●第3回定例会 渡辺キヨ子区議の一般質問  2005
【目次】
1、幼稚園について
2、青戸七丁目東洋インキ跡地について

【答弁】(要旨)

 区政一般質問を致します。
(1、幼稚園について)
 私は、16年間、幼稚園で仕事をしながら3人の子どもを育ててきました。幼児期というのは、のちの人間性に大きな影響を与えるものであり、家庭の中でのふれあい、また幼稚園や保育園での保育者、子ども集団とのふれあいが、いかに重要か実感して参りました。
 福島大学の大宮勇雄教授は、「早い時期にいい環境、保育、教育を与えることが社会にとって大きなプラスになる」と述べ、しかしながら「国内総生産比較での日本の幼児施策の貧困さは際立っている」と指摘をしています。健全な社会を作っていく上でも子育て支援は重要な課題だと言わなければなりません。
 そこで、幼稚園問題に限り、お尋ねいたします。
 区は、区立幼稚園の「補完的役割が終わった」として統廃合をすすめようとしていますが、今でも私立幼稚園の中では定員を超えて受け入れをしている地域もあり、「役割が終わった」などということは出来ません。
 先ほどの大宮教授の「早い時期にいい環境、保育、教育を与えることが」社会にとってプラスになるという指摘にもあるように、区立幼稚園を減らすことは、結局、他の幼稚園にそのしわ寄せがいくもので「いい環境」作りとはいえません。区立幼稚園の統廃合はやめるべきと思いますが、いかがですか。
 区立幼稚園で問題なのは統廃合ではなく、むしろ事業の拡充ではありませんか。私立幼稚園では3才児保育が当たり前のようにやられ、今後は2才児も、という状況にあります。また多くの私立幼稚園が預かり保育を実施しています。補助をしてでもやってもらうほど必要なことなら、なぜ区立幼稚園で実施しないのですか。
 区立幼稚園でも3才児保育や2才児保育、預かり保育を実施すべきと思うがどうか。答弁を求めます。
 また、私立幼稚園への支援は強める必要があります。
 区の調査結果でも子育て世帯の多くが経済的負担の軽減を求めています。
 区内の私立幼稚園に預けている私の知人に聞きますと、入園料10万円で、毎月の保育料は2万6500円。さらに教材費や冷暖房費、その他行事のための積み立てなど、その時々支払うものがあるとのこと。所得が年々減り続けるなか、保護者負担の軽減は、待ったなしの課題です。
 現在でも、私立幼稚園保護者負担の軽減制度はありますが、他区と比較するとさらなる支援が必要だと思います。たとえば、入園料補助金は、区は3万円を限度として補助をしています。「3万円でも補助があって助かった」と先程の知人も話していました。
 しかし、渋谷区や目黒区では4万円、江戸川区では8万円です。そうなればどれだけ家計が助かるでしょうか。
 保育料の負担軽減も本区は1万4200円で、しかも生活保護世帯、非課税世帯、所得割非課税世帯に限られています。渋谷区では生活保護世帯・所得割非課税世帯以外は1万2000円、目黒区でも所得に応じて8500円から1万4700円の補助をしています。江戸川区は所得制限なしで月額2万6000円です。保護者負担軽減の支給額を引き上げるべきと思いますが、答弁を求めます。
 働く女性が増え続ける中「幼稚園でも保育時間を延長して欲しい」という希望が、区の意向調査でも増えています。仕事をしていても幼稚園に預けたいという父母の要求に応えるために、私立幼稚園の多くが「預かり保育」を実施しています。
 東京都も「預かり保育」を推進するために私立幼稚園に対して補助をしています。区としても都制度の一部に上乗せして補助をしていますが、いっそうの増額をすべきと思うがどうか答弁を求めます。
 さて、本区は今年度から特区を利用して私立幼稚園における2才児からの早期入園を実施しました。早期から教育を受けさせたいという父母の要求に応えたものとして歓迎される面もありますが、一方、課題もあります。
 都政新報8/5付けの記事を紹介しますと、実施している「金町幼稚園の場合、17人の2才児に教諭は2人。手がかかることを見越して、幼稚園教諭と保育士の両方の資格を持つ7年と15年の経験を有するベテラン保育士、教諭を当てた。幼稚園の基準は年令にかかわらず『35人に教諭1人』。しかし、『2才児は園児6人に保育士1人』という保育園の基準にあわせるなら、あと1人増やさねばならないが、その人件費がでない」「運営などに対して、もっと補助金がでればいいが」とあります。
 そして区のコメントとして「今後、特区を活用する園が増えていくなら、区単独、あるいは国や都に呼び掛けて助成制度を整備していくことも検討課題になる」と紹介しています。
 2才児の早期入園特区を申請したということは、父母の要求に答え、それを推進するためではないのでしょうか。小さい子どもの受け入れのための、幼稚園教諭の負担は非常に大きいものがあります。「特区を活用する園が増えるなら今後の検討課題」というようなのんびりした姿勢ではなく、独自に補助員を配置するなど支援策を強化すべきと思いますが、いかがでしょうか。

