●第2回定例会 日本共産党代表質問    2001.6.1. 質問者  渡辺好枝
【目次】
1、はじめに
2、中小企業振興策について
3、消費税について
4、区の融資の改善について
5、中小企業都市との連携について
6、産業振興ビジョンの発展的改訂について
7、高齢者福祉について
8、子どもの権利条約について
9、歴史教科書問題について
10、交通バリアフリーについて
11、答弁
12、再質問についての答弁

1、はじめに

 私は、日本共産党区議会議員団を代表して区政一般質問を行ないます。

2、中小企業振興策について

 まず、中小企業振興策についてです。
 「この深刻な大不況、何とかして欲しい!」と願うのは国民共通の声です。
 このような願いが、小泉内閣の支持率の高さにも反映しているものだと思います。
 区長は、先程、厳しい経済環境に言及され、小泉内閣にたいして「景気の閉塞状況を一日も早く打破されるよう念願する」と述べられました。
 しかし、小泉内閣は、「構造改革なくして、景気回復なし」といいながら打ち出したのは、森前総理の「緊急経済対策」で、その内容は、不良債権の最終処理というものです。
 これが実行されたら、中小企業の倒産・廃業、失業者の増大など一層、経済の深刻化をもたらすものです。
 今、問題となっている「不良債権」は、バブル期の遺物というよりも、真面目に努力している中小企業の多くが、消費の低迷による売上の伸び悩み、親会社のリストラや下請単価の切り下げなどで経営が困難になり、設備投資、運転資金などの融資の返済が思うようにできないでいるのが大部分です。
 区内の金属加工業の社長は、「深刻な不況で受注減が著しい。そのうえ、親会社や取引先から、中国・東南アジア諸国なみの単価をおしつけられている。こうした状態で融資の返済がおくれている」と言います。
 政府がいうように不良債権の最終処理を強行したら、中小企業の大規模な倒産に拍車を駆け、大量の失業者を生じさせ、中小企業のまち葛飾への影響は計り知れません。
 民間のシンクタンクであるニッセイ基礎研究所の試算では不良債権の最終処理を急げば、130万人が新たに失業し、雇用者所得は6.8兆円失われると警告しています。
 政府の「緊急経済対策」は、本区の中小企業に倒産、廃業など重大な打撃をあたえ、日本経済にも重大な影響を与えるものとなると思いますが、区長の認識をお聞かせ下さい。

3、消費税について

 第二に、消費税についてです。
 いま不況打開のためには国民の購買力を回復させることが必要です。その最も効果ある対策が消費税の減税であります。GDPの6割を占める個人消費が活発になってこそ不況打開につながるからです。これによって、中小企業の経営も改善し、「不良債権」も健全な債権によみがえるのです。
 この間、わが党は、緊急経済提言を発表し、消費税の減税で国民の暮らしを直接応援することなどを、提案してきました。
 消費税問題については去年の第四回定例会で、本区議会は、深刻な消費不況のもと、消費税増税に反対して、食料品非課税を求める意見書を賛成多数で可決しました。
 政府もデフレ・スパイラルにおちいっていると認める程、深刻な状態となっている今こそ、国に対し、消費税減税を求めるべきと思いますがいかがでしょうか。

4、区の融資の改善について

 第三に、区の融資の改善についてです。
 政府の特別保証が終了した今、深刻な事態をのりこえるための新たな資金調達が求められています。そのうえで、今年度から行われている緊急資金融資が2口目も申し込めるように改善したことは良いことですが、あわせて、第5次特別不況対策資金融資も実施すべきです。本年第1回定例会のわが党の質問に対して、区は、「景気の回復と今後の経済動向を注意深く見極めつつ、時宜に応じた適切な融資制度の運用に努めます」と答弁しました。
 区長のあいさつにも示されたとおり、今日の経済動向は、消費支出の5年連続の減少、消費者物価指数も3年連続の下落、5月の月例経済報告も4ヶ月連続の下方修正、そして、本区の景況調査でも今年1〜3月期は全業種が業況悪化という状況です。今こそ第5次特別不況対策資金融資を実施すべきです。いかがでしょうか。
 合わせて据え置き期間の延長や借り換えを行なっていくべきですが、答弁を求めます。

5、中小企業都市との連携について

 第四に、中小企業都市との連携についてです。
 この中小企業都市との連携として、「中小企業都市サミット」や「産業のまちネットワーク推進協議会」、「都市型工業フォーラム」などでの交流が注目を集めています。
 中小企業都市サミットは、中小企業振興のために、議論と提言を行なうとともに、工業展等の開催によって各都市内の企業間取引・ネットワークの拡充として開催されてきました。これは、東大阪市、尼崎市、川口市、大田区、墨田区など10の都市によって構成されています。
 また、全国22の都市が中核になって、「産業のまちネットワーク推進協議会」をつくり、それぞれの自治体の担当者が集い、さまざまな調査研究を重ねています。今年度は、広域連携事業をはじめることになっており、この「推進協議会」には、大田、墨田、台東、品川の各区が参加しています。
 また、地域産業の空洞化、「モノづくり」の危機の中で、荒川、板橋、北、足立の各区は共同して「都市型工業フォーラム」を取り組み、実践的段階に入ってきていると言われています。
 わが党は、先の定例会で「中小企業都市サミット」への参加を提起しました。しかし、区の受け止めは、「どのような効果があるのかを慎重に検討してまいりたい」と、甚だ消極的であります。
 中小企業を取り巻く厳しい状態の活路を見い出すために、全国の様々な取り組みに積極的に大いに学びながら葛飾産業の振興に生かして行くべきです。そこで、改めて質問しますが、「中小企業都市サミット」や「産業のまちネットワーク推進協議会」に加入するとともに、「都市型工業フォーラム」など、工業の集積した他自治体との連携を強め、先進的な施策を取り入れていくべきと思いますがいかがでしょうか。

