●第3回定例会 野島英夫区議の一般質問 2005 |
【目次】 1、「葛飾区基本計画」素案について 2、まちづくりについて 3、教育行政について 【答弁】(要旨) 私は日本共産党葛飾区議会議員団を代表して区政一般質問を行ないます。 (1、「葛飾区基本計画」素案について) はじめに、「葛飾区基本計画」素案について質問いたします。 この質問通告を出したときは、素案しかありませんでした。通告直後の9日に私の手許に「案」が届きました。まだ、こちらは読んでおりません。したがって、素案のままで質問をいたします。また、質問の細目が若干入れ代わります。 現基本計画は、1996年に策定作業がおこなわれ、1997年から2006年の10年間の計画として策定されました。しかし、こんどの新「計画」素案は、1年前倒して、公表されました。 区政でもっとも重要な「計画」策定が、なぜ、今なのか疑問に感じます。 区長の任期は今年12月、区議の任期は今年11月であります。区長が再選をめざしていることは承知していますが、将来のことは「神のみぞ知る」ことであって、区議会議員も私を含め、誰が再選されるかはわかりません。 区政にとって、重要かつ今後の指針となるべき「計画」は、新たに選出された区長が提案し、新たに選出された議員が検討・審議するのがスジではないでしょうか。1年繰り上げた理由は何か、答弁を求めます。 この「計画」素案は、ホームページに掲載してパブリックコメントを募集しました。私も、それをプリントアウトしました。製本は図書館に一部おいてあったそうです。 区民フォーラム集会が区内数カ所で開催され、そのうちの一カ所に私も参加しました。しかし、これで43万区民に対する説明責任を果たしたとは言えないと思いますが、お考えをお聞かせ願います。 議員に対する説明資料の配布も、総務委員会と傍聴用の2冊が各会派に配布されただけでした。 今回はじめて配布されたのは、定例会の各常任委員会で質疑を予定し、10月下旬には、「基本計画」を完成させるためとのことです。これは議会軽視ではありませんか。 介護保険制度が始る前に、「高齢者保健福祉計画」「介護保険事業計画」を策定するために特別委員会をたちあげました。また今期冒頭でも、「子育て支援計画」を策定するために同様の体制をとりました。基本計画は、行政計画とは言え10年を決定する重要なものです。特別の体制をとって審議すべきと思います。 さて、「計画」素案では、経営戦略として、独自の「政策・施策・事業の方向性検討シート」を開発して、PDCAサイクルを円滑に運用できるようにしたとしています。 政策得点とか施策得点などというものを複雑な計算式で数字を導きだしています。 私も4回ばかり、担当者の所に行ったり来たりして、レクチャを受け、計算にチャレンジしましたが、結局、すべてを把握するにはいたりませんでした。 私が数学に弱いのは事実ですが、特別にレベルが低いとも思っておりません。この独特の「検討シート」を持たない区民は、この数値をどのようにして検証したらよいのでしょうか。数字の根拠も科学性を感じません。いかがでしょうか。 また、「理念」の「人権・平和」にまで政策得点の数字をあてはめるています。何の意味があるのでしょうか。人権とか平和は、数字で表せるものではありません。 ところで、計画素案では、5つのリ−ディングプロジェクトと5つの大規模プロジェクトをあわせて「元気満10プロジェクト」と称しています。その内、大規模プロジェクトに出されている事業は、基本目標別計画に列記されています。しかし、リ−ディングプロジェクトは、大学の誘致とかコミュニティビジネスの創出、水元フィットネスパ−ク構想などと計画されていますが、この項に書かれているだけで、あとはどこにも記載がありません。区民の声の評価も、コスト見込みも、成果指標と目標値もいっさいなく、別格あつかいになっています。 出されてきた経過も根拠もさっぱりわかりません。区長の思いつきでならべられたものなのでしょうか。ご説明を願います。 次に、「計画」の中身について質問をいたします。 基本計画は、地方自治の本旨に基づいて、住民福祉の増進を図ることを目的につくられなければなりません。しかし、この基本計画はその立場から大きくそれていると言わざるをえません。 この計画素案では、経営資源フレームの見通しを「現行の行財政制度を前提にして、近年の経済状況から、計画期間の10年間に2%増加すると見込」んだとしています。増加指数は、1・02です。 しかし、医療、高齢者支援、子ども・家庭支援、低所得者支援の医療・福祉支援は、軒並み0・97となっています。平均の伸びにくらべて、0・5ポイントも低く見込んでいます。 10年後は、この福祉関係分野は増やすのではなく、削減することを正直に語ったものではありませんか。理由をお聞かせください。 