●第2回定例会 中村しんご区議の一般質問 2002.5 |
【目次】 1、有事法制と非核平和について 2、第二次葛飾区経営改革宣言とアクションプランについて 3、介護保険と高齢者施策について 4、「学校選択制」について 5、中小企業振興について 6、大型店舗の出店から区内商店街を守る問題について 【答弁】 私は、日本共産党を代表して区政一般質問を行います。 初めに、有事法制と非核平和について伺います。 今年もまた暑い夏、広島、長崎の原爆の日が近づいています。 ところが、インドとパキスタンの紛争が核兵器使用の危険性が高まり、一国覇権主義を強めるアメリカの公然とした“2002年は戦争の年”とするブッシュ米大統領の一般教書演説と、北朝鮮やイラクなど特定の国を「悪の枢軸国」と決めつけての先制攻撃も辞さないと言う姿勢であります。しかし、こうしたアメリカなどのやり方に、同盟国の中からも批判と憂慮の声があがっています。 このような情勢のもと、唯一被爆国である日本は、世界のどの国にも先駆けて世界恒久平和の大道に立ってのメッセージを発するべきであります。 ところが、今国会では、かつての過った戦争の道に突き進む有事法制3法案が議論されているのであります。この法案は、憲法の平和原則、と国民の基本的人権や民主主義の原則、地方自治も破壊するものです。 そこで私は、この地方自治破壊となる問題について区長の見解を問うものであります。 今回の有事3法案は、自治体の自主性を無視して軍事を優先する「責務」を自治体に課し、住民の動員や財産の取り上げなど、まさに住民の権利を侵害する立場に自治体を立たせることになります。自治体の管理権限である道路、河川、公園なども、事前協議や許可手続などが無視できる特例が設けられ、自治体の施設も職員も軍事優先であります。 憲法92条は、住民の意思に基づき住民自らの生活を守るという「地方自治の本旨」を規定し、地方自治法第1条は「住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担う」と、地方自治体の使命を明確にしています。ところが、有事3法案は、この地方自治の命とも言うべき使命を投げ捨てて、軍事優先にするというものであります。 わが党議員団は、5月14日、青木区長に対し、住民の生命と平和を守る自治体として、また、非核平和都市宣言の区として、この有事法制に反対の表明をするよう、申し入れしたところであります。区長は、この時点ではコメントは差し控えたいと述べられました。 しかし、その後、国会での論議がすすみ、自治体にもたらす影響が極めて大きい問題など、その全容が次々と明らかになる中で、長野県知事、高知県知事をはじめ全国の心ある自治体の長の多くが法案に対して「懸念」と「反対」を表明しており、6月6日付け朝日新聞によりますと、開催された地方公聴会で鳥取県知事は「この法制には大きな欠陥がある」「手足を縛られたまま、自治体が責任だけ背負わされるのは堪え難い」と不満を表明したというのであります。 葛飾区は1983年、昭和58年10月に、葛飾区非核平和都市宣言を行っています。 宣言は冒頭で「世界の恒久平和は、人類共通の願いである。しかしながら、今日なお世界の動きは、核戦争の危機をはらみ、誠にたえない」と述べ、「葛飾区は、区民の生命と安全を守るためにいかなる国のいかなる核兵器に対しても、その廃絶を求め、ここに『非核平和都市』を宣言する」としています。 まさに有事法制は、本区の非核平和都市宣言に相反するものであります。 案の定、この法案が審議されている最中に、福田官房長官の「非核3原則」見直し発言が問題となりました。唯一被爆国日本の閣僚としてあるまじき発言であります。 有事法制は、核兵器問題にまでつながっているのであります。 青木区長、日本と世界が「戦争か平和か」の岐路にある今こそ、非核平和自治体の長としての責任ある意見表明をすべきだと思います。 そこで質問いたします。 第一に、有事3法案は、憲法違反であると同時に、地方自治にとっても重大な法案であります。自治体の管理権限等を無視する特例によって、「国が指示をする」関係を地方自治体に強いるものになっており、戦後、確立した地方自治の大原則である、自治体が自主的に判断し対応するという地方自治の基本的原則を否定するものであります。 第二に、有事3法案は、各地自治体首長が「地方自治体や住民の生活に係わる内容を多く含んでいるだけに、地方自治体の意見や国民の意見を十分に聞き、慎重に審議をすべきもの」との声をあげています。非核平和自治体の長としてどのようにお考えですか。 第三に、有事法案の審議中、核兵器開発や使用の問題まで発言がとびだしました。この福田官房長官の「非核3原則」見直し発言に対して、区長はどのような見解をお持ちなのか伺います。 次に、第二次葛飾区経営改革宣言とアクションプランについて質問をいたします。 区長は、冒頭の挨拶で、第一次経営改革の結果について、自賛されましたが、区民はその言葉どおり受け止めるでしょうか。私にはとてもそうは思えません。区民にとっては、ひどい痛みの押しつけだったからであります。 一昨年の1月、介護保険の実施にあわせて福祉の再構築計画が出され、経済的給付事業の見直しといって、福祉電話の廃止、ねたきりお年寄りの出張調髪の有料化など、多くの福祉施策が標的にされました。 わが党が行った区民アンケートには、「福祉電話もカットされ、毎月の電話代が500円前後から5000円と一気にはね上がりました。元通りにして下さい」とか、「医者に、血圧のくすりを毎日飲むように言われているが、医療費がかかるので、日にちをあけて飲むのをのばしている」など、切実な声が寄せられています。 区長は、薬まで節約しなければならない人たちの苦しみをどれだけ知っていますか。それなのに、また区民いじめをやろうとするのですか。 今年の2月5日に、「第二次葛飾区経営改革宣言」が発表されました。そこではまたまた、財政危機がことさら強調され、区の800事業すべてを見直して、更なる、区民施策の廃止、縮小、民営化、民間委託など行うことが打ち出されました。 また、5月15日には、「行財政改革アクションプラン」の素案が明らかにされました。 財政危機というならば、区財政を圧迫している国庫補助の削減や都の財政切り捨て攻撃に反対すべきであり、区民にしわよせすべきではありません。 また、これからの財政を圧迫する原因となる立石再開発や金町駅南口の再開発、水元西南部の土地区画整理事業など、開発優先の行政運営を改めることであります。 いま、区政に求められていることは、何よりも住民の共同の利益を守ること、そして人権を守り、すべての住民に対して、公正に自治体運営をおこなうことであります。 そこで、新ためて「第二次葛飾区経営改革宣言」で強調された4つの基本点にそってお聞きいたします。 まず第一は、「行財政運営に経営的視点を導入していく」ことについてであります。 「経営的視点」とは、区政を企業経営と同位置に置くという意味でしょう。ここには、「区民サービスの費用と成果の明確化を通じて、区民サービス提供体制を作り上げていく」とあります。 