6、産業振興ビジョンの発展的改訂について

 第五に、産業振興ビジョンの発展的改訂についてです。
 本区の産業振興ビジョンは、1989年(平成元年に日本工業大学の竹内淳彦教授らによって報告書がまとめられ、翌年の1990年3月に策定されました。
 このビジョンは、本区の産業の実態の分析と様々な社会経済環境の大きな変化のなかで、全産業と各産業別の振興の視点と方向を示す積極的なものでした。
 勿論、今日もこのビジョンは、十分活用できるものもあります。しかし、当時と現在では社会経済環境も一変し、特に、IT革命など急速な高度情報化の進展、規制緩和による著しい産業構造の変化や産業実態など、かつてないものになっています。
 東洋大学の吉田敬一教授は、90年代にはいって、日本経済の枠組みが、国際化・情報化をキーワードに根本的な変革過程に突入して、地域経済の存在意義も、存立基盤の変化も避けられないと分析し、「多くの中小企業は危機打開と発展のための契機を見い出しえず、海図なき航海に突入している」と指摘して次のように述べています。「自治体として、将来ビジョンをグローバルな観点で策定し、地域特性をふまえた地域経済の理想像と実現の道筋をもつこと、地域経済を担う多様な人々の叡智を結集するかたちでまとめる必要がある」としています。
 そこで、伺いますが、葛飾区産業振興ビジョン報告書及びそれにもとづく「産業振興ビジョン」も今日時点の情勢にふさわしいものに発展的に策定し直すべきと思いますがいかがでしょうか。

7、高齢者福祉について

 次に、高齢者福祉について5点にわたって質問をいたします。
 まず第1に、介護保険1年の実践をふまえて、検証をする問題であります。
 介護保険は、「選択の自由」とか、「介護の社会化」をうたいながら実施されたものですが、実際はどうであったのか、今後の見直しをすすめる上でもこの検証は大事だと思います。
 介護保険審議会や庁内検討はもちろんですが、全区民的検討もできるようにすべきであります。区民の声を聞く会やシンポジウムの開催、要介護家庭への訪問調査、資料提供をはじめ、関係機関の取り組みを求めるものでありますが、いかがでしょうか。

 第2に、小泉首相が厚生大臣であった97年にまとめられた「21世紀の医療保険制度」にたいする問題であります。
 介護保険を導入するにあたって私が、あらためて驚かされたことは、わが国の高齢者がいかに低所得で生活をしているかということです。76%が住民税非課税ということです。わが区の高齢者も全国平均にくらべ若干低いとは言え、71・1%が非課税です。
 こうした人々に、保険料を賦課したり、高額な利用料を徴収してはならないのですが、介護保険はこれを無視し、強行しました。
 いま、こうした反省こそすべきなのに、逆に小泉新首相は、「社会の構造改革」の名のもとに、「これからは給付は厚く、負担は軽くというわけにはいかない」と、社会保障のさらなる改悪を公言しております。
 橋本内閣の厚生大臣であった小泉氏は97年に、健康保険の本人負担を1割から2割に引き上げる医療改悪をおこないましたが、その年の8月に「21世紀の医療保険制度」なるものを発表しました。そこには、健康保険と国民健康保険を統合して地域医療保険にするとか、保険給付は原則3割で統一し、大病院は5割にするなどさまざまな改悪案が明
 そして、高齢者医療も、給付を1割から2割の定律制にし、全ての高齢者から保険料を徴収し、介護保険の負担とほぼ同じにしようというものです。
 これが実施をされたら、高齢世帯への打撃はもちろん、介護保険の体制や国庫負担の削減に関連して、わが区財政にも重大な影響を与えるものとなります。
 区長はこれをどのようにお考えになっておりますでしょうか。
 まだまだ、わが区の高齢者は負担能力があるとお思いでしょうか。高齢者の生活を深刻と評価し、「21世紀の医療保険制度(厚生省案)」に見られる小泉流負担は絶対に認められないとお考えでしょうか。区長の見解を求めます。

 第3に利用料・保険料の減免にかかわる問題です。
 わが区の介護認定者数は、今年1月末で、6,871人です。それに対し、在宅でサービスを受けられている人は、3,756人で、施設入所をされている人の2,000年度見込みの1,530人を加え差し引くと残りは1,585人で、23%の人が、認定を受けたがサービスを受けなかったということになります。この中には、入院されている人もありますので、そのままカウントすることはできませんので、ほぼ全国水準なみと推察することにします。
 また、支給限度額に対するサービス利用率は、介護事業審議会の資料によりますと42・1%であります。これもほぼ、全国水準であります。
 全国水準であればいいかといえばそうではありません。
 介護保険は、冒頭申し上げたとおり、「介護の社会化」をうたったものです。それは家族介護の軽減を目的とするものですが、3月29日付の朝日新聞によりますと、介護をしている家庭の負担について、全国調査の結果、金銭的負担が重くなったと答えた人が41%で、軽くなったと答えた人の7%を大きく上まわったとしております。
 重くなったとされる金銭的負担とは、利用料や保険料の徴収であります。
 そうした中で、国のさまざまな妨害があるにもかかわらず、減免を行なう自治体が日をおって増えていっております。
 わが党の調査によりますと、4月現在で予定もふくめ利用料は571自治体にのぼり、17・6%に達しております。そのうち奈良県では、6月補正を加えて県下47市町村すべてで、減免制度を創設したと言われております。
 また保険料の減免は、308自治体となっております。5月にわが区議会厚生委員会が視察に行った近江八幡市も西宮市も保険料の減免をしていたと聞いております。
 23区でも、利用料では13区、保険料では5区が減免をしております。
 5月14日付読売新聞は、「都『介護』助成を新設」という見出しで、低所得者向けに新たな助成制度を年度内に導入することを決めたと報道しています。利用料、保険料の減免・助成は大きな流れになりつつあると思います。
 これに対してわが区の対応はどうでしょうか。保険料については「負担を広く分か
ち合う」と言う理由で、利用料については、「必要なら国がやるべき」と言ってまったく歯牙にもかけない態度であります。
 そればかりではありません。
 3月の予算委員会でわが党の議員が、限度額まで利用していない理由に28%の68人が「自己負担が大変だから」と区のアンケート結果で答えていることについて質問しました。これに対する区側の答弁は、自己負担が大変と答えた人は、どこから見ても68名なのに、さまざまな理由をつけて「総合しますと、サービスに不満があり、しかも回数等を減らしたというのは3人ということでございます」と、こじつけにも近い議論をもちだして、利用料の減免・助成をしない理由にするなど、その場はしのげても、区民の前にはまともに説明できない中身だと思うのですがどうでしょうか。
 この秋には、保険料が倍に跳ね上がります。低所得の高齢世帯の負担をさらに圧迫するものとなります。
 すでに保険料は普通徴収で11%の人に滞納者が生まれています。この10月から滞納者は、償還払いとなり介護サービスを受けられなくなる仕組みになっています。介護が必要でもペナルティがゆえに介護をせずに放置をするなどという事態をつくるべきではありません。
 区長、区民の声を真摯に受け止めて、保険料・利用料の減免・助成をおこなうべきと思いますがどうでしょうか。