ただし、昨日、「案」のフレームを見ると、高齢者支援は、方向性指数が1・02に上方修正されました。「理論値による計画期間経営資源」と「計画期間の経営資源」の数字が、それぞれ100億円、80億円引き上げられたからですが、内容に変化があるのかを読み返してみましたが、平成16年度総コストをフレームに合わせた以外は違いがありません。この変化の理由もわかりません。 1・02は、現状維持を表す数字ですが、これからの高齢化率を考えるとこれまた後退であります。 福祉関係分野を削減している典型的表れは、低所得者福祉です。 この「計画」では「低所得層が増大する」と現状分析しています。 生活保護世帯は、この10年で倍増し、小・中学生の就学援助は、生活保護基準の1.3倍から1.1倍に引き下げたにもかかわらず年々上昇しつづけ30%を大きく上回っています。 それなのに計画の「低所得者福祉」事業の体系図をみると、現「計画」に比して、ほぼ半減しています。 この間、女性福祉資金や低所得世帯の赤ちゃんへのミルク代助成、法外援助事業の廃止がつづいたからです。 このままでは、低所得者福祉の放棄につながりかねません。積極的な事業化を求めます。 東京都は、生活保護世帯に対する新「支援事業」を計画していると聞いていますが、完全に法外援助事業を廃止してしまった本区では、新たな要綱づくりが必要になるのではありませんか。 特別養護老人ホームの整備計画を激減させたことは認められません。 選択の自由のうたい文句で始められた介護保険制度ですが、待機者が増大するなかで、得点をつけて高い人から優先入所する方式に変更しました。 ところがいつの間にか、最高17点の内、13点以上でなければ入所できない事態になっています。 13点とはどんな状態の方でしょうか。 要介護5の方でも80才の配偶者と二人暮し、エレベーターのない2階のアパートに居住している場合、10点にしかならず入所できません。配偶者が亡くなった時点でようやく13点になり対象になるのです。 要介護5で一人暮らしでも、住まいが介護上の問題が無い場合、11点で入所できません。借家で家主から改造を拒否された場合、13点になり入所の対象になるのです。 こんな基準こそ異常ではありませんか。 計画素案は、この13点を基準に、「優先度が高いと判定された希望者が申し込みをして1年以内に入所」できる計画になっています。 いまのひどい現状を今後も固定化しようということです。これでは待機者の解消にはならないではありませんか。 計画素案の「協同戦略」では「区民の所有する資産の大半は、65歳以上の高齢者が保有している」と評価して、公募債やPFIヘの出資をうながし、いわゆる「トラの子」をねらっております。 たしかに、平成12年版厚生白書をみると、60歳以上の家計資産は平均値で53・9%を占めております。しかし、13年版では高齢者世帯の貧富の差をみるジ二係数が高いと指摘し、17年版では生活保護世帯の急増の原因に高齢者世帯、とくに高齢者単身世帯をあげています。 そこから見えてくるものは、土地家屋、貯金をもった金持ち高齢者と、年金だけで暮らす生活困窮の圧倒的多くの高齢者の2分化です。 高齢者一般にあてはめ、高齢者金持ち論をひとり歩きさせ、施策後退の理由にしないよう求めておきます。 保育を営利企業のビジネス対象にすることも、社会福祉法人とともに支えてきた長年の保育実践を根本から否定するもので反対です。 待機児解消に認証保育所をふくめいますが、認証保育所の父母は、認可保育所に入れず、やむなく選択せざるを得なかった人が圧倒的です。 増設計画は、認可保育所を中心にすべきです。 学童保育クラブの成果指標と目標値の今も将来もゼロにしていることはいいとして、それでは、現状打開になりません。 学童保育はかつては40名が定員で、例外的に指導員を増員して55名を受け入れていました。ところが近年この定員を曖昧にし、70名以上の受け入れを行なっています。 学校では、国が少人数学級の取組を本格化させているとき、全く整合性がありません。 学童保育クラブの定数を定めて一クラブあたりの子ども数を減少させることを「計画」に位置付け、増設計画をたてるべきと思います。 以上4点にしぼって申しあげましたが、今日、自治体に求められている責務から遠く懸け離れていることを指摘するものです。 次ぎに、この計画素案に表れた新たな自治体の運営手法についてです。 「民でできることは民に」という小泉内閣と同じスローガンをかかげ、PFI手法による公共施設の建設、指定管理者による原則運営、コミュニティ・ビジネスの積極的参入を促進しようとしています。 私は、3月の予算委員会で、民間企業は営利を目的とするものであり、利潤を生み出さなければならない分、公務労働よりサービスが高くなるはずがないことを指摘しました。 