●第1回定例会 高橋信夫区議の代表質問  2004
【目次】
1、「三位一体改革」について
2、予算案について
3、金町南口の再開発事業について

【答弁】

 日本共産党区議団を代表して質問致します。
 まず、「三位一体改革」について伺います。
 今日、構造改革の波は、自治体合併に止まらず、広域行政と基礎自治体の変質・再編などがセットになって進んでいます。
 2001年6月の「構造改革に関する基本方針」に始まって、昨年6月のいわゆる「三位一体の改革」、そして、11月の第27次地方制度調査会の「最終報告」などであります。
 共通のキーワードは、ニュー・パブリック・マネージメント行革、いわゆる「補完性の原理」であります。社会の解決主体は、個人や家族、地域にあり、行政が登場するのは、最後の最後であるという理念であります。
 本区もこの考え方を踏襲しており、自らが地方自治の本旨を壊す側に立ち、まさに、自治体が自治体でなくなる方向に進んでいるのであります。
 今回の小泉内閣による「三位一体改革」は、まさに、この自治体破壊と住民泣かせの「改革」だと言うことです。
 この影響は、7億1千万円余の税源移譲となりますが、一方では、公立保育園運営費や介護保険事業などへの国庫補助金・負担金は15億7千万円の大幅な削減で、区財政への被害額は、約8億6千万円にものぼっています。 今回の「三位一体改革」は、本来の分権社会をめざす理念や方向とは、かけ離れたものとなっており、「改革」という名で、国の財政再建のための地方財政切り捨て策に他ならなりません。
 区長は、この点について、どのような認識なのか、まず伺います。
 国庫補助金・負担金の8割は、保育や医療、介護など、国民の生存権や基本的人権の水準を保障する大事な分野であります。
 全国の自治体と連帯して、「国庫補助金の制度を守り改善せよ!」「真の地方分権と地方への税財源移譲を実現せよ!」の働きかけを、政府に行うべきですが、区長の決意を伺います。
 区長は、これら被害額は、「平成16年度都区財政調整制度の中で算定されることになっている」と述べました。何を根拠にそうに言われるのでしょうか。具体的に幾らの救済額となるのか。伺います。
 財調交付金の調整率52%のままで算定しますと、他にしわ寄せとなるだけで、何の救済措置にならないものです。
 さて、「三位一体改革」は大都市では相対的に増収となる言われています。即ち、「所得譲与税」「税源移譲予定交付金」などの交付基準は、人口を基本にしてるため、人口の集中する東京などは、相対的に増収になるというのです。しかも、東京都の場合は、公立保育所運営費都負担分約91億円が浮く訳であります。
 そこで伺います。都は、「三位一体改革」で「一人勝ち」の予想もされており、財調の調整率の大幅引き上げや、新たな補助の実施など、都に求めるべきですが、如何でしょうか。

 次に、予算案について伺います。
 区長は、「メリハリの利いた予算にした」と自画自賛されました。しかし、本当にそうでしょうか。
 教育費は前年度より16.5%、14億6千万円余の増額で、小中学校の冷房化や小学校へのスクールカウンセラー配置など評価できますが、しかし、増額の大部分は、校庭用地取得8億4千万円余で、これは、もともと区役所分庁舎と地区センター用地として取得した土地で、先の見通しの甘さから計画変更を余儀なくされ、その転用先が学校に回ってきて、膨らんだものです。
 福祉費も前年度より5.2%、18億円増ですが、その大部分は、国から来る生活保護費や児童手当で、実質的な伸びは3%程で、高齢化による当然増から見ますと伸び率は低いものです。
 区長は、「限られた財源を優先的に振り向け」とも言われました。
 しかし、私に言わせれば、区民のためにやるべき施策があるのに、まちづくり基金や減債基金に、補正予算も含めて46億円もの積立てであり、つまり、今後の大型開発などのために、「限られた財源を積立てに優先的に振り向けた」と言うべきでしょう。
 今度の予算案は、幾つかの評価できる前進面もありますが、大型開発には傾斜した一方で、区民のくらしや福祉などは、どれも「区民の目線に立っていない予算だ」と言わなければなりません。

 その象徴的なものが、唐突とも言える中学校の「夏季学習教室」の実施であります。
 これは、区長の所信表明の予算説明の冒頭で紹介され、また、予算案主要事業概要のトップで扱われていますので、最大の目玉なのでありましょう。
 しかし、この発案は誰のかは知りませんが、現場も知らない者の、発想による事業だと言わざるをえません。
 私は、葛飾の子どもと教育に新たな困難をもたらすのではないかと、心配するものであります。
 何が問題でありましょう。
 第一は、子どもたちや教師、父母などの声を全く聞かない、頭ごなしで進めようとしていることです。
 教育と言うのは、学校と父母と地域が共に力を合わせて努力することなしには、より良くはなりません。そして、道理にもとづく納得と合意が基本ではないでしょうか。
 突然の新聞発表で、学校長も教職員も保護者もみんな驚いていす。子どもたちも、一様に「え?!夏休みが短くなるの!」という、ブーイングであります。こんなトップダウン的やり方で教育が良くなると思いますか。
 区長、「葛飾区教育振興ビジョン」ですら、「有識者や保護者の代表などから幅広く意見を聞く」としており、言行不一致ではありませんか。
 文教委員会に対してすら、事前の報告もなく、問答無用的やり方は、許す訳にはいきません。どうして、父母や教師、地域住民の意見を聞くと言う姿勢に立てないのですか。伺います。

