●第3回定例会 日本共産党代表質問    2001.9.17. 質問者  野島英夫
【目次】
1、はじめに
2、高齢者福祉について
3、区内中小企業対策
4、まちづくりについて
5、答弁
6、再質問

1、はじめに

私は日本共産党区議団を代表して区長に質問いたします。
 はじめに、先程、全会一致して決議しましたが、今回のアメリカにおける同時多発テロで犠牲になられた方々に、心からのご冥福をお祈り申し上げます。テロはどんな理由をつけようとも許されない卑劣な行為であり、断固として糾弾するものであります。同時に、武力による報復でなく、法と理性にもとづく解決を求めるものです。

2、高齢者福祉について

 それでは高齢者福祉について質問をいたします。
 いま福祉は、国・都・区一体となった攻撃で、高齢者を中心に大きく転換をさせられています。この転換に賛成の人たちは、「時代のニーズに対応したもの」といいますが、私に言わせれば「戦後築きあげてきた福祉を根こそぎ掘り崩すもの」であります。
 国からの攻撃は、介護保険、医療保険、年金など全面的なものであります。
 介護保険では収入があるなしに関係なく保険料が課せられ、利用者には高い利用料がおしつけられました。保険料はこの10月からさらに倍加しようとしています。
 医療保険は、今年1月からこれまでの定額制から1割負担の定律制が導入され、一部定額制の残された通院でも1日530円が800円へと改悪をされました。
 さらに小泉内閣は、来年度から老人医療制度を75歳にひきあげ、それ以下の人の負担は原則3割にしようとしています。
 年金制度も「骨太方針」で、これまで実質非課税とされてきたのを、「世代間の公平」を理由に課税をしようとしています。
 東京都は、どうでしょうか。
 老人福祉手当は、在宅介護をしている家庭の大事な支えとなってきましたが、この漸時削減は、経済基盤を崩すものとなっています。
 シルバーパスは、非課税の人が1000円、住民税課税の人は1率2万510円とされ、すべての人が有料とされました。
 緩和措置のとられた既利用者の割り引きも9月の切り替えで、5000円から1万円に引き上げられ、大きな怒りをかっております。
 新規加入者の2万510円は、申し込みを断念させるに十分な金額であります。
 こうした時、区が自治体本来の使命を自覚するなら、福祉を守るために国や都の攻撃と立ち向かうことが当然ですが、青木区政はそういう態度はとりませんでした。逆にこの攻撃に便乗する態度をとってきたのであります。
 区長は前期の議会で、「福祉は無料という時代は終わった」と公言をいたしました。これを私たちは、2期目の青木区政が福祉削減に邁進していくことを露骨に宣言をしたものと受け止めました。
 そして、敬老金を全面廃止したのを皮切りに、昨年1月には福祉の再構築を打ち出し、福祉電話の基本料・通話料助成の全面廃止をはじめ出張調髪や三療サービスの有料化など近隣区にくらべて、はるかに厳しい負担を高齢者家族に押し付けました。
 この時は、高齢者だけでなく福祉タクシーの所得制限の導入やファックス電話助成の廃止など障害者福祉も削減をされました。
 子どもにたいしては、35%の保育料の値上げや、学童保育クラブ保育料の有料化もすすめられました。
 これに対して区民からはさまざまな形で、不満の声があがりました。
 昨年、介護保険料徴集を知らせる通知には、普通徴集の人を中心に1ヶ月で2000件に及ぶ苦情と問い合わせが寄せられました。
 しかし、区はこうした声に真摯に応えようとしておりません。今回の値上げ問い合わせに対してはカウントさえしないと言うのはその表れのような気がいたします。
