるもので、金町駅南口の中央図書館の保留床の3倍もの価格です。その他、この再開発に係る整備費を勘案すると途方もない税金投入になることは明らかです。さらに、事業計画の竣工を3年先延ばしにしたことも注目すべきです。地権者の反対の声は根強く、ゆきづまっているこの計画に対し、与党議員からも疑問の声が上がっていることも大きな変化といえます。一方、連続立体交差化事業は、工事が進められています。立石駅北口は、この立体化によって大きな空地が生じ、その面積は、現実に、バスターミナルとして機能している綾瀬駅の2400㎡よりも広く、3000㎡以上を確保することができます。再開発なしでバスターミナル実現は可能です。

1、葛飾区いじめ防止推進条例については、わが党が各界・各層の専門家を招いた区民的な議論、シンポジウムなどの開催を呼び掛けたにもかかわらず、今定例会に条例案を提案しました。条例4条(いじめの禁止)として、「子ども等はいかなる理由があってもいじめを行ってはならない」、という条文がありますが、大人から子どもへの上から目線の条例となっていると指摘しました。そして、この条文は、いじめ問題の解決にとってかえって有害だと、様々な事例を例に指摘しました。わが党は、この条文を削除した修正案を提案しましたが、賛成少数として否決されたため、同条例には反対しました。

1、今定例会には、区議会議場に国旗を掲揚することを求める請願が提出されました。「日の丸」は第二次世界大戦でアジア諸国を侵略したときの旗印として使われていた歴史的事実があり、だからこそ、国旗国歌法制定の国会審議で時の首相が「掲揚の義務付けはしない」と答弁したのです。本会議場は、多様な価値観をもつ区民を代表する議員による「言論の府」であり、様々な思想・信条をもつ方々が傍聴もする「民主主義の府」です。しかも、国際化が進み、アジアを中心に外国人が増え続けている葛飾区の議会の議場に国旗(日の丸)の掲揚は相応しくないとしてわが党は反対しましたが、賛成多数で不当にもこの請願を採択しました。

1、2019年度予算ベースで葛飾区は、庁舎整備積立基金などもふくめて1196億円になり23区で上から4番目になっています。その一方で、義務教育費にかける一人当たりの決算は23区で最低、老人福祉費にかかる普通会計決算では一人当たりで23区中21位という深刻な事態になっています。わが党は、こうした状況を転換するために、「精神障害者にも福祉手当を支給する条例」「子ども医療費無料化を18才まで拡充する条例」「子どもの国保均等割相当分を助成する条例」「民泊規制条例」、4つの条例案を提案し、この条例案の財源を確保するとともに、特養ホーム入所者への食事代助成、介護労働者への支援、学童保育クラブの増設などを予算化し、不要不急の事業、再開発関連予算、鎌倉公園プール解体などを削除した総額54億円の予算組替動議を提案しました。いずれも賛成少数で成立にはいたりませんでしたが、基金として積んだ莫大な財源があり、切実な区民要求は実現可能です。引き続き、区民要求実現のために全力を尽くす決意です。

2019年3月28日

日本共産党葛飾区議会議員団