費用対成果を見ると言うのは、企業経営では当然でありますが、自治体の仕事に置き換えると、住民のくらしに必要なサービスであっても、経営的視点から見て費用がかかると判断されれば、切るということを意味しているではありませんか。 現に、今年4月から区立在宅サービスセンターや高齢者の共同作業所、授産施設の民営化、社会福祉協議会のヘルパーや保健所リハビリ教室の削減、一部敬老館のお風呂の廃止ど、高齢者の福祉事業を大幅に後退させました。 区民サービスを費用と成果からのみ見る「経営的視点の更なる導入」は、百害あって一利なしであり、直ちにやめるべきと思います。 すべての事業を費用対効果で見たらいったいどうなるのでしょうか。 たとえば、「行財政改革アクションプラン」素案では、「保田養護学校のあり方の検討」とか「ケースワーク業務の見直し」「集会所等利用有料化の検討」などという項目が並んでいます。 保田養護学校のあり方検討では、教育委員会は、「在籍児が減少している。費用対効果について、教育といえどもこれを度外視することは適切ではない」という考え方を示しました。教育は子どもから出発すべきで、お金から出発すべきではありません。保田養護学校は、存続させる方向で検討すべきであります。 ケースワーク業務も、「費用と成果」の視点で見るのでしょうか。いま、生活保護が増える一方で生活保護の餓死者が出ているニュースを耳にします。 法定数どおりの人員配置をしてこなかった結果、ケースワーカーの本来の仕事としての訪問指導を充分おこない切れていないのではと危惧するものです。ケースワーカーの法定数配置を求めるものです。それをしないで、民生委員に肩代わりをさせるなどはすべきではありません。 費用対成果を強調すれば、住民がサービスを求めると、そのコストはすべて住民が負担しなさいということに発展します。地域集会所は、地域住民の学習や交流の場として欠かすことのできないものです。この利用料の有料化はおこなうべきではありません。 削減した福祉はもとにもどすべきです。答弁を求めます。 第二は、「公私協働」の名による民活の推進についてです。 「宣言」の基本の第2「公共サービスの多様化と区民参画の強化を図っていく」で、「公私協同の仕組みの構築」が強調されております。 一般的には、「公私協働」とは、区と区民が協働すると捉えれば大変いいことであると思います。しかし、ここで言っている「公私協働」はそうではありません。公的分野を地域ボランテアや、NPO、民間企業などに分担をさせていくことで、公的部門の後退を意味するものであります。 「アクションプラン」素案では、「保育サービスの再構築」「学童保育クラブ事業の再構築」「公園等の管理運営に対する区民参加の促進」などの言葉が見えます。 保育所の待機児解消は、焦眉の課題です。そのために、認可保育所の増設や低年齢児の定員枠の拡大が強く求められていますが、区はこれに応えようとしておりません。 子育て支援計画を見ても、認証保育所や家庭福祉員による対策が中心で、緊急避難型の待機児対策ばかりです。これでは待機児は解消できません。 また、学童保育クラブの増設も急がれています。ところが区は働く父母の願いに応えて、区立学童保育クラブの建設をするのではなく、私立クラブへの支援だけに重点を移しています。 公園・児童遊園の清掃、管理もそうです。わが党は、2001年第1回定例会で、実地調査にもとづいて公園・児童遊園の汚れを指摘し、改善をもとめました。その後、職員の努力による改善は認められるものの、いぜん多くの区民からは、「トイレが汚い、清掃をしてほしい」などの要望が寄せられています。この間、区が清掃予算を大幅に減らしてきた結果です。 アクションプランの「区民参加の促進」は、こうした反省にたって改善するのではなく、区がさらに公園・児童遊園の清掃、管理から手を抜くつもりなのでしょうか。そうなれば、葛飾の公園、児童遊園の「荒れ」はさらにひどくなってしまいます。 「公私働同」の名で、公的責任を放棄するのではなく、区本来の使命を明確にして仕事をするという態度に立ち返るべきであります。 公立の保育所、学童保育クラブの増設を行ない、また公園・児童遊園の清掃、管理も区が責任をもっておこない、その上でボランティアや区民の協力をうるという姿勢を貫くよう求めます。 第三は、成果主義、成績主義と競争主義についてです。 区の宣言では、「成果主義を積極的に導入していく」と強調されています。 私も「行政評価ハンドブック」で、アウトカム200例など見ましたが、区民の満足度を優先的に考えること、区民に見える形で成果を見せることは、一般論で言えば悪いことではありません。多くの施策の目標値は、基本計画で明記されていますが、それを達成することはきわめて大事なことであります。 しかし、「効率性の優先」とか、「民間主導」では、成果達成が現実に遠のいています。例えば、介護老人保健施設の建設です。民間で建設することを前提にしたこの計画は、民間業者の参入がないからと遅れに遅れ、今では、入所を希望してもなかなか入所できない事態になっており、これは介護ショートステイも同じです。 保育園、学童保育クラブ増設も民間だけにまかせているために、いつまでも待機者問題が放置されているではありませんか。 いま大事なことは、区が責任をもって遂行する体制をつくることであり、そうしてこそ、区民に目にみえる成果を示すことができるのではないですか。そして、言うまでもなくその原動力は、それを遂行する職員の熱意であり、自覚であります。 そのための、公務員の意識改革は必要であります。 国民の公務員にたいする見方はきびしくなっております。特に汚職と腐敗が、大蔵省とか外務省、警察・内閣官房にまでおよび、国民の怒りは沸騰している感があり、また特権的天下りも大きな批判の対象であります。 しかしその改革は、公務員は「全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではない」という原則に立ち返り、民主的なものでなくてはなりません。 成績主義などと言って、この間、文化国際財団が新人事制度の試行案を作成し、「挨拶や電話接客ができているか」「整理整頓ができているか」などの項目で採点する、それによって給与を決定するとしています。しかし、このようなことは、全体の奉仕者である公務員にとってあたりまえのことです。住民への公共サービスを絶えず向上させることは大前提であって、成果主義、成績主義とやたら職員間の競争をあおることは、職場の団結をこわし、ひいては住民サービスを後退させるものとなると思います。答弁をもとめます。 まして、最初から職員10%、400人削減などと、目標値を決めることなど、容認できません。 第四は、IT化すなわち情報通信技術に関してです。 わが党は、去る5月22日に、大阪府羽曳野市を視察してまいりました。 羽曳野市では、市内7カ所に証明書交付機を設置し、カード一枚で、住民票の写し、印鑑登録証明書、外国人登録原票記載事項証明書、市府民税証明書、固定資産税が、交付できるようにしておりました。 