2019年06月21日

2019年葛飾区議会第二回定例会を終えて(声明)

1、今定例会では、「葛飾区新基本構想」が問題になりました。「基本構想」とは、葛飾区の将来像や基本的な方向性を示す「区の憲法」ともいうべきものであり、これに基づき、およそ10年間をサイクルとする「基本計画」を策定し、事業を具体化してきました。だからこそ、区長は、8年前の議会で「基本構想の内容は普遍的である」ので見直しの考えはないと表明したのです。ところが、今議会では合理的な説明もなく、「元号が変わったから」という理由で、見直しを表明しましたが、異様だとしか言いようがありません。現「基本構想」は、足掛け4年かけて慎重に審議をかさね、制定したのに、「新基本構想」は、1年もかけずまとめようとしています。わが党は、現「基本構想」は、普遍的で、今、変える理由はないという立場で論戦に挑みました。
 ことの重大性から急きょ、議員全員協議会(全協)が開催されました。わが党だけではなく、他会派、無所属の議員からも議会に説明する前に、方向性もスケジュールが用意されていることに批判が集中しました。なかでも「施策の大綱」という基本構想の核心ともいうべき政策の具体的な部分を基本構想から外すことや条例による審議会もつくらず、策定委員会から議員を外すことなどに批判が集中しました。基本構想の見直しが必要かどうか、まず、検証すべきです。むりやり「新基本構想」を「新基本計画」と並行して策定し、二年前倒すことは、選挙を目的にするものであり、青木区長による区政の私物化ではないかと批判しました。

1、保育園待機児は、54名と発表されましたが、認可園に申し込みをしたが入園できなかった旧基準の待機児は、488名でした。こうした認可保育園に入れなかった家庭の多くが育児休暇を延長したり、働けなくなったり、割高な認可外保育施設を利用せざるを得ない深刻な事態になっています。さらなる増設は待ったなしです。
 今年、10月から政府の保育無償化方針で、低所得世帯の保育料は無償化されても、給食費の実費負担が生じ、かえって負担増になることが指摘されてきました。日本共産党区議団は、この間、負担増が生じないように対策を講ずるべきと提案してきましたが、今定例会で、区は、新たな負担増が生じない対策を実行すると答弁しました。

1、今定例会では、4年間学童保育クラブは増設しないという後期実施計画の方針を転換して、金町地域に3カ所、立石に1カ所の学童保育新設する方針が示されました。前定例会で、短期間に17580筆の署名を集め、「金町地域に学童保育クラブの増設を求める請願」は引き続き継続審査となりましたが、区民の運動が区の方針転換をもたらしたことは明らかです。しかし、学童保育の待機児は、昨年よりもさらに増えて240名となり深刻です。学童保育では大規模化が深刻で40名以下のクラブは公私立88クラブのうち、わずか16施設で、最大で100名にもなっています。区は、学校内に設置することが安全だとして学校外には設置しない方針ですが、その理屈は成り立たないことが明らかになりました。混み合っている学校内クラブでは、通学している学校以外の学校内クラブに通所している子どもが103名おり、学校外クラブに通所している子どもたちは、学童保育クラブ通所者の過半数を超えているます。また、子ども・子育て基本法の学童保育クラブの設置基準が定員によっては指導員の配置基準や無資格者を指導員としても良いという規制緩和規が行われました。しかし、わが党は、こうした規制緩和は、保育の質の低下につながるとして、現状維持を求めましたが、区は、区の基準を変えないことを明言しました。これは重要な答弁であったと考えます。
 今回示された増設は、いずれも次年度以降であり、現在、待機児と過密状態を解消するには、今年度の新たな増設が求められています。

1、児童館全廃計画は区民と議会内からも厳しい批判にさらされ、子育て支援拠点施設=子ども未来プラザ開設の方針に確実に変化を与えてきました。子どもの専用室がなくなるという批判が強まるなかで、事実上、子どもの遊び場所の確保をしようという動きがあることは変化と言えます。今後、子ども専用室の確実な確保=児童館の存続を勝ち取るために運動と議会論戦を発展させなければなりません。

1、区は、金町駅南口、新小岩の駅ビル、立石駅南口の再開発構想等で目的が定まらない公共施設の設置を次々と決めていますが、公共施設先にありきは問題があります。昨年来、金町駅南口再開発で商業床のうち売れ残った3階の1230㎡の行政目的を明らかにせず、区が購入することだけを決めてしまいました。半年以上たった今もその目的は決定できず、「運営事業者の選定」と不当な民間丸投げになりかねない方針になっています。新小岩駅のJRが建設する駅ビルの6階1000㎡のフロアを賃借することを表明しましたが、区民事務所等としています。何㎡が何の施設として利用するなどこれまた目的がはっきりしていません。立石駅南口東側再開発の都市計画決定をついに強行しましたが、行政目的には言及しているもののその目的が明らかになっているわけではありません。駅前の開発となれば、目的がなくても税金投入先にありきは問題です。

 区議団は、今定例会開会にさきがけて、今年1月から始めた区民アンケートを行い、1800名以上の方から返信をいただきました。区議団は、その結果をまとめ区議団だよりを編集発行し赤旗新聞の他、商業紙5紙へも折り込みました。氏名を記入していただいた回答者には、郵送で送付したほか、各地でも配布するなど活用しました。寄せられた区民の要求は切実なものであり、引き続き区民要求実現のために全力を尽くす決意です。

2019年6月21日

日本共産党葛飾区議会議員団