●第3回定例会 渡辺キヨ子区議の一般質問  2004
【目次】
1、非核平和事業について
2、イトーヨーカドー新亀有店について
3、踏切対策について

【答弁】
 私は日本共産党葛飾区議会議員団を代表して区政一般質問をいたします。
 最初に、非核平和事業についてであります。
 来年は広島・長崎に原子爆弾が投下されて六十周年を迎えます。
 私が参加した広島の平和祈念式典では、秋葉忠利市長が来年の八月九日まで、核兵器のない世界を創るための記憶と行動の一年にすることを宣言しました。
 長崎での平和祈念式典で伊藤一長市長は、たった一発の原爆によって、まちは一瞬にして廃虚となった惨状とその後の被爆者の苦しみ、悲惨な現実を訴えました。
 また、今なお一万発の核兵器を保有し、臨界前核実験をくり返し、「使える」小型核兵器開発を進めるアメリカに対して「人類の生存のために残された道は、核兵器の廃絶しかない」と訴え、日本政府に平和憲法を守る事と、非核三原則の法制化を求めました。 
 区長は、長崎市の平和祈念式典に参列されましたが、来年の被爆六十周年という節目にあたり、今後本区の平和事業をどのように推進されるのか決意を伺いたいと思います。
 以下、具体的な点について伺います。
 まず、本区で毎年開催する平和祈念式典をもっと若い世代や一般区民が参加できるように工夫をすべきではないでしょうか。例えば、朝の式典の他、夜は「(仮称)ピースナイト」と称して、平和公園にそれぞれがピースキャンドルを持ち寄り、平和コンサートをおこなうなど、いかがでしょうか。
 第2に、広島祈念式典への青少年の派遣事業を復活すべきと思うがどうか。
 第3に、小中学校の子どもたちに平和の尊さを語り継ぐために葛友会の「被ばく体験講話会」活動に一層協力すること。同時に小中学校での原爆パネルの巡回展示をやってはどうか。
 第4に、郷土と天文の博物館に平和コーナーを常設し、また、来年青戸平和公園内の保育園を開設しますが、平和祈念展示場を併設を検討すべきと思うがどうか。

 次にイトーヨーカドー新亀有店について質問します。
 さる七月六日に環境影響評価書案への「都民の意見を聞く会」が開かれ、私をふくめ十一名の住民が意見公述を行いました。
 大気汚染の調査結果は実態と異なる、現地調査の期間が短すぎる事、都の環境保全の方針に沿っていないなど、環境影響評価書案の問題点についてこもごも指摘されました。
 また、喘息の公害患者は住民の命と健康を守ってほしいと切実に要望しました。
 その後、都の「環境影響評価審議会」が開かれ、「都知事意見書」としてまとめられ、イトーヨーカドーに出されました。
 「都知事意見書」では、第一に「大気汚染」をあげ、「二酸化窒素及び浮遊粒子状物質については実態を反映した環境測定値を用いて、適切に予測・評価する」よう指摘し「騒音・振動」「地盤」についても言及しています。
 この「都知事意見書」の指摘は、関係住民をはじめ、わが党も議会でくりかえし指摘し、区長も同様に指摘してきたことです。
 そこで、区としても次の点をイトーヨーカドーに求めるべきと思うがどうか。
1、区民の声や都知事の意見を重く受け止め、大気汚染の測定をあらためて行うこと。
2、その結果について再度、地域住民に説明をすること。
3、建設予定地が深刻な大気汚染地域である事を認識し、以下の計画変更を求めるこ
と。
 @、公共交通機関利用の呼びかけ、巡回バスを出す等、施設の集客方法を見直し、施設・駐車場の規模の縮小をはかること。
 A計画以上の緑化をはじめ、光触媒やグリーンエネルギーなどの技術を用い、周辺地域 の大気汚染や、環境にさらに配慮した事業に努力する事。
4、以上の3点にそって、あらたな評価書を作り、住民に説明をするまで一切の工事を凍結すること。