 第2は、これまでの「夏期学習教室」の総括も検証も全くされていないということです。
 2002年度からはじめた「夏期学習教室」というのは、1学期の成績が不十分だった児童生徒を対象に、「夏休みの補習を行う」という趣旨で、しかも、プール登校となる日に希望する者に行うものでした。実施した学校からは、様々な問題が出されております。
 この取り組みの問題点、教訓は何であったのかなど、よく分析もするし検証もして、教訓を引き出し、次の取り組みに生かして行くことが大事ではないのでしょうか。
 教育長、この分析と総括を行い、区民と議会に明らかにすべきではないでしょうか。

 第3は、「夏季休業のあり方」の議論も全くなく、「夏季休業日の短縮、先にありき」というやり方であります。
 夏休みは、子どもたちにとって学校生活から解放される自由で楽しい期間です。家族とのふれあいを深め、地域での豊かな交流、普段できない自然に親しみ心も体もリフレッシュするなど、多様な体験をする期間でもあります。
 また、夏休みの前半は、中学校であれば中体連の大会など、多くの行事が一斉に入る時期で、また、子どもによっては、入試のための集中講座などに参加したりなど、様々な条件が重なる時期でもあります。葛飾だけの独りよがりで、夏季休業日を短縮すれば、様々な弊害が起こることは明らかであります。「夏季休業日短縮、先きにありき」ではなく「夏季休業のあり方」などの区民的議論をすべきでありますが、如何でしょうか。
 第4は、子どもたちをますます過密にさせ、「勉強嫌い」「学校嫌い」などに発展しかいねないということです。
 一昨年より学校完全週5日制になって以来、楽しい学校行事は減らされ、教師は授業等の準備時間は無くなり、どこの学校も月曜から金曜の殆どが毎日6時間の授業になり、ゆとりがなくなっております。
 今年1月末、国連・子どもの権利委員会は、日本政府に対して「高度な競争的な教育制度により子どもが発達障害にさらされている」という、大変厳しい勧告を再度行いました。
 区長、子どもも教師もますます過密の状況となる、「夏季学習教室」は、再検討すべきではないですか、答弁を求めます。

 そして第5に、これが学力低下の歯止めとなるのか、という問題です。
 学力の定着は、普段からの積みあげから出来るものであります。
 そして、学校ごとに子どもたちや保護者の率直な声を聞き、基礎基本を中心とした教育課程づくりを自主的にすすめ、より豊かにして行くことが必要であります。また、そのために23区に先駆けて教育条件の整備として、30人以下学級に取り組むべきです。見解を伺います。

 さて、今度の予算の第二の問題は、区民のくらしを全く無視した、値上げと有料化の予算であることです。
 小泉不況のもとで、勤労者世帯の月平均実収入は、5年前に比べて約6万円も減少し、区民はかつてない困難な状況におかれております。
 このような時こそ区政は、区民のくらしを守るために力を尽すこべきではないでしょうか。
 ところが、区政までが新たな負担を求めることは問題であります。
 4月からの予定をしている、区立幼稚園保育料や区施設の使用料などの値上げや、地域集会所などの新たな有料化はやるべきではありません。一旦凍結するよう、区長に決断を求めます。
 国保料も上げるべきではありません。保険料が高くて4世帯に1世帯が払えず滞納していのに、また値上げすれば、新たな滞納者という悪循環となるだけです。
 高い保険料は、独自に減免し、新たな国保料の値上げは中止すべきです。合わせて、介護保険料の独自の減免制度も創設すべきです。如何ですか。

 教育費の軽減策も切実です。
 本区の就学援助は、生保基準の1.1倍ですが、既に20区あまりが1.2倍にしています。本区でも基準を引き上げるとともに、制服や部活動のユニホーム、用具なども支給対象にすべきです。どうでしょうか。
 就学援助は、毎年4月申請、7月末頃の認定である為に、小・中学校の新一年生の入学準備費用は、認定となるまでの間、多額の父母負担となっており、改善の声があがっています。
 4月からの特例的な認定や、小学校6年生の時点で中学校入学準備に係わる支給の前倒しなど、直ちに改善すべきです。見解を伺います。

 第三の問題は、高齢者や、障害者などに冷たい予算だと言うことです。
 高齢者の紙オムツを削減、低体重で虚弱な赤ちゃんへの栄養補給は廃止、障害者の福祉タクシーも見直す…。「住民福祉の向上」という自治体の精神は何処に行ったのでしょうか。
 高齢者にとって紙オムツは、質の高い介護や生活の保障、また、人間の尊厳にかかわる問題です。卑しくも費用対効果とか、効率性とか、コストのみでの評価すべきではありません。ましてや、機械的に介護度で切り捨てるというのは、乱暴すぎるものであります。
 仮に、紙オムツのあり方を検討する場合でも、高齢者の自立的な排せつとの関係や、高齢者の生活や介護の実態や、紙オムツの使用状況、そして、高齢者の尊厳という視点で、きめ細かく把握し、分析するなど、慎重な検討が必要であります。区長、紙オムツ削減は改めて再検討すべきですが如何でしょうか。