 そればかりか、介護保険アンケートでは、不満を極力少なくしようとする意図的な解釈さえおこないました。
 もうすでに区長は、町にポスターを貼り出し、3期めへの出馬を表明しております。3期目もこうした姿勢でいくのか、区民にとって重大問題であります。
 学校給食の民間委託試行や就学援助の基準引き下げ、学校の統廃合など、教育条件の改悪もすすめてきました。
 更には、教育長の「教育勅語」発言問題や、教科書採択審議の際の「秘密会議」問題などは、納得できるものではありません。
 しかし、今期最後の議会質問として、どうしても実現してほしいと願う2つの問題にしぼって質問をいたします。
 まず第1は、少人数学級の問題であります。
 すでに、長野の小海町などで、実質的30人学級が実施されていますが、最近では、山形県が、すべての小中学校に30人学級を導入することを明らかにしました。
 埼玉県志木市では、来年度から小学校の1、2年生を対象として25人学級を実現する方針を固めたとしています。
 先程区長は、「少子化への歯止め」について、「葛飾区で安心して子どもを生み育てられる環境を整備していくことが何よりも必要である」と述べられましたが、子どもの数が減りつづけいる今こそ、少人数学級に移行し、子どもたちの教育環境を整備していく絶好のチャンスではないでしょうか。
 ところが区は、逆に小学校の統廃合を次々と進めてきたのであります。
 わが区が、志木市の例のように、小学校1、2年生を25人学級で行なうとすれば、今年5月1日の、在籍児童・生徒数関係報告で計算すれば、教職員を55名増やせば出来ることになります。
 また、わが党の予算修正で提案しましたが、、区費によるチ−ムテイ−チングも実質的な少人数学級であり、実施すべきであります。
 第2は、学校施設の問題であります。
 学校の耐震診断や大規模改修が一定程度、行なわれてきました。しかし、それ以外のところでどのような取り組みがされているでしょうか。
 先日、情報公開で「平成14年度施設修繕調査書」を見ましたが、依然、深刻な状況である事を実感しました。
 例えば先日、私の母校、亀青小学校で、授業参観日に親の目の前で、校舎の壁が落下してくるという事態が発生したと聞きました。幸い怪我人がでませんでしたが、これは区が、学校側が改善を求めてきたのに区が改修を怠ってきた結果だと思います。
 議会からの指摘もあって、この夏休みに応急処置として落ちそうなコンクリート壁をたたき落とす工事が行われました。しかし、壁は落としぱなしのままであります。
 なぜ、根本的な補修をしないのか理解に苦しみます。
 壁のコンクリート落下は、雨水の浸透による劣化であることは素人でもわかる話であり、屋上の防水工事をはじめ抜本策を求めます。
 私の地域の学校にも行ってみました。プールフェンスの錆などさまざま要求が出されていますが、「まだ、ひどい学校があるから」と後回しされているとのことであります。
 ある学校では、極めて控えめに「予算があるので、優先順位をつけるのはやむをえませんが、早め早めの修理が、校舎を長もちさせるのではないか」という意見が出されましたが、その通りであります。
 なぜ、こうした事態が改善されないでいるのか。答えは明確であります。修繕予算を削り続けてきたからであります。
 決算ベースでみて小学校の校舎等改修費は、91年度で21億9千万円余だったものが2000年度は6億円余と4分1近くにに削減され、中学校では、91年度13億円余から2000年度2億2千万円と6分1に激減しています。
 学校施設の改善には必要な予算をかけ、せめて標準家庭並みの教育環境にすべきです。洋式トイレへの増設、パソコン教室のみならず、子どもたちの教室の冷房化などもすすめるべきであります。