 一方、「大規模小売店舗立地法」に基づく届け出が、さる六月十六日に東京都に対して提出され、現在、八月十六日から広告・縦覧されています。
 広告・縦覧が始る前に、説明会はすでに六月二四日に実施されました。
 この説明会で住民に配布された資料は、例えば騒音や交通量の予測のデータなどは全く記載されず簡素なものでした。しかし、広告・縦覧された届出書にはこうしたデータが記載されており、近隣住民に新たな不安が広がっています。
 データを隠し、簡潔な資料のみで説明会の開催は、区民を愚弄しているものと言わなければなりません。
 立地法にもとづく届出書の説明会をあらためて開催すべきと思うがどうか。
 さて、計画の内容も問題です。
 第1に、届出書によれば、ショッピングセンターの駐車必要台数は一二七三台でよいが、シネコン等の施設があるため、二千台を確保したとしています。
 環境アセスの都知事の意見を踏まえたものとは到底考えられません。
 駐車場は縮小し、自転車駐輪場を増やし、公共交通機関の利用を呼び掛けるよう求めるべきと思うがどうか。
 第2に、営業時間の問題です。
 シネコンも併設するため、「通常期は午前9時から翌午前0時30分、繁忙期には午前8時から翌午前2時までを予定」としています。
 こうした長時間営業による近隣住民への影響ははかりしれないものです。
 営業時間の短縮を求めるべきと思うがどうか。
 第3に、騒音の問題です。
 高速道路沿線では、実測値で60デシベルを超えると、家屋に対して防音工事など具体的対策を講じなければなりません。これは60デシベル以上は日常生活に支障をもたらす騒音だからです。
 しかし、届出書では、閉店時間の午後11時以降の帰宅自動車による騒音が72・3デシベルと規制基準値を大幅に上回るデータもあります。
 周辺住民への騒音は重大であり、騒音の改善を求めるべきと思うがどうか。

 イトーヨーカ堂は、今後、巨大なショッピングセンターを各地に十店舗ほど展開すると表明し、すでに足立区西新井に出店するとのことです。三菱跡地にも入るのではないかと、地元ではささやかれています。
 「規制緩和」の名で、すすめている大型店の出店、深夜営業などを野放しなど、無秩序な「競争」激化が商店街を直撃しています。
 住民にとって身近な商店街は、文化、青少年の教育、防犯等に貢献する役割を果たしています。
 だからこそ、区長も、都への要望のなかで「都の『立地法運用手続要綱』は、国が示した指針の範囲内での運用手続きを定めているに過ぎない。まちづくりの観点も含め地域の実情を反映した運用を図られたい」と指摘したのではありませんか。
 まちづくり「条例づくり」や、「ビジョンづくり」の動きが各地ではじまり新たな模索も行われています。
 京都府は、地域経済活性化に欠かせない商店街を守る為に、一九五九年制定された商調法(小売商業調整特別措置法)は現在でも生きている。正式な申請があれば申請を受理し、法に基づいて調停・斡旋もおこなうと表明しました。
 本区でも都に対し、小調法にもとずく手続きを求めるべきと思うがどうか。
 また、大型店から、既存商店を守るために新たな「区条例」が必要と思うがどうか。