利用する市民は、各自IDカードをもち、それぞれの暗唱番号で選別され交付されるというものです。羽曳野市では、これを「ワンストップサービス」と呼んでおります。 カード一枚でいくつもの証明書が交付されるのは、大変便利であります。と同時に1つのデーターにいくつもの情報が組み込まれることになり、プライバシー保護の点から見ますと危険度も大変高いと感じたものであります。 羽曳野市ではもちろん、「セキュリティは万全」という説明をされておりましたが、最近の各地でおこる個人情報漏えい事件を聞くにつけ、不安をぬぐいきれるものではありませんでした。 個人情報は一度流れたら永遠に流れつづけてしまいます。 旧出張所等への住民票や印鑑登録証明書発行の自動交付機の設置を検討しているようですが、住民票や印鑑登録証明書以外の証明書はセキュリティの危険があるので交付すべきではないと思うがどうか。 区のホームページの充実や審議会の公開推進とあわせて「パブリックコメント制度の採用」が言われておりますが、住民から意見を聞く窓口を広げることはいいことであります。問題は聞いた後の処理をどうするかであります。これまでも区は、「施策に対する満足度等区民意識調査」など、数多くのアンケート調査を行なっています。しかし、そのわりに施策に反映されたという話はあまり耳にしません。 パブリックコメント制度と銘をうつかぎり、従来のように住民からの注文や意見を聞くだけでなく、それを区がどのように施策に反映させるか、あるいはさせたかを明記した結果を含め公表すべきと思いますがどうでしょうか。 次に介護保険と高齢者施策について伺います。 介護保険が始まって2年が過ぎ、見直しの3年目が来年に迫ってきました。既に、厚生労働省の指針は介護保険事業計画の見直しスケジュールを示しており、各地方自治体での作業も始まってきており、本区でも、「高齢者のくらし調査報告書」にもとづいて、2003年以降の新たな介護保険事業計画見直しが行われます。 この見直しをする上で大事なことは、この2年間の介護保険の実態を予断と偏見なしで正確に分析し、介護の社会化や「ねたきりゼロ」など高齢者が必要なサービスが安心してできる、本来の制度に見直しすべきであります。 しかし、区長の認識は、本区の介護保険は「順調に運営されている」というものであります。果たしてそうでありましょうか。 例えば、「高齢者のくらし調査報告書」などを見ますと、介護保険のサービス利用者が、当初の見込みを大きく下回り、一方で依然として、家族介護がかなりの地位を占め、また、介護保険料や利用料の負担が大きいということが示されています。もっと様々な角度から分析して、新たな介護保険事業計画の見直しに役立たせるべきであります。 以下何点かにわたって伺います。 まず、介護負担の軽減の問題です。 最初に利用料についてですが、介護サービス未利用者への調査では、最も多かったのが「家族などに介護してもらっているから」が過半数を超えています。なぜ、家族の介護で良しとするのかであります。 私自身、介護サービス未利用者から相談を持ちかけられることが多いのですが、家族の介護にはお金がかからないが非常に多いのであります。しかし、そのような家族介護をしていても、約7割がサービスを今後、利用したいと回答していることです。これは何を物語っているでしょうか。利用料の軽減をもとめているということではないでしょうか。 生活困難者への利用料負担軽減が今年1月から実施されました。しかし、利用者は、わずか120名程度に留まっています。その最大の理由は単身で月収入が10万円以下、二人世帯でも約14万円以下という、多くが適用されないような低い収入基準だからです。 さらに、この制度を介護事業者の5割に留まっているのも問題です。その最大の理由は、減免額の半分を事業者が負担することになるからです。区独自の上乗せをして、収入基準の大幅緩和するとともに、事業所負担を解消することです。いかがでしょうか。 あわせて、先進自治体の取り組みに習って、すべての利用料負担を3%に軽減するべきと思いますがいかがでしょうか。 そして、国に対しては、激変緩和策としての利用料を3%を来年以降、6%に引き上げようとする案は撤回して、3%を継続するよう求めるべきと思うがどうでしょうか。 調査報告書では、現行の保険料が圧倒的に高いと答えていますが、これにも率直に耳を傾け改善すべきであります。 調査報告書では、高齢者のくらしがいかに厳しい状態が示されております。例えば、夫婦ふたり暮しの21.6%が月収入5万円以下、過半数が月15万円以下だと答えています。これらの世帯はおおよそ生活保護世帯かそれ以下の状態であります。だからこそ、「保険料が高い」というのが、圧倒的声になっているのだと思います。 これは、昨年行った区の世論調査で、「サービスが少なくても保険料を安く」が多数をしめているのであります。 一般施策として補助の仕組みをつくって減免制度をつくることが必要であります。 すでに、都内では10自治体に、大阪市、神戸市など大都市を中心に広がっています。 いまこそ、区民の切実な声に応えて、保険料の減免制度をつくるべきと思うがどうか。 合わせて、見直し作業の詰めの段階にある今こそ、国に対して利用料1割の見直しや、低所得層にむけた負担の軽減策を求めるべきと思うがどうか。 介護負担軽減との関連で、現金給付事業の拡充が重要であります。 調査報告書では、過半数が区の施策について「介護サービスの充実」を求めています。しかし、区長がやって来たことは、敬老金は廃止する、老人福祉手当も福祉電話も打切る、挙げ句の果ては敬老館10ケ所のお風呂を廃止、くつろぎ入浴事業の全面有料化など、23区最低の水準にしてしまいました。直ちに復活を求めるものであります。 また、高齢者への特別障害者控除及び障害者控除の取扱いも改善すべきであります。 1970年旧厚生省社会局長通知は、障害者手帳を持たないねたきりの状態にある高齢者にも、特別障害者控除及び障害者控除の認定を自治体が実施するよう求めています。 しかし、本区では、老人福祉手当受給者の申請の限定しております。通知通りに改善すべきであります。 すでに全国的には、その改善が進んでおり、新潟県長岡市や上越市では要介護1と2の高齢者には障害者控除を要介護3から5の高齢者には特別障害者控除の認定行われ、東京23区内でも、世田谷・荒川・墨田・台東・足立など認定しはじめています。 本区でも改善し、特別障害者控除及び障害者控除の認定するとともに、この制度の周知するために、窓口や広報等を行うべきと思うがどうか。 第2の問題は、介護施設の増設であります。 介護保険事業計画で特別養護老人ホームの建設は、この間、特別養護老人ホームの増設は一定進んだことは事実ですが、しかし、2002年度までに1005床の整備計画に対して目標を達成しておりません。待機者が減るどころか増え続けて、現在、どの施設に伺っても500名前後の待機者になっています。 したがって、特別養護老人ホームの増設計画を抜本的に引き上げて、増設していくべきとですが伺います。 