3、区内中小企業対策

 次は、区内中小企業対策であります。
 いま、「小泉不況」で中小企業の置かれた現状は深刻です。
 区長も先程のあいさつで、「景気は最近に至り、一段と悪化の様相を呈して」きたとのべられました。株価は、バブル崩壊後の最安値を更新し続け、ついに1万円割れとなり、失業率も最悪の事態であります。
 葛飾での工場出荷額を見ますと99年度は、4年前の95年度の時よりも1割以上の減少で、小売店の年間販売額も、99年度は95年度より1割以上の落ち込みであります。この落ち込み率は、23区中ワースト3であります。まさに、不況の影響は葛飾の中小零細企業を直撃しています。
 「区内中小業者の繁栄なくして葛飾の発展なし」と認識し、区の総力をあげた、経営基盤にも踏み込んだ区内産業振興に全力を尽すべきだと考えます。
 こうした認識のもとにわが党は、議員団手分けをして区内中小企業を訪問し、直接経営者やそこで働く方々の生の声を聞いてまいりました。
 ある経営者は、「自分のところは仕事が動いているのに、都市銀行はお金を貸してくれない。都市銀行のやり方は人殺しだ」と資金繰りに苦悩し、また別の経営者は、「今まで良い技術を持って一生懸命仕事をしていれば、何とかなると思っていたが、そんな保障は全くなくなった。人生の基盤が崩れて今は真っ暗の時代だ」と語っていました。
 そして、どの経営者も異口同音に言っていたことは、「来春に向けてますます厳しくなる。生き残れないのではないか」ということでした。
 東京オリンピック当時、東立石地域には染色業者が15の関連企業で従業員が三百人いたが、今では、自分のところだけになったという話や、区内の中小企業の多くも、中国進出など海外に生き残りをかけているという話など、改めてその苦悩ぶりを伺いました。
 町工場がどんどんなくなり、本区産業の空洞化がすすみ、このままでは、「ものづくり」が消滅しかねない事態に直面しております。
 したがってわが区が、中小企業を苦しめ産業空洞化につながる規制緩和、そして、いま小泉内閣が進めようとしている構造改革の名のもとでの中小企業つぶしの不良債権早期処理に明確にノーの声をあげるとともに、地方自治体として出来うる最大の取り組みを総力をあげてやるべきであります。
 ところが、この4年間の青木区政はどうであったでしょうか。工場アパートの建設以外はほとんど目新しい施策はなかったと言っていいと思います。逆に、今までやってきた事業をどんどん削減するという状態であります。
 せっかく中小企業振興条例があり、工業、商業、農業の各振興ビジョンがあるのに、十分に生かされていないのではないでしょうか。
 対策は一応ひととおりの制度があっても、魂がない、予算がない、体制がない、の3点セットになってやしないかと思うのです。
 同じ中小業者の町である墨田区では、東京新聞に「区内零細企業を売り込め!」という見出しで報道されたように、この夏、主査以上の職員80人が第2回目の企業訪問を行いました。都内をはじめ神奈川、埼玉、千葉、茨城の1都4県の企業など500社を対象に仕事確保のための訪問をしてきたとのことです。
 わが区はどうでしょう。たびたびおこなった提案もにべもなく拒否をするばかりであります。国保料等の回収にだけ走りまわるだけでなく、区内中小業者の支援のためにも汗を流すべきではありませんか。
 予算面でも99年度ベースで商工費が、墨田区の7.0%に対して葛飾区では構成比1.1%と7分の1であります。姿勢の違いがくっきりと表れています。
 地域経済に影響を与える三菱製紙中川工場の撤退や日本板紙亀有工場の閉鎖の問題でも企業におうかがいをたてるのが精一杯です。
 わが党が98年末以来の繰り返しの要求してきた特別融資が、ようやく今回、「秋季特別不況対策資金融資」の実施をしましたが、しかし、この融資の分野でも、最近4年間の合計の実績を見ると、事業所当たりの貸出額実績は、23区中19位で、23区平均の72%にすぎず、これは、墨田や江東の半分であり、江戸川の4分の1にすぎません。
 長引く不況のもとで、いま自治体の責務として、やれることは何でもやるべきです。
 そこで、質問をいたします。
 第1に、区の中小企業予算を少なくとも2倍に増やすとともに、「不況対策本部」を設置するなど区内産業振興体制を強化すべきとおもうがどうか。
 第2に、墨田区のように幹部職員が企業訪問をするなど、仕事確保のために全庁的取り組みをすべきであります。どう思われますか。
 第3に、区内建築業者の受注拡大に役立つよう、「住宅リフォーム」助成をおこなうべきであります。板橋区に続いて、京都の城陽市でも実施すると聞いています。
 第4に、本所工業高校をなくすのではなく、改めてメカトロニクスの実践的技術者養成などの「専攻科」設置を都に求めること。また、大学の研究グループや技術者との交流をすすめ、商品開発や技術援助を求めることが必要と思うがどうか。
 第5に、中小企業サミットにも積極的に参加すべきと思うがどうか。

