●第1回定例会 三小田議員の一般質問  2005
【目次】
1、介護保険について
2、踏切対策について
3、柴又の観光事業について

 私は先の通告にしたがい区政一般質問をおこないます。
 まず最初に介護保険についてであります。
 現在、国会において介護保険制度改革関連法案が審議されています。いわゆる介護保険制度5年目の見直しであります。今回の見直しは、国民の声を反映して保険料の第2段階を2つにわけて軽減をするなどの改善点も含まれていますが、全体としては、施設利用者への新たな負担増、「予防重視」の名で在宅利用者のサービスを抑制する給付減が中心という、大幅な負担増を国民に押し付ける、制度の大改悪と言えるものです。
 たとえば特養ホーム利用者には、ホテルコストと言って食費や居住費を保険給付の対象からはずし原則自己負担にします。厚生労働省の参考例で見ると第4段階の方で相部屋では現行の月額56000円から見直し後87000円となり、差し引き31000円の増、年間にすると37万円もの負担増となります。
 また住民税非課税で年収80万を超える世帯、いわゆる第3段階の方は毎月約15000円の負担増です。まさにお金がなければ利用させないという冷酷なものです。これはショートステイの食費や居住費、そしてデイサービスの食費も同様です。
 政府は、在宅の人は住まいや食事は自己負担しているから、施設の高齢者も公平に負担せよと言っています。しかし、この理屈は成り立ちません。たとえば老人保健施設は自宅に戻ることが原則ですので自宅を手放す事はできません。特養ホームも家族がいる場合、入所したからと言っても家族が払う家賃が引き下げになるわけではありません。また、特養ホームに入りたくても順番待ちで入る事ができず、自宅をもちながら、老人保健施設を転々としている方も少なくありません。このような人たちと家族にとっては、このホテルコストの徴収は二重に負担を押し付けるものであり、絶対認めることはできません。
 また東京都が特養ホームの人件費に関わる運営費加算を大幅に削った事は重大です。私の知人が働いている施設では来年度から7%の給与の減額が示されたそうです。福祉分野で働く方々の将来をつむような都政に改めて怒りを感じます。
 見直すと言うなら、施設に入りたくても入れない現状を改善し、利用料を所得に応じた応能負担に変える事ではないでしょうか。
 在宅サービスの抑制も重大問題です。介護予防に力をいれるとして、「新予防給付」を創設します。介護呼ぼうは重要ですが、この「新予防給付」は、軽度の人たちの介護サービスを切り捨て、介護給付費をいかに削減するか、という観点からでてきたものです。
 現在の要支援・要介護1の約8割の方を要支援1と要支援2に名称を変え、「新予防給付」に移行させ、これまで受けていたホームヘルプサービスを原則廃止にするものです。
 政府は、訪問介護サービスを受けているから「生活機能が低下するんだ」と言いますが、これは実態を無視した暴言です。
 私は、先日、ヘルパーさんに直接お話をお聞きしました。ホームヘルプサービスの利用者の半分が要支援、要介護1の方で、週1回、1時間?2時間が平均だそうです。したがって、それ以外の時間は、お年寄りが一人で頑張って生活をしています。自分でなかなかできない事を週1回補うことで自らの生活を支えているというのが実態です。また引きこもりや認知症が進み、外出が少なく、人との接触が少ない方の所にヘルパーさんが行って声をかけながら洗濯や掃除をする、この事が精神的な意味でも在宅生活を支え自立支援に役立っています。もしこれがなかったら「生活や家の中は荒れてくるのは目に見える」とそのヘルパーさんは言われていました。
 認知症がすすんでいる方は、ヘルパーさんが来る日には朝起きて布団もあげて待っているそうです。こうした日が週1回あるからこそ、重度化を防ぐ事ができているとも言えます。ホームヘルプサービスの利用は「生活機能を低下させる」どころか重度化を防ぎ、介護予防にもつながるものです。
 国は、ホームヘルプサービスの軽減対策も打ち切ろうとしています。介護保険制度が始まる前から利用していた低所得者に対しては「特別対策」として軽減制度が作られましたが、本区では現在263人の高齢者の方が利用料6%でサービスを受けています。
 東京都の生計困難者に対する軽減制度の利用者は、年々増えており、03年度の延べ利用者数は02年度の約1、4倍になりました。低所得者対策がいかに重要であるかを示しています。こんな時に国が、「特別対策」を廃止し、一律10%の利用料を負担させる事は、サービスの打ち切りに等しいものです。低所得者への軽減制度を充実させ、誰もが安心して受けられる介護保険制度に改善してこそ、真の見直しと言えます。