 第4は、削減をした福祉を元にもどす問題です。
 昨年9月、雑誌「社会保険旬報」に日本福祉大学の近藤克則助教授が「要介護高齢者は低所得者層になぜ多いか」という論文をのせています。これは、同大学の研究チーム「地域ケアプロジェクト」による調査結果ですが、それによると65歳以上の高齢者の要介護率は一般では11・3%であるのに対して、所得ゼロの階層では17・2%であり、所得が上がるに従って低下し、最高所得層では3・7%にまで低下するというのです。 所得の一番低い人は、一番高い人にくらべて要介護率が5倍も多いということです。近藤さんは、100万円所得が少ないことは、おおむね5歳分の老化に相当すると指摘し、低所得が要介護状態の「危険分子」であると結論づけています。
 低所得層に対する現金給付をふくむ助成策はきわめて大事な課題です。
 東京都は、昨年、老人福祉手当の段階的廃止を実施し、わが区もこれにならいました。
 それによって、受給者の支給分は毎年、4分の1ずつ減らされ、2003年4月には全廃されます。
 また、昨年4月以降新たに「ねたきり認定状態」になった人も約6千人が認定をうけられず門前払いとなりました。
 昨年3月までは、70歳以上の方で、月5万5千円の補助を受けていた人も、今年は半分の2万7千円です。介護や家族の生活にひびかないわけがありません。
 障害者手帳をもっている方は、昨年7月末までに申請をすれば心身障害者手当に切り替えることができましたが、それ以降は、65歳以上の新規の心身障害者手当の申請を受け付けなくしてしまいました。
 心身障害者への援護策を年令によって差別するというのは平等の原則に反するものです。東京都に老人福祉手当の復活や65歳以上の人の新規心身障害者手当支給をおこなうことを求めるとともに、区独自の助成策を講じるつもりはありませんか。また昨年区が、削減をした福祉電話の基本料金助成の復活や、寝具乾燥、出張理美容の費用負担の軽減をすべきと思いますが、答弁を願います。

 第5は、施設をはじめサービスの供給体制の管理と情報の問題であります。
 介護保険は、高齢者福祉における国や自治体の責務を後方においやりました。わが区でも、特別養護老人ホームや在宅サービスセンターの民営化がすすみました。
 昨年3月までは、老人保健施設への入所も区役所に行けば紹介をされましたが、今ではケアマネージャーにまかされ、それが出来なければ家族が奔走し探さなければなりません。特養老人ホームの入所待ちも待機者は一向に改善されませんでしたが、待機状況ぐらいはわかりましたが、今は順位さえわかりません。こうしたことは区のちょっとした努力で解決できる話だと思うのであります。
 先ほど、紹介をした西宮市では、特養老人ホームの待機者は名寄せをして、実数をつかんでおりましたし、市内および近隣自治体の施設の空き状況もホームページ上で情報提供をしております。
 インターネットの普及率は、高齢者の中でそれほど進んでいないのは事実ですが、ケアマネージャーや家族など、利用できるひとが検索することによって、今のように駈けづりまわらなければならない事態は解消できるはずです。
 そのために、介護保健課などにサービス提供の情報窓口を新設すべきと思いますがどうでしょうか。