4、まちづくりについて

 次に、まちづくりについて質問します。
 区長は、先ほどの挨拶の中で、改めて財源不足解消のと発言をされました。
 しかし私は、この言葉に同意しかねるものがあります。というのは、葛飾の財政状況は、わが党が、この間、再三に渡って指摘してきましたように、国庫補助の削減や税収減などによって一時期よりも困難はあるものの、経常収支比率や公債費負担比率などの様々な財政指標からみて「財政破綻になりかねない」というものではなかったと解するからであります。
 したがってわが党は、これまで何度も過度な財政危機論を唱えることは慎むべきと主張してまいりました。
 現に、極端な財政危機論は、高齢者や障害者を支える制度の軒並み廃止や国保料の連続値上げ、保育料の35%値上げ強行などの理由になってきました。
 しかし、区役所庁舎の建替えのための積み立てや新小岩の新都市拠点整備事業を強行していれば話は別であります。
 庁舎建設や大型開発に突き進んだ足立区や文京区、墨田区では、財政事情が極めて深刻な実態に追い込まれていると聞いております。
 わが党の庁舎建設への慎重論、新小岩拠点整備事業反対は、正しかったと自負するものであります。
 バブル崩壊からほぼ10年、今や、大型開発、大型公共事業は、根本から見直せというのが国民の声であります。
 それなのに、区長は、新たな需要に応えて基金を積み立てると、立石駅などの再開発のための「ため込み宣言」とも呼ぶべきことをしました。
 立石駅周辺の再開発計画では、19階建と16階建の高層ビルを2棟、5〜7階建てのビルを7棟つくる。地下駐車場2か所、大型バスターミナルやホテルまで構想しています。また、防災に名を借りた東立石4丁目の町の真ん中を通る18メートル幹線道路建設をすすめるとしています。先程区長は、金町駅南口の再開発事業についても冒頭の発言で、「速やかな都市計画決定の手続に移行する」と表明され、さらに保留床の買い入れについて、公益施設として前むきに検討すると答弁されました。これは多額の財政負担をともなうものになりませんか。
 バブルの破綻、不動産価格の暴落、長期不況、そして、商業の郊外立地化という構造的激変なかで、再開発ビルの保留床はさばききれずに、「行くも地獄去るも地獄」という例が全国津々浦々で起こっている時です。再開発神話を追い求めるべきではないと思うのであります。
 では、どう言う町づくりをすべきなのでしょうか。
 当たり前なことですが、区民が願うものでなければならないと言うことであります。
 98年10月実施の区民世論調査で「区政への要望」を見ますと、防災対策が第1位で35.1%、交通機関の整備が第3位の13%、第4位に公害対策の12.9%となっています。また、同世論調査での整備充実が望まれる、または新たに作ってほしい都市施設として、自転車置場の増設が41.1%でトップで、第2位は、駅前広場の整備30%、第3位は電線の地中化27.2%などとなっています。
 これらの要望を総合しますと、決して大型開発を区民は願っているのではなく、子どもから高齢者・障害者まで、誰もが安心・安全・快適な日常生活が送れるような、町づくりを求めているのではないでしょうか。
 そこで質問いたします。
 第1は、防災対策の強化であります。
 98年の「経営改革宣言」のもとで、前期までの葛飾区実施計画が見直しされ、防災対策が軒並み各年度の数値目標がレベルダウンとなってしまいました。その主なものをあげますと、細街路拡幅整備事業の路線拡幅、在来橋梁の耐震強化、幹線道路の沿道不燃化促進事業、防災活動拠点の整備、地下貯水槽の増設などであります。
 「財源不足は解消した」というのですから、区民の最も切実なこれら各種防災対策を、せめて前期実施計画水準に計画をレベルアップすべきですがいかがでしょうか。

 第2は、バスや鉄道の利便性の向上、駅舎や駅前広場などの整備による公共交通のバリアフリー化、全ての道路、様々な施設のバリアフリー化、自転車駐輪対策の推進であります。
 先の6月区議会でわが党は、京成立石駅やお花茶屋駅の段差解消装置の設置で、バリアフリー化は終了したという認識はおかしいと指摘しました。
 交通バリアフリー法では、エレベーターエスカレーターを設置するのが基本だからであります。段差解消装置の設置は、あくまで緊急代替装置でしかなく、急いで、改善のため関係機関との協議と具体化を行うべきです。
 道路のバリアフリー化では、「住民参加によるバリアフリー点検を実施」し、「具体的な事業を推進してきた」との答弁がありました。しかし、主だったところの点検であって、全地域を網羅したものではありません。
 先日、車椅子の障害者の方から、水元公園に入る桜堤の区道がどこも急で登れないという苦情がきました。早速、同僚議員が同行して調べましたが、たしかにその通りであります。さらに、公園正面の入口になっている商店側の区道も急な湾曲した道路で、舗装がデコボコで、手動の車椅子では通れませんでした。また、その坂の信号を渡って水元公園に入ろうとすると、今度は車侵入防止のポールが邪魔して、手動の車椅子も電動の車椅子も幅が狭くて危ないという状態でもありました。
 このような所は、区内随所にあると思います。直ちに、全地域を網羅したバリアフリー点検をべきです。
 また水元公園に通ずる道路及び堤防等はバリアフリー化を行うこと。また、都の管理している公園入口などの改善を要求すべきです。

