●2006年第1回定例会一般質問 質問者 中江秀夫
【目次】
1、三菱製紙、東洋インキ跡地開発は見直しを
2、学童保育クラブの拡充を
3、子ども医療費助成の拡充を

 通告にもとづき、質問します。

(1、三菱製紙、東洋インキ跡地開発は見直しを)

 まず、まちづくりについてです。

 本区では、大規模工場跡地のまちづくりが焦点になっています。
 しかし、何処でも、まちづくりの理念がない、住民無視ですすめる、その手法は、地区計画を悪用しての巨大マンションと大型ショッピングセンター計画です。
 本区には、不十分ながらも都市計画マスタープランという都市計画の理念や基本方針があります。これをなぜ、生かさないのでしょうか。
 三菱製紙跡地は、都内最大規模のまちづくりであり、中心市街地の金町に接した開発です。
 都市計画マスタープランでは、「金町駅周辺のまちづくりとの連携を図る」と述べています。即ち、金町の中心市街地活性化事業と連携して行うということです。
 しかし、三菱跡地の地区計画はどうか。約3万坪の複合A地区に大規模商業施設構想であり、中心市街地活性化事業とも、マスタープランとも相矛盾するものです。
 今度の通常国会では、政府ですら無秩序な大型店の郊外や工場跡地への出店が、中心市街地を空洞化させているとして、「まちづくり三法」の改正を提案し、1万平米を超える大型店の出店は、原則、商業地域、準商業地域などに限定し、郊外の白地や工場跡地への出店規制を打ち出しています。
 政府が今回提案している「まちづくり三法」の改正趣旨は、まさに金町の中心市街地の活性化にあてはまるものです。
 この法改正の立場からも、三菱跡地の土地利用方針は見直すべきではないでしょうか、区長の見解を伺います。
 さて、複合A地区の公募条件ですが、助役も、都市再生機構も公募にあたっては、区として条件をつけるとしてきました。
 私は、都市計画マスタープランや「まちづくり三法」改正案に即した条件提示を行うべきと考えますが、どのような公募条件を検討しているのか伺います。
 まちづくりの主体者は住民です。都市計画マスタープランでは、「区民が主体性を発揮できるまちづくり」を進めるとしています。
 しかし、三菱跡地問題では、「住民説明会は行わない」「意見表明の場も設けない」という態度です。区長は、昨年第4回定例会での私の質問への答弁で、「区民不在の街づくりを進めているとは認識していない」と答弁しました。であるならば、地域住民を対象にした「説明会」や「懇談会」を行うべきではないでしょうか、見解を伺います。

 次に、青戸七丁目のまちづくりについて伺います。
 ここでもまちづくりの理念がない、住民無視で、地区計画を悪用したやり方です。
 この地域は、西に環七、北に水戸街道、そして、南に京成高架に挟まれた自動車騒音や排気ガスなど、環境面での困難を抱え、また、地域内の道路はどこも狭隘であるなど、防災上からも基盤整備の充実が求められています。しかし、区が示した「青戸七丁目地区まちづくり方針(案)」は、どうでしょうか。
 環七から入る主要道路の課題など大事な問題は全て棚上げしたまま、東洋インキ跡地周辺だけを区画道路で広げ、高層マンション等の建設に道を開く、巨大な袋小路の計画です。
 その区画道路の建設も、都市計画決定以前に先行して、4月から実施するというのです。都市計画のルールまで歪める脱法的行為ではありませんか。区長の見解を伺います。
 環七から青戸六・七丁目に出入りする慈恵青戸看護専門学校横や葛西城趾公園横の狭隘道路など、地域の合意のもと解決を急ぐべきです。その考えを伺います。
 基盤整備の遅れの中で、公園整備が重要です。
 しかし、都市再生機構から提供される公園はどうでしょうか。東洋インキ跡地は、3ケ所ありますが、「葛飾区宅地開発要綱」に基づいて、それぞれ面積分の5%を公園として提供するルールになっています。その3ケ所分を全部、高圧線の真下で鉄塔周辺という、電磁波の影響など、利用価値の低く最悪最低の場所に整備するというのです。何を考えているのでしょうか。
 電磁波の健康への影響について、アメリカでは、15歳までの子どもたちを対象に白血病や脳腫瘍についての調査が行われましたが、白血病による死亡率は送電線近くに住む子どもたちが高くなっているという報告です。
 まだ因果関係が明確ではありませんが、しかし、リスクを示唆する疫学データーが存在する以上、電磁波の影響となる場所への、公園整備は適切ではありません。
 加えて、この場所は、工場操業時の汚染物質の貯留地でもあり、地域からも疑問視されている所です。
 こんな所に公園を提供させ、区も用地を取得して公園を拡張整備するというのは問題です。土壌汚染の実態も調査し、住民に開示するとともに、適切なところに公園整備すべきです。答弁を求めます。
 さて、まちづくりは、その地域の歴史や自然などの特性を生かす視点が重要です。しかし、区が示している「青戸七丁目地区まちづくり方針(案)」には、この視点が欠落しています。
 青戸地域は、『新編武蔵風土記稿』にも出てきますが、青戸藤綱の館跡という伝承や、後北條氏の葛西城の故地です。その葛西城は、西はテクノプラザの近くから、東は東洋インキ跡地がスッポリと入る中川まで、北は、水戸街道を超えて亀青小学校近くまで、南は青戸慈恵医大近くまでと、東西約300m、南北約400mという広大な城域です。中川は葛西城の天然の水堀でした。
 この葛西城の遺跡は、戦国時代を研究するうえで非常に貴重なものとして注目され、これまでの発掘調査でも木製品類の多くが出土し、今でも、新たな発見がなされ、その多種多彩な遺構・遺物として評価されています。
 環七建設によって残念ながら、この貴重な文化遺産は、分断されましたが、関係者の努力で、かろうじて御殿山公園と葛西城趾公園という形で、碑などが残されました。しかし、その内容は、十分な公園用地が確保できなかったこともあり、極めて不十分なものです。
 今回、この葛西城の城域である東洋インキ跡地のまちづくりは、貴重な歴史的遺産を保存し継承するまちづくりのチャンスです。
 この点でも本区の都市計画マスタープランは、第三章の都市構造整備の方針の中の土地利用方針で、「地域の歴史や自然資源を生かした市街地環境の創出を図る」と、強調しています。
 また、先日、2月25日付「広報かつしか」は、遺跡から探る、かつしかの歴史を特集し、次のように述べています。
 「青戸の御殿山遺跡で、古墳時代前期の集落が発見されており」「私たちの先祖は、今をさかのぼる1,600年も前に葛飾の地で始まった」と紹介し、その地が東洋インキ跡地周辺の青戸なのです。
 そして「広報かつしか」は、「葛飾の歴史を今に伝える先人の残した貴重な文化遺産を後世へ引き継いでいきましょう」と、区民に呼びかけています。
 そこで質問します。東洋インキ跡地の全面的な遺跡調査を行うとともに、葛西城趾と中川の間にある約2ha余の東洋インキ跡地は、公園用地として区が取得し、歴史遺産と自然資源を生かしたまちづくりをすべきと考えますが、区長の所見を伺います。
 また、防災性の向上のために、消防団分団本部用地の確保など、防災機能の充実のための跡地利用など行うべきです。如何でしょうか。
 そのためにも、青戸七丁目地区まちづくり方針(案)は、住民の意見を反映したものに、根本から見直しすべきと思いますが、見解を伺います。