8、子どもの権利条約について

 次に、子どもの権利条約について質問いたします。
 今日、児童虐待、いじめ、体罰など、子どもへの暴力が深刻化し、そして、さまざまな少年事件も多発しています。
 これらの解決には、少年法の改正に見られるように、「管理」と「処罰」ではなく、「子どもの権利条約」の立場から、子どものあらゆる生活の場で「参加」と「自治」を保障して、子どもたちに自信を回復させ、自らが問題を解決していく力を育ていくようにすることが大切になっていると思います。
 先日発表された葛飾区青少年問題協議会の「青少年健全育成基本方針及び推進事項・内容」でも、青少年を取り巻く環境の大きな変化や問題状況の中で、「『児童の権利に関する条約』を踏まえ、児童の権利の尊重」の重要性を述べています。
 しかし、区長は、ただ今のあいさつの中で、児童虐待やいじめ、不登校、青少年の凶悪犯罪の問題は、「緊急の行政課題」と強調されましたが、その打開策はと言うと、一般論だけで、今一番求められている子どもの権利条約の理念と視点が欠けております。
 ですから、その後のあいさつで述べられた学校評議員制度にしても、都市計画マスタープランにしても、児童の権利の尊重という視点がない訳です。
 わが党は、学校評議員制度が論議になった文教委員会で、「開かれた学校」にしようというのに、何故、学校の主人公である子どもの参加をさせないのか、と問題にしました。また、20年後の葛飾のまちづくりを定める都市計画マスタープランの策定でも、20年後、葛飾の担い手である現在の子どもたちの意見や参加のもとに何故検討しないのか、学校給食の調理方式の見直しでは、直接給食を食べる子どもの声も聞かない、子どもの参加による検討もやろうとしない問題など、子どもの権利条約の理念に、頑にこれを拒否している区を批判してきました。
 区長、もう時代は21世紀であります。今や「子ども参加」と「子ども自治」「子どもの意見表明権」の具体化は、全国の地方自治体の中に急速に広がっています。
 川崎市では本年4月に「子どもの権利条例」を施行しました。
 この条例は、その前文に、子どもを権利の主体者として、最善の利益の確保、差別禁止、子どもの意見尊重など、「児童の権利条約」の理念に基づく、子どもの権利の保障を宣言しています。
 特に注目すべきことは、「子どもの参加」の規定で、市政等についての子どもの意見表明の機会保障や、子ども会議の開催、参加活動の拠点づくり、自治的活動の奨励などが盛り込まれ、それを行動計画で具体化し、その検証のために「川崎市子どもの権利委員会」を設置しています。本区も学んでいくべきです。
 そして、人権侵害から子どもを救済する取り組みにも学ぶべきです。
 兵庫県川西市では、いじめ、虐待などの人権侵害から子どもを守るために、縦割り行政を克服して横断的、総合的な子どもの権利救済制度として、「子どもの人権オンブズパーソン条例」を制定しています。
 区長、子どもに影響を与える全ての事柄について、子どもの意見表明権と「子ども参加」の保障を制度化すべきと思いますがいかがでしょうか。
 また、いじめ・虐待などの人権侵害から子どもを守るために、現在行なっているいじめ・誘拐・虐待から子どもが身を守るための講習会(CAP講習会)を充実するとともに、「子どもの人権オンブズパーソン」制度をつくるべきと思いますがいかがですか。
 そして、児童の権利条約の理念に基づき、本区独自の「子どもの権利条例」を制定すべきと思いますがいかがでしょうか。

9、歴史教科書問題について

 次に、歴史教科書問題について質問します。
 いま、政府が「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書を検定合格させたことに対して、内外から厳しい批判が起き、重大な外交問題になっています。
 韓国の新聞は、「露骨な『皇国史観』として現れた教科書問題は単に教科書叙述問題ではなく、日本軍国主義の復活を掲げた右傾化のプロジェクトの一つだ」と報道し、中国の新聞は、「歴史わい曲教科書によって次世代の日本の若者は意図的に無知にされ、真実でない歴史を教育されることになる」と批判しています。
 「つくる会」の教科書は、大平洋戦争を「大東亜戦争」と呼び、日本軍の進出が「アジアの人々を勇気づけた」とか、「アジア諸国が独立を早める一つのきっかけになった」と侵略を美化しており、アジア諸国から批判がでるのは当然です。
 そして、教育勅語を「近代日本人の人格の背骨をなすもの」と礼讃しているのです。戦後日本は、この侵略戦争のシンボルであった教育勅語を廃止し、その反省と民主主義の立場に立つ憲法と教育基本法を制定したのです。
 「つくる会」の歴史教科書は、この憲法と教育基本法の理念と目的を乱暴に踏みにじる歴史認識です。
 また、この歴史教科書は、日本の対外公約にも反するものです。
 この教科書検定合格は、日本政府が検定基準の一つとしている「近隣諸国条項」にも、植民地支配と侵略に痛切に反省を表明した95年の村山談話や、98年の日韓共同宣言とも相入れないものです。
 そこで区長と教育長のお二人に伺います。第二次世界大戦の基本的性格と日本の過去の戦争についての歴史認識を明らかにしていただきたいのです。
 あわせて、教育勅語についての区長、教育長の認識も伺います。
 さて、本区は中国、北京市豊台区との友好都市を結んでおります。また、本区には、在日朝鮮や韓国のみなさんが多数居住されています。その方々との真の友好関係を発展させるには、歴史の真実を正しく認識してこそ、未来に向かうことができるのです。
 区長、21世紀の友好関係の基礎となる歴史認識が今、問われているのではないでしょうか。そこで伺います。歴史を改ざんした「つくる会」教科書は、検定合格を取り消すように政府に申し入れるべきと思いますが、区長及び教育長の見解を伺います。
 教科書採択権者は区であります。区の自主的判断として歴史を改ざんした「つくる会」の歴史教科書は、採択のための検討から除外すべきです。答弁を求めます。
 さて、この歴史教科書が合格したもとで、これを採択させようとする動きや、自治体の「教科書採択要綱の改悪」の動きが強まっています。
 見過ごせないのは、都教育委員会の介入と、区教委の主体性のなさです。
 本年2月8日付け「教科書採択事務の改善について」と題する都教委通知は、指導助言文書どころか、石原知事が「一部の先生たちに任せて、ある意味で恣意的な、かたよった価値観で一方的な採択が行なわれた節がある」と発言したように、この通知は介入そのものです。
 戦後、教育行政は、戦前の中央集権的な教育行政が侵略戦争と絶対的天皇制の暗黒社会になったことの反省から、民主化され、各教育行政の関係も、「上意下達」でなく、法的には横並びの関係に改められました。
 また、教科書の採択権でも、自治権拡充の観点から区の自治事務になったもので、都教委通知は問題であります。
 区教委が、都の通知に沿って「教科書採択要綱」の改悪をしたことは重大です。
 しかも、その採択要綱の改悪は、ひどい教育現場無視の中身です。これまで教科ごとに「3種以内」の学校の希望が出せたのが、全面排除となり、校長や保護者、学識経験者などでつくる「検討委員会」の「推薦」も認めないなど重大な改悪です。
 教育長、改悪した教科書採択事務取扱要綱は、もとに戻すと共に、学校現場の希望を積極的に取り入れた採択事務にすべきではないでしょうか。