 第3は、高齢者も若者も、子育て世代も、みんなが、住み慣れたところに、住み続けられるような住宅対策であります。
 先程区長は、子育てをする家庭の住環境の改善・定住促進について、やっと言及をしました。これは、高齢者、独身青年も同じです。
 高齢者のアパート更新料助成や住み替え家賃助成の復活、立石青少年寮の廃止を撤回し、若者や子育て世帯への家賃補助制度の創設、住み替え家賃制度を実施すべきです。
 そして、住み続けられるためには、2年も3年も待たなければ入れない高齢者のための特養老人ホーム建設や、多くの子どもたちが待機している保育園や学童保育クラブの建設など、生活密着型の施設づくりに取り組むべきです。生活密着型の施設づくりは、区内中小企業への受注機会にもなるものでもあります。
 以上で、私の質問をおわります。


5、答弁

(青木 勇区長答弁) 
 野島議員のご質問にお答えいたします。
 中小企業対策についてでございます。
 区内の中小企業を取り巻く経済環境は、大企業の製造部門の海外移転に伴う発注減、最近におけるIT不況、個人消費の低迷など長期にわたる日本経済の景気の落ち込みに
よって、大変に厳しい状況にあるわけでございます。こうした中で、今年に入って資金繰りが一段と厳しさを増している状況をとらえまして、区として産業界の要望を踏まえて、緊急に中小企業秋季特別不況対策資金融資を実施したものでございます。当初の20億円の枠から74億6,000万円に拡大して、申込者全員をあっせん対象として実施することといたしました。また、全国の中小企業振興公社が主催する広域的な見本市・商談会であります中小企業テクノフェア2001への区内企業の出展を行う中小製造業販路拡大支援見本市出展事業を実施いたしまして、積極的に自社の販路拡大を図ろうとする区内企業を応援してまいるところでございます。こうした事業に要する経費 につきましても、その都度補正予算として計上するなど、大変に厳しい財政状況の中 にあっても適時適切に対応してまいりたいと考えております。
 不況対策本部を設置して、区内産業の振興体制を強化すべきというお話でございましたけれども、区は中小企業対策を区の最重要課題と位置づけまして、ただいま申し上げた秋季特別不況対策資金融資、またインターネットを活用した受発注の増大を図る事業、中元用区内共通お買い物券発行や歳末の商業まつりへの助成拡大といったような商店街活性化特別事業等を実施するなど、不況打開に向けた事業に取り組んでおります。
 今後とも、経済状況の変化に即時に対応した事業を積極的に展開してまいりたいと考えております。当面、不況対策本部を設置する考えはございません。
 次に、大学の研究グループや技術者との交流を進め、商品開発や技術援助を求めるべきとのご質問でございますが、これまでも受発注情報交換会に大学の参加を得たり、異業種交流会でも大学とパネルディスカッションを開催するなど、その交流を進めているところでございます。
 また、幾つかの区内製造業者が大学との交流を通じて、商品や技術開発に取り組んでいると聞き及んでいるところでございます。知恵と技術を合体させ、新しい製品を開発し、発信していくことは区内製造業にとって大変に有効な手段になると考えられますので、これからも機会をとらえて積極的に支援してまいりたいと存じます。

 なお、そのほかのご質問につきまして、教育長及び所管部長より答弁いたさせます。

(教育長答)
少人数学級についてお答えいたします。
 新聞報道によりますと、埼玉県志木市では、平成14年度から小学校の第1・第2学年 について25人学級を導入することを固め、埼玉県教育委員会に同意を求めるとともに、増える10クラス分の教員の給与費を市・県が折半して負担する案を要望したとのことでございます。   
 このたびの義務教育標準法の改正に伴い、学級編制基準の弾力的運用が可能となりましたが、教員給与が都道府県の負担とされており、弾力的運用を行ったとしても、国から新たな財源措置はございません。
 また、区独自の教員採用につきましても、財政上の問題に加え、任用上及び身分上の法的位置づけの問題等があり、そのような理由から現時点では学級定員の引き下げは難しいと考えております。
 しかしながら、今回の国の第七次義務教育諸学校教職員定数改善計画では、児童・生徒の心身の発達に配慮し、個性に応じた教育を行うためのチームティーチングに加え、児童・生徒の基礎学力の向上を図るため、国語・算数・英語などの基礎的教料について、20人程度の少人数による授業が可能となる教職員配置の改善が行われております。
 今年度、本区ではチームティーチング導入校を36校確保するとともに、少人数授業 の導入を小学校4校、中学校2校で行ったところであります。今後とも、この制度を活用した教員加配の拡充に向けて努力してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

