●第1回定例会 野島英夫区議の一般質問 2004 |
【目次】 イトーヨーカドー新亀有店ショッピングセンターについて 【答弁】 【再質問】 次に、イトーヨーカドー新亀有店ショッピングセンターについて質問いたします。 この問題は、昨年の第四回定例会でわが党の同僚議員が質問しましたが、私は現在縦覧期間中の環境影響評価書案に関連をして質問をいたします。 この評価書案で昨年10月の計画書と大きく変わったところは、店鋪等の床面積が約9万1千平米から約7万2千平米に変更したこと、また駐車場台数は2千台に変わりませんが、休日の出入り走行自動車の台数を1万2千台から1万1千台となったことです。 この変更は、警察当局から「計画通りに建設されると、環境負荷が大きすぎる」と指摘され、「身を切られる思いで削減をした」と説明をされています。 駐車場が1千台以上のものになると環境影響評価の対象となるのだそうですが、私の調べでは、これまで大規模駐車場で対象になったのは四ケ所で、最高は2150台であります。 今回の2千台というのは、その点で第2位ということになりますが、となりに建設される長谷川工務店の15階建マンションの530台の駐車場とあわせますと2530台となり、都内随一の駐車場となるものです。 環境に与える負荷は大変なものになることが予測されます。 そして最大の問題は大気汚染であろうと思います。 2月20日、亀有地区センターで行われたイトーヨーカ堂による説明会でも、工事中の振動、建設後の風害なども出されておりましたが、大気汚染を心配する発言には、その度に賛同の拍手がわくという状況で、その強さを感じさせるものでした。 では、葛飾の大気汚染の状況はどうなっているでしょうか。 国はご存知のように新たな公害患者の認定は行いません。しかし、東京都が18歳未満のお子さんに限って認定をしております。気管支ぜんそくを中心とした子どもの認定患者は、1991年(平成3年)のときに葛飾は606名でした。しかし、2000年(平成12)には、1816人にふくれあがりました。10年間で3倍の急増であります。その後、いくぶん減少したとは言え、昨年末で1,574人で依然高水準を維持しております。この推移は子どもだけではないと思います。数字はでてこないものの、高齢者を中心に成人も同じでしょう。 改めて区内の大気汚染がひどさを実感するものです。 それでは、イトーヨーカ堂が出店しようとしている亀有3丁目近辺の大気汚染はどうでしょうか。 出店予定地の真ん前、香取神社の前に東京都の自動車排出ガス測定局があります。そこの測定結果では平成14年度で、二酸化窒素は98%値で0.081ppm、浮遊粒子状物質は2%除外値で0.115mg/m3(ミリグラムパー立方メートル)で、ともに環境基準を上回っています。 都内測定局との比較では、二酸化窒素がワースト2、浮遊粒子状物質がワースト8となっています。 都「環境基本計画」で、東京で肺ガンで死ぬ人の20%は、自動車排出がス、とくにジーゼル車だと指摘されていることに照らしあわせますと、この数字は深刻と言わなければなりません。 そこに新たに、11000台の車が増えるわけですから、さらに悪化する事は間違いないと思われます。 ところが、この環境影響評価書によりますと、開店後の二酸化窒素は0.059ppm、浮遊粒子状物質は0.104mg/m3(ミリグラムパー立方メートル)で、二酸化窒素は環境基準値内、浮遊粒子状物質は環境基準は上回るもののわずかだとなっています。 現在でも環境基準を大幅に超えているのに、開店後は、空気がきれいになり、環境基準をクリアするようになるという、あり得ない結果を示しております。まるで心配ないことを強調しているかのようです。 先日の説明会でこの矛盾を住民に指摘されますと、「負荷率に着目しているのであって、その結果が環境基準値内であるからいいと考えるわけではない」旨の答弁をしておりましたが、これで、会場に集まった人々の不安を解消できるとは思えませんでした。しかも供用開始後の正しい予測値を示すよう求められたのですが、最後まで示すことは出来ませんでした。 何故、このような結果がでているのでしょうか。 この環境影響評価書案を読んでおりますと、バックグランド濃度という数値が出てきます。 バックグランドは直訳すれば背景ですが、私なりに、開発等がされる前、この場合ですと車が通る前、駐車場をつくる前の空気の汚れを調べて、将来の予測をするための基礎的なデーターになるものと解釈しました。 