10、交通バリアフリーについて

 次に、交通バリアフリーについて質問いたします。
 高齢者や障害者にとって、駅の階段や道路の段差などは、社会参加や、自立した日常生活を営むうえで大きな障害になります。
 こうしたことから、昨年5月に「高齢者、障害者の公共交通機関を利用した移動の利便性、円滑化の促進に関する法律」、通称、交通バリアフリー法が成立し、昨年11月15日に施行しました。
 この法律の趣旨は、高齢者や障害者などが移動の利便性や安全性の向上と促進をさせるために、・駅等の旅客施設や車輌についての公共交通事業者によるバリアフリー化の推進、・駅等の旅客施設を中心とした一定の地域で、区市町村が策定する基本計画に基づいて、周辺の道路や駅前広場などのバリアフリー化を重点的・一体的に推進することにあります。これにより、国は、基本方針を策定し、区市町村は、基本構想と指針による重点整備地域を指定することができようになり、そして、公共交通事業者は、エレベーターやエスカレーターの設置、誘導警告ブロックや情報案内、身障者用トイレ等の設置などが、新設する旅客施設や車輌での最低義務化がされ、また、既設施設では努力義務が課せられたのです。これは、欧米のように「移動の自由と安全確保は国民の基本的権利」という規定がなかったりなどの不十分さはありますが、画期的内容となっています。
 駅等の旅客施設や駅周辺のバリアフリー化の現状はどうでしょうか。
 全国的には、JR、大手私鉄では、エレベーターの整備率は約7%程度で、エスカレーターの整備率でも約12%に過ぎないものです。
 区内の駅舎のバリアフリー化はどうでしょうか。JRの各駅には本年度の亀有駅の下りのエスカレータ−の設置で、整備完了しますが、著しい遅れとなっているのが京成駅舎です。ご承知のように、京成四ツ木駅以外の全ての京成駅舎に車イス対応のエスカレータ−等が設置されていないのが現状です。
 先程区長は、あいさつの中で、「昨年度に、お花茶屋駅の段差解消装置の設置をおこなったところですが、京成高砂駅、青戸駅、そして堀切菖蒲園駅につきましても、計画的なエレベーター、エスカレーター等の設置に向けて、精力的に京成電鉄と協議をすすめてまいります」と述べられました。
 そこで、気になりますのが、お花茶屋駅には段差解消装置の設置をしたから、バリアフリー化は終了したと聞こえてならないのです。それで良いのでしょうか。
 段差解消装置の設置では、立石駅にも設置されていますが、極めて不十分なものです。押上線の連続立体高架化事業の中で立石駅舎の改築が行なわれますが、その完成目途は2012年ですから、これから10年以上も不便を強いるのは問題であり、お花茶屋駅とともに立石駅にも急いでエスカレーター等の整備を具体化すべきと思うのです。
 京成高砂駅は、一日3万人を超え区内京成では最大の乗降客でありながら、バリアフリー化が著しく遅れています。
 駅の改札口までの階段は、北口が47段、南口が43段もあります。高齢者の方が、階段の途中で苦しくなって立ち止まっている姿をよく見かけますが、早くエスカレーターを設置して、改善して欲しいという声が切実です。
 JR駅舎でのエスカレーター設置については先程のべましたが、いま緊急の課題となっていますのがJR新小岩駅の南北自由通路の問題であります。
 新小岩駅は、南北に分断されているうえ、南口にしかみどりの窓口がなく、定期券や特急券を買うにしても、平和橋通りのガード下を迂回して行かなければなりません。
 駅利用者の利便性や新小岩公園への防災時の避難、買物などの行き来、商業振興の一体的発展からも南北の自由通路の実現は、地域の切実な要望となっており、区の「都市計画マスタープラン」にも位置付けられています。
 私は、昨年の決算委員会で、この早期実現のために、「区として、JR東日本千葉支社に正式に話し合いを行う」よう求めました。これに対して区は、「申し入れの考えはない」と拒否をされました。拒否の理由は何でしょうか。それは、「区側からやりたいと言うのは、いま得策でない」と言うのです。何故得策ではないのでしょうか。建設のための費用負担に係わる問題があるからではないでしょうか。
 しかし、この問題を「こちらから持ち出すのは得策ではない」と、お互いに敬遠してきた結果、何年棚上げになってきたでしょうか。私が議会に出て13年になりますが、ずうっと住民の願いが棚上げにされてきました。
 いまこそ住民の目線に立って、費用負担も含めて正面からJR東日本千葉支社と協議をして行くことなしには、解決の展望はありません。新小岩駅の自由通路問題は優れて交通バリアフリーの問題であります。その実現のためにJR側と話し合いを持ち具体化を急ぐべきであります。
 さて、今回の交通バリアフリー法は、先程も紹介しましたように、区市町村に、「基本方針に基づき、一定規模の旅客施設を中心とした重点整備地区において旅客施設、道路等の移動円滑化を重点的・一体的に推進するため、基本構想を作成することができる」ことになりました。
 基本構想では、バリアフリー化の重点整備地区の位置付け、区域や整備の目標時期を設定し、「特定旅客施設」の周辺の道路や駅前広場の段差解消、信号機などの交通安全対策なども一体的にすすめるものです。
 この対象施設は、一日の乗降客が5,000人以上とされており、本区内では全ての駅が対象になるものです。
 葛飾区は、昨年3月に、「葛飾区人にやさしいまちづくり推進計画」を策定しました。 この推進計画は、区立建築物のバリアフリー化や道路、公園、公共交通施設、民間建築物や中高層住宅のバリアフリー化など、積極的意味のあるものです。
 しかし、交通バリアフリー法制定前の策定であったことから、新しい状況の変化も生まれています。
 区が策定した「人にやさしいまちづくり推進計画」を交通バリアフリー法でいう基本構想策定に発展させるべきと思います。
 そして、この基本構想の作成にあたっては、実効あるバリアフリー化の取組みとするために、障害者、高齢者等の利用者が参加した「協議会」等を設置して、検討段階から、切実な声が反映できるシステムをつくるべきと思います。
 そこで、質問いたします。
 第1に、京成四ツ木駅以外の全ての京成駅舎に車イス対応のエスカレーター等を急いで具体化し整備をすすめるべきと思いますがどうでしょうか。
 第2に、JR及び京成の駅周辺での道路の段差解消、信号機などの交通安全対策を一体的にバリアフリー化を進めるために、区が策定した「人にやさしいまちづくり推進計画」を交通バリアフリー法でいう基本構想策定に発展させるべきと思うがどうでしょうか。
 第3に、実効あるバリアフリー化の取組とするために、障害者、高齢者等が参加した「協議会」等を設置して、検討段階から、切実な声が反映できるシステムをつくるべきです。
 第4に、新小岩駅舎内の、いわゆる南北自由通路の整備の課題は交通バリアフリーの問題であり、その実現のためにJR側と正式に話し合いを持ち、費用負担や技術的問題など、つめた協議を行い、具体化を急ぐべきと思いますが、区長の答弁を求めます。