(保健福祉部長答弁)
 介護保険の保険料・利用料の減免についてお答えいたします。
 介護保険料につきましては、応能負担の考えを取り入れ、所得により5段階に設定 されており、低所得高齢者の負担軽減が図られております。10月からは介護保険の円滑な実施のための国の特別対策が終了し、本来の保険料額の徴収が始まりますが、介護保険では介護を社会全体で支え合っていくという制度の趣旨から、低所得者であっても保険料を納めていただくことになっております。
 また、利用料につきましても、負担額が高額にならないよう世帯の所得に応じて負担上限額が設定され、これを超えた部分は高額介護サービス費として給付されること により、所得に応じ利用者負担の軽減が実施されております。
 これら以外に、保険料・利用料の減免の必要があれば、国の施策として実施されるべきものであると考えており、現状においては、区独自に保険料・利用料の減免を行う考えはございません。
 次に、駅のバリアフリー化についてお答えします。
 エレベーター整備などの鉄道事業者が実施する鉄道駅舎などのバリアフリー化につきましては、区は亀有モデル地区整備事業や東京都鉄道駅エレベーター整備事業に
よる補助制度を活用しながら、JR各駅の上下エスカレーターを整備するなど、計画的に推進してきたところでございます。また、京成電鉄とは、人に優しいまちづくり・障害者施策推進協議会に委員として参画していただきながら、区内各駅のバリアフリー化について、これまで協議を重ねてまいりました。
 今後の京成各駅の整備につきましては、葛飾区人に優しいまちづくり推進計画に定 める計画目標に基づき、乗降客数や交通拠点性などの優先度、鉄道連続立体交差事業との関連などを考慮しながら整備を推進してまいりたいと考えております。
 次に、生活密着型の施設づくりについてお答えします。
 介護保険制度では、必要とするサービスを利用者みずからが選択して利用できるよう、多様なサービス提供事業者の参入促進を図るとともに、民間事業者の活用などにより、効率的にサービスを提供していくことが必要とされております。
 高齢者福祉施設の整備につきましては、現在民間事業者の適切な整備計画に対して区が助成を行う方法により順調に整備が進んでいるところであり、区が直接建設する考えはありません。
 また、保育園、学童保育クラブにつきましては、地域的な待機児の動向を見きわめ
ながら原則として既存施設の活用により対応してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

(福祉サービスセンター所長答弁)
 敬老金の復活等に関するご質問にお答えいたします。
 区におきましては、今後の本格的な高齢社会に対応するため、福祉の再構築を行い、地域での自立支援のための各種サービスの充実を図る一方で、負担の公平にも配慮しながら、これまでの事業の達成状況や効果をもとに施策を見直し、経済的給付から在宅サービスの充実へと資源の重点的配分を行うことによって、施策全体の充実を図ったものでございます。
 今後とも資源の重点的配分により、介護基盤の整備を進めるべきと考えておりますので、敬老金の復活や区独自の老人福祉手当の新設、福祉電話、出張理美容、おむつ支給などをもとに戻す考えはございません。
 以上でございます。