また、民営化路線は、自治体の責務の放棄であると主張してきました。 ところで区は、予算概要で、立石図書館、保健所の建て替えについてPFI事業化等調査を委託し調査すると説明しておりました。いいかえますと、PFI手法がいいか悪いかを含めての検討ということであります。 それが今度の基本計画素案を見ると、保健所、立石図書館だけでなく、小中学校の建て替えまで含めてPFI手法を取り入れようとしているではありませんか。これでは、PFI先にありきです。 PFI手法ですぐ思いだすのは、宮城地震でプールの天井が落下し、多数のけが人をだした仙台市の「スポパーク松森」です。今年7月にPFI方式で建設されオープンしたばかりでした。 保健所や図書館、学校はプールとは同列にはなりません。区政の基幹施設です。 保健所の建て替えは、昨年3月に策定された「葛飾区保険医療計画」の事業を確実に実行できるよう、その機能と役割を高めることでなければなりません。とくに、わが区の特徴である全国・東京都に比較して、がん死亡率が高いと言う問題。これに対処するための検査体制、予防体制強化がもとめられるものです。 保険医療計画は、私も参加しましたが、今から11年まえに全会一致して決定したものです。そのとき、保健所の改築については、保健所、保健センター機能とあわせて健康増進コーナーを併設する健康づくりセンターを整備するとしていました。その後、2次の改定がおこなわれ今日にいたるものです。 保健医療計画の実施主体は、保健所、保健センターであります。 したがって、建て替え計画の実施主体は、計画をつくった区および区民代表でなければならないはずです。 PFI手法で、民間企業にゆだねられるべきものではありません。 まして運営を指定管理者にまかせたり、健康ビジネスの場にしたりしてはいけません。 そんなことをすれば、「民でできること」の「民」とは、区民の民ではなく、民間企業の「民」であり、「民営」化とは、区民による民主主義化ではなく、民間企業による「私営」化となってしまいます。 今回のやり方は、これまで区民参加ですすめてきたわが区の保健医療計画を、トップダウンで壊してしまうものです。 もっと慎重な検討を求めます。 立石図書館の建て替えもPFIでやることに疑問があります。 立石図書館の建て替えは、これまでわが党が再三にわたって要求してきたものであり、急ぐべき課題です。 しかし、それをPFIでやる理由がどこにあるのでしょうか。 無料を原則とする公立図書館を経済的収益を目的とする民間資本にゆだねるのには限界があると思うし、むしろ事業の効果を損なう危険を感じます。 また、公立図書館は、図書館同士あるいは学校との連携、協力、ネットワーク化がもとめられています。それを競争関係にある民間企業間でできるとも考えづらいし、学校への出張サービスもしかりであります。 まして図書館の自由との関係で見ると、なおさら慎重さが求められるところです。 以上の点から、PFI方式による建て替えはすべきでないと思うがどうか。 図書館建設で問題にしなければならない課題に、不便地域の解消があげられます。小菅・堀切地域、東金町地域の請願が、全会派一致で採択されて5年になります。急いで建設しなければならないのに、計画素案では後期に1館とされています。 請願との関係では1館不足しますし、その1館も6年先というのでは話になりません。奥戸地域をふくめ不便地域解消に真剣になるべきです。 また、図書館と銘うつ以上、住民は地域館規模のものを想定しています。改めて地域館建設計画をつくるようもとめます。 (2、まちづくりについて) 次に、「計画」素案に関連して2点の具体的課題について伺います。 第1に、まちづくりについてです。 本区では、大規模工場跡地や金町や立石の再開発が焦点になっています。 しかし、どれも主体者である住民を無視したものになっています。 まず、三菱製紙中川工場跡地の「新宿六丁目のまちづくり」です。 七月十九日、町会長や商店会長などを対象にした説明会が都市再生機構の主催で行なわれました。ここで示された内容は、約4万坪という巨大商業施設、1,500戸という都内最大の巨大マンションなどでした。 参加者から「地元商店街が潰れる」「交通渋滞が心配」などの意見が次々と出され、計画の見直しを求める意見が集中しました。 そして、いま、金町駅南口再開発の地権者の中からも、「再開発と競合し、事業採算性に影響するのでは」の声にもなっています。 わが党は、すでに八月二九日に、区に「三菱製紙跡地のまちづくりについての申し入れ」を行ない、住民合意なしで都市計画の手続きに進むべきではないとの態度を表明したばかりです。 ところが、同地区の「地区計画案」が、本区では10月5日に開催予定の都計審にかかり、そこで諮問された内容が、11月の東京都の都計審にかかる手順となっているのです。