 以上で私の質問を終わります。答弁いかんによりましては再質問を表明して終わらせていただきます。ご静聴ありがとうございました。

11、答弁

(区長)
 渡辺議員のご質問にお答え致します。まず、中小企業振興についてでございますが、政府の緊急経済対策の一つであります不良債権の最終処理につきましては金融機関の中小企業に対する選別融資、いわゆる貸渋りを強めたりリストラに取り組む大企業等との取引関係悪化するといったように中小企業者への影響をもたらすことが重要視されている所でございます、そこで政府は中小企業への対応として「不良債権」の最終処理に伴う中小企業の連鎖倒産の危険など経営安定に支障を生じないよう金融面で適切に対応するとともに中小企業自信の健全化に向けての前向きの努力を経営かくしん対策によって積極的に支援するといっているところでございます。区と致しましては、こういった「不良債権」処理が本区の中小企業に具体的に及ぼす影饗をつぶさに見極めまして必要な対策が在ればそれに迅速に態応していきたいと考えております。
 次に国に対して消費税減税をもとめるべきとのご質問がございました、消費税につきましては現行の税率の引き上げにさいして将来にむけた税制のありかたや直管比率の是正、地方財源の拡充に向けた地方消費税の導入と国においていろいろと議論された末に実施されたものでございます。消費税減税というのは現行の制度上では地方の固有税の引き下げにつながるわけでございまして厳しい財政状況下にある、本区にいたしましては現時点において、国に対して消費税の減税を求めることは判断しておりません。次に、国の医療保険制度改革にかんしてご質問がございました。小泉首相が5月15日の衆議院予算委員会において21世紀の医療保険制度の厚生省案の実現に向けて全力を尽くすとのべたことは私も承知しているところで御座います。新聞報道によりますとその医療保険制度の改革案が医療保険の給付と負担の在り方、高齢者医療制度の見直しなどの大きな柱となっていることは明らかでございますが。現時点でその厚生省案についてその内容とそして検討の方向、とうとうの詳細な状況が得られない状況でございます、今後の国の医療保険制度改革について国会審議の推移を見守りたいと考えております。

(地域振興部長)
 融資制度についてのご質問にお答え致します。区内の中小企業を取りまく状況は、まだまだ厳しい状況にあり、企業における資金調達につきましても重要な課題と認識しております。このような状況を盤み現在、中小企業むけに行っている不況対策緊急融資を今年度も継続して実施しているところでございます。今後も区内企業の資金需要の動きを充分に考慮し適時に融資制度全般の検討を行うとともに、適切な実施運用に努めて参りたいと存じます。また融資制度の据え置き期間の延長につきましては制度融資全般にかかわる重要な問題として、区内中小企業をとり巻く環境を踏まえ検討してまいります。借り換え融資制度の実施につきましては事業活動に直接むすびつかないなどの課題もあり今後の検討課題にさせていたギきたいと思います。
 次に他の自治体との連携についておこたえ致します。本区の受発注情報交換会では積極的に区内企業の参加を呼びかけておりその結果23区をはじめ、埼玉県や千葉県など30を越える区、市から参加企業を得ております。さらに、産業フェアーにつきましても区外に区内の産業情報を発信するなど葛飾区内に留まらず広範囲における情報交換の場のそうしつを計り自治体間の交流を推進している所でございます。お話にありました中小企業都市サミット、都市型工業フオーラム等の手法につきましてもどのような効果が見込めるか検討してまいりたいと思います。
 次に、産業振興ビジョンの見直しについておこたえ致します。産業振興ビジョンは産業振興の長期的展望と将来像をめざし快適な生活を支え活力のある個性的な町作りにむけあたりやすく住みやすい産業地域社会を実現するため策定されました。その後区では、この産業振興ビジョンをより具体的な施策に結び付ける必要から工業、農業、そして商業振興プランを策定し、区内産業の活性化を計って参りました。さらに、各振興プラン策定後は各々振興会議を設置し各界代表者の方からご意見を伺いながら事業を実施してきた所でございます。例えば工業におきましては、インターネット取引にそがれた区内情報のデーターベース化を計り、又、葛飾区地域振興協会のホームページでは区内産業情報を掲載する準備をすすめるなど技術情報かくしんに沿った施策を展開して参りました。さらに今年度は、商業、農業連携モデル推進事業や商店会活性化特別事業などより総合的な施策の推進を計ております。なを産業振興ビジョンの見直しにつきましては、経済情勢をふまえ産業界の方々や議会のご意見を伺いながら検討して参りたいと考えております。

