●第4回定例会 三小田議員の一般質問 2002.11 |
【目次】 1、介護保険について 2、支援費制度について 【答弁】 私は、先に通告した順序にしたがい、まず介護保険から質問を行ないます。 いま、来年4月の制度見直しに向けて作業がすすめられ、すでに「第2期介護保険事業計画中間まとめ」も出されていますが、改めて改善と提案をしたいと思います。 まず、介護保険料の問題です。 引き続き保険料負担の解消は焦眉の課題であります。すでに今年9月の時点で431自治体が介護保険料の独自減免を行ない、23区でも、14区が軽減策を実施しています。 しかし、本区はこれを頑に拒否し、来年度は、「中間まとめ」によりますと、月額基準保険料を一気に495円もアップして3,538円という推計を出しています。 減免制度もつくらず保険料の値上げをしたら、新たな滞納者がさらに増えるだけであります。 折しも、この深刻な不況の中で、医療の改悪による負担増、年金の切り下げ、そして老人福祉手当の廃止など、高齢者には経済的負担はかつてなく強まっている時です。 他の自治体のように、直ちに、介護保険料の減免制度をつくることを先ず要求するものであります。 さて、区長は本日の冒頭のあいさつの中で、与党3会派からの要請で、介護保険料の設定を6段階にして値上げ幅を抑えると述べられました。区長は、日本共産党が前から提案しているのはご記憶にないのでしょうか。9月18日の本会議でわが党の野島議員がこの問題を提案し、区長は「保険料の6段階設定につきましては、議会や介護保険事業審議会のご意見を踏まえて検討していきたい」と答弁したのです。 10月25日にもわが党議員団が来年度の予算要望で区長に提出した時も、私が同席していましたから知っていますが、区長は、「良く読ませていただき、参考にさせていただきます」と言ったではありませんか。 いずれにしても、頑強にやらないと言っていた保険料軽減が、一歩一歩切り開かれて、区民の切実な要望が実現して行くことは、感慨深く、また大変嬉しいものであります。 そこで、区長に新たな提案をしたいと思います。今回、折角、6段階に区分したのですから、もう一歩前に進んで、その6段階をさらに細分化することで、低所得者の保険料減額をより進めるべきだと言うことです。 足立区などで負担の軽減策を図っています。介護給付費準備基金を取り崩して、基準保険料を引き下げるべきと思うがどうか。そして、6段階に分けた区分をさらに細分化し、区の裁量で保険料率を高額所得者にウエイトを置いて、低所得者に対する保険料を軽減すべきと思いますがどうでしょうか。 次に利用料の問題です。 利用料減免も切実であり、すでに、自治体総数の4分の1に当たる825の自治体に及んでいます。 「中間まとめ」でも、認定を受けながら、「2割近くの高齢者がサービスをまだ受けていない」ことが明らかになっており、その大きな理由は、10%の利用料の負担です。 先日、86才の父親と同居している58才の男性の相談を受けました。父親が脳硬塞で倒れ、歩行や言葉が不自由な為、自宅でリハビリが必要だが、利用料の負担が心配だというのです。 東京武蔵野市では、独自予算を組んで本人利用料負担を3%にし、所得制限なしで実施しています。多くの市民から歓迎され、訪問介護でも通所介護でも、通所リハビリでも利用率が、全国平均よりも10%アップしたとのことであります。 介護利用料の減免は、低すぎる都の制度の対象基準を大幅に拡大して、減免が受けられるように改善すべきですがいかがでしょうか。 3つ目は、基盤整備の問題です。 社会福祉協議会の訪問介護は、区民から「安心して頼める」と評判であります。ところが、今年、区は、社協に派遣していた常勤のホームヘルパー21人を引き上げ、ふれあいヘルパーも71名も減らしました。利用者からも「引き上げないで欲しい」という声となりましたが、区は強行しました。 しかし、利用者は10月段階でも134人もおり、予算が足らなくなり、この11月社協は約3千万円余の補正予算を組みました。 そうした状態なのに、今年度末には、残りの常勤ヘルパー9人とふれあいヘルパー65人をなくすというのです。利用者もヘルパーも路頭に迷うのではありませんか。 社協に派遣されている常勤ヘルパーやふれあいヘルパーの引き上げは直ちに中止して、必要な人的配置を行ない、引き続き訪問介護サービスが出来るようにすべきです。答弁を求めます。 最後は、老人福祉法の考え方についてです。 介護保険法と老人福祉法は、車の両輪でありますが、今、区が進めようとしている改革方針は、逆行したものであります。 高齢者団体バス助成は廃止を打ち出していますが、老人福祉法13条の1は、高齢者がレクリエーション事業などに「積極的に参加することができるように努めなければならない」と、定めています。 また、高齢者クラブへの助成も「7割程度に削減する」としていますが、同法13条2の規定は、「援助をするように努めなければならない」となっているのであります。 ところが、シニア活動と称して、「社会奉仕活動や地域福祉活動」をすれば「活動助成を増額及び新設」して高齢者を誘導するというのです。 しかし、社会奉仕活動とか地域福祉活動というのは、自主的・自覚的なものであり、お金を出すからと誘導するものではありません。 しかも、2001年8月の区の世論調査を見てもわかるように、年齢が高くなるにつれて、ボランテアの参加意欲は下がるのであります。高齢者クラブへの助成は削っておいて、ボランテア活動などを行なえば助成の増額や新設をするからと誘導する。 推進すべき方向が違うのではないでしょうか。 区長、高齢者クラブの育成や高齢者団体へのバス助成こそ充実して、高齢者が健康でいきいき毎日を暮らせるように支援を継続すべきです。答弁を求めます。 次に支援費制度についてです。 障害者の支援費制度の実施が間近に迫ってきました。 わが党は、@行政責任の後退、A深刻なサービス不足、B利用者負担の増大などの問題点から支援費関連法案に反対しましたが、今日、この心配は残念ながら現実のものになっています。 その第一は、行政責任の後退の問題であります。 介護保険でもそうでしたが、障害者施策でも顕著になっています。 まず通所施設では、区立の水元そよかぜ園や福祉作業所の民営化、5つの障害者福祉館やグループホームの民間への移管であります。 在宅サービスでは、直営のホームヘルプサービス事業の廃止であります。 障害者の福祉サービスは、その殆どが人件費で占められています。支援費制度の狙いは、市場原理の導入を理由にして、選択と競争により、安上がりの福祉路線に導こうというものであります。 その最大の狙いがこの人件費の削減であり、全てのサービス主体を民営化にしようというものであります。この方向は、当然のことながら、障害者福祉の著しい後退につながるものであります。 水元そよかぜ園の場合はどうでしょうか。現在、利用人員48人ですが、利用者3人に1人の職員配置で正規の指導員として19名が配置されています。 これが民営化になったらどうなるのかであります。当面の間は、激変緩和措置を設けて人員配置での多少のプラスをするのでしょうが、しかし、早晩は国基準による配置基準となるでありましょう。そうなればこれまでの利用者3人に1人の職員配置基準が、利用者7.5人に1人の職員配置となり、19名の正規指導員から6.4人と3分の1に大幅な減になるものであります。 しかも、今春の厚生労働省による基準改悪によって、1名以上の常勤者がいれば良いと言うのですから、常勤1名以外は、パート、アルバイトという事態になりかねないものであります。 これは、障害者福祉館も同じことが言えます。 区立の福祉作業所はどうなるのか。法内化の施設にするために定員70名を45名に削減し、整備をはかって民営化するというのであります。しかし、現在の定員を減らさず、法内化を進めるには、隣接地を取得すれば可能ではないでしょうか。 むしろ定員を減らすということになれば、慣れ親しんだ作業所や仲間と離ればなれになってしまいます。現在70名の障害者で、公園清掃をはじめ、自転車リサイクルなどの作業をこなし、作業工賃は月平均18,000円になっているそうですが、定員を削減すれば、この工賃も維持できなくなるのではありませんか。 また、グループホーム4カ所の内2カ所を民間に移管しようとしています。現在、この2カ所への家賃補助も含めた委託費は約1,459万円であります。これが支援費で国の基準になりますと、一気に半分以下の約710万円となります。 移管された民間法人はいくら経営努力しても運営は、困難になるでしょう。結局ここでも人件費の安いパートやアルバイトに切り替える、利用者の使用料を値上げする。これでは、サービスの後退となることは明らかではないでしょうか。 今日、東京都が公私間格差是正の人件費補助を全廃しようとしているもとで、民営化は顕著なサービス後退となりかねないものであります。 東京の障害者福祉は、革新都政のもとでの障害児全員就学にはじまり、障害者の生活と権利を守る制度が前進してきたものです。 水元そよかぜ園、福祉作業所の民営化、障害者福祉館の安易な移管は行なうべきではありません。また、直営のホームヘルプサービス事業は、継続すべきです。 答弁を求めます。 第二は、利用者の負担の問題です。 厚生労働省は、ようやく9月12日に支援費単価案を発表しました。しかし、制度の内容が知れわたるにつれて、障害者や家族、施設関係者のなかに不安と混乱が広がっているのが実情です。 例えば、ガイドヘルパーについて言いますと、現在この制度は、本人の所得に応じて利用者負担になっています。利用料が高い方でも1時間当たり370円ですが、大多数の方は無料であります。 ところが支援費制度が始まると、本人の所得ではなく、「同一世帯・同一生計にある配偶者及び子のうち最多納税者」の所得に応じた利用料になるため、有料になる方が増えることが予想されます。これは、他のサービスも同様のことが言えるものです。 少なくともこれまでの利用者負担を上回らないように、区としての手だてを講じるべきですがいかがですか。 第三は、サービス支給量の問題です。 支援費制度は、区のパンフレットによりますと、「障害をもつ人が身近な地域で自分に合ったサービスを選択し、利用できることをめざします」としています。 しかし、障害者自らがサービスを選択し、契約して利用するほどのサービスがあるのかということです。 作業所で働きたいと思っていても、どこも定員オーバー、知的更正通所施設も満杯、親なき後の障害者の生活の砦となる生活寮も全く不足状態、ショートステイなど全て必要なサービスが受けられない事態ではありませんか。 区のパンフレットには、「サービスを提供する事業者は利用者に選ばれることで、事業者間に競い合いが生まれ、サービスの質の向上が期待されます」と述べています。 これは、本当でしょうか。 選べるだけのサービスがあれば競争ということも考えられますが、選べるだけのサービスがないまま市場原理に突入したらどうなるでしょうか。まさに、事業者の都合でサービスが展開されることにつながり、「選択」されるのは逆に障害者である利用者ということになってしまうではありませんか。 平成12年に策定した「葛飾区障害者施策推進計画」は早期達成させ、通所施設やグループホームなどの施設の建設をすすめるべきですが、いかがでしょうか。 最後に、支援費制度を、障害者が安心して利用できるように改善するために、区の障害福祉予算を増額することはもちろん、国の障害者予算の大幅増額を求めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。 以上で、私の質問を終わりますが、答弁いかんによりましては再質問をいたします。 |
三小田議員の一般質問に対する答弁 |
(区長答弁) 三小田議員の支援費制度についてのご質問にお答えいたします。 社会福祉基礎構造改革の一環として、平成15年4月から支援費制度が導入されます。 支援費制度では、障害をもつ人が身近な地域で自分に合ったサービスを選択し、利用できることを目指しております。このため、従来の画一的なサービスから利用者の多様なニーズに応えられるサービスへと転換を図る必要がありまして、民間事業主体の参入は不可欠であると考えております。 これまで区は、措置制度のもとで、通所施設を運営し、事業者としてサービスを直接提供して参りましたが、支援費制度をその理念に沿って円滑に運営していくためには、区の役割も当然変わらなければならないと考えております。今後は、相談・サービスの斡旋、権利擁護などの利用者への支援や事業者の育成、指導、参入の促進や事業評価などに重点を移していくべきであると考えております。 そこで、区立障害者通所施設につきましては、「行政評価結果に基づく事務事業改革方針」でもお示しいたしましたとおり管理運営を社会福祉法人などの民間事業者へ移管し、同じ経営基盤の下で、競い合いを促し、サービスの多様化と、質の向上を目指すことが適当であると考えております。 また、ホームヘルプサービスについては、民間事業者の供給量が十分に確保されておりますので、介護保険と同様に、区は事業者の指定を受けない方針でございます。 次に、利用者負担についてでありますが、支援費制度では、負担能力に応じて、利用者本人又は主たる扶養義務者が利用料を負担する仕組みとなっておりますので、今後、区といたしましては、国が示す基準表に基づいて、利用者負担額を定めて参ることになります。 次に、「葛飾区障害者施策推進計画」の早期達成につきましては、東堀切くすのき園の開設、障害者福祉館の法内化、民間法人が行う授産施設への助成等、障害者福祉施設の整備を進めるとともに、現在、区の障害者施策の拠点とも言うべき(仮称)地域福祉・障害者センターの整備に着手するなど、この計画を着実に実現をしてきたところです。 なお、厳しい財政状況ではございますが、障害者、障害を持つ方々が地域で安心して生活できるよう、国や都の補助制度も有効に活用するとともに、その施策の動向を見据えながら、障害者施策を一層充実させて参りたいと考えております。その他の御質問につきましては、保健福祉部長から答弁いたさせます。 (保健福祉部長) 介護保険給付費準備基金の取り崩し、介護保険料の6段階区分の細分化等についてのご質問にお答えいたします。 区長が冒頭のご挨拶でも申し上げましたとおり、介護保険料の改定に関しまして、自民、公明、及び民主・自由・区民連合の3会派から、6段階設定等の強い要請をいただいております。 区といたしましては、こうした状況から、保険料率の高い第6段楷を新たに設定することで、低所得者の保険料の引き上げ幅を低く抑えてまいります。さらに、基準保険料の引き上げ幅を11%前後に抑えるため、基金の一部を活用してまいりたいと考えております。 また、これまでも申し上げてまいりましたとおり、介護保険制度の趣旨によらない区独自の保険料の減免を行うことは適当ではないものと考えております。 次に、介護利用料の減免についてお答えいたします。 利用料につきましては、すでに負担額が高額にならないよう、世帯の所得に応じて負担上限額が設定され、これを超えた場合は高額介護サ?ビス費が支給されるなど、利用者負担の軽減が実施されておりますので区独自の利用料の減免を行う考えはございません。 次に、社会福祉協議会における訪問介護サービスの存続についてのご質問にお答えします。 これまでも再三お答えしてきましたとおり、訪問介護事業の廃止は、介護保険制度の円滑導入という所期の目的を達成したという判断から、社会福祉協議会が自ら決定したものであります。 従いまして、区として、存続のための支援をする考えはございません。 次に、高齢者クラブ助成などの見直しについてのご質問にお答えいたします。 高齢者クラブ助成、高齢者団体バス助成事業等につきましては、行政評価結果を受け、これらの事業開始当時に比べ大きく変化した社会状況に対応するため、廃止も含めた見直しを行なうものでございます。 こうた見直しは、高齢者がその知識と経験を活用して社会的活動に参加することにより、地域で敬愛され、生きがいを持って活躍できる地域社会の実現という老人福祉法の趣旨に合致するものであると考えております。 なお、はり・灸・マッサージにつきましては、運営方法などの見直しを行うことにより、より効果的に高齢者の健康増進を図ってまいりたいと考えております。以上でございます。 |