 特養ホームの待機者は、一年前の660人から、1.6倍の1,036人にもなっています。
 この1.036人以外にも、286人の方が待機になっていました。区長、どなたかご存知でしょうか。特養ホームに申し込んで、4年も5年も待ち続けたのに、入所できずに、昨年、お亡くなりになった高齢者の人数であります。どんなに無念であったでありましょうか。
 介護保険料を払っているのに、サービスが何年も実現されないというのでは、制度への不信と崩壊につながり兼ねません。
 実施計画では、2007年度までに3施設290人分の特養ホームを建設確保するとしていますが、この数は、いまの待機者の人数からしても、全く不十分な計画です。
 民間頼みの支援だけではなく、必要な特養ホームの建設を、区自らが作っていくべきです。区長の決断を求めます。
 今回、国が新規の特養ホーム建設への建設単価を3.5%引き下げたうえに、国庫補助を3分の1カットし、また、東京都も特別助成を約31億万円も削減しことは重大です。
 都市再生など大型開発には湯水のように税金投入する一方で、福祉対策は切り捨てる、国や都のやり方は逆立ちしています。
 区長、他区と連携して、何としても復活させるように、働きかけるべきですが、決意を伺います。

 子どもの医療費助成の充実が各地で進んでおります。
 北区に続いて、品川区、そして、港区も、子どもの入院医療費を、所得制限なしで小学校6年生まで拡大しました。
 区長は、「子育てするなら葛飾で」と公約されましたが、他区がやっている施策ぐらいは実現すべきではないでしょうか。
 小学校1年生までの医療費無料化を拡大するとともに、入院の際の子どもの医療費は、小学6年生までの無料化に踏み切ることを求めます。如何でしょうか。

 第四の問題は、中小企業に希望を与える予算になっていないことです。
 「緊急づなぎ資金融資」や共通商品券発行の実施などは評価致します。
 しかし、この深刻な不況の中で、二年連続で産業経済費がマイナスというのはどういうことでしょうか。
 不況から区内中小企業守るために、産業経済費の予算を大幅に増額することを求めるものであります。
 融資の改善では、「不況対策緊急資金融資」などの利子補給を拡大して、本人負担を引き下げることを改めて要求致します。
 予算案では、創業支援策の一つとして、経営相談員の配置を新しく打ち出しましたが、それにとどまらず、意欲のある起業家を支援する立場から「起業家支援塾」を開校すべきです。如何ですか。

 中小業者の最大の願いは、仕事確保であります。この分野でも区政の役割が求められており、何故、真剣に探究しないのでしょうか。
 先進例は、全国にあるではありせんか。
 まず、住宅リフォーム助成です。
 23区では、品川、目黒、板橋、足立などで行われており、全国に広がっております。
 この制度の最大のメリットは、地元建築業者に仕事拡大となり、それが地域経済に波及効果を与えています。
 埼玉県下の20自治体で今年度の住宅リフォーム助成は、約8千万円ですが、約13億8千万円余の修繕工事につながり、約17倍の経済効果であり、またこれが、他業種の例えば、この際、畳替えもしよう、家具もクーラーもこの際取替えよう、照明器具やカーテンなども新しいものにと、他分野への購買意欲となって広がっているのです。
 わが党は、毎年の予算修正案を提出しておりますが、本区で住宅リフォームの工事費を5%、限度額10万円以内で、200件の応募枠で助成しますと、2,000万円の助成額で、工事発注は4億円と、20倍の経済効果となるものです。
 区は、「住宅修築資金融資あっせん制度」を理由に、実施を拒否してきましたが、この「あっせん制度」が無くなるのですから、もう、拒む理由はないはずです。中小建築業者の受注拡大策と区民の住環境の整備の観点から、住宅リフォーム助成制度をつくるべきです。如何ですか。

 「小規模業者登録制度」も全国で広がっています。
 この制度は、区の発注する工事または製造の請負の契約金額が130万円以下の場合は、随意契約で地元小規模業者に発注できるというものです。
 昨年の6月区議会の私の質問に対して、総務部長は、「この制度のメリットは、登録手続が簡単であること、区内建設業者への仕事の発注につながる効果が期待される」と、述べられました。しかし、その後の答弁が戴けない訳です。即ち、「工事実績や信用力、技術力の不安が残ります」と言うのです。個別具体的な事例で言うならともかく、地元業者を、十把一からげにして、この様な独断的な評価は、不適切であります。
 区長、やらない理由を部下に述べさせるのではなく、どうしたら、区内の小規模業者が希望を持って商売ができるか、それこそ知恵と力を結集すべきではありませんか。
 この制度の趣旨を生かし、区内小規模建築業者の受注機会の保障のために、葛飾でも直ちに制度化を行うべきですが、見解を伺います。

