●渡辺好枝議員の2003年度決算に対する反対討論 |
失業や倒産が相次ぐ中、区民の暮らしと営業は深刻な状況にあります。 こうした時、小泉内閣の進める構造改革は、「民でできる事は民で」と、規制緩和によって民間企業に市場を解放し、国の責任である社会保障や教育など次々に投げ捨ててきました。 また、東京都も「第二次財政再建推進プラン」に基づき、都市再生の名で再開発をすすめる一方で保育園への補助金の削減など都民生活に直結する施策を切り捨て、水元青年の家など一〇〇を超える都立施設を廃止しました。 福祉関係費を大幅に削ったのは大都市では東京だけです。 このような時こそ、住民の福祉の増進に寄与する地方自治体の使命として区民生活を守る防波堤の役割を果たさなければなりません。 しかし、本決算は、国・都の流れにそって、区民の願う福祉、暮らし向上に反し、自治の切り捨てなど「痛み」 を押し付けるもので、容認できるもの ではありません。 第一に、重要な区民施策の廃止・縮小を行った事です。区民要望の強い伊豆高原保養所を建設時の十分の一以下で売却した事はその典型でもあります。低所得者への援助を強めなければならない時に生業資金貸し付け審査を厳しくし、敬老館の風呂廃止、老人クラブの補助金削減など切り捨てたことは重大です。 第二に、区の責任を放棄する民営化や民間委託をさらにすすめた事です。支援費制度に伴い障害者福祉館の民間への移管は、補助金削減を伴うもので、運営を困難にするものです。また福祉サービス第三者評価の導入は、福祉施設への営利企業参入を促進するもので百害あって一利なしと言わなければなりません。 第三に、教育振興ビジョンを策定し、教育分野においてさらなる競争教育を 持ち込んだことです。このビジョンに 基づいて行われる学力テストの結果を学校別に公表すれば学校間の競争は必至です。また学校給食について直営のレベルアップではなく、民営化を「不退転の決意で」すすめると表明したことは重大です。小学校の校具・教材・物品購入費は十年間で半減となっており、こうした小中学校の教育予算削減は、教育条件の整備を悪化させるものです。 第四に、区民施策を削る一方で、金町駅南口再開発などの大型開発をすすめていることです。とりわけ金町駅南口再開発への過大な駐車場の導入は、図書館機能を阻害するもので計画の根本的な見直しが必要です。また立石再開発事業は、今のままでは行き詰まる事は明らかで、地権者全体の創意を生かした修復型再開発を含む身の丈にあったまちづくりとすべきです。 第五に、不公正な同和行政を続けていることです。 第六に、こうした区民施策を削った財源で当初予算に計上した五倍もの減債基金の積立てを行った事は問題です。 国民健康保険事業特別会計は、十年連続で値上げしてきた結果、加入者の四分の一が滞納となっており、資格証明書の発行も前年比で七倍になりました。減免制度の拡充と保険料の値下げこそすべきものです。 介護保険事業特別会計は、基金積立の取り崩しによって値上げの必要がなかったにもかかわらず、その取り崩しを一部にとどめ値上げしたことは区民の願いに逆行したものです。低所得者対策としての保険料・利用料の減免制度の実施は急務となっています。 以上の理由により、日本共産党葛飾区議会議員団は、二〇〇三年度葛飾区一般会計歳入歳出決算、国民健康保険及び介護保険事業特別会計歳入歳出決算に反対しました。なお、老人医療事業特別会計、用地特別会計及び駐車場 事業特別会計歳入歳出決算は、認定します。 |