介護老人保健施設は、入所要件が緩和されたこともあり、入所希望者が増えています。 しかし、施設整備が進まず、年次計画に対する整備の遅れは著しいものがあります。 その原因として、医療法人等が消極的として理由をあげていますが、他自治体のように区が直接、介護老人保健施設の整備を進めることも検討すべきではないでしょうか。 また、在宅サービスセンターも増設すべきです。 区内西部地域では、絶対的に不足しているのが現状です。それなのに、高齢者福祉センターの在宅サービスセンターを廃止したことは逆行であります。これによって「週2日通所していたのに1日に減らさざるを得ない」「なかよしのお友達が利用日の変更を余儀無くされ、会えなくなった」などの事態が起こっています。直ちに計画化すべきです。 第4は、必要な介護サービスの供給の問題であります。 もともと区が直接やってきたホームヘルプサービスが、私たちの反対にもかかわらず、社会福祉協議会への民間委託を強行し、それが今では、このホームヘルプサービスも段階的に廃止を打ち出していることは問題であります。 社協に派遣していた常勤ヘルパーを大幅に減らし、多数の契約ヘルパーが解雇され、来年度からは全廃というのであります。これまで社協が担ってきた要介護者は、困難ケースの人たちでした。社協だからこそ、対応できたものホームヘルプサービスですが、突然の取り止めは深刻な影響を与えています。今からでも、社協の訪問介護事業を存続すべきと思うがどうか。 必要なサービスという点では、訪問リハビリの実施であります。 この事業は、訪問リハビリを実施して要介護度の進行を抑制するというもので、ねたきり高齢者をつくらないなどの取り組みとして重要であります。しかし、訪問リハビリを実施いる事業者は区内にはないのが現状です。この現状を改善するためには、区が事業者として、訪問リハビリを供給すべきではないでしょうか。 さて、介護保険の取り組みの第5は、制度そのものの理解を広めることです。 この点では、区長のあいさつでも触れられていますが、制度に対する理解が不十分であることが、調査報告書にもくっきり浮かび上がっています。 私の知人のケアマネージャーも制度の説明が一苦労だと嘆いていました。 長野県下諏訪町では、介護心中事件が発生したことをきっかけに、介護支援センター連絡会が主催する形でシルバーネットワークをたちあげました。これには、保健センター職員、町職員、民生委員も参加し、「2度とこうした悲劇をくり返してはならない」と緊急に独居世帯、介護認定済みの未利用世帯を訪問して、必要な介護を受けてもらおうと訪問活動を始めました。この取り組みを通じて「サービスの利用方法や相談先がわからなかった」との声が極めて多いことが分かったそうです。この訪問活動の後、介護サービスの利用が増えているとのことです。 介護保険制度のPR、認知を広げていくためには、保険者としての区の立場を明確にして、周知徹底の努力が必要と思うがどうか。そのためには、長野県下諏訪町の取り組みも参考にして実施すべきと思うがどうか。 最後は国の介護報酬の見直しです。 厚生労働省は、このほど、介護報酬の見直し案をまとめました。すでに、国庫負担削減のため医療の診療報酬の引き下げを強行しましたが、介護報酬についても抑制する方向であります。 即ち、訪問介護については、現行の身体介護・家事援助・複合型の3種類の区分から複合型をなくし、これまで一定の水準であった身体介護の報酬を逆に下げて、その分を低い家事援助の報酬は多少上げるもので、安きに報酬を改めるというものです。むしろ、現行の3区分を一本化して報酬を引き上げることを求めるべきです。また、その他サービスの介護報酬についても、それぞれの状況に見合った引き上げるとともに、あわせて、要支援・各要介護度の支給限度額の拡大を求めるべきです。それぞれについての答弁を求めます。 次に「学校選択制」についてであります。 区長は、先程のあいさつのなかで、「学校選択制」を中学校は来年2003年度から、小学校は再来年の2004年度から導入すると述べられました。 しかし、これは余りにも拙速すぎるやり方なのではないでしょうか。 確かに、PTAや青少年委員、子ども会などの代表などを入れての「区立小中学校通学区域のあり方に係わる懇談会」を設置し、学校選択制導入の報告がまとめられました。 しかし、少人数の議論で教育委員会が纏めたたき台で報告書であります。実質的審議は、3時間半程でありました。 しかも驚いたのは、形は区民参加になっていますが、多様な意見の議論が保障されずの懇談会で、まさに、区教委主導による学校選択制導入先にありきの議論でありました。 しかも、この懇談会の議論唯一で、圧倒的区民は蚊屋の外で、そして、何よりも欠落しているのは、学校の主人公である子どもたちの意見などは無視され、また、日常的に子どもたちを指導する教師に何も説明も意見も聞かないままの、一方的なやり方であります。 区民への情報公開やアカウンタビリティー、説明責任も行われないままでの制度導入であります。 進めるにしても手順とかルールというのがあるのではないでしょうか。教育行政に責任を負う区教委がこんな無茶なやり方で、葛飾の教育が良くなる訳がありません。 区長、こんな乱暴なやり方での学校選択制の導入は、この際、白紙に戻して、子どたちや教師、父母などが自由闊達に議論し合意づくりを行う場や、区民参加のもとでのシンポジウムや時間をかけた審議会の開催など、そこから葛飾区としてのあるべき教育改革を見い出すべきと思いますが、いかがですか。 区長は先程、「選ばれる学校づくりを進めていく必要がある」と言われました。学校選択制は、「選ばれる学校」と「選ばれない学校」をつくり、「選ばれる学校」は「いい学校」、「選ばれない学校」は「評判の悪い学校」というレッテルを貼ることになり、必然的に学校間競争がエスカレートし、学校間の格差や序列化が生まれてくるでしょう。 そして、この学校間競争で「勝ち組」となるために、「特色ある教育」というもので勝ち抜く必要となり、トップ・マネージメントとしての学校長の学校経営が試され、学校はより一層の競争原理に走り、合わせて管理教育、教職員への新たな労務管理など、学校教育を市場原理の世界に投げ込ませるものであります。 教育をめぐる最大の問題は、いじめや不登校、学力低下問題などの解決や異常なまでの受験競争が進み、管理教育が進んでいることを解決することです。 今大事な事は、「学校への不満」や「子どもをよく育てたい」という願いがあることをしっかりとつかみ、どんな学校にしてほしいのか、どんな子どもに育てたいのか、こういう話し合いを父母と教師が一緒になってすすめることであります。 そして、子どもの多様性を保証するために、少人数学級などゆとりある教育条件、そして、それをすすめるための教職員の十分な力量と人数を保障することこそ今、早急に必要だと思うのでありますが如何でしょうか。 次に中小企業振興についてであります。 政府は、景気の「底入れ宣言」をしましたが、国民にとって「何が底入れか」と言うのが実感ではないでしょうか。 