しかも、区計審にまだかかってもいない「地区計画案」が、すでに都の都計審の事前説明会資料として配付され、その内容が、9月15日の都議会都市・環境委員会で報告がされると言うのです。まったく順序がさかさまです。 そこには、跡地に2ヘクタールの公園に隣接した「アミューズメントを含む大規模商業施設」が商業ゾーンの中心に位置するのだと明記されています。 これでは七月の説明会で、噴出した不満や意見にまったく耳をかさず計画だけを決めてしまうと言う最悪のやり方だといわなければなりません。 区の果たすべき役割は、住民合意をつくりあげるために、都市計画案の縦覧になる以前の「素案」を地元住民に示して、検討と議論の保障となる「説明会」や「懇談会」を開催することです。そして、広範な地域住民が参画して「新宿6丁目まちづくり案」が作成できるように新たな検討会を設置すべきと思うがどうか。 また、この開発がすすめば「新宿6丁目まちづくり案」は、金町駅南口再開発との整合性や金町駅周辺全体のまちづくりとの関係を明確にして策定すべき思うがどうか。 私は、三菱製紙跡地のまちづくりにあたっては、特に厳しく葛飾区当局の姿勢が問われると考えます。 何故なら、この土地は、国民の税金によって購入された土地だからです。 1999年に「住宅・都市整備公団」が「都市基盤整備公団」へと変わった時、公団によって土地有効利用事業が始まりました。これは、「大都市圏に所在する細分化された土地や企業で処分した土地を公団が取得し、周辺の土地を含め土地を整形・集約化などの基盤整備を行なった上で、原則的に民間事業者などに売却し、土地の流動化と有効利用の実現をはかる」とされる事業です。 つまり、バブル崩壊後の企業の後始末のための国の土地政策として行なわれたものです。従って、公団の土地取得費は、国費による出資金や財投資金を充てられているのです。 このような特質をもつ土地の都市計画にあたっては、区として、あくまでも住民の立場に立ち、住民合意をつくりながら、跡地のまちづくりをすすめるべきであります。 卑しくも区当局は、税金で取得した土地を「都市再生機構」が、土地有効利用と称して、都合良く土地を売ることができる計画の手助けをするような立場には絶対に立ってはならないのであります。 特に警戒しなければならないのは、昨年7月、「都市基盤整備公団」から「都市再生機構」に組織改編したことです。 「都市基盤整備公団」の時は、公共性がそれなりに位置づけられてきましたが、それが、「独立行政法人都市再生機構」となって、公共性は後継に追いやられ、大胆なスクラップ・アンド・ビルド、徹底した企業化路線となっています。 足立の西新井駅西口開発では、区との「協定」や「覚え書」で明記した「総合病院計画」や「保育園計画」などを、都市再生機構が相次いで反故し大問題になっています。 都市再生機構が保有資産の転売や民間開発のコーディネートや後方支援業務ではなく、これまで公団時代に担ってきた公共性という立場から、直接事業を担い、地域のまちづくりに貢献するように働きかけるべきと思うがどうか。 さて、このまちづくりで最大のネックは、交通アクセスであります。 当該地区は、東京ドーム4個分という都内最大であります。しかし、現状の交通アクセスは、極めて不十分であります。即ち、アクセスは4ルートのうち3ルートは日常的に渋滞しています。のこりの1ルートは補助138号ですが、中川に橋をかける協議中で道路は未完成、分断されているのです。 このように、解決すべき課題をなおざりにしたまま、都市計画のスケジュールに沿った開発計画に突入するならば、地域住民にとっては、深刻な交通渋滞や生活環境の破壊となることは必定であります。 当該開発に先んじて環七につながる補助138号の延伸及び新橋梁建設を住民合意で最優先事業として行なうべきと思うがどうか。答弁を求めます。 さて、この間、日本板紙跡地問題では、開発者側いいなりの地区計画を許し、地元商店街への深刻な影響や近隣住民への日照等の被害、自動車公害が予測されるのに、有効な対策をとらずにきました。環七を渡るペデストリアンデッキに至っては、ヨーカー堂の利益を露骨に優先するものです。 地元商店が大型店との共存共栄ができるように、今からでも、「商業調整特別措置法」を活用するなど知恵をだす努力をすべきです。 ペデストリアンデッキの建設は、商店街への回遊性を奪うもので、中止を求めるべきと思います。 立石駅周辺再開発では、地権者の多数が“行政主導の再開発でなく”と転換を求めているのに、「計画」案では、全くの反省なしで従来型を推めようとしています。地元住民の意向を組んで、根本的見直しをすべきと思うがどうか。 (3、教育行政について) 第2は、教育に関わる問題についてです。 