(学校教育部長答弁)
 学校施設改修についてのご質問にお答えします。
 初めに、予算を大幅に増やして学校修繕要望に応えるべきであるとのご質問についてでありますが、学校修繕要望については、毎年6月ごろに各学校から修繕要望項目を提出させ、施設計画課職員がそのすべてについて現場調査を行っております。その上で、改修の必要性緊急性、優先度等を判定し、当該年度の修繕料や契約差金で対応するもの、翌年度の予算要求とするもの、耐震補強や大規模改修に関連するため中長期的な計画の中で実施するものなどに区分し、対応しているところでございます。極めて厳しい財政状況の中、教育活動に支障のないよう対応しておりますので、ご理解をお願いいたします。
 次に、洋式トイレの増設や教室の冷房化など教育環境を整備すべきであるとのご質問についてでありますが、小・中学校の洋式トイレは、これまでに学校施設の大規模改修や耐震補強工事等にあわせて順次改善を進め、ワンフロアに1カ所以上の洋式トイレの全校設置を行ってきました。今後とも国庫補助制度を活用し、車いす対応のトイレの設置やブースの全面改修も含めた学校トイレの改善に努めてまいりたいと考えております。
 また、普通教室の冷房化につきましては、現在のところ沖縄県以外の都道府県については国庫補助制度の適用はございません。一般家庭では、クーラーが普及している現状にありますが、夏休み期間は基本的に教室を使用しないことや、その設置には多額の経費を要することなどから、国庫補助制度の取り扱い等を見据えつつ、今後の検討課題とさせていただきます。
 次に、亀青小学校のひさしの修復工事についてのご質問ですが、ひさしのモルタルの一部に剥落が生じたことから、校舎の外壁部分の点検を行い、落下のおそれのある部分について必要な工事を行ったものでございます。壁面補修や屋上防水工事につきましては、耐震補強や大規模改修工事とあわせて実施してまいりたいと考えております。
 次に、本所工業高校についてのご質問にお答えいたします。
 東京都教育委員会が進めている第二次実施計画による都立高校改革案は、生徒数の減少、生徒の多様化、均一的な教育課程等の課題に対応するものであり、水元高校と本所工業高校とを発展的に統合し、本所工業高校の敷地に新たに総合学科高校を設置するというもので、普通教育と職業に関する学科などの専門教育を総合的に行う学校 とのことであります。ご質問にございます専攻科につきましては、卒業生を対象として工業高校に設置が考えられており、総合学料高校に設置する計画はないと聞いております。
 本区としましては、総合学科は生徒の個性を伸ばす柔軟な教育を行う新しい学科として注目されていることから、東京都の計画の実施を見守ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。

(地域振興部長)
 企業訪問などによる仕事の確保のための取り組みについてのご質問にお答えいたします。
 区内の大半の中小企業は、長期にわたる景気の低迷による受注の減少に頭を痛め、対応策として第一に経費の節減、次に販路の拡大を考えているとの調査結果がさきの景況調査にも示されております。
 そこで、区といたしましては、区内中小企業の受注確保に重点を置き、施策を展開しているところであります。7月に実施いたしました受発注情報交換会では、発注元になる大企業の参加が前回には2社でしたが、積極的な働きかけを行い、今回8社の参加を得ることができました。
 また、今回の補正予算でお願いしております中小企業テクノフェア2001につきましても、多数の企業が出展する広域的な見本市・商談会であり、販路拡大に役立つものと考えております。このように、直接当事者同士が話し合い、交渉を行うことが実質的な仕事の確保につながるものと考えております。
 したがいまして、今後もこのような観点から、区内中小企業の受注確保につながる施策の展開を積極的に図ってまいりたいと存じておりますので、ご提案の幹部職員による企業訪問につきましては考えておりません。(「福祉部長や指導部長はどこ行って何してんだよ」との声あり)
 次に、中小企業サミットに参加すべきではないかとのご質問にお答えいたします。
 中小企業サミットは、中小企業を抱える都市の市長や商工会議所会頭などが参加し、共通する課題を解決していこうという目的で開催されているものであります。区といたしましては、今後その効果を見きわめながら検討してまいりたいと存じます。
 以上でございます。