 在宅サービスについてはショートステイの問題もあります。父親が入院して3ヶ月目で他の病院を探すよう言われても、認知症の母親を抱えて探しにいけない、どこかに預けたいと思ってもどこもなく途方にくれているケース、90才の母親を介護している60才の息子が体調を崩し、ショートステイを探したが、それから10日後の受け入れしかなかったケースなど、在宅介護を支えるためのショートステイの不足は極めて深刻だと言わなければなりません。
 そこで質問します。
 1、要支援・要介護1のホームヘルプサービスの原則廃止は、お年寄りの自立支援に逆  行するものであり、国に対してやめるよう求めるべきと思うがどうか。
 2、低所得者に対する軽減制度として実施しているホームヘルプサービスの「特別対策」を継続するよう国に求めるべきと思うがどうか。仮に廃止なった場合、人数的に  は250人前後であり、区独自の支援策を講じるべきと思うがどうか。
 3、緊急時のショートステイを確保し、区として管理すべきと思うがどうか。
 4、保険料・利用料の区独自の減免制度を創設すべきと思うがどうか。
 5、国庫負担を当面30%に引き上げるよう求めるべきと思うがどうか。

 次に踏切対策について質問します。
 踏切対策は、第3回定例会でも取り上げましたが、高砂駅周辺に絞って質問をします。
 まず高砂駅あかずの踏切問題ですが、この間地域での署名運動や集会、議会での請願の採択、区としても予算をつけて調査・検討するなど、解消に向けて一体となって取組んでいます。住民の意見・要望が反映され、一日も早く解消するよう取組みを強めていかなければならないと考えます。
 そこで、あかずの踏切り問題解消までに、現状を少しでも改善していくための提案をおこないたいと思います。
 第1に、高砂駅南側にエレベーターを早期に設置する事です。昨年10月にまちづくり・交通特別委員会で成田新高速鉄動線開通に伴う検討課題として高砂駅南側にエレベーター設置の検討が報告されました。しかし、成田新高速鉄動線が開通する2010年をメドに、あくまでも「検討する」もので設置するかどうかの明言を避けるものでした。
 南側のエレベーター設置は、6年もかけて検討するような問題ではありません。南側の階段は43段あり、この階段を昇る事ができず、わざわざ北側に行く方もおられます。しかし、その踏切りがなかなか開かないのです。
 バリアフリーの環境整備をすすめる事は、お年寄りや障害者の外出を促し、「介護予防」にも十分な効果が期待されます。
 第2に、大踏切にかかっている歩道橋に自転車用のエスカレーターを設置する事です。亀有駅やお花茶屋駅の地下駐輪場には「サイクルコンベアー」または「サイクルライン」とも言うそうですが、自転車用のエスカレーターが階段に設置されています。その「サイクルコンベアー」に自転車をのせれば、力をかけずに自転車を上に上げて行く事ができます。歩行者はエレベーターを、自転車で若い方は歩道橋を、それだけでも大踏切での混雑を改善していくことができるのではないでしょうか。
 第3に、大踏切の踏切道を広げて、歩行者の安心・安全を確保することです。現状はどうかと言いますと、歩行者用のスペースがあると言っても単に白線がひかれてあるだけで、ほとんど見分けはつきません。踏切りが開くと一斉に車も人も自転車も前に進むわけですが、非常に危険です。
 左右に踏切道を広げる事によって歩行者・自転車の安心・安全の確保、自動車のスムーズな通過を保障する事ができます。 
 最後に高砂1号・2号踏切り以外に新型踏切を導入する問題です。新型踏切りというのは、電車の速度に応じて遮断機の動きを決めるものです。速い列車は早めに警報をならし、普通列車は、それよりも遅く警報をならし遮断機を降ろす。国においては07年度までに160ケ所の踏切りに導入し、遮断時間の短縮を図るとしています。
 そこで質問します。
 1、高砂駅南側に早期にエレベーターを設置すべきと思うがどうか。
 2、大踏切にかかっている歩道橋に自転車用の「サイクルコンベアー」を設置すべきと  思うがどうか。
 3、大踏切の踏切道を拡幅し、歩行者・自転車の安心・安全を確保し、自動車のスムーズな通過を保障すべきと思うがどうか。また歩行者・自転車のスペースは色を変えて区別すべきと思うがどうか。
 4、電車の速度に応じて遮断機の動きを決める新型踏切の導入をすすめるべきと思うがどうか。

 次に柴又の観光事業について質問します。
 来年度予算案では「(仮称)観光プラン」の作成予算が計上されています。昭和63年に策定された「観光レクリエーション構想」以来17年ぶりの改定となります。現在策定準備がすすんでいる「地域産業活性化プラン」の中にも観光資源の積極的活用が示されていますが、今度の「観光プラン」が本区のイメージをさらに豊かなものにし、全国に発信できるものになることを大いに期待するものです。