これまでも葛飾区教育振興ビジョンにもとづき、学校選択制、差別・選別教育に拍車をかけ、「学力テスト」の導入で生徒、教員、そして学校の序列化を図ってきました。 学力向上を旗印に、中学校の夏休みの短縮という間違った結論を押付け、これを小学校にまで拡大しようとしていることも頷けません。 「計画」の元気満10ブロジェクトでは、小中一貫校の創設をかかげています。 これによって注目をあつめ選択制をテコに意識的に「できる学校」をつくるとともに「できない、生徒が集まらない学校」をリストラしようという意図ではありませんか。 安心戦略の「子どもたちをピカピカに育てます」のページには、子どもの数が減っているから「適正配置を検討」とハッキリ書いております。 「学校のたて替えにカネがかかるから、いまのうちに学校を統廃合」というのであれば、教育を効率化の側面からしか見ない誤った立場と言わざるをえなくなります。 「ピカピカに育てる」というならば、必要なのは30人学級の早期実現であります。 いまでも、教室が不足し、特別教室が確保できない学校がありますが、少人数学級を実施すればさらに教室の不足は深刻になります。統廃合など、とんでもない話です。 小人数学級にむけて国も一歩をふみだしました。 わが区でも少人数学級の実施を「計画」に位置付けるべきと思うがどうか。 また小中学校の序列化をはかる「学力テスト」を中止すること、小中学校の統廃合はこれ以上行なわないこと、短縮された「夏休み」を元に戻すことなどを要求いたします。 この間、青木区政のもとで国や都の大号令にしたがって区民犠牲を押し付ける「行革」を押し進め、与党は、まだまだ生ぬるいといわんばかりに区民犠牲の拡大を要求してきました。 新「基本計画」は、さらに区民犠牲に拍車をかけ、自治体として役割を変質させるものであります。 こうした流れに抗して、わが党は「住民が主人公」の区政実現に全力をあげる決意です。 これまでも、わが党は区民の目線にたち、区民とともに力を合わせて運動し、区民要求実現に全力をあげてきました。 介護保険の減免制度の実現、中青戸保育園の民営化方針の撤回、保田養護学校の存続、子どもの医療費の無料化拡大、耐震補強工事助成など、わが党は、独自の条例提案や予算修正で要求実現に奮闘してきました。今後も、この立場で、全力を尽くす決意を申し上げ質問を終わります。 |
野島議員の一般質問に対する答弁(要旨) |
区長 野島議員の葛飾区基本計画の素案に関するご質問にお答えいたします。 はじめに区長や区議の任期と計画策定時期の関係についてのご質問でございます。ご案内どおり平成2年に区議会の議決で葛飾区基本構想が策定されて今日にいたっております。基本計画はその具体化ということで、そのあとその下の実施計画とともに行政計画ととして間をおかせずに、今日まで、今回は3期目の新しい基本計画の見直しということになりますが、そうしたスケジュールで策定をさせて実施をされてきたところでございます。 今回の新基本計画、そういった現在の基本計画をひきつぐものとしての位置付けでございます。昨年および本年の2年をかけて予定通り策定をおこなっていくわけでございまして、平成18年度スタートにむけての本年中の策定というものは適切な対応であると考えているわけでございます。 区議会への計画素案の情報提供についてでありますが、所管である総務委員会に8回にわたって庶務報告を通じて資料の提供をしております。そして、パブリックコメントに用いた素案につきましても、本年6月の総務委員会において庶務報告をしております。 また、当議会には、総務委員会をはじめ各所管の委員会に最終案を報告して、ご提案をしています。区民のみなさまには、区民フォーラムやホームページのみならず、区民参加の基本計画策定委員会、あるいはまた、区民モニターを広報かつしかやパブリックコメントをおこなうなど、これまでの計画づくりと比較いたしましても、格段に情報提供と説明に努めてきたつもりでございます。 政策得点や、施策得点につきましては、世論調査や、政策、施策マーケティング調査、区民モニターを通じて得た区民の声を、わかりやすいかたちで新基本計画に取り入れるために数値化をしたものでございまして、今後も同様の調査を実施することによって区民の声を的確に反映をして区民に結果も公表していきたいと考えております。 人権と平和という理念につきましては、ご存知のとおり普遍的にとりくむことがらであることから、重要度についてはこれを除きまして、満足度などについて調査を実施した上で、他の政策同様の方法で算出をしたものでございまして、無理矢理に数値をあてはめたものではございません。 リーディングプロジェクトにつきましては、今後10年間で大きく育てる事業としてかかげたものでございます。事業がより具体化した段階で他の計画事業と同様に数値化をしてまいりたいと考えております。 