 最後は、踏切対策についてです。既に所管委員会にも報告された通り、東京都は六月に「踏切対策基本計画」を発表しました。
 踏切は、町を分断し、日常生活、商業、文化など町の発展を疎外し、また、交通渋滞、電車と自動車、人が交差により事故を起こす原因になっています。
 「報告書」によれば、東京の踏切は、一一八七ケ所もあり、ニューヨークの一一三ケ所の十倍、ロンドンの六十倍、パリの八十倍と異常とも言える多さであります。
 しかも踏切による東京の経済損失は、年間四、000億円と推計され、あらためて、その解消が急がれています。
 「報告書」では、三九四ケ所を重点踏切とし、二〇二五年度までに何らかの対策をおこなうとしております。
 葛飾区内で重点踏切とされたのは、13ケ所であり、京成本線の堀切菖蒲園第1、第3号。お花茶屋第1、2号、高砂第1、第2、第3、第7、第9号。金町線の柴又第4、第5号の二ケ所。新金線の二ヶ所であります。
 このうち、高砂大踏切を含む高砂駅から江戸川駅の区間を連続立体化事業とし、それ以外は、道路立体など他の対策を講じるというものです。
 この連続立体化は、十七年前、八七年十二月の北総線開業時の協定書で、「区が連続立体化を計画した場合、京成・北総は積極的に協力する」と合意されており、また江戸川区と東京都、京成電鉄の参加で勉強会が設置され、今年度中に一定の方向付けをすると聞いております。
 補助282号道路、二六四号道路整備との整合性や、高砂車庫の取り扱い、京成本線、北総線、金町線の取り扱いなど複雑な問題をかかえておりますが、住民の意見意志を尊重しつつ、すみやかに計画・実行されることを望むものです。
 同時に、それ以外の踏切対策及び立体化以前の取組みも急がれており、私は、その問題にしぼって質問します。
 第1に、お花茶屋2号踏切です。
 私は、二〇〇〇年の第四回定例会で、補助二七三号の工事にあわせて京成本線の下をくぐるアンダーパス化を提案しました。
 しかし区は、@膨大な建設費が予測されること。A歩車道を有する側道を設置するため新たな用地買収が必要になること。B将来の連続立体交差化事業の芽を摘むことになるの三つの理由をあげて拒否をされました。
 しかし、建設費用で言えば連続立体にくらべ、単独立体・アンダーパスの方が安価です。また、歩車道側道の設置も、現存する区内二ケ所のアンダーパスは、新小岩も金町も歩道のみで車道の側道はありません。あえて補助二七三号に車道の側道を設置するとしても幅員は、環七なみの二五メートル〜三三メートルですから、十分可能ではありませんか。
 将来の連続立体化の芽を摘むと言われますが、上野線の立体化は、高砂駅〜江戸川駅の後とされ大分先の話であり、しかもその時々の経済や交通政策にも関連するもので、今から断定的できるものではありません。
 お花茶屋2号踏切は、直ちに地元自治町会、商店会など関係住民と協議をしてアンダーパスの計画化をすべきですがいかがですか。
 第2に堀切菖蒲園第3号踏切です。
 双葉中学前と平和橋通りをつなぐ272号道路が完成したのとき堀切菖蒲園第3号踏切の取り扱いが問題になってまいります。道路法三一条の規定によれば、新たに都市計画道路がつくられた場合、立体交差にしなければならなくなります。
 今から土地の買収計画をふくめて計画化し、その結果を公表し住民の納得が得られるようにしておくことが必要と思いますがいかがでしょうか。
 第3にそれ以外の踏切についてです。
 区内の踏切を調査し、それぞれ独自の対策が必要と感じました。
 高砂4号、堀切菖蒲園2号踏切は、重点踏切にされていませんが、車の抜け道となっているのか、かなり渋滞しています。
 「基本計画」では、特急、普通など電車の速度に合わせて遮断機の昇降および警報時間の制御をおこなうことや、踏切での一時停止による渋滞をなくすため、踏切信号機を設置することをあげています。また、交差点信号を踏切の遮断機とを連動させることなどで渋滞を解消させるための方策が列挙されています。
 お花茶2号踏切の場合、市川新道の交差点信号と遮断機の昇降が連動していないために渋滞となっており、これが有効だと思われます。
 この際、区内踏切の実態調査をおこない、一つひとつの踏切に具体策をたて解消にとりくむべきと思いますが、どうでしょうか。
渡辺議員の一般質問に対する答弁
(区長答弁)
 非核平和に関する事業については、「非核平和都市」をした葛飾区として、区民と手を携え、積極的に取り組んでいるところであるが、この度、監査委員から「平成15年度葛飾区各会計決算審査意見書」において、「もっと多くの人の集まる場所でパネル展等を行い、本区が非核平和都市宣言をしていることを多くの区民に周知すべき。というご意見をいただきました。
 監査委員の意見等を踏まえ、被爆、そして終戦60年という節目にあたる来年度は、毎年区民ホールでの「原爆パネル展」を拡充し、より多くの区民に本区が「非核平和都市宣言」をしていることを周知する効果的な事業の実施を検討しているところです。
 次に、「平和祈念式典」や「被爆体験講話会」、「原爆パネル」の貸し出しについては、それぞれ大変重要な事業であり、今後とも小中学校等への周知を積極的に行う。
 式典へのより多くの若者の参加や講話会の実施、及び原爆パネルを展示する学校の拡大に取り組みます。
 次に、「夜間の平和コンサート」や「広島祈念式典への区民派遣」「郷土と天文の博物館への平和コーナー」の常設と「青戸平和公園内の保育園への平和祈念展示場」の併設については、費用対効果やスペースなどの点で実施は考えておりません。
 