(保険福祉部長)
 始めに介護保険の実施状況の検証についておこたえ致します。介護保険制度につきましてはこれまでも介護保険事業審議会及び住民説明会や区民のご意見を聴く会を積極的に伺って参りました。又、昨年12月に実施したサービス利用者にたいするアンケート調査によりますと多くの利用者が満足しているところで御座います。さらに既に、所管委員会に報告してあります、介護相談ボランティア等の活用によりましてサービスについての実態の把握に努める等、今後とも保険者として責務を果たして参りたいと考えております。
 次に、介護保険の区独自の保険料、利用料の減免、助成に関するご質問にお答え致します。介護保険料につきましては応納負担の考え方も取り入れ、所得に応じ5段階に設定されており低所得者の負担の軽減がはかられております。また、第1号被保険者その属する世帯の生計主持者が火災等の被害により著しい損害を受けた場合や失職等により収入が著しく減収した場合には、区長は保険料の減額又は免除することができることとなっております、しかしながらこれらの理由の事なく低所得者であると理由により、一律に保険料の減免を行うことは介護を社会全体で支え会うという介護保険制度の趣旨から考えても行うべきではないと考えております。又、利用料につきましても負担額が高額にならないよう世帯の所得に応じて負担上限額が設定されこれを越えた部分は高額介護サービス費として給付されることにより所得に応じ利用者負担の軽減が実施されております。これら以外に保険料、利用料の減免の必要があれば国の施策として実施されるべきものであると考えており、現状においては、区独自に保険料、利用料の減免、助成する考えはございません。次に、特別養護老人ホームの入所希望者及び空情報の提供に関するご質問におこたえ致します。介護保険制度創設に伴い特別養護老人ホームにつきましては、従来の措置から利用者の自己の責任と選択にもとずき施設との契約により入所して戴くようにになりました。従いまして、入所希望者及び空情報については各施設で主体的に管理している所でございます又、介護保険施設の空情報の提供につきましては人員基準等の指定情報と事業者自らが提供する空情報等が既に東京都等からインターネットより提供されております。区といたしましては事業者が情報を積極的に提供するように働きかけて参ります。
 次に、京成四ツ木駅以外の京成線各駅に車イス対応のエスカレーター等の整備に関するご質問にお答え致します区はこれまで福祉の町作りモデル地区整備事業や鉄道駅エレベター等整備事業等を活用し、平成8年度以降JRの各駅に車イス対応のエスカレーター整備を進めて参りました又こうしたバリアフリー化を計画的に実施するためにすでに平成12年3月に人にやさしい町づくり推進計画を策定しこれにもとづき様々な施策を展開して釆たところでございます、本年度亀有駅の下りエスカレーターを整備することにより区内JRの全駅の上下のエスカレーター整備が完了いたします。又、本定例会の冒頭の区長あいさつですでに申し上げました通り京成高砂駅、青戸駅、堀切菖蒲園駅の各駅についてエレベター、エスカレター等の整備にむけ京成電鉄、及び東京都、国の関係機関とすでに具体的に協議を進めている所でございます。
 次に、障害者、高齢者等が参加した協議会の設置についておこたえ致します。本区のバリアフリー施策につさましては葛飾区実施計画および葛飾区人にやさしい町づくり推進計画に基づき国や東京都からの助成事業を活用しながら区内小、中学校、公園、道路などの整備及び公共交通施設のエスカレーター設置にたいする助成などの施策を実施してまいりました。これら施策の推進に当たりましては区内の障害者、高齢者等の団体から選出いただいた委員が参加される「葛飾区人とにやさしいまちづくり」障害者施策推進協議会に随時お計りしながら実施してきた所でございますが今後とも関係施策の推進につきましては本協議会のご意見を賜りながら進めて参りたいと考えております。

(福祉サービスセンター所長)
 老人福祉手当の復活等に関するご質問についておこたえ致します。区におきましては今後の本格的な高齢社会に対応するため、福祉の再構築を行い、地域での自立支援のための各種サービスの充実を図る一方で負担の公平にも配慮しながらこれまでの事業の達成状況や効果をもとに施策を見直し、経済的給付事業から在宅サービスの充実へと資源の重点的配分を行うことによって施策全体の充実を図った所でございます。したがいましてこの再構築の基本的な考え方に沿って区議会にもお計りして老人福祉手当、心身障害者福祉手当、及び福祉電話、寝具乾燥、出張理美容の見直しを行ったものであります。今後とも資源の重点的配分により、介護基盤の整備を進めるべきと考えておりますのでこれらの事業の復活、及び自己負担の軽減を実施する考えはございません。

(総務部長)
 子供の権利条約についてのご質問にお答え致します。
 児童の権利化する条約は世界的な視野から児童の人権尊重の促進をめざしたものでございます。区といたしましても基本的人権の尊重を主とした行政を進めておりますので、各分野におきまして子供の人権には十分配慮しているところで御座います。特に、子供の生活にかかわり深い人権教育の交わりの場である教育の場におきましては、子供の人権を充分留意しお互いに尊重する心を育てる、という教育の趣旨に基づき教育の実施に努めている所で御座います。又、教育委員会におきましては区独自の教育目標の基本方針の第1の柱に人権教育の推進を掲げ人権尊重教育を推進しているところで御座います。今後とも児童の権利に関する条約を重視し子供の人権を視野に入れて行政を進めて行きたいと考えておりますので現時点では子供の権利条例やオンプスバーソン制度を制定する考えは御座いません。又、教育委員会で行われておりますキャップ講習会につきましては虐待やいじめ、誘拐とうの暴力から子供自身の力で身を守る事ができるよう平成10年度に小学校3校で試行的に実行いたしました。以降その実施効果や学校、PTA等からの要望を踏まえまして11年度は20校、12年度は38校と拡大し13年度は全小学校49校で実施を予定しておりその実行に努めている所でございます。