 第五の問題は、大型開発にばかり目配りした内容の予算だということです。
 葛飾区は、全国にも先んじて金町駅周辺の中心市街地活性化事業を進めてきました。周辺郊外地に大型ショッピングができて、金町駅周辺の商業集積が落ち込んできたからであります。
 いま、日本板紙跡地に巨大ショッピングセンターの出店が進められようとしています。
 この出店に対して区は、地区計画を先行して、用途地域を変更させようという、都市計画では逆さまなやり方でショッピング建設を容認し、推進をしようとしています。
 金町の中心市街化活性化の都市計画を進めながら、一方では、中心市街化活性化を空洞化させる巨大ショッピングセンターへのテコ入れの都市計画。区長、やっていることが相矛盾して、疑問に感じないのですか。
 しかも巨大ショッピングセンター計画は、亀有の商店街はもとより、区内全部の商店街に深刻な影響を与え、明日の一般質問で野島議員が取り上げますが、深刻な大気汚染などが予想されます。巨大ショッピングセンターの規制こそ必要ではないですか。見解を伺います。

 次に、金町南口の再開発事業についてであります。
 未だに定款や事業計画に基づく組合設立が遅れ、前年度行う予定だった地盤調査や確定測量も遅れています。その原因は何か、今後の見通しなど、まず伺います。
 予算案では、建物の実施設計、権利変換計画の策定となっていますが、拙速すぎるものであり、中止すべきではないでしょうか。
 もともと駅前再開発事業は、地価が上昇するという前提で事業が成り立つ仕組みで、バブル崩壊以後、この前提条件が崩れ、全国何処でも事業破たんに直面しています。金町駅南口再開発事業も、事業の根本的見直しをすべきであります。
 そこで伺いますが、どこの住宅デベロッパーに、保留床を、幾らで売却するのか、また、商業フローはどのような状況にあり、今後の見通しはどうなるのか、中央図書館が入る公益施設の床購入価格など、現時点での到達などを提示して戴きたいのであります。

 立石駅周辺の再開発も問題です。毎年のように「再開発の計画案の作成と事業展開の検討」として、1,600万円が組まれています。同じ繰り返しを何年やれば気が済むのでしょうか。この3年だけでも約5千万円の投資であります。
 地元商店主などから、「行政主導による再開発ではなく、住民主体の再開発を」という声が挙がっているのに、何故、区は真摯に耳を傾けないのですか。
 町づくりの主役は、住民であります。立石駅周辺再開発は、官主導ではなく、住民主体の計画内容に切替えるべきと思うがどうか。

 南水元の土地区画整理事業も問題です。区は、約7割の地権者が賛成したとして、本格的に進めようとしています。
 しかし、この7割の賛成には「誘導的なアンケート」の取り方に問題があります。
 2002年の第4回定例会の建設委員会で、当時の区画整理担当課長は、住民へのアンケートのやり方について、次のように答弁しています。
 「賛成でないにしても、やはり全体の地区のことを考えれば、区画整理も必要でしょうと、そういう場合には2番に丸をつけてください」と、住民の方々に2の賛成に丸を付けるように誘導していたのであります。
 昨年2月14日、静岡地裁判決は、浜松市が設立を認可した土地区画整理組合の認可を違法とする判決を下しました。
 この事件は、浜松市の土地区画整理事業をめぐって、地元住民2人が市長を相手取り、同市の土地区画整理組合の設立の取り消しを求めた住民訴訟でありました。
 静岡地裁は、事業内容について、十分に理解して同意した地権者は全地権者の3分の2以上に当たらないとして、住民の訴えを支持して、組合の認可取り消しを命じる判決を言い渡したのであります。
 事業推進のために作為的なやり方が断罪されたのであります。
 区長、南水元の土地区画整理における地権者の意向調査は、改めて、厳正に行うべきと思うがどうか。あわせて、住民の合意となるように、計画の見直しを求めるものであります。

 さて、土地区画整理事業は、減歩や清算金など、住民の実害が伴うものだけに、ひとつひとつの住民合意というのが非常に難しく、どうしても、事業が長期化するものです。
 7割の同意で進められても、途中で躓き、事業が暗礁に乗り上げ、全国各地では破たんという問題に直面しているのです。
 いわき市では、土地区画整理の同意率を「概ね90%以上」と、独自の指針を策定しています。何故そうしたかと言いますと、事業の長期化によりムダな行政投資を減らし、円滑に事業が進められる所に限定した、ガイドラインを策定したのであります。
 本区でもこれに学ぶべきではないでしょうか。見解を伺います。

 予算案には、現場事務所設置工事として、3,350万円が計上されています。約42坪の借地に、3,350万円の事務所。分譲マンション並みという値段であります。何でそんな事務所が必要なのでしょうか。
 福祉やくらしには「コストだ!」「効率性だ!」と叫んで、血も涙もなく切り捨てするのに、大規模開発となると、「コスト」も「効率性」もなく、大盤振る舞いであります。
 財政困難の時なのですから、既存の区施設で我慢すべきです。少し離れていますが、清掃工場の脇にある旧東公園事務所が空いているのですから、こういう所を活用すべきではないですか。答弁を求めます。