(都市計画部長)
 区内建築業者の受注拡大に役立つよう、住宅リフォーム助成についてのご質問にお答えいたします。
 住宅リフォームにつきましては、現在住宅修築資金融資あっせん制度により、その対応を図っているところであります。さらに、区民の方々がより身近に利用できるよう、これまで金融機関の拡大を図るなどの改善を行ってきました。
 また、直接区の事業ではございませんが、住宅金融公庫においても賃貸住宅リフォームローンや分譲マンションの共有部分のリフォーム工事についての融資等の事業が実施されております。今後、さらに国においても、高齢者が居住する住宅のバリアフリー化等を支援する融資及び債務保証制度の創設が考えられております。
 区としましては、これらのリフォームにかかわる事業を活用することにより、区民 の皆様方の住環境の整備や建設需要の拡大にも寄与するものと考えております。
 次に、高齢者のアパート更新料助成や住み替え家賃助成の復活と立石青少年寮の廃止の撤回及び若者や子育て世帯への家賃補助、住み替え家賃助成制度の創設についてのご質問にお答えいたします。
 高齢者のアパート更新料助成や住み替え家賃助成事業は、バブル経済期に家賃の高騰や地上げなどによって高齢者世帯で住宅に困窮する状況が生じたため、緊急に住宅の確保を図る目的で、東京都の制度開始に合わせて平成3年度から実施した事業でございます。
 しかし、現在、民間賃貸住宅供給や家賃等につきましては、当時の社会情勢と大きく変わってきております。そのため、東京都ではこれらの事業の終了を決めており、葛飾区でも経営改革宣言に基づき、これら事業の見直しを行い、平成13年第一回定例会におきまして条例の議決をいただいたもので、現状におきましては助成制度の復活の考えはございません。
 また、若者や子育て世帯への助成制度の創設も高齢者の場合と同様の考えでございますが今後子育て支援の観点から、ファミリー世帯向け優良民間住宅の供給の誘導などにつきましては検討させていただきたいと考えております。
 勤労福祉会館につきましては、平成12年第三回定例会におきまして、3階から5階部分の立石青少年寮の廃止のための条例の議決をいただいております。このため、区内企業に勤務する青少年を対象に、新たに勤労青少年寮を細田四丁目に設置し、既に運営しているところでございます。
 なお、1、2階の勤労福祉会舘分につきましては、耐震補強をいたしまして引き続き利用する考えでございます。
 以上でございます。

(建設部長答弁)
 細街路拡幅整備事業の路線拡幅などについて、前期実施計画水準に計画をレベルアップすべきであるとのご質問にお答えいたします。
 細街路拡幅整備事業の路線拡幅につきましては、平成7年度から事業を進め、これ まで約3,700メートルの整備を進めてまいりました。
 次に、在来橋梁の耐震強化についてでございますが、これまでに7橋の耐震調査を終え、重要度の高い奥戸橋や小松橋の耐震補強を完了させております。また、三和橋についてはかけかえを予定しているほか、残る橋梁につきましても順次耐震設計、耐震補強など実施してまいりたいと考えております。
 幹線道路の沿道不燃化促進事業では、平成12年度末の不燃化率で水戸律i道が55%、環状7号線が44%、平和橋通りが55%、奥戸街道が39%となっております。また、防災活動拠点では11カ所、地下貯水槽では69基とそれぞれ整備をいたしたところです。これらの事業は、現在の極めて厳しい財政状況から、前期実施計画を見直さざるを得なかったわけではございますが、いずれも重要な事業でございますので、今後とも各事業の推進に鋭意努力してまいりたいと存じます。
 次に、道路のバリアフリー化の全区域の点検を強化すべきとのご質問についてお答えいたします。
 道路のバリアフリー化を進めるための点検は、平成9年度に観光客の多い柴又地区をモデル地区として、地域住民や関係機関の参加のもと、面的なバリアフリー点検を実施し、それぞれの施設の管理者が改修を行っているところでございます。
 さらに、平成11年度に青戸・立石地区及び東金町地区においても点検を実施し、改修工事を進めております。今後は、モデル地区における経験やノウハウを生かし、特に人通りの多い地区や身障者、お年寄りの方々が多く集まる地区などを優先的に点検し、バリアフリー化を推進してまいりたいと考えております。
 次に、水元公園に通じる道路、堤防の傾斜を緩くすることや公園の入り口の改善などを都と一体で進めるべきであるとのご質問にお答えいたします。
 身障者やお年寄りだけでなく、公園利用者の多くが利用する坂路につきましては、傾斜を緩くするなどのバリアフリー化の必要性は理解しているところです。このため、水元公園に通じる道路については、平成12年度に桜土手の車道から歩道に上がる部分にスロープ化の工事を実施したところでございます。
 しかし、桜土手に通じる道路の傾斜の改善につきましては、桜土手の歴史的景観を保存していくという観点や坂路に接する宅地との高さの取り合わせなど、改修には
技術的に解決すべき点が多いため、今後の検討課題とさせていただきます。
 以上でございます。

再質問

 区民生活を守るためには、どうしても革新民主の区政をつくりかえなければなら
な い、そういう思いをするところであります。
 質問を終わります。