葛飾区中小企業景況調査においても、昨年10月から12月期においても、2002年1月から3月期においても、区内製造業、小売業ともに、売上額、受注額等減少が続き、業況はさらに厳しさが強まるとしています。 そこで我が党区議団は、先日、中小企業施策を着実に前進させている東大阪市を視察してまいりました。 東大阪市では、98年11月に「緊急経済対策本部」を設置し、市長が本部長となって、各部局で中小企業支援策の検討が行われました。その翌年、32,000の全事業所を2年間にわけて市幹部職員のべ580名が、直接事業所を訪問調査を実施したのであります。この調査は、市幹部自身が、きびしい中小企業の実態にふれ、市幹部の意識改革となり、市として可能な対策をすすめる意欲を掘り起こし、中小企業支援の出発点となりました。この悉皆調査によって、製造業では、賃加工の事業所が全体の4割を占めるものの、独自技術をもっている事業所が1700社、最終製品製造しているのが2600社程であることがわかり、販路拡大・営業支援と技術支援で新たな試みを進めています。そして、全事業所の技術や製品の情報をデーターベース化し、市内企業の技術力を全国にPRするための「技術交流プラザ」というホームページを開設しました。 本区でも、地域振興協会のホームページのなかに「製造業受注発注情報データベースシステム」をつくり、インターネットで検索できるようになっています。各業種に分類して、現在520社が登録されています。月に約290件のアクセスがあると伺いました。 東大阪の「技術交流プラザ」は月に5倍以上の15000件のアクセスです。どこに違いがあるのでしょうか。 ひとつは、東大阪ではこの全国の企業が「技術交流プラザ」にアクセスしてもらうために、大企業へのダイレクトメール、説明パンフレットの配付、各地で行われる見本市での営業、企業訪問など市職員・臨時雇用もふくめて、民間で行われている以上の営業努力をしていることです。 また、一件づつ丹念に歩いて取得した中小企業の情報だけに、本区のデータベースとは量的にも質的にも大きな格差があります。 販路拡大のために、実施されたもう一つの施策は、「メイド・イン・東大阪」としてものづくりのまち東大阪のイメージアップの運動を展開していることです。 悉皆調査によって自社ブランドをもつ企業が1100以上あることも分かり、全国に発信する技術力の高さを行政がつかんだわけです。 本区でも、悉皆調査を行い、本格的なデーターベース化を行い、インターネットによる販路拡大につなげて行くべきと思うがどうか。 もう一つは、技術支援の問題です。東大阪市は、市立の産業技術支援センターにおいて、ものづくり開発に力を入れています。ものづくり開発に役立つ施策について1,500社へのアンケート実施、技術支援の出前あっせんの実施、異業種による横請け制度、ものづくり研究会への支援、夜間におけるものづくり大学の開講など積極的に展開してます。 本区では、城東地域中小企業振興センターがあり、連携もされてはいるが、よりこの施設が夜間利用など有効に活用できるように、都との協議のもと、体制を整え、東大阪でのものづくり施策などの取り組み生かして行くべきと思うがどうか。 第2に、融資制度の改善です。 昨年、本区は秋季と年末に特別不況対策資金融資を行いました。しかし、信用保証協会の保証が得られなかったり、取り下げとなった事例も100件をこえています。 そこで江戸川区は、信用保証協会の保証をえられなかった企業に区が損失保証をする条件で金融機関に再度斡旋する制度をもうけています。 融資の実施にあたっては、江戸川区のように、信用保証協会の保証を得られなかった企業には区の損失保証を条件に金融機関に再斡旋する“特別スキーム”を設けてはどうか。また、昨年の秋季特別不況対策資金融資制度に続いて、本年度も速やかに実施すべきとおもうがどうか。 第3に、東京都の工場集積活性化事業助成の継続を求めることです。 本区では、この制度を活用をして、新製品技術開発助成、「地域新分野進出」や「地域ネットワーク形成」など、本区の中小企業対策に一定の成果をもたらしてきました。 工業集積地域の面的な連携、各種事業の推進は、今後、ますます重要になっています。 ところが、都は、平成13年度をもって同事業を打ち切ってきました。都に対して制度の継続、延長を求めるべきと思うがどうか。 次に、大型店舗の出店から区内商店街を守る問題についてであります。 長引く不況に加え、1999年に大店法が廃止されてから、新たな大規模小売店舗の進出ラッシュと、24時間営業や出店時間の延長の野放しで、地元商店は大打撃をうけています。その結果、本区でもこの10年で大型店は100店余り増加する一方、小売店は、約1000店も減少しました。 こうした時、日本板紙のホームページによれば、亀有3丁目の亀有工場の葛飾区分の敷地49586u(約15000坪)をイトーヨーカ堂に譲渡するというのであります。今でも、亀有駅周辺の商店街は、深刻な事態においこまれていますが、新たなイトーヨーカドーの出店はさらに深刻な事態に導くものであります。 区長、大型店の出店によって、区内商店が疲弊している実態のなかで、区内商店街を守るために、かって、葛飾区が行った「大型店の進出の凍結宣言」を行って、歯止めをかけるべきと思いますが、いかがでしょうか。 また、日本板紙亀有工場跡地へのイトーヨーカ堂進出は大きな影響となるものだと思います。区はその進出計画と周辺商店街への影響等について区はどのような認識でいるのか伺います。 さて、青戸3丁目のドン・キホーテが、住民との調整が不十分なままこの6月開店する予定です。行政として主導的な役割を発揮すべき時です。 神奈川県と横浜市は、注目すべき取り組みを実施しています。 それは、ドン・キホーテの出店による周辺環境を守るために、深夜営業の大型小売店の駐車車 両などの騒音を全国で初めて規制条例をつくったのであります。 ドン・キホーテ新横浜店は午前5時までの営業となっていますが、駐車場の一つを午後11時までに規制するというものです。これは、「騒音規制法にもとづく指定地域内の自動車騒音の限度を定める命令の区域」という県条例に基づく規制を実施したもので、店周辺の騒音が睡眠を妨害される程度(60デシベル以上が1時間に6分以上)となったときに命令できるという規制です。本区でも検討し、実行すべきと思うがどうか。 これは、一例であり、特定商業施設の出店に際し説明会や協定の締結の義務付け、違反した場合出店の延期や営業停止などをもりこんだ杉並区の条例も参考にし、新たにまちづくり条例を制定するべきと思うがどうか。 また、大型店の進出は、生活環境や中小企業の保護のため、大型店の出店を自治体の認可制とする法律改正を国に求めるべきと思うがどうか。 最後に、商店街振興策について伺います. 今、商店街は、深刻な不況のなかで、生き残りをかけて新しい模索が行われています。 墨田区では、商店街活性化のため、個別商店の経営改善を支援する専門家チーム「魅力ある個店づくり応援隊」を発足し、中小企業診断士や建築家等の専門家に加え、区職員、消費者代表が店づくりの改善策を進めています。本区でも、研究し取り入れてはどうか。 また、商店街の法人化促進の対策も大事です。 世田谷区では、設立にむけての経費だけでなくイベントヘの補助を含め3年の補助事業を行っています。本区でも、この補助事業の改善、充実に努めるべきと思うがどうか。 |