(環境部長答弁)
 影響評価書について、イトーヨーカドー新亀有店ショッピングセンター建築事業については、都の環境影響評価条例にもとづく手続きが進められている。
 現在は、学識者による審議会答申を受け、環境影響評価書案に対する区長の意見書や区民意見、事業者の作成した見解書等を勘案し、都知事が評価書案についての審査意見書を事業者に送付した所である。
 今後は、審査意見書や知事に提出された都民、区民意見、区長意見、都民の意見を聴く会で記録された.意見に基づいて、事業者が評価書案に検討を加え、作成した環境影響評価書が知事に提出されることとなっています。 
 区では、このような環境影響評価手続のなかで、環境影響評価書案に対して、自動車交通量の増加による大気汚染防止のための措置をはじめとした環境保全対策を求める意見を述べてきたところです。  .
 区としては、イトーヨーカドー新亀有店ショッピングセンター建築事業の環境影響評価手続は、現在まで、適正に行われていると考える。
 従って、こうした環境影響評価手続のなかで、大気汚染の測定をあらためて行い、その結果を地域住民に説明することや、環境改革のための施設・駐車場の規模の縮小などに沿った新たな評価書の作成、住民に結果説明をするまでに工事の凍結をイトーヨーカ堂に対し要望することは考えていません。
 大店立地法にもとづく届出書において、区長意見として盛り込むべき項目についてのご質問にお答えします。
 大店立地法制定の趣旨は、大規模小売店の立地に関し、周辺地域の生活環境を保持することで、公正で透明な手続きを確保するため、指針で届出すべき項目が定められています。
 この届出をもとに、区や区民や区内に存する団体が管轄官庁である東京都に意見を提出する仕組みとなっています。
 まず、駐車場、駐輪場の台数については、大店立地法の指針及び葛飾区条例で定める基準をクリアしている。その限りでは、区として更に意見を提出することは厳しいと考えています。
 次に、立地法に基づく説明会は、届出から2ケ月以内に行うとされており、今回、届出は6月16日にされており、建設予定地から500メートルの範囲の全ての世帯に説明会開催の通知が行われてるので、再度の説明会開催を求めることは区として現在は不要と考えています。
 次に、営業時間及び騒音についてのご質問については、意見提出の内容を整理する中での課題のひとつと考えております。

(地域振興部長答弁)
 大型店から商店街を守るための「区条例」と小売商業調整特別措置法にもとづく斡旋・調停のご質問にお答えします。                  
 大店立地法は、近年の規制緩和の流れの中で、従来の」商業調整は対象とせず、主に環境面で大型店と地域社会の融和をはかる事を目的としている。従って、区としては大型店の出店に対して既存商店街が自主的に行う活性化に向けて取り組みを側面から積極的にしえんしているところであり、新たに区条例を制定する考えはございません。
 次に、小売商業調整特別措置法に基づくあっせん・朝廷については、この法律は大企業が物品販売事業を開始することなどにより、中小小売商業者との間で生じる紛争解決等のための近況避難的な措置を規定しているものです。商業調整を目的とした旧大店法とは、その性格を異にしており、大型店の出店を広く規制するものではないとした国の見解があります。従いまして、区が東京都に対し、斡旋・調停の実施を求める考えはありません。

(街づくり担当部長答弁)
 お花茶屋2号踏切のアンダーパス化計画についてのご質問にお答えします。
 踏切対策基本方針において、重点踏切に抽出されたお花茶屋2号由切等につきまして、葛飾区といたしましては、踏切対策を個々に行うのではなく、鉄道による地域分断が解消されることや、多数の踏切が一遍に解消されること、高架下の利活用が図れることなどを総合的に判断し、鉄道連続立体が望ましいと考えております。
 仮に、お花茶屋2号踏切をアンダーパスとした場合、市川新道とのアクセスができないことや、新たに東西分断が発生するなどの課題も多く、困難と考えています。
 都市計画道路補助第272号線につきましては、本年3月に東京都と特別区で策定いたしました、区部における都市計画道路の整備方針に基づき、平成16年度から平成27年度までの12年間に事業に着手若しくは完了させる路線として第三次事業化計画に選定されており今後、この計画に基づき事業を進めていきます。
 なお、京成上野線の堀切菖蒲圃駅から青砥駅までの区間は、鉄道連続立体を最良案としております。
 このため、補助第272号線と京成線の交差につきましては、平面交差の暫定整備とし事業を進める予定です。
  次に、区内踏切の実態調査についてのご質問にお答えします。
 現在、「踏切対策基本方針」を踏まえ、東京都、鉄道事業者、関係自治体において、「踏切対策推進会議」を設置し、個々の踏切に対し、調査・検討を開始したところであります。今後、検討結果を基に、順次、対策を講じてまいります。