(2、青戸七丁目東洋インキ跡地について)
 次に、青戸7丁目東洋インキ跡地問題に関連して質問致します。はじめに跡地利用の問題です。東洋インキ跡地は、三菱製紙や日本板紙の跡地に次ぐ広大なもので、その跡地利用は大変重要です。地元住民からは、地震などの災害に備えて防災公園を作ってほしいという声があがっています。地域住民の声にどう答えるのか、区の姿勢が問われていると思います。
 跡地は、すでに都市再生機構が購入していますが、この都市再生機構の仕事というのは、野島議員の質問で明らかなように、いわゆる不動産業です。土地を高く売る事を事業としており、そこにおまかせでは、まちづくりの体裁を整えるために一部に公園を作るだけで、あとは道路とマンションだけになるおそれがあり、そうなってしまうでしょう。
 区が責任を持って、住民の声を反映させるために新たな懇談会を設置するべきと思うがどうか。
 この地域には、葛飾区の地域医療の拠点ともいうべき慈恵医大青戸病院があります。私は、いつも病院の前を通るのですが、常に車は渋滞し、駐車場もいつも満杯でなかなか入れない状況を目にします。道路が狭いために歩行者にとっても大変危険な通りとなっています。しかも病院へのアクセスは、環七から入るこの狭い道路しかないのです。私は、慈恵医大青戸病院の機能を将来にわたって確保するためにも、行政としてやるべきことがあるのではないかと、いつも考えていました。
 そこで提案をさせていただきます。都市再生機構の土地を区が買収し、利用することを検討すべきと思いますが、いかがでしょうか。たとえば渋滞の解消や病院へのアクセス確保などのために買収地を区営駐車場として整備してはどうでしょうか。区長の答弁を求めます。 
渡辺議員の一般質問に対する答弁(要旨)
区長
 渡辺キヨ子議員のご質問にお答えをいたします。
 青戸7丁目東洋インキ跡地に関わる新たな懇談会についてでございますが、東洋インキ工場跡地につきましては、都市再生機構が平成16年3月に土地を取得し、本年3月に東洋インキから土地の引き渡しを受けたところであります。
 これまでその間の経緯等について、関係する町会等にご説明をするとともに、ご意見を伺いながらすすめてまいりました。このようなことをふまえまして、現在葛飾区と、事業者である都市再生機構で道路や公園を整備することにより地域の課題であります防災性や利便性を向上させるための計画の素案づくりをおこなっているところでございます。
 今後はこの計画素案を元に、議会への報告をいたしますとともに、地元の関係者との協議を重ねる中で、地域の意向の集約に努めて対応してまいりたいと考えております。
 その他のご質問につきましては、所管の部長より報告いたします。

教育次長
 はじめに区立幼稚園の統廃合はやめるべきとのご質問にお答えいたします。
 区立幼稚園については、少子化が大きくすすむ中で対象児童がピーク時と比較して半分以下までに減少したこと、園によっては入園者の少ない所があること、私立幼稚園でも対応の可能性が拡大したことなどから、区立幼稚園を現行どおり維持する必要性が低下し、統廃合などにより縮小することが可能になっていると考えております。
 こうした状況を勘案して、平成19年度末に西小菅幼稚園の廃止と東柴又幼稚園を廃止し、北住吉幼稚園に統合する方針を決定したところであります。
 教育委員会といたしましては、多くの保護者からご理解を頂いたものと認識しており、行財政改革の理念である民間でできることは民間で実施するという観点からも、この統廃合をやめる考えはございません。
 次に区立幼稚園でも3才児保育、2才児保育、預かり保育を実施すべきとのご質問にお答えいたします。今年度、本区では、葛飾区幼稚園早期入園特区として国の認定をうけ、希望する私立幼稚園は満2才から入園できる制度を設けました。
 また、預かり保育を実施する園も増えてきています。区民の幼児教育については、私立幼稚園も含めて考えていくことが大切であり、私立幼稚園で3才児保育、2才児保育、預かり保育などが十分行なわれている中、区立幼稚園が民間に対抗する形で実施するのは民業を圧迫し、民間でできることは民間でという主旨にもそぐわないことから、区立幼稚園での実施は考えておりません。以上でございます。

子育て支援部長
 私立幼稚園保護者負担軽減の支給額をあげるべきとのご質問にお答えいたします。
 先に区長が答弁いたしましたように、本区のめざすたしかな学力の定着や豊かな心の育成には、幼児教育の充実が欠かせないものと考えており、保護者の負担軽減の観点とあわせて私立幼稚園負担軽減補助を充実させてまいりたいと考えております。
 次に預かり保育の補助の増額についてお答えいたします。
 預かり保育の補助につきましては、1年を通じての預かり保育を充実させることを目的に、夏期休暇などの長期休暇期間中に東京都の補助基準を上回る預かり保育を実施している保育園に補助をおこなうものとして、平成16年度から実施したものであります。制度創設間もないことから、区の制度により長期休暇期間中における預かり保育の充実がはかれるか検証する必要もあり、現時点で増額は考えておりません。
 次に、私立幼稚園でも2才児特区でも、独自の支援策を強化すべきとのご質問にお答えいたします。
 これまでも私立幼稚園では、満3才からの受け入れや2才児を対象とした幼児教室を開催している園などがございました。
 私立幼稚園としては、学校教育法にもとづく教育を2才児にもおこないたいとの要望があり、また、早期から幼児教育を望む保護者の要望も多いことから、特区の認定をうけたものであります。
 この特区は本年度よりはじめたものであり、いわゆる2才児クラスを設定している園もこれまでの延長線上の無理のない範囲で運営がなされていることから、独自の支援策については考えておりません。以上でございます。

都市整備部長
 都市再生機構の土地を区が買収し、区営駐車場等を整備すべきとのご質問にお答えいたします。慈恵医大青戸病院は、東京都において2次救急医療機関に指定されているとともに、災害時医療体制の災害拠点病院として位置付けられております。
 区といたしましては、この地域の高度医療の拠点となる慈恵医大青戸病院とその機能については必要なものと考えており、この地での事業継続を要請しているところであります。
 このようなことをふまえ、今後とも東洋インキ跡地を含めた周辺まちづくりについても関係者等と十分話し合いをすすめてまいりたいと考えております。
 尚、交通渋滞や病院へのアクセス等の問題については、これら地域を整備する中で解決されるものと考えております。以上でございます。