その他の質問について教育長および所管の部長から答弁をいたします。 教育長 はじめに学校統廃合についてのご質問にお答えいたします。小中学校の統廃合につきましては、現基本計画の計画事業として、単学級校などの小規模校を解消するため、小学校9校、中学校2校を適正化の対象校として、そのうち小学校7校の適正化をはかるため、6つの小学校を統廃合により廃止してまいりました。今後は、現基本計画の残された課題の解決をはかるとともに、将来の学校施設のあり方にもとづいた、新しい学校建設をすすめるため、新基本計画に位置付け、小中学校の改築にあわせた適正規模、適正配置を検討してまいりたいと考えます。 次に、中学校の短縮された夏休みを元に戻すべきというご質問にお答えいたします。 学校現場におきましては、学校完全5日制と新学習指導要領の実施により、それまでと比べて大幅に減少した指導授業時数をどのように確保するかが大きな課題となっております。 各学校ではこれまで指導授業時数を確保するために、体育祭や文化祭などの各種行事、定期考査、家庭訪問、教育相談などを縮小、廃止してきたのが実情であります。 今回の学習指導要領の改定では、たしかな学力の基本となる、国語、数学、英語などの教科時数が週あたり1時間削減され、きめこまかな学習指導や継続的な学習を展開することが難しくなりました。 また、子どもたちを理解する上で重要な教育相談や、放課後における教員と子どもたちの人間的なふれあいが減少するなど、学力の面だけではなく豊かな心や人間性を育成する上でもその影響が心配されるようになりました。 このようなことから、子どもたちに確かな学力の定着と豊かな人間性を育成するためには、年間の授業日数を増やして、必要な指導時間を実質的に増やしていく必要があります。授業日数確保の方法といたしましては、他の自治体で試みられている2学期制を導入するという考え方もありますが、評定の回数が減ること、学期の途中に長期休業があるなど課題も少なくなく、実質的な授業時数を増やすためには登校日数の増加が必要であります。 教育委員会といたしましては、中学校長会と教育委員会からなる検討委員会を設置して十分に検討してきた結果、夏期休業日を短縮して授業時数の確保にとりくんでいくことがもっとも適当であるという結論に達したことから、本年度より中学校における夏期休業日を一週間短縮するということにいたしました。 各中学校ではこの増加した30時間を有効に使って、それぞれの実態に応じた特色あるとりくみをすすめております。例えば、30時間のすべてを英語の授業時間にあて、本来ならば週3時間の英語の授業を週4時間に実施した学校があります。このように各学校が工夫をして、これまで以上に生徒ひとりひとりに応じたきめ細かい指導を行なうことが可能になったと考えております。 いずれにいたしましても、夏期休業日の短縮は議会の賛同を得て、今年度から中学校で実施したものであり、全国的にもその動向が注目されているとりくみであります。 教育委員会といたしましては、今後増加した授業時数と冷房設置による向上した学習環境を十分に活用して、たしかな学力の定着と豊かな心の育成をよりいっそうすすめてまいりたいと考えていますので、短縮された夏期休業日を元に戻すという考えはございません。以上でございます。 政策経営部長 基本計画素案についての区民福祉に関するご質問にお答えいたします。歳入の伸びが横ばいから右肩下がりになってまいりますと、これまでにもまして、人材、物品、予算といった経営資源を適正に配分していくことが求められてまいります。 そこで、新基本計画の新たな試みとして区民要望の大きさや、過去3カ年の実践数値、その他の要因から、政策間や施策間のバランスをはかり、経営資源の適正化の方向性を導き出したものでございます。 医療、高齢者支援、子ども、家庭支援、低所得者支援につきましては、区民要望の大きさよりも、すでに大きな割合で経営資源を配分していることから、医療は横ばい、高齢者支援は微増、子ども、家庭支援は横ばい、低所得者支援は横ばいという方向性となっております。 しかしながらこれらの政策は、国や都の制度の影響を強く受けることから、今後の制度改正等の動向を見守りつつ、区民の調査も毎年実施し、その結果をふまえて適正に対応してまいりたいと考えております。 低所得者福祉の事業費につきましては、公益質屋の運営、住宅継続確保料の助成、住宅修繕資金融資のあっせんがその役割を終了したことに伴い、事業減のほか、新基本計画の策定にともなう事業の体系の見直しの結果、事業をより適切に位置付けした結果に伴うものであります。今後もひきつづき低所得者の生活を守るために必要な事業はすすめてまいります。 