 以上で私の質問を終わりますが、答弁次第では再質問することを表明致して、質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。
高橋議員の代表質問に対する答弁
(区長答弁)
 高橋信夫議員のご質問にお答えいたします。初めに、三位一体改革に関しての御質問であります。
 三位一体改革は、国庫補助負担金などを通じた国の関与を縮減し、税源移譲によって地方の自主性、自立性を向上させ、地方分権を財政面から推進するものとして重要な改革であると考えております。
 ただし、16年度政府予算案における三位一体改革は、移譲される財源の規模や、国が地方に税を配分する譲与税という形で交付する方法など、まだまだ課題があり、本格的な改革までの過渡的なものであるという印象をぬぐいきれないものでございます。
 今後、国は、三位?体改革の全体像を、16年度中に示すとしております。税制改正の影響や今後の方向性なども含めて、こうした動きに十分注意をし、この三位一体改革が地域の実情に応じた施策が展開できる、真に地方分権を実現する改革となるように、区長会など様々な機会を通じて、国や都に働きかけて参りたいと考えております。
 次に、都区財政調整制度に関するご質問でございます。
 「三位一体改革」による都区財政調整制度上の取扱いにつきましては、平成16年度都区財政調整協議において、その影響額を可能な限り反映することとし、去る2月16日の都区協議会で最終的に合意に至ったものでございます。
 都区財政調整におきましては、特別区が等しく行うべき事務が遂行できるように、合理的かつ適正に、その需要額を算定するものであり、今回の公立保育園運営経費等についても、その需要を措置したため、「三位一体改革」における影響額8億6,500万円がカバーされ、財源不足を生じることなく予算編成を行うことが可能となりました。
 また、都負担金削減の影響額について財調の調整率引き上げや新たな補助の実施などを都に求めるべきというご質問でございましたが、今後、明らかにされる「三位一体改革」の全体の中で、国と地方のみならず、都道府県と区市町村との役割分担に見合った税源の移譲が適切に行われるよう、様々な機会を通じて、国に対して働きかけるとともに、東京都とも十分協議してまいりたいと考えております。
 次に、産業経済費の予算額についてのご質問がございました。
 産業経済費の平成16年度予算は約6千6百万円の減となっておるわけでございますが、主な内訳は、いずれも15年度の単年度予算で実施をいたしました、例えば観光文化センターのリニューアル、あるいは山本亭改修工事費の減、都補助を活用した生産緑地保全整備事業費などが終了したことなどからの減で、いわゆるハードや単年度要素の完了によるものであります。
 一方、地域産業を側面支援するため新たな予算として、商店街空き店舗対策や緊急つなぎ融資と産学等連携事業支援融資の新たな創設、また、共通商品券発行事業への助成や新小岩創業支援施設における経営相談員の配置、さらには産業振興プランの策定・とりまとめに伴う予算など、産業活性化のために必要な予算を計上したところでございまして、実質的に内容の充実を図ったものであると考えております。
 次に、「不況対策緊急資金融資」などの利子補給拡大についてお答えをいたします。
 ご質問の「不況対策緊急資金融資」の本人利子負担は現在0.6%、融資限度額400万円で実施しておるわけでございますが、平成16年度から本人利子負担を0.1%引下げ0.5%に、融資限度額を300万円引き上げて700万円に改正する予定でございます。
 次に、「企業家支援塾」を開校すべきとの質問にお答えいたします。
 新たな企業の発足、すなわち創業につきましては、地域の活性化や将来の雇用創出に結びつく可能性があることから、区としてもその支援を行うことが必要と考えており、現在、本区では、新たに事業を起こす方を対象に「開業セミナー」を延ベ6日間で実施しているほか、起業家支援融資の実施、さらにはハード面からもこの2月に新小岩創業支援施設を開設したところであります。
 今後も、開業を目指す方の側面からの支援策については、多角的に展開して参りたいと考えております。
 次に、イトーヨーカドーショッピングセンター建設計画に先立って、地区計画や用途地域等を変更する都市計画は逆さまではないかとのご質問について、お答えいたします。
 イトーヨーカドーショッピングセンターの建設が予定されている日本大昭和板紙(株)亀有工場跡地につきましては、都市計画マスタープランにおいて、周辺環境に配慮した地域の活性化に資するため、複合的な都市機能の導入を誘導して、街の活性化に寄与する拠点としての適切な土地利用転換を図る地区としているわけでございます。
 そのため、将来のまちづくりについて、地区計画制度を活用し、地域にとって利便性の高い賑わいのある複合市街地の形成を目標に、用途地域の変更を行なっていくものでございます。
 一方、土地利用の前提となる都市基盤整備につきましても、地区計画制度を活用して、この地区に相応しい道路や公園等を都市計画の中で定めるものであります。
 したがいまして、工場跡地の土地利用は、まず、適正な都市計画を定め、それに沿って開発がされていくことが必要でございます。
 次に、ショッピングセンターに関わる都市計画と金町中心活性化事業とは相矛盾するものであり、ショッピングセンターの出店こそ規制すべきではないかとのご質問に、お答えをいたします。
 現在、計画されているショッピングセンターは、既存商店街との共存共栄を基本コンセプトとして掲げておりまして、金町や亀有の既存商業と整合性が図られるものでありまして、さらに、新旧商業展開の切磋琢磨によって、地域活力の向上も期待できるものであります。
 なお、出店規制につきましては、ご案内のように、大規模小売店舗立地法ではこれらをできないものとなっておるわけでございます。
 なお、その他のご質問については、教育長及び所管の部長から答弁いたさせます。

