●中村しんご議員の区予算案に対する反対討論 |
日本共産党葛飾区議会議員団を代表して、2005年度葛飾区一般会計予算及び国民健康保険特別会計予算に対する反対討論を行ないます。 小泉内閣による公的年金控除の縮小や配偶者特別控除の廃止は、国民生活に深刻な影を与えています。さらに定率減税の縮小をはじめとした増税・負担増路線によっていっそうの痛みが押し付けられようとしています。 また、都政では、都市再生の名で進められる大型開発による環境悪化や福祉の切り捨てによって都民生活が脅かされています。 こうした中、区政が区民生活を守るために果たすべき役割は、ますます重要になってきています。 2005年度区予算は、わが党が一貫して要求してきた子どもの医療費助成の拡充、耐震改修助成の実施、栄養士の増員、学校図書館支援指導員の配置、小学校普通教室の冷房化、介護施設の増設、障害者福祉センターの設置など評価できるものも含まれていますが、全体としては、民営化の推進で自治体としての役割の放棄、区民にとってなくてはならない制度改悪や切り捨ての一方で都市整備費を大幅に伸ばすなど、区民の生活実感、区民の目線から見るならば、消極予算であると言わなければなりません。 第一に、公的責任を投げ捨てる姿勢が露骨に現れている事です。 公共施設への指定管理者制度の導入は、自治体としての公的責任を後退させ、プロポーサル方式による業者選定は不公正をうみだすおそれがあり、ましてや兼職禁止規定をはずし区長、議員及び特別職に参入の道をひらくことは「新たな政・官・業」の癒着を生み出しかねません。 営利企業による認可保育園の運営は、本区と社会福祉法人などの関係者が長年にわたって築き上げてきた「葛飾の保育」をほり崩しかねないものです。 また単独の学童保育クラブはすべて民営化し、障害者施設は、直営で残るのは一ケ所だけになりました。 区立幼稚園の統廃合や学校給食の民間委託など、公的責任を大きく後退させた事は重大です。 こうした民営化をいっそう促進するために福祉サービス第三者評価が実施されていますが、認められません。 第二に、区民施策の切り捨てで、いっそうの負担を区民に押し付けている事です。 毎年連続して行なわれている国民健康保険料の値上げによって滞納者は増加し続けています。制裁措置として、短期証や資格証の発行を大幅にふやしていますが、受診抑制と重病化をまねき、かえって医療費が高騰するという悪循環を招いています。 社会保障制度としての国民健康保険制度という原点にたちかえり、短期証や資格証の発行を抑制し、独自の減免制度の充実にこそ取り組むべきであります。 その他、女性福祉資金の廃止は女性の自立支援に逆行し、各種講座の廃止は、区民の生涯学習の機会を奪うものです。住宅修築資金融資の中止も認められません。 第三に、本区はガン死亡率が全国平均よりも高く、早期発見の受診体制を強化すべきです。ところが、巡回区民健診の廃止、高砂・水元保健センターの事業縮小、ガン検診の有料化や値上げは逆行するもので問題であります。 第四に、学校教育を大きくゆがめ、いっそうの競争と管理教育を強めようとしている事です。 学習定着度調査、いわゆる「葛飾版学力テスト」の実施は、競争に拍車をかけ、学校や教員、生徒の管理強化や序列化につながるもので、実施すべきではありません。 子どもたちや父母、関係者に十分な相談も無く中学校の夏休みの縮減も認められません。教育行政として取り組むべきは、30人学級の実現で一人ひとりに行き届いた教育環境を整備する事です。 第五に、環境問題への取組にも問題があります。 家庭ゴミの有料化に傾斜した発言がありましたが、有料化した各地の自治体では不法投棄の拡大、モラルの低下など循環型社会づくりに逆行する事態となっており、実施すべきではありません。 また、大気汚染や道路公害等の防止のためにディーゼル車排出ガス規制対策を継続すべきです。 第六に、大型開発や不公正を温存している事です。 立石駅周辺再開発事業は、反対する地権者が42%にもなっています。従来型の再開発を改め、住民本位に転換する事が必要です。住民合意のない都市計画道路の事業計画は税金の無駄遣いです。 金町駅南口地区再開発事業も見直しをすべきです。 また同和事業にしがみついているのは、まったくの時代遅れであり、一般施策へ移行すべきです。 以上の理由により、わが党は区予算の一般会計及び国民健康保健事業特別会計に反対いたします。その他の会計については賛成します。 尚、わが党は、議員提出議案として「議員報酬等の値下げと費用弁償を廃止する条例」を提案しました。これによって生み出される財源や不要不急の事業を削減したことによる財源を切実な区民要求実現するために予算修正案を提案しました。 保育料の第2子からの無料化、耐震改修助成や栄養職員の配置を上乗せするなどの提案でありますが賛同を得られませんでした。引き続き、区民要求実現に向けて全力をあげる決意をもうしあげまして討論を終わります。 |