特別養護老人ホームの入所につきましては、住み慣れた地域で生活を継続できるようにすることをめざし、介護保険制度の元で、在宅での介護が困難で入所の必要性の高い方から、優先的に入所いただいています。 新基本計画におきましては、特別養護老人ホーム3施設、定員360人の増設を計画しており、これにより1415人の定員を確保できるようになります。 保育所の増設につきましては、7ケ所、定員377名を計画しており、これにより8399人の定員を確保できます。 今後も認可保育園をはじめ、多様で利用しやすい保育サービスを提供てまいりたいと考えております。 学童保育クラブにつきましては、7ケ所の整備を計画しており、これにより3400人の入所児童数を確保できるようになります。 今後につきましても、新基本計画の遂行会議を、PDCAサイクルの元ですすめ、事務事業を毎年見直す事としており、事業数の変化等を適切に見極め対応してまいります。 次にPFIについてのご質問にお答えいたします。 保健所および立石図書館につきましては、区民ニーズや社会情勢の変化による新たな課題への対応や、耐震上の安全度の確保、施設の老朽化や狭隘化の解消、バリアフリーやユニバーサルデザインへの対応等が早急に必要であるとの判断から、これらの施設についての建て替え方針を、本年第1回定例会におきまして区議会にお示ししたところでございます。 建て替えの実現にむけていかなる事業手法を採用するかにつきましては、今年度民間のコンサルティング会社を活用して、PFIも含めた事業化の調査を実施しているところでございます。 この調査はPFIを含め様々な事業手法について、サービスやコスト面など価格的に比較検討するものです。その結果、民間の資金やノウハウを活用することにより、最も低廉で良質な公共サービスの提供を行なうことができるとともに、地域経済の活性化等にもつながると判断されれば、PFIを事業手法として採用していくものでございます。 仮に保健所の建て替えにPFI手法を採用した場合であっても、保健所の運営自体はひきつづき区が担っていくものであり、地域福祉計画や保健医療計画に影響を与えるものではなく、区立施設としての位置付けのもとに根拠法令や関係する各種計画を踏まえた積極的な地域保健サービスを展開する責務をになってまいるものでございます。 また、今後の図書館整備につきましては、現在策定しております新基本計画におきまして、新中央図書館、立石図書館および地区図書館の整備はもとより、子ども読書活動のいっそうの推進等、様々な施策を実施するなかで、生涯学習の基盤の整備や支援をすすめてまいります。以上でございます。 地域振興部長 小売商調法の活用についてのご質問にお答えいたします。 この法律は大企業が物品販売事業を開始することなどにより、中小小売商業者との間で生じる紛争解決等のために、事例ごとの適用について商店街、振興組合等の申請により緊急避難的な措置を規定しているものであり、紛争が生じていないことからも活用は困難と考えております。 尚、大規模店との共存共栄にむけた方策につきましては、亀有地区商店街協議会が地域の方々やイトーヨーカド−をまじえて、昨年度、亀有地区商店街協議会地域活性化検討委員会報告書として取りまとめたところであります。 現在、亀有地区商店街協議会では商店街活性化のためのメニューの具体化にむけ話し合いをすすめており、区といたしましては地域商店街のこうした積極的なとりくみをできるかぎり支援してまいりたいと考えております。 次にぺデストリアンデッキの建設は中止を求めるべきとのご質問にお答えいたします。 事業者の負担によって建設が予定されているぺデストリアンデッキにつきましては、通行人、特に高齢者等が交通量の多い環七を横断する際の安全性を高めるのものであり、通行の安全確保の面から必要なものであると考えております。 また、亀有地域への買物客の増加が見込まれる中、ぺデストリアンデッキを渡って、地域の商店街を回遊する買物客が少なからず予想されるところであります。 地域の商店街においては、こうした多くの来外者が地域に回遊することを期待して、現在イトーヨーカド−ショッピングセンターにおいて地域の催事をPRするよう要望していると聞いております。従いましてぺデストリアンデッキが必ずしも回遊性を阻害しないことから、建設の中止を求める考えはございません。 都市整備部長 新基本計画における立石駅周辺地区再開発事業の見直しについてお答えいたします。 ご案内のように、立石再開発事業につきましては京成押上線連続立体事業と合わせ、防災性、利便性、快適性の向上と商業活性化をはかり、活力と魅力にあふれた立石を実現させるためこれまで北口地区再開発研究会および南口地区再開発勉強会を中心にワークショップによる再開発の基本方針づくりや講演会、見学会等積極的にまちづくりにとりくんでおり、こうした地権者等のまちづくりに対し、区といたしましても活動を支援してきたところでございます。 