(教育長答弁)
 夏季学習教室および夏季休業日の短縮に関する御質問にお答えします。本区では、平成14年度から、夏季休業日に学習の定着が十分でない児童・生徒を対象にして補習授業を行う希望制の夏季学習教室を各学校で実施してまいりました。しかしながら、暑い時期での学習教室の実施であることから、保護者や各学校から、今後の課題として、冷房機の設置が強く求められるようになってまいりました。
 一方、昨年11月に策定した葛飾区教育振興ビジョンでは、「確かな学力の定着」という柱の中に「授業時数の確保」という項目を掲げ、こうした夏季学習教室の実施状況などもふまえ、今後、普通教室の冷房機器の設置とも併せて、現行6週間ある夏季休業日の縮減を検討し、授業時数の確保に取り組んでいくということを打ち出しました。
 このビジョンにつきましては、教育委員の議論のもとに校長会とも意見交換をしながら素案をまとめ、その素案をもとに区議会からご意見を伺うとともに、保護者や教育に関係する地域の方々にも説明し、意見を聞いて、策定したものであります。
 したがいまして、平成16年度当初予算の中学校の普通教室への冷房機器の予算計上にあたりましては、このような方向性に沿つて、夏季学習教室の拡充や夏季休業日の縮減を併せて実施する旨の方針を明確にしたものであります。
 過日の新聞報道では、夏季休業日を17年度から10日間削減する旨の記事が掲載されましたが、そこまでの方針を決定しているわけではなく、先日の文教委員会におきまして、そうした誤解につきましてはご説明したところであります。
 今後、夏季休業日の短縮を実施するにあたりましては、平成16年度の夏季学習教室の成果や課題を踏まえ、教育振興ビジョン推進委員会で日数や実施方法、実施上の課題などなど十分に検討するとともに、区議会に対しましてもご報告をし、十分に意見を伺いながら進めてまいりたいと考えております。
 また、当然のことながら、保護者には、夏季休業日の短縮の目的や期待される効果などを十分に説明し、理解を得ながら取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、夏季学習教室は再検討すべきであるとのご質問にお答えいたします。
 学校完全週5日制に伴い、新しい学習指導要領では、学習内容の厳選を行うとともに、指導時間についても削減いたしました。したがって、このことによる児童・生徒の負担感が増大しているとの考えはもっておりません。しかしながら、授業日数の減少により、各学校では、ゆとりある教育課程の編成がやや難しくなってきているという声が聞かれます。
 また、昨年6月に児童・生徒を対象に実施した学校教育アンケートの結果からは、本区の児童・生徒は、学校の授業を難しいと感じている者が多く、自分の力に合ったスピードで授業を受けたい、わかるまでじっくりと勉強を教えてほしいと望んでいる者が多くいることが明らかになっております。
 そこで、教育委員会といたしましては、夏季休業中という時間的なゆとりのある中で、学習教室を実施し、基礎学力の定着や児童・生徒一人一人の習熟度に応じた学習を進ゆることで、学力の向上の一助にしていきたいと考えております。また、夏季休業日の短縮は授業時数が確保されることによって年間の教育課程にゆとりを持たせ基礎基本のくりかえし学習や発展的学習をおこなうなどにより充実した学習指導が年間を通じて可能になると考えております。
 次に、教育課程を自主的に進める必要があること、また、30人学級を実施すべきとのご質問にお答えいたします。
 各学校において、児童生徒や保護者、地域等の状況に応じて教育活動を工夫することは、学校経営上の基本理念であり、最も重要なことであります。教育委員会におきましても、各学校が自主的な取り組みができるよう、特色ある学校づくりの推進や学校配当予算自主的編成などを行い、教育活動がより豊かなものとなるよう様々な支援を行っております。
 また、30人学級のお話でがざいますが、今後の国や都の動向を見据えてまいりますが、これまでも答弁しておりますとおり、区独自での実施は、財政上の問題、任用上、身分上の問題等もあり、現時点では考えておりません。以上でございます。

(政策経営部長答弁)
 使用料などの見直しに関するご質問にお答えいたします。
 使用料や手数料を徴収する目的は、特定の利用者に受益が及ぶ行政サービスについて、その特定の受益者に適切な料金負担を求めて、利用する方と利用しない方との負担の公平性を図ることにございます。そのため、本区では、4年に一度の見直しをルール化し、受益者負担の適正化を図っております。
 今回の見直しは、この考え方に基づき、区議会のご意見も伺いながら検討を進め、先の第4回定例会において、使用料等改定の条例をご決定いただき、現在、各施設利用者等への周知を図っているところであり、使用料等改定を凍結する考えはございません。以上でございます。