(建設部長)
 人にやさしいまちづくり推進計画を交通バリヤフリー法の基本構想策定に発展させるべきとのご質問におこたえ致します。ご案内の通り本区では平成12年3月に人にやさしいまちづくり推進計画を策定し区内各駅にエスカレーターの設置など具体的な事業を推進してまいりました。又、道路などにつきましては住民参加によるバリヤフリー点検を実施し段差解消などを行い町のバリヤフリー化に努めている所で御座います。交通バリヤフリー法は平成12年11月施工され国による、基本方針が示され区、市町村が基本構想を策定することができるという内容となっておりますが基本構想の策定は公共交通事業者都道府県、公安委員会、国土交通省、東京都が一体となって駅周辺の重点地区における移動円滑化などの事業などを取りまとめる事が必要であり今後研究課題とさせていただきます。尚、道路改良又、駅前再開発等にあたってはすでに交通バリヤフリー法の趣旨を生かした整備を行っている所で御座います。

(都市計画部長)
 新小岩駅舎内の南北自由通路と交通バリヤフリーに関するご質問についておこたえ致します。新小岩駅は平成10年度にバリヤフリー事業で改札脇のステップリフトや車椅子に対応したエスカレーターの整備が完了しておりバリヤフリー対応は実現していると認識しております。新小岩駅の南北自由通路の整備につきましては地域にとって必要な事業であり区はJRと従来より情報交換を図って釆たところですが、今後も様々な機会をとらえて話し合いを行っていきたいとかんがえております。しかし、南北自由通路の整備は電車の運行を行いながら駅舎施設の大幅な改良を実施するため技術的にも難しく多額な事業費がかかることが予想されます。また、その実施にあたっては行政側の負担が原則で多大な財政負担が伴うなど解決すべく課題が多く充分な検討が必要であると考えております。

12、再質問についての答弁

(区長)
歴史認識について私の答弁がないと言うことなので、それについておこたえ致します。お若い渡辺議員さんと違いまして私は第2次大戦前に生まれましたので、あの戦争の中で過ごして教育勅語の朗読を聞いて育ってきた世代でございます。まあ、もっともお互い小さいころでございます。当時の一般の子供達と同じくその時代の流れの中で生きて参りました。今、あの戦争についてその時代を振り返ってお話しするとしましたら、その認識は、先程の教育長が申し上げましたことにつきるとおもいます。中小企業振興策とうについて、今すぐやらないのがいけないのではないかとのお話しでございますがいわゆる、緊急経済対策というのが具体的にどうゆうかたちになってでてくるのかということがいまのところまだみえていないとおもいます。私自身は、そして、それに対して国がどうやって行くかということを情報として知っていたものをお話したわけで別に国に全部あづけているつもりはございません。中小企業の振興策として区が取り組むべき事は取って行かなければいけないとかんがえております。消費税につきましてはやはり考えを変えるつもりはございません。

(保険福祉部長)
 京成線のバリヤフリーの件につきましては、先ほど申し上げましたようにすでに具体的に協議を進めている所でございます、又、従来より厚生委員会にご報告いたしまして検討いたしました。今後とも所管委員会にご報告して対応して参りたいと考えております。

(都市計画部長)
 新小岩の南北通路と関しましてバリヤフリーとからめてというようなご質問ではないかとおもいますが私共は別な観点で自由通路については兼ねてから重要な問題としてとらえておりまして、答弁で申し上げたようにいろいろな機会をとらえてJRと協議して行きたいと考えております。技術的には可能ということでございますが、これは大きな事業になりますので検討してまいりたいと言うことでございます。

(教育委員長答弁)
 始めに歴史認識についてのご質問にお答えいたします。歴史認識と云うのは多様な見方がありますが、昭和初期から第二次世界大戦の終結前の我が国の政治外交は、中国などアジア諸国との関係、欧米諸国の動きや日本国内の経済の混乱、社会問題の発生の中で軍部がしだいにダイトウしてきて戦争までに至る経過をたどったものであり、この大戦が人類全体に大きな惨禍を及したことは過去の過ちを教訓に世界平和に向けた努力をすることが大切であると認識しています。また、教育勅語につきましては明治23年に公布されたもので日本国憲法の国民主権の趣旨からして今の時代にはそぐわないものでありますが、親孝行、夫婦愛、友情などの道徳心や学業のすすめ、遵法精神等いまでも大切にすべきことがらも含まれています。
 次に、歴史教科書の関する質問にお答えいたします。教科書検定の趣旨は、民間が編集した教科書を文部科学省が学習指導要領にもとずき全国的な教育水準を確保するために設けられたものであります。その方向といたしましては教科書会社が提出した新生本を文部科学省の教科書調査官らが研究し欠陥記述に検定意見をふして修正を求め学識経験者で組織するきょうかい用図書検定調査審議会が方針を判定する制度でございます。従いまして、この検定に合格した一定の教科書につきまして取消しを求めることは適切ではないと考えます。また、本区における教科書採択は教育委員会の責任のもとすべての検定に合格した教科書、公正かつ客観的に評価してより良い教科書を選ぶ観点で進めています。従いましてあらかじめ特定の教科書を採択のための検討から除外する考えはありません。つぎに、教科書採択事務取り扱い要項につてのご質問にお答えします。今回、葛飾区教育委員会では東京都教科委員会からの通知も参考にしながら学校法やしぼりこみ、誤解の生じるようなことをさけあくまでも教育委員会の責任と判断において決定する仕組になって居ります。また、教育委員会の採択にあたってできるだけ参考となるような客観的な資料を作成するために各学校が教科書の調査研究をおこない調査委員会に報告することができることとし、さらに調査委員会において校長、教員が客観的な評価をする仕組みにしておりますのでご理解のほどよろしくお願いいたします。以上でございます。