そうであるなら、亀有3丁目の自動車排ガス測定局のデーターが一番正確であるはずです。 なぜなら、ここでは1年365日、24時間休む事なく測定をしているからであります。ここのデーター以外どこの測定局の結果をもってきても亀有3丁目の大気をはかる上では不正確なものと言わなければなりません。 ところが、環境影響評価書案は、このデーターを無視をして、そこから1・5キロメートルも離れた東和3丁目の蒲原中学にあった測定局の結果をつかっております。しかも、82%でなく、ひくい方の年平均値をつかっております。 他の場所で行う環境影響評価では通用するのかも知れませんが、ここ亀有3丁目の大気汚染の将来値を予測する上では納得できるものではありません。 また、実態調査のやり方も極めて拙速であります。 東京都の「環境影響評価技術指針」を見ますと、大気質の現地調査は、「年間を通した変化を把握できる期間」とされています。にもかかわらずこの環境影響評価では、昨年の10月に7日間やっただけであります。 これでは、一日でも風が強い日があればデーターとしての価値は低くなってしまいますし、四季を通じて変化する大気の状態を正確に把握することはできません。すくなくとも春夏秋冬、1シーズンごとのデーターをとるぐらいのことをやらなければならないはずであります。 もともと環境問題には知識のあまりない私ですけれど、それでも、この環境評価書案を読みまして、おかしいと感じるものです。「建設ありき」で、それに適合するようにつくりあげたものではないかの疑問を抱くものです。 そこで区長に質問をいたします。 1、イトーヨーカドーショッピングセンターの出店にともなう自動車走行台数の増加は、現在でも環境基準を大幅に超えている亀有地域の大気汚染をさらに悪化させ、区民の健康を著しくそこねるものと思うがどうか。 2、出店後の正しい大気汚染の予測値を出すには、目の前の東京都自動車排気ガス測定局の測定結果をつかうのは当然であり、また、現地調査も東京都の「環境影響評価技術指針」にもとづき「年間を通し」て調査をすべきであります。 こうした手順をしていない、現在だされている環境影響評価書案は、評価の名に値しないものであり、再調査、再提出をもとめるべきだがどうか。 3、道理あるバックグランド濃度ときちんとした現地調査に基づいた環境影響評価がなされるまで、用途地域の見直しを含む地区計画の決定はすべきではないと思うがどうか。 |
野島議員の一般質問に対する答弁 |
(区長答弁) 野島議員のご質問にお答えをいたします。 初めに、指定管理者制度につきましては、「公の施設」の管理について民間の能力を活用して、その適正かつ効率的な運営をはかることを目的として、昨年9月に改正をされた地方自治法に基づき導入されたものでございます。 このことから、公の施設の管理に係る受託主体の公共性に着目してきた従来の考え方を転換して、公の施設の管理を株式会社等の民間事業者にも行わせることやこの指定管理者に施設の使用許可や使用許可の取り消しの権限等、施設の管理権限を移行して、事務事業を代行させることも可能となったものでございます。 民間事業者を指定管理者にするメリットは、民間事業者の経営手法や運営ノウハウが活用されることによって、管理経費の縮減や、利用者ニーズヘより迅速な対応などが期待されるというところでございますが、反面、公共性や民主的コントロールをどのように担保し、区民の利用に支障を生じさせないような仕組みを構築していくかが課題であると認識をしております。 本区といたしましても、多様化する区民のニーズにより効果的、効率的に対応するため、「施設白書」を基にして進めてまいります公共施設の抜本的な見直しにあわせて、議会や施設を利用する区民の意見等を参考にしながら、検討を進めてまいりたいと考えております。 次に、公社・財団の見直しについてお答えをいたします。 公社・財団のあり方につきましては、平成12年度から13年度にかけて、庁内に「公社・財団のあり方検討委員会」を設置をして、その設立目的や事業内容等を検討するとともに、区、公社・財団、民間事業者などが担うべきそれぞれの役割や区からの自立性の確保、実施する事業内容について整理検討を進めてまいりました。また、その後、地方公務員法の改正によりまして、区職員派遣制度の見直しを行なっておりまして、こういうふうに存立目的や役割を効果的・効率的に果たすための見直しを数次に渡って進めてきたところでございます。 今回の指定管理者制度の導入にあたりましても、地方自治法の改正趣旨を踏まえて、より効率的、また効果的な公社・財団のあり方を検討してまいりたいと考えております。 その他のご質問につきましては、所管の部長より答弁いたさせます。 (政策経営部長答弁) 指定管理者制度について、お答えします。 指定管理者制度の具体的な手続につきましては、区が指定管理者の制度、とりわけ、指定の手続き、管理業務の具体的範囲、指定期間等の基本的かつ重要事項について条例で定めたうえで受託業者を受託事業者を選定し、区議会におきまして、その指定管理者及び指定期間等の議決を得たうえで、公の施設の管理を委ねていくものでございます。 そこで、区が指定管理者の公共性や民主的コントロールの担保を図る基準といたしましては、区民の平等利用が確保されること、事業計画の内容が、施設の効用を最大限に発揮するとともに管理経費の縮減が図られるものであること、事業計画書に沿った管理を安定して行う物理的能力、人的能力を有していること、などを選定の基準として、当該施設の設置条例に規定し、公共性や平等性に配慮し、透明性を確保しながら複数の申請者の中から最適な管理者を選定し、区議会にご審議いただき議決を得ていくことが重要になると考えております。 次に、利用料金制の取り扱いですが、指定管理者が管理経費を調達する方法は、全て利用料金で賄う、全て区からの支出金で賄う、または、一部を区からの支出金で、残りを利用料金で賄うなどの方法が考えられ、利用料金制を採用することも、採用しないことも可能であり、施設の性格や区民の利用形態等を考慮しながら事業費等の運営経費の負担方法や負担割合等について、指定管理者制度のメリットを十分活用できるよう検討してまいります。 また、指定管理者の監査につきましては、公の施設の設置者たる区の事務を監査するのに必要があると認める場合につきましては、指定管理者に対し出頭を求め、調査し、出納関連書類等の提出を求めて、適正な管理の運営が行われるよう指導することが可能であり、必要に応じて業務点検等を行ってまいります。 なお、その他ご質問にありました、不当な差別的取扱い、施設管理権限に係ることや指定管理者が倒産した場合への対応など、経営状況の把握、利用者からの改善要求等への対応、適切な施設の維持管理、運営委員会の設置、指定管理者制度の対象となる公の施設等につきましては、今後、指定管理者制度の趣旨を踏まえて充分検討してまいりたいと考えております。以上でございます。 (福祉部長答弁) 社会福祉協議会が自主的・自立的に公共性を発揮し、かつ、区民ニーズに応じた事業展開が出来るよう、区が支援を強めるべきとのご質問についてお答えいたします。 ご指摘のように、社会福祉協議会は会員の会費や区民からの寄付金を活動の原資といたしまして、区民ニーズに応えるべく自主的に事業を行う独立した社会福祉法人です。 しかしながら、社会福祉協議会は財政基盤が脆弱であるため、区は、社会福祉協議会が社会福祉事業の充実とその財源に充てる目的で平成元年に設置した社会福祉基金に、同年5億円、翌平成2年に3億円の補助金を交付し、社会福祉協議会の自主的、自立的な事業運営を支援して参りました。 しかし、その後の低金利のもと、社会福祉基金の運用益だけでは事業費に不足を来たすようになってきたため、区は、人件費の補助に加えて、平成6年度に実情に即した事業費の補助を再開し、現在に至っております。 区は来年度、社会福祉協議会活動のPRと活性化を図るため、ホームページの開設、保守に要する経費を新たに助成するとともに、平成17年度には、現在建設中の(仮称)地域福祉・障害者センター内に、事務室を確保するなど、社会福祉協議会の自主的・自立的な事業運営に力を注いでまいります。以上でございます。 (総務部長答弁) 幹部職員の財団等への天下りを中止すべきとのご質問にお答えします。区の退職幹部職員が財団法人等に再就職している事例につきましては、財団等の管理運営にその豊富な知識と経験を活用するため行っているものであります。また、その処遇につきましては職責に見合った適切なものと考えております。 次に、公社等の見直しに伴う固有職員の問題につきましては、公社等の見直しを行った場合、固有職員への影響の度合いを見極め、適切に対応したいと考えております。