中村議員の一般質問に対する答弁 |
区長、部長答弁 中村しんご議員のご質問にお答えをいたします。 まず、有事法制についてでございます。 一般論として言うなら、国民の安全に関わる問題は国の基本的な責務であります。テロや国際紛争等が多発する今日、国民の安全を守る、安全を図る制度を考えることは国会の行為として必要なことだと思います。 ただし、今の国会での審議状況について、全国知事会が、国民や自治体の不安に十分注意して、議論を尽くすべきであるという趣旨の意見を出しておりまして、これには私も同感でございます。多くの国民や自治体が、納得できるような国会での審議が行われることを切望しているところでございます。 官房長官の発言については、発言の真意がはっきり把握できませんので、見解を明らかにすべきではないと考えております。 つづきまして、第二次経営改革宣言で言う経営的視点の導入をやめるべきだという質問にお答えをいたします。 財政状況の好転が見込めない現時点において、既存の事務事業を継続したまま、変化し多様化する区民要望に応えていくことは、物理的に不可能でございまして、どうしても施策なり事務事業なりに優先順位をつけて、取捨選択をせざるを得ないものと考えております。その際の基準の第一は、区民の視点から見てその区民サービスが納得のいくものか否かということになろうかと存じます。 それを具体的にいうならば、その区民サービスについて、区民にもたらしている成果がそれに要する費用に見合っているかどうかを区民に公表して、区民の納得が得られるかどうかを基準とするということでございます。 経営的視点の導入というのは、こういうことを意味している訳でございまして、これは、区民の信託の下に、区民の貴重な税金を使って、区政を運営していく以上、当然のことであると考えているわけでございます。 次に、公私協働の名で公的責任を放棄する云々というご質問でございます。 従前からお答えをしておりますけれども、公私協働の仕組みづくりというのは、公的責任の放棄ということではございません。 住民自治の理念からしても、また、住民の公的活動への関心の高まりや参加意欲の高まり、更には民にできることは民にという規制緩和の潮流をも踏まえて、私企業を含めて公私協働を進めていくことが望ましい姿であるということから、このような考えを打ち出したものでございます。このような考え方に基づいて、公私の役割分担を見直して、自助・共助・公助のまちづくりを進めてまいりたいと考えているところでございます。 その他のご質問について、教育長、及び、所管の部長から答弁いたさせます。 教育長 少人数学級への教員配置など教育条件に関するご質問にお答えいたします。 本年度より実施されました新教育課程では、こどもたち、ひとり一人に基礎的基本的内容を確実に身につけさせることが求められております。そして、指導方法の工夫として学習集団を少人数にておこなう少人数指導や、習熟度に応じた指導など、個におうじた指導が大切であります。現在、本区では少人数指導の教員配置を19校、ティームティーチングによる教員配置を35校で実施し、学習方法の工夫をおこなっております。 一方たびたびご質問されております区独自の教員採用につきましては、財政上の問題に加え、任用上、および身分上の法的位置付けの問題等などあり現時点では難しいと考えております。今後とも東京都教育委員会にたいして少人数指導などの教員の加配を要望してまいりたいと考えております。以上です。 学校教育部長 保田養護学校についての御質問にお答えいたします。保田養護学校の在籍児童数はこの数年、定員80名に対しまして、20?30名台で推移しているところでございます。このような状況をうけ、昨年、教育委員会事務局内に保田養護学校のあり方検討委員会を設置し、そのあり方について検討してまいりました。この検討結果につきましては文教委員会に報告したところでございますが、この報告を踏まえ、現在、教育委員会で一定の結論をだすべく検討をしているところでございます。 次に、学校選択制についてお答えいたします。学校選択制につきましては昨年、小学校、中学校のPTA の代表の方をはじめ、自治町会、青少年委員の代表の方がたからなる懇談会を設置し、広くご意見をうかがってきたところでございます。その報告や、文教委員会のご審議などを踏まえ、教育委員会として選択制を導入することといたしました。学校選択制は保護者などの教育への関心を高めるとともに、学校教育の活性化さらには、学校と地域との連携にも資するものと考えております。また、多くの保護者からは選択の幅を広げるよう強い希望や意見が出されており、学校選択制の導入がそれに答えていくものと考えております。 福祉サービスセンター所長 ケースワーカーについての御質問にお答えいたします。 まず、法定数配置のご指摘ですが、従来、生活保護は機関委任事務で、ケースワーカーひとり当りの受け持ち件数は80世帯が法定数となっておりましたが、地方分権の流れをうけて、平成12年度からは、法定受託事務となり80世帯は標準数へと改正されております。したがいましてその持ち件数については、自治体の判断にゆだねられております。経営改革をすすめる中でケースワーカーのあり方についても、法の目的とする適正保護と自立助長のための支援はどうあるべきか、本来業務のガイドラインの策定などを含め、いっそうの簡素効率化に向けた見直しに取り組んでいきたいと考えております。 次に、民生委員に業務を肩代わりさせるべきではないとの御指摘ですが、現在、各民生委員さんには、高齢世帯等を中心に生活状況の把握や安否確認などの結果を情報として御提供していただいておりますが、これは、福祉事務所の協力機関として民生委員との連携を強める意味からからお願いしているもので、けしてケースワーク業務の肩代わりをさせているものではございません。 以上でございます。 地域振興部長 集会所の有料化についての御質問にお答えいたします。集会所は趣味の団体や自治町会等のさまざまな団体に活発に御利用いただき、年々利用者が増加しているところであります。使用料につきましては、平成12年度の当番制度の廃止や、利用できる対象者の範囲を拡大する見直しに合わせて、地区センター内の集会所について、登録団体以外の団体および個人の利用も有料で利用可能とする見直しをおこないました。 登録団体については、現在のところ無料で御利用いただいておりますが、今後は施設の適正な維持管理と負担の公平性の観点からも有料化についての検討を進めて参りたいと考えております。 次に、中小企業振興策についてお答えいたします。本区では工業振興会議や受発注情報交換会等を通じ、つねに新しい情報を収集し区内事業所の実態把握につとめ、その結果をできるかぎり施策に反映しているところでございます。また製造業のデータベース化につきましては、すでに530企業の登録を受け、全国から多くのアクセスをいただいているとろでございます。今後、登録企業をさらに増やし、インターネットによる販路拡大をはかってまいりたいと考えております。 なお、区内企業の悉皆調査につきましては今後検討してまいりたいと存じます。 次に、城東地域中小企業振興センターと連携し物づくり施策に取り組んでいくべきとの御質問にお答えいたします。 御指摘の夜間利用につきましては、すでに一昨年の9月から企業のみなさまに、城東地域中小企業振興センターをいっそう活用していただくため夜間開放を実施しているところでございます。また、今後も都と協議しながら、さらに連携体制を整え、区内企業に活用される、物づくり施策の推進につとめたいと考えております。 次に都にたいして工業集積活性化支援事業の継続、延長を求めるべきとの御質問にお答えいたします。 本事業につきましては平成13年度をもちまして終了したところでございますが、この間、新製品、新技術開発助成、ISO認証取得支援等新規事業を実施することができ区内企業のかたがたから評価を得ることができました。都にたいしましては、これにかわる新たな事業を早期に実施するよう強く要望しているところであります。 次に、特別不況対策資金融資を実施していくべきとの御質問にお答えいたします。 本区の平成14年度中小企業融資につきましては、昨年度にひき続き、本人利子負担、0.7%の不況対策緊急融資を継続し、同枠の中に新たに融資限度額400万円を750万円に拡大し、複数の融資返済を一本化し、返済期限の延長と返済額の均等化がはかれる借り換え融資制度を新設したところでございます。 特別不況対策資金融資につきましては景気の動向や区内企業の資金需要の状況を敏感に見きわめ、適切に対応してまいりたいと考えておりますが、現在は実施の時期ではないと考えております。 なお、江戸川区が行っている信用保証協会の保証が得られなかった融資にたいし区が金融機関に融資を斡旋し区の予算から直接損失保証する制度につきましては、リスクに対する対応策の確立等多くの課題がありますので実施する考えはございません。 次に、大型店の進出の凍結宣言に対する御質問でございますが、昭和55年当時、区内各地の地元商店街の要請を踏まえ区議会のみなさまが議員提案のかたちで議決し、昭和55年から昭和60年までの間、大型店進出凍結宣言を行ったものでありますが、その後現在事業調整を目的とした大店法が平成12年5月31日に廃止され騒音や廃棄物、駐輪場、駐車場対策といった周辺の環境の保持を目的とした大規模小売店舗立地法が平成12年6月1日に施行されたところでございます。 法律の趣旨といたしましては、商業調整ではなく、地域の環境保持を目的としたものとなりました。 こうした状況を踏まえ本区といたしましては、区内の商店街が大型店と対抗できるようにイベント事業の助成や区内商店街が一丸となって取り組む共通買い物券事業への助成など大型店にまけない事業商店街づくりに側面から支援しているところでございます。また、いくつかの商店街においては、既存の大型店と連携し、地域商店街の活性化を図っているところもございます。こうした社会の変化を考えますと、現時点での大型店の進出の凍結宣言は困難と考えております。 次に、日本板紙亀有工場跡地へのイトーヨーカ堂進出計画についてお答えいたします。日本板紙亀有工場敷地の売却につきましては、平成14年5月16日、全体の7万9000平方メートルのうち約4万9000平方メートルの土地の譲渡契約がイトーヨーカ堂との間で締結され、平成16年9月末までに敷地の明け渡しが行われる予定と聞いているところでございます。 これまでのところ、こうした状況について地元商店街に逐次情報提供をしているところであります。今後、具体的な店舗の配置計画等が明らかにされた段階で、その影響や対策について、地元商店街と一緒に検討を進め、その対応を考えてまいりたいと存じます。 次に、大型店出店に伴う周辺環境への影響を最小限に食い止める新たなまちづくり条例を制定すべきではないかとの御質問にお答えいたします。大規模小売店舗立地法は、先ほども申し上げましたとおり、周辺環境の保持を目的に設置されており、対象施設について、この法令の趣旨に基づき東京都ともに指導しております。 本区では、大店立地法の対象とならない500平米から1000平方メートル未満の施設につきましても、大店立地法の趣旨と同様の目的で葛飾区特定商業施設の立地に関する要綱も設置し、国の指針を準用するとともに、都ならびに区の条例を基準に良好な周辺環境を保持するよう指導しているころでございます。今後とも、この要綱を適切に運用してまいりたいと考えております。 なお、大型店に関する国への要請は考えておりません。 また、墨田区で取り組んでいる個店への応援事業につきましては、商店経営者のご意見をお聞きしながら、今後研究をしてまいりたいと考えております。 次に、法人設立経費の補助事業についての御質問にお答えいたします。 本区では、法人設立時、経費の2分の1の補助のほか、法人商店街で実施するポイントカード事業については事業開始時の援助に加え、3年間にわたって経費の助成をする事業を開始したところでございます。 このほか法人、未法人に関わらず、全商店街を対象にイベント事業の補助等を実施し、商店街がにぎわいと活気を取り戻せる様支援をおこなっております。商店街の法人化促進のための法人設立関連の補助事業の改善につきましては今後の検討課題とさせていただきたいと考えております。 保健福祉部長 削減した福祉は元に戻すべきであるとの質問にお答えします。 施策の推進にあたりましては、地域での自立支援のための各種サービスの拡充を図る一方で、負担の公平にも配慮しながら、これまでの事業の達成状況や効果を基に施策を見直し、経済的給付事業から在宅サービスの充実へと資源の重点的配分を図ってきました。 今後とも、このような考え方のもとに福祉施策の推進に努めてまいりますので、元に戻す考えはございません。 次に、介護保険利用者負担の軽減及び保険料の減免についてお答えいたします。 利用者負担の軽減につきましては、すでに負担額が高額にならないよう、世帯の所得に応じて負担上限額が設定され、これを超えた場合は高額介護サービス費が支給されるなど、利用者負担の軽減が実施されておりますので、区独自に軽減を実廃する考えはございません。 また、生計困難者に対する利用者負担軽減事業は、都の補助事業を活用した事業であり、区独自の上乗せ等を行う考えはございません。保険料の減免につきましては、所得により5段階に設定されており、低所得者の負担軽減が図られておりますので、高齢者の介護を社会全体で支えるという介護保険制度の趣旨から、区独自に減免を行う考えはございません。 なお、利用者負担軽減等につきましては、平成17年度の介護保険制度の見直しをす るなかで検討されるべきものと考えております。 