(福祉部長答弁)
 国民健康保険料及び介護保険料のご質問にお答えします。
 ご案内のように、特別区国民健康保険料の基準保険料率につきましては、特別区の区域では、同一所得、同一世帯構成であれば同一保険料にという考え方で、統一保険料方式による調整を行い設定しているところでございます。
 また、国保料の減免でございますが、低所得者への配慮といたしまして、従来より、7割、5割の軽減を図っており、併せて、減免の相談・受付におきまして、保険料の分納などきめ細やかな相談を実施しております。
 引き続き、23区共通基準に沿って実施してまいりますので、ご理解をいただきたいと存じます。
 また、介護保険料につきましては、低所得者への配慮といたしまして、6段階設定を実施し、低所得者の保険料の軽減を図っております。それ以外に介護保険制度の趣旨によらない区独自の減免制度を創設する考えはございません。
 次に、特別養護老人ホームの整備についてお答えいたします。
 介護保険制度になり、施設への入所が「措置」から「契約」に変わり、要介護1以上であれば直接自由に希望する特別養護老人ホームヘの入所申込が可能になり、多くの人が入所を申込むようになりました。
 このため、国が「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」を改正したのを受け、葛飾区においても、真に特養ホームヘの入所の必要が高い方が入所できるよう優先入所の基準を策定し、昨年12月からこの優先入所基準に基づき入所を開始したところでございます。
 特養ホームの整備につきましては、ご承知のとおり第2期介護保険事業計画におきまして、国・都の参酌すべき標準を参考にしながら、現に利用している人数を基に、区における高齢者人口の伸びを勘案したうえで利用者数の見込みをたてており、現在本区の要介護1以上の要介護認定者数に占める特養ホームの入所定員数は、23区で3番目の整備率となっております。
 特養ホームは、社会福祉法人の計画を支援し整備を進めることにしており、区自らが整備する考えはございません。
 次に、東京都の特養ホームの設置を促進する特別助成についてですが、東京都に確認いたしましたところ、制度の内容や補助条件の変更による減額ではないと聞いております。
 したがいまして、都に復活要望をする必要はないと考えております。以上でございます。

(学校教育部長答弁)
 就学援助の基準等のご質問にお答えいたします。
 就学援助の基準は「生活保護に準ずる程度に生活が困窮する」者といった法の趣旨に沿って、また、葛飾区行財政懇談会、議会におきます事務事業再構築調査特別委員会等でのご意見を踏まえ、平成11年度から現行の1.1倍にしたものでございますので、収入基準を改定する考えはございません。また、お話にありました部活動のユニフォームや用具・制服などを支給対象範囲にすることにつきましては、現在のところ考えておりません。
 次に、就学援助の支給時期や方法についてのご質問ですが、就学援助の申請認定は、入学以降保護者の申請により認定手続きが始まり、また、前年度の世帯収入により判定が行われます。
 このため、確定申告時期の後でなければ、認定することも支給もすることが出来ません。これを、見込みなどで認定し、前倒し支給を行えば、認定されることへの期待感や認定されなかった場合の返還の問題等が生じてまいります。支給時期をできる限り早める努力は進めてまいりますが、現状の認定手続きを変えることは難しいと考えております。以上でございます。

(高齢者支援担当部長答弁)
 紙おむつ支給事業の見直しについて、お答えいたします。
 紙おむつを支給いたしますのは、大量に紙おむつが必要な高齢者を介護する家族の経済的負担軽減を図るためのものであります。
 国、都もそうした趣旨に沿って、ねたきりの高齢者、要介護4,5の方に対する経費を補助の対象としております。
 区におきましても、紙おむつ支給事業の検討にあたっては高齢者の排泄をめぐる状況や、生活、介護の実態、配送している紙おむつの使用状況などを充分検討し、事業の趣旨に沿って見直したところでございます。
 従いまして、再検討する考えはございません。以上でございます。

(子育て支援部長答弁)
 子ども医療費助成の対象年齢の拡大についてお答えいたします。
 この事業を小学校1年生まで対象児童を拡大いたしますと、区の単独事業となり、約1億5000万円、小学校6年まで入院医療費を無料化しますと更に約7500万円の経費が必要となります。
 一方、児童手当の支給対象児童が、この4月から小学校3年まで拡大しますと、新たに扶助費として約7300万円が区の負担額となります。
 このような財政状況の下で、対象年齢の引上げ等を実施する考えはございません。以上でございます。


