2021年葛飾区議会第一回定例会を終えて(団声明)

1、今定例会は、新型コロナウイルス感染症の第三波により二回目の緊急事態宣言下での予算議会となりました。党区議団は、これまで10回の新型コロナに関する要望書を区長に提出してきました。2020(令和2年)年度は、10回に及ぶ補正予算が組まれましたが、この間、党区議団の要望が多く取り入れられてきました。2021年度の当初予算を議決した直後に第一次補正予算が提案されました。これには、高齢者、障害者施設に対するPCR検査の拡大、民間子育て支援施設職員にも検査、公立子育て支援施設職員にも拡充されました。社会的検査では、65才以上に一回3000円の検査を月一回1000円とし、基礎疾患のある65才未満の方も診断書なしで検査を受けられるように改善されました。緊急事態宣言が、発出されくらしと営業を守る国・都制度は、延長されましたが、まだまだ、自粛と補償がマッチしていません。国・都に改善を求めるとともに区制度の拡充も求められています。また、ワクチンの輸入が滞っているだけに、ワクチンだのみにしてはなりません。引き続き「検査・保護・追跡」という感染症の基本に立って対策を講じなければなりません。さらなる、対策の強化のために提案と論戦を強めていかなくてはなりません。

1、今定例会では、「葛飾区基本構想」の議決が賛成多数で可決されました。この「基本構想」は、現基本計画があと2年残されているのに、次期基本計画と同時並行で計画策定してきたことに無理がありました。しかもコロナ禍で予定していた会議も中止・延期されてきました。内容もコロナ禍にあるのにその後の社会の変化を十分予測されたものになっておらず、時期尚早なものです。したがって、党区議団はこの「構想」策定の議決で反対しました。

1、2021年度予算は、コロナ禍で区民のくらし・営業これだけ追いつめられているのに国民健康保険、介護保険の値上げが行われます。後期高齢者医療保険料も特例減免が三年間の経過措置も終わり、国保と同じく最大で7割減免とされてしまいます。高齢者の住宅確保は非常に厳しいのに、一室借上制度の廃止、コージュ西新小岩の廃止も認められません。保育所の民営化、絶対的に不足している学童保育クラブでは多数の待機児がいるのに公立学童保育クラブの廃止も公的責任の後退であり認められません。

1、葛飾区公契約条例が今定例会で上程されました。公契約条例によって労働者の賃金を補償するとともに公共事業の質も担保するために必要な条例です。しかし、区長提案は、他自治体で策定されている各業種別の最低賃金を定める条例案ではなく、これでは、「理念条例」にも悖るのではとの厳しい意見が関係者から上がっていました。党区議団は、この条例案に対する全面的な修正案を策定し、審議に臨みました。党区議団の「修正案」は否決されたので、この条例案には反対しました。

1、区教育委員会は、昨年12月25日に「今後の水泳指導の実施方法に関する方針」を唐突に決定しました。今後、小学校にはプールを建設も改修もしないというものです。この間の運動と論戦で、党議員団だけではなく他会派からも「方針」見直しの意見が出されていることが大きな変化と言えます。
日本は子どもの権利条約批准国であるという立場からこの「方針」は、子どもの意見を反映しているのかという質問に対して、教育長は、「子どもの意見を聞くかなくてもよい」という趣旨の驚くべき答弁をしました。水元、道上小の両校の「校舎建設基本構想」では、プールが明記されていたのに、その後、設計図からプールを削除してしまいました。こうした区民を愚弄する暴挙に対して、水元小近隣住民の有志が、チラシを作成、アンケート、署名活動に取り組み始めました。こうした区民運動と連携して、この「方針」の撤回を求めます。

1、自治体の魂を失う委託化が問われています。外国人児童を対象にした日本語ステップアップ事業は、説明のつかない委託化を進めようとしています。会計年度職員として採用されている職員の年度途中の雇止め、雇用継続の権利も侵すものです。学校用務員の委託化が新たに始まり、これを広げようとしていることも問題です。学校用務員は、学校生活にとっても重要な役割を担うもので委託化するべきではありません。
生活保護ケースワーク業務の委託化を拡大しようとしていますが、効率化の行きつく先は、大阪市のように営利企業に委託し生活保護受給者を追いつめ、生活保護世帯を減らせば減らすほど報酬を増やし、競い合わせ、真の自立支援とかけ離れたことが行われています。いま求められているのは、コロナ禍で増え続けているセーフティネットとしての生活保護を適切に活用し、親身に寄り添うケースワーク業務を行うことです。

1、区民サービスに後退や犠牲を押し付ける一方で、再開発や目的もあいまいな事業のために湯水のように税金投入が行われています。金町駅南口の再開発ビルの保留床を買い、「かなまちプラット」には、16億円、立石駅北口再開発では東棟に入る公共施設が決まっていないのに14億円以上の財源が投入されています。区は、第二回定例会で、東棟に入る公共施設の素案を提案するとしていますが、自民党からも「六月に素案の提出は先送りすべき」と意見が上がっています。
 コロナ禍によって税収が、64億円落ち込んだとして、まちづくりや基金や庁舎建替基金への基金積み立は先送りしたのは当然です。しかし、学校校舎や身近な公共施設の改修等を33億円も先送りしてしまいました。そして、学校校舎を建替える基金を2020年度最終補正予算でも2021年度当初予算でも先送りしたことは認められません。税金の使い方が間違っているとの批判は免れません。

 そのため、党区議団は、今定例会で無所属みずま議員と共同で4本の条例提案(①費用弁償廃止②18才までの医療費無料化③国保の乳幼児の均等割分の補助④75才以上の医療費助成)とこれらの事業費の財源を確保し、さらに、学校給食の無償化、学童保育クラブの増設、若者サポートステーション設置、ジェンダー平等の事業費などの計36項目、約75億円規模で、当初予算の3.8%の組替動議を提案しました。この提案は、賛成少数で可決されませんでしたが、これらの要求は切実な区民要求であるだけにやがて実現するものと確信しています。引き続き、全力で頑張ります。

2021年3月26日

日本共産党葛飾区議会議員団