以上です。 (環境部長答弁) イトーヨーカドー新亀有店ショッピングセンターの環境影響評価書案についてのご質問についてお答えいたします。 イトーヨーカドー新亀有店ショッピングセンター建築事業につきましては、現在、東京都の環境影響評価条例にもとづきまして、手続きが現在進められているところでございます。 この手続きは、同ショッピングセンター建築事業が環境に与える影響をあらかじめ予測・評価して、東京都が住民や関係自治体などの意見を聴くとともに専門的立場から審査することなどにより事業の実施による環境への影響をできるだけ少なくするためのものでございます。 同ショッピングセンター建築事業につきましては、15年10月15日には環境影響評価調査計画書が公示され、現在、16年2月2日に公示された環境影響評価書案が平成16年3月2日まで縦覧されている段階でございます。 今後、区といたしましても、この環境影響評価の手続きのなかで、同ショッピングセンターの出店により、自動車走行台数が増加し、それにともなう大気汚染を防ぐため、環境保全のための措置が講じられるよう、同条例にもとづいて東京都に意見を述べていきたいと考えております。 また、現在出されている環境影響評価書案の再調査、再提出をもとめるべきとのご質問ですが、環境影響評価の手続きは、東京都において適正に執行されていると考えており、環境影響評価書案の再調査、再提出を都に求める考えはございません。以上でございます。 (都市計画部長答弁) 次に、環境影響評価がなされるまで、用途地域の見直しを含む地区計画の決定はすべきでないとのご質問について、お答えいたします。 イトーヨーカドー新亀有店ショッピングセンター等の建設が予定されている日本大昭和製紙(株)亀有工場跡地は、都市計画マスタープランにおいて、複合開発市街地としての適切な土地利用転換を図る地区としております。 そのため、工場移転後の跡地開発で、商業や住宅等の複合的な施設が導入されることは、区の基本的な街づくり方針と合致するものであります。 そこで、地区計画制度を活用し、街づくりにおける基本的な道路や公園等の都市基盤などを予め定め、地域にとって利便性の高い賑わいのある複合市街地を目標に、土地利用の転換を図るものでございます。 お話しにあります環境影響評価は、このような制度に基づく都市基盤を踏まえて計画されるショッピングセンター等の施設の内容を前提に行なわれるものであり、そのようなことから地区計画等の都市計画決定を先行しおこなうものでございます。以上でございます。 |
野島議員の再質問 |
【再質問】野島 イトーヨーカドーショッピングセンターについて、一点だけ再質問いたします。 ただいまの答弁ですと、環境影響評価再調査を求めない、あるいは、区の基本的街づくり方針と合致していると。当初、私は区の姿勢の巨大ショッピングセンター出店から街を守る立場にいると期待していたんですが、しかし、きのうの区長の答弁、並びにただいまの部長の答弁で、私の期待は裏切られているようであります。 そこで、今の話にあわせて率直に聞きます。区長は、イトーヨーカドーショッピングセンターの出店によって、葛飾は活性化をすると、こういうふうに認識されているのでしょうか。それから、先ほどの部長でちょっとひとつわかんないんですが、地区計画決定あるいは用途地域の変更というのは、それでは出店を促進させるためにやられたんですか。このことについて、お聞きをして再質問といたします。以上です。 区長 きのうも、再質問のときにお答えいたしましたけれども、ようするに、現行の大型大店立地法、こうした出店を規制するということができなくなった現状でございます。したがいまして、こうした大型店の出店が街の活性化につながるような方法を自治体として考えていかなければいけないだろうと考えている次第でございます。 都市計画部長 ただいまの商業の推進が前提ということでございますけれども、もともとこの土地は、ヨーカドーが買ってですね、ショッピングセンターあるいは店舗を開店するという前提にたっているというのが前提でございます。そういう点で、われわれといたしましてもですね、そうした推進というような方向ではなくてですね、あらかじめまちづくりをきちんと道路公園等のまちづくりをきちんと整備をさせる方向でチェック等をやってきたという状況です。 |