(都市計画部長答弁)
 「住宅修築資金融資あっせん」がなくなる今、区内の中小建設業者の受注拡大策と区民の住環境整備の観点から、住宅リフォーム助成制度をつくるべきとのご質問にお答えいたします。
 区といたしましては、これまで区民が自己の住宅を修繕する場合に必要な資金の融資を金融機関にあっせんし、その利子の一部を補給することで、区内の住宅リフォーム需要などへの対応を図る「住宅修築資金融資あっせん」を実施してまいりました。
 近年、あっせん件数が伸び悩んでいるため、この制度がより身近に利用可能となるよう取扱金融機関の拡大を図り、平成11年度までの2行11店舗を、平成15年度では17行55店舗まで増やすなどの対応をしてまいりました。しかし、あっせん件数は平成6年度の82件をピークに年々減少を続け、平成14年度は、15件と、低減傾向を変えることはできませんでした。
 また、平成15年度の行政評価委員会で「事業開始当初とは社会状況も変化し、民間金融機関での対応も十分可能であり、この事業による効果も極めて少なくなっている。また、高齢者や障害者向けの助成制度や建築物にかかる他の制度も充実してきていることから、本事業は廃止すべきである」とされました。
 このような状況を踏まえまして、平成16年度から、新規の融資あっせん対象を耐震診断による耐震補強工事に絞るなど、見直しをするもので、新たな住宅助成制度を作ることは考えておりません。
 次に、金町駅南口再開発事業についてのご質問にお答えいたします。
 始めに昨年度行う予定でありました地盤調査や確定測量が遅れている原因についてであります。金町六丁目地区市街地再開発準備組合では、当初、平成15年度の秋までには都知事の認可を得て組合を設立し、その後、地盤調査と確定測量を行う予定でありました。しかし、秋までには住宅デベロッパーなどの保留床処分先が決まらず、認可申請ができなかったものであります。
 しかしながら、その後も選定作業を続け、昨年末には保留床処分先である参加組合員候補が決まり、現在、定款に定める文言等の最終的な協議を行っていると聞いております。従いまして、近々には参加組合員が決定し準備組合から正式な発表があるものと考えております。組合の設立認可が下りますと、組合では、平成16年度中に実施設計や土地建物評価など、権利変換計画の作成に向けた一連の作業を予定しております。
 区といたしましても、来年度は、こうした作業に対する補助金の支出等を通して組合の活動を支援して参りたいと考えております。
 また、商業フロアーにつきましては、その大部分が権利床として権利者が出店する予定と伺っております。売却の必要性はなくなったものと認識しておるところです。
 なお、区が取得する図書館等の公益施設についてでございますが、区は参加組合員として事業に参加するものではなく、従いまして、現時点ではまだ、その購入価格は明らかになっておりません。 以上でございます。

(総務部長答弁)
 小規模業者登録制度についはお話にありましたとおり、以前にも、同様のご質問を高橋信夫議員からいただいておりますので、同様な内容でお答えさせていただきます。
 この登録制度のメリットは、登録手続きが簡単であることから、区内の中小建設業者への発注が期待されることであると認識しております。
 しかし、登録手続きが簡単であるということは、工事施工にあたっては、工事実績、信用力、技術力といった面での不安が残ります。また、本区では、御指摘の小規模工事や修繕については、区内業者間での指名競争入札または近隣の建設業者による見積もりも競争を行っており、小規模工事等は、事実上、区内建設業者がほとんど全てを受注しております。
 こうした発注の状況を踏まえますと、公共工事の発注量自体を増やすことはできませんので、新たな登録制度をつくることによって、現在、この仕事を受注している区内の中小建設業者からは、この分野の仕事を奪ってしまうことになります。
 また、新たな登録制度の運用にかかる事務コストについても十分に考慮しなければなりません。こうした問題点がございますので、お話にありました登録制度の導入にあたっては、慎重に考えるべきであること思います。以上です。

(鉄道立体・街づくり担当部長答弁)
 立石駅周辺地区の再開発を官主導から住民主体の計画に切り替えていくべきとのご質問にお答えします。
 再開発事業は、市街地における土地の合理的かつ健全な高度利用と、都市機能の更新を図ることを目的として行われる建築物及び公共施設の整備に関する事業であり、地権者と行政が一体となって取り組んでいく必要がございます。
 また、地権者で構成される市街地再開発組合により事業を行うことを想定していることから、地権者主導の計画が前提であり、地権者自ら活力を生み出すために、地域の実情にあった工夫をしていくことが求められるものであります。
 こうしたことから、立石駅周辺地区におきましても、地権者の方々が主体となって、再開発の実現に向けた活動に取り組んでいるところであり、区としましては、今後もその活動に対する積極的な支援を続けてまいります。以上でございます。

(建設部長答弁)
 ご質問の地権者への「意向調査」につきましては、平成14年度に、登記簿から確認しました土地建物の全権利者を対象に適切に実施したものでありますので、改めて調査を行うことは考えておりません。
 また、事業計画につきましては、地権者の皆様方と話し合いを重ね、意向調査、事業計画の縦覧手続などを経て策定したものであり、意見を十分反映したものとなっております。
 次に、区画整理事業の同意率につきましてお答えします。
 土地区画整理事業の実施たあたっての地権者の合意につきましては、組合施行の場合は、組合設立に際し2/3以上の地権者の同意が必要と規定されておりますが、公共施行の事業には、そのような定めはございません。
 本区では、認可権者の東京都とも協議し、組合施行以上の地権者の同意をもって、事業実施を決定したものでございます。
 次に、現場事務所は、既存の区施設などを活用すべきとのご質問にお答えいたします。
 現地事務所は、地権者の方々の相談所となるものであり、できる限り事業区域に近いことが必要でございます。
 お話にありました施設につきましても、その活用を検討しましたが、事業区域から離れていること、また、施設の老朽化が激しいという理由により断念したものでございます。以上です。