(2、学童保育クラブの拡充を)

 次に、学童保育クラブについて、質問します。
 私は、先日在籍児童数80名の学童保育クラブを訪ね、あらためてその現状に心が痛みました。子どもたちのランドセル等は、5?6段もある棚に何とか収納しています。上の段には子どもたちは手が届かず、投げ込むという状況です。トイレは二つしかありません。ときには子どもたちが行列をつくってならんでいるのです。一番驚いたのは、具合の悪い子どもが、おやつをつくるための狭いキッチンに布団を敷いて寝かされているのです。この学童には、畳の部屋があるのですが、当然ここも子どもたちの居場所になっています。だから、とてもこの部屋に寝かせることはできず、子どもを休ませることができないのです。
 葛飾区学童保育クラブ条例では、「児童の健全な育成を図ることを目的」として、生活習慣の指導を行う」としています。子どもたちは学童にくると「ただいま」、指導員は「お帰り」と言葉をかわします。子どもたちにとって学童は家の代わりです。それなのに横になることもできないのです。
 こうした事態は、何故起きたのでしょうか。
 それは、以前までもっていた40人の定数を前提としてつくられているにもかかわらず、子どもたちの定数だけを大規模化してきたからに他なりません。
 すでに、新年度の学童保育クラブへの申請者数は、一番多いところで117名です。続いて105名、90人から70人代は7つ、そして60人代が15もあるのです。いままで区が示してきた一児童当たり1.65平米という基準すら守っていないことが原因です。区長どうですか。
 また、学童の子どもたちの校庭利用についても問題です。「わくチャレ」があるので学校の校庭を利用したいと思っても利用できないというのです。しかし、校庭を使おうと思えば物理的には使えます。単に「役割分担があるから」という理由であれば、これはただの「いじわる」でしかありません。
 学童にも、校庭を解放すべきです。区長、いかがですか。
 重要なことは、学童保育のこういう現状が、育ち盛りの子どもたちの心身に重い負担となっていることではないでしょうか。私がお訪ねした学童保育クラブで、おやつの時間をみましたが、テーブルを置くだけ、椅子は置けず床にカーペットをひき、その上に子どもがぎゅうぎゅうづめになって座って食べるのです。おやつの時間は大事な時間です。夢中で遊んでいるときは多少狭いところでおしあいへしあいしていても、おやつのときぐらいゆったりした、ゆたかな気持ちにさせることが必要ではないでしょうか。
 子どもが多いだけに、子ども同士でのトラブルも多発します。子どもから「これやって」、「話を聞いて」と指導員に声をかけても、「ちょっと、待ってて」と言ってあとまわしにされます。これでは、子どもからシグナルを出すことすらできなくