●三小田准一議員の予算反対討論 2003/3/27
【目次】
1、直面する緊急課題について
2、区民負担の増大について
3、大切な事業の打切り、縮小について
4、福祉施設の民営化・民間委託化について
5、住民参加や開かれた区政運営について
6、多額の費用を要する大型事業について


 日本共産党葛飾区議会議員団を代表して、2003年度一般会計、国民健康保険事業特別会計及び介護保険事業特別会計の各歳入歳出予算についての反対討論を行います。
 今、小泉内閣のもとで、日本経済は、重大な破たんに直面しています。
 完全失業率は過去最悪、企業倒産も相次ぎ、勤労者世帯の実収入も落ち込んでいます。その上、医療費3割負担、年金の支給額削減など、4兆円もの国民負担増や給付削減が実行されれば、さらにくらしと経済は、深刻な事態に陥ってしまいます。
 都政でも、都心での超高層ビル建設や高速道路をはじめとする大型幹線道路など
「都市再生」にかたよった税金投入を進めている一方、シルバーパスの有料化、マル福の段階的廃止、難病医療費助成など、医療・福祉制度を根本から崩し、都民生活を脅かしています。
 こうした時、もっとも身近な区政が区民のくらし・福祉を守る防波堤の役割を果たさなければなりません。
 2003年度予算案は、わが党が要求してきた、中小企業の悉皆調査実施、水元西部土地区画整理の中止、少人数教育を進めるための学習指導員の配置など重要な前進も含まれています。
 しかし、十分区民の要望に応えたものにはなっていません。
 わが党は、不要不急の事業を見直すことによって財源を生み出し、介護保険料・利用料の減免、小学校へのスクールカウンセラーの派遣や栄養職員の増員、商店街支援や住宅リフォーム助成などの中小企業対策など、区民要求を盛り込んだ修正案を提出しましたが、全く審議もせず多数で否決したことは、誠に遺憾であります。
 以下、当初予算についての反対理由を申し上げます。

 第一に、区民が直面する緊急課題に取り組んでいないことです。
 特別養護老人ホームは、待機者が660名を超えているのに、増設の計画は民間まかせで、その計画も不十分なものです。
 保育園や学童保育クラブも希望者が増えているのに、必要な増設を進めないために待機児が多数でています。
 不況で中小企業や商店の営業が大変になっているのに「不況対策本部」もつくらず、他区が行っている緊急不況融資の利率引き下げや条件緩和を行っていません。

 第二は、区民負担の増大を進めていることです。
 国民健康保険料は、所得の低い世帯ほど、値上げ率が高いという、最悪の値上げであり認められません。
 介護保険料は、保険料区分を6段階にして、低所得者に配慮したことは適切な措置と考えますが、基準額の値上げは認められません。基金の取り崩しを増額し、値上げをさらに押さえるべきです。
 子育ての費用負担を軽減すべき時に延長保育料の値上げも逆さまです。

 第三に、大切な事業の打切り、縮小が強行されたことです。
 区民に喜ばれていた伊豆高原保養所の廃止、ねたきり高齢者の命綱である老人福祉手当も全廃となりました。 
 高齢者クラブ助成カット、バス借上げ廃止、敬老祝い金削減など、高齢者への施策を切り捨てようとしています。
 慢性肝炎などの難病医療費助成の打切りも患者にとって堪え難い負担の押し付けとなります。
 小中学校の教材・物品購入費は、ピーク時1995年と比べると半減し、教育活動に支障をひき起こしています。
 区民世論調査では、プールへの期待は大変強いにもかかわらず、多額の費用をかけてまで公園プールを撤去し、廃止してしまうことは区民の願いに逆行するものです。
 非核平和都市宣言から20年の節目の年、しかもイラク戦争の最中、広島平和祈念式典の区民派遣を中止するのは、重大だといわなければなりません。

 第四に、福祉施設の民営化・民間委託化を強行しようとしていることです。
 中青戸保育園の民間委託は住民パワーによって阻止されましたが、引き続き、民営化をすすめようとしています。しかも、国や都の流れにそって、保育への民間営利企業の参入を促進しようとしています。
 学童保育クラブでは、すでに、営利企業の参入に道を開き、今後二年間で、単独学童保育クラブをすべて民営化・民間委託することは到底認められません。
 障害者分野でも支援費導入を機に、直営のホームヘルプサービスの撤退を決め、施設の民営化も進めようとしています。
 福祉施設の「第三者評価」の実施は、こうした福祉施設の民営化を促進するためのものであり認められません。真にサービス向上を目的とした区独自の評価方法を改める必要があります。

 第五に、住民参加や開かれた区政運営という点ついて問題があります。
 パブリックコメント制度と称して、区民の意見に耳を傾けるポーズをとりましたが、保育、児童館・学童保育、図書館問題などでは、区民の声が生かされたとは言えません。
 今後は、パブリックコメント制度の本来の趣旨にたって、区民の意見が本当に取り入れられ、住民参加を真に保証するためにの制度に育て上げなければなりません。
 また、プライバシー保護の観点から住民基本台帳ネットワークシステムに多くの区民が反対しているのに、国のいいなりで多額の支出をしていることは問題です。広域行政ネットワークシステムも同様です。
 ムダな同和予算を続けていることも問題であり、廃止すべきです。

 第六に、多額の費用を要する大型事業は聖域扱いという問題です。
 金町駅南口再開発や水元南部土地区画整理事業、都市計画道路建設は、今後、莫大な事業費を要することになり、2008年頃には歳出のピークをむかえることになります。
 ここにこそ、メスを入れる必要があります。
 ところが、区は、耐震補強・改修したばかりの葛飾図書館を30億円もかけて金町駅南口再開発ビルに移設するというのです。
 これは金町駅南口再開発が、多額の税金を投入して、公益施設を導入しなければ、事業採算がとれないことを示しています。採算が取れない再開発こそ根本から見直すべきです。
 水元南部土地区画整理事業は、多くの住民が疑問をもっています。区は7割が賛成していると言いますが、これは「全体の地区のことを考えれば区画整理が必要でしょうと、そういう場合には二番に丸をつけてください」とアンケートで誘導して作った7割であり、全く不当なものであり認められません。
 まちづくりは、さまざまな手法により、時間をかけて住民参加でだれもが納得できるものにすべきであります。

 以上、一般会計、国民健康保険事業特別会計及び介護保険事業特別会計の各歳入歳出予算には反対であります。
 なお、老人医療事業特別会計、用地特別会計及び駐車場事業特別会計の各歳入歳出予算は賛成します。
 以上をもちまして、反対討論を終わります。