このような状況をふまえて策定した新基本計画案につきましては、地元住民の意向を計画案に反映したものであり、見直しについては考えておりません。 今後とも地元住民、地権者との合意形成につとめ事業推進をはかってまいりたいと考えております。 次に補助138号線の延伸及び新橋梁建設についてのご質問にお答えいたします。 本路線は地区周辺の都市計画道路網を形成する重要な路線と考えており、平成16年度に策定した第3次事業化計画優先整備路線に選定し、事業着手にむけた準備をすすめているところでございます。またお話にあります新橋梁建設につきましては、平成16年度から東京都、足立区、葛飾区の三者で補助138号線中川橋梁を含む北部地域の未整備4橋梁の整備について勉強会をおこなっているところであります。 今後、補助138号線の延伸および新橋梁建設につきましては、関係機関等と十分な協議をすすめ、その進捗状況をみながら周辺住民の方々への情報提供や説明をおこないながら事業をすすめてまいります。 次に新宿六丁目まちづくり案策定検討会の設置および、金町駅南口再開発との整合性とに関するご質問にお答えします。 本地域におけるまちづくりにつきましては、都市計画マスタープランに位置付けたほか、広域生活拠点としての金町駅南口再開発や駅周辺のまちづくりと、新たな複合市街地となる三菱製紙中川工場跡地の整合性を十分勘案し、平成17年2月に策定した新宿六丁目地区まちづくり方針にもとづき進めているものであります。 この方針は本地域の都市計画案の基本となるものであり、これまでその内容については議会に報告するとともに関係する町会、商店会、および地元組織の代表者等で構成されたまちづくり検討会議等を通じて、説明や情報提供をおこなうとともに、事業者である都市再生機構による説明会の開催や個別対応を含めて理解を得てきたものと考えており、今後ともそのような対応をしてまいりたいと思います。 したがいまして、そのような経過をふまえ策定された方針であり、新たな検討会の設置は考えておりません。 次に都市再生機構は地域貢献をすべきとのご質問にお答えいたします。 都市再生機構については、平成16年4月に都市基盤整備公団から組織体制の変更がございましたが、区としましてはこれまでと同様に、公共性の高い機関と認識して対応してまいりました。 今回の開発につきましても区として新宿六丁目地区開発構想、開発基本計画、プロデュ−ス会議、およびまちづくり方針の検討段階から地域のまちづくりに貢献するよう要請をおこなってきたところでございます。 今後も都市計画決定、事業者公募、まちびらきにいたる経緯の中で、まちづくり方針の目的が達成できるよう、従前同様に地域まちづくりに対応するよう働きかけを行ないながら、都市再生機構と協力しまちづくりを推進してまいります。以上でございます。 教育振興担当部長 少人数学級の実施を計画に位置付けるべきというご質問にお答えいたします。 1学級の人数は義務教育標準法で40人上限として、都道府県が独自に定めることができるとされております。 また、教員の人件費につきましては、国および都道府県が負担することになっております。現在のところ学級編成権を有する東京都では少人数学級を実施する考えはないと聞いております。これまでたびたび答弁しておりますとおり、区独自で少人数学級を実施することにつきましては、区独自の教員採用が必要となり、財政上の問題、任用上、身分上の問題があることから、現時点では考えておりません。 従いまして、少人数学級の実施を計画に位置付ける考えはございません。 次に学力テストについてのご質問についてお答えいたします。 4月に実施いたしました、たしかな学力の定着度調査は、学習内容が身についているかどうかを把握する学習到達度調査と、学習に対する意欲や態度がどのように養われているかをはかる学習意識調査とから構成されており、この2つの調査から、児童、生徒の学習状況の全体像を把握することを調査の目的としております。 そして各小中学校ではこの調査結果を分析をし、学校、学級、教科、児童、生徒別に課題を把握し、わかる授業をめざした授業の工夫、改善や、実情に応じた指導をおこない、基礎学力を中心とした学力の定着、向上をはかるものであります。 また、教育委員会におきましては、教育振興ビジョンにかかげた施策がどのような成果をもたらしたのか検証に活用していくものでございます。 教育委員会といたしましては、このような考えの元に、たしかな学力の定着度調査を平成17年度から実施したものであり、小中学校の序列化を目的にしたものではなく、すべての児童、生徒にたしかな学力を身につけさせることを目的にしたものでありますので、中止する考えはございません。以上です。 |