 さて、私は01年12月の区議会本会議で柴又の観光事業について質問しましたが、「観光プラン」作成にあたって、改めていくつかの提案をさせていただきます。
 まず第1に、「プラン」の策定委員会の問題です。区でプランや計画を作る場合、だいたい同じ顔ぶれになりがちであります。今回は、学識経験者、観光関係者、関係機関で15名となっていますが、この中に、民間の観光プロデューサーを入れる事が魅力あるプランを作るうえで必要だと思います。
 柴又、水元、堀切など区内に点在している観光資源をどう売り込んでいくか。いわば新たな開発と企画・立案であります。そのためにも観光業界で活躍する観光プロデューサーの力が必要です。観光プロは企画・立案だけでなく、その企画を売り込む仕事もされる方で、墨田区では観光プロデューサーの登用を決めたそうであります。
 本区でも18年ぶりの大仕事として「観光プラン」策定委員会に民間の観光プロデューサーを入れるべきと思いますがいかがでしょうか。
 第2に、区内に点在している名所・旧跡などの観光資源や伝統工芸、農業や商業などのあらゆる産業資源を点から線に結び付ける新たな観光ルートを作る取組みです。
 この間、柴又の魅力を案内するということで「シニア観光ボランティアガイド」が始まり、観光とともに柴又の歴史や街並を知っていただくという取組み、全国に目を向けると音声ガイドや携帯電話が案内人になる「ケータイ案内人」などさまざまな工夫がされています。こうした取組みをする場合、案内をするルートが作られていなければなりません。区のホームページを見ると、点在している観光資源だけを紹介しており、大変もったいないと思います。
 豊島区では、花名所、散歩コース、伝統工芸など8つのコースを設けた「豊島区観光案内」を作り、区内のあらゆる資源を線で結び付ける取り組みをしています。本区でも、観光ルートを新たにつくり、歩きたくなるようなマップの作成や案内版を設置すべきと思いますがいかがでしょうか。
 第3に、新たな観光名所を作る問題です。区内には伝統産業職人の方がたくさんいらっしゃいます。立石7丁目にある伝統産業館は、こうした伝統産業への支援をする上で貴重な役割を果たしていますが、場所については検討すべきす。柴又の「寅さん記念館」の表にある観光情報センターを単なる休憩所にせず、伝統産業館を移転させる事でその機能を充実させる事や周辺の適地を活用して美術館や映画館などの設置を検討し、新たな観光名所を作っていくべきではないでしょうか。
 第4に、広大な自然である河川敷のアピールについてです。
 昨日も河川敷についての質問がありました。河川敷の歴史や自然には奥深いものがあろうかと思いますが、川岸にそって水路がある事をご存知でしょうか。幅約3m、長さ約300メートルと言われる水路で、いつ頃、作られたかは不明です。この水路を偶然にも写真におさめている方がおられ、私は、その写真を拝見させていただきましたが、今度の浚渫工事によって、この水路がこわされるのではないかと心配されています。この機会に区としても一度、調査をする必要があると思います。
 さて、私は最近、「一葉からはじめる東京町歩き」という本を読みました。そこには柴又の事が次のように書かれてあります。「柴又を、単に『寅さんの柴又』と見るのは、あまりにももったいない。『木彫の寺』帝釈天も素晴らしいが、これに劣らず貴重なのは江戸川の流れと広々とした河川敷の光景である。柴又側から眺める対岸は矢切。とくに早春、草が生え始めたときの若草色の土手は美しい。」とあります。早春だけでなく夜明けや夕焼けも見事なものです。また柴又付近はバリアフリーもほどこされ、堤防もリニューアルされました。
 しかし、残念ながら、この広大な自然である河川敷について区のホームページでは紹介されておりません。江戸川河川事務所がカラーのパンフを作ったり、「江戸川寅次郎」というホームページで江戸川のすばらしさを紹介していますが、どちらも大変見ごたえのあるものになっています。ただ非常に残念ながらホームページは今月末をもって終了となります。
 都内でも唯一の水郷公園である水元公園が開園40周年を迎えますが、こうした時にホームページを思いきって改善する事やパンフレットの作成、ケーブルテレビなどのマスコミを積極的に活用し、河川敷や水元公園など全国に発信すべきと思いますがいかがですか。
 最後にレンタサイクル事業です。前回の観光レクリエーション構想の中には、「水元公園から金町駅、柴又駅を繋ぐレンタサイクル事業の実施」とありますが、実際には、その逆「柴又から」は実施されました。今度は構想通り「水元から」もレンタサイクルが利用できるようにレンタサイクル事業を拡充すべきではないでしょうか。
 以上で私の質問を終わりますが、答弁いかんによっては再質問をおこなうことを申し添えておきます。