次に、特別養護老人ホーム及び介護老人保健施設の整備についてお答えいたします。 特別養護老人ホームにつきましては、介護保険事業計画に基づき順調に整備が進んでいるところでございますが、要介護1の方から入所申し込みができるため、入所を希望される方が待機している状況もございます。そのため、国においては要介護度の重い方や緊急性が高い方が、必要なときに入所できるよう運営基準の見直しが検討されており、特養等の整備につきましては、こうした動向も踏まえて、次期計画に適切に位置付けてまいりたいと考えております。 なお、施設整備につきましては、社会福祉法人等の民間事業者を支援する方向でこれまでも整備を進めており、区が直接整備することは考えておりません。 次に、訪問介護、訪問リハビリに関するご質問にお答えいたします。 介護保険制度も順調に推移しておりまして、利用者への多様なサービスが提供される体制が整ってきております。今後の行政の役割は、利用者の権利擁護や福祉サービスの質の確保等でありますので、区自らが事業者となって様々なサービスを提供することは考えておりません。 なお、社会福祉協議会の訪問介護事業からの撤退につきましては、制度の円滑導入という所期の目的を達したという、当協議会の判断を尊重しなければならないと考えております。 次に、介獲保険制度の周知についてお答えいたします。 介護保険制度の趣旨普及といたしましては、これまでも、パンフレットを65歳以上の方全員に配布したほか、広報紙や区ホームページヘの掲載、説明会の開催等を行ってまいりました。 今後も介護保険制度の周知に努めてまいりたいと考えております。 次に、障害者控除につきましてお答えいたします。 本区におきましては、昭和45年の東京都判定表に基づき特別障害者控除、障害者控除の認定を行ってまいりました。 今後とも、都の判定表に従い認定してまいる所存です。なお、控除制度の周知につきましては、パンフレット「介護保険と高齢者保健福祉サービスのご案内」に記載し周知を図っているところで、今後とも区民への周知に努めてまいります。 最後に、介護保険事業の介護報酬の引き上げ及び支給限度額の拡大を求めていくべきとのご意見についてお答えいたします。 介護報酬の改定及び支給限度額のあり方につきましては、現在、国の社会保障審議会介護給付費分科会におきまして、検討が進められているところでございまして、区としましては、その検討状況を見守ってまいりたいと考えております。 子育て支援部長 公立保育所や学童保育クラブの増設を行うべきであるという質問にお答えいたします。 本区における認可保育園の待機児童は、主に年齢や地域のミスマッチから生じております。こうした状況を踏まえれば、待機児の解消は、既存施設の有効活用を図るべきであり、現時点において、区立保育園の増設は考えておりません。 また、学童保育クラブにつきましては、近隣調整等も踏まえた上で、真に必要な地域に対応してまいりたいと考えております? なお、設置及び運営につきましては、区立に限定することなく、社会福祉法人等多様なサービス供給主体を視野に入れ、適切に対応してまいりたいと考えております。 以上でございます。 建設部長 公園、児童遊園の清掃・管理は区が責任を持って行い、その上で区民の協力を得るべきであるとのご質問にお答えします。 公園、児童遊園につきましては、年60回から80回ほど清掃を行っております。区では、公園を快適にご利用いただけるよう、ごみの持ち帰り運動を推進するとともに、公園によってはごみ箱を撤去するなどの措置を行っております。また、職員が巡回時に点検し、ごみの除去などの美化に努めております。 このように、区としても、公園の美化に努めているところでありますが、公園の清掃・管理には、何よりも利用者の協力が不可欠です。このため、公園を地域で愛着を持って管理いただけるよう自主管理制度を設け、現在33カ所の公園で実雄していただいております。 公園の自主管理につきましては、今後とも各種地域団体に、制度の説明とともに協力要請や働きかけを一層行ってまいりたいと考えております。 以上でございます。 総務部長 成果主義、成績主義と競争主義についてお答えいたします。 第二次経営改革宣言が目指す新たな公共経営を実現し、区民に提供するサービスを一層向上させていくためには、組織的に職員の職務遂行能力を向上させていくことはもちろんのこと、職員の意識改革を促し、職務に対する使命感や勤労意欲を向上させていくことが重要です。 そのための方法の一つに、職員の能力、業績を的確に把握の上、それを処遇に適切に反映させる成績主義を重視した人事・給与制度があります。この制度は、既に民間企業においては取り組みが進み、成果を上げていると聞いております。職員の能力開発、人材育成の点で、公務部門も何ら民間企業と区別する必要はないと考えております。 また、各職員が目標を持って職務への意欲や積極性を自発的に高める制度であり、ご指摘の職員間の競争をあおるというようなことはございません。 今後、職員の成績主義を重視した人事制度の改善を進めていくことが住民サービスの向上につながるものと考えております。 以上です。 政策経営部長 自動交付機による証明書発行等についてお答えいたします。 自動交付機につきましては、現在設置をする方向で検討を進めているところですが、セキュリティーにつきましては、磁気カード方式をはじめ多種多様なガード方法がございますので、制度面、技術面、運用面において安全性の確保に努めるべく検討を進めてまいります。 また、本機器による証明書発行の種類についても、今後の検討課題であります。さらに、設置場所につきましても、今後の検討課題として検討してまいります。 次に、パブリックコメント制度についてお答えいたします。 区政の運営に当たりましては、これまでも区民の意見に真撃に耳を傾けて実施してまいったところでございます。 今後は、さらに区政の透明性、公開性を向上させるとともに、区民に対して説明責任を果たしていくことが重要と認識しております。 そこで、区の重要な施策に関する計画等の立案の過程において、広く区民の意見等を求め、寄せられた意見等を考慮して意思決定を行うとともに、区の考え方を寄せられた意見等とあわせて公表する、いわゆるパブリックコメント制度について具体的に検討してまいりたいと考えております。 以上でございます。 環境部長 深夜営業の大型小売店の騒音規制条例についてのご質問にお答えします。 昨年4月に施行された都民の健康と安全を確保す?る環境に関する条例は、売り場面積250平方メートル以上の小売店が、住居系地域及びこれに隣接する区域で午後11時から翌日の午前6時までの深夜に営業する際の騒音の規制基準等を設け営業の制限をしております。 また、同条例は、住居系以外の用途地域における深夜の騒音についても、騒音規制法が定める規制基準の下限値を規制基準として規制しておりますので、区が同条例にかわる騒音の規制条例を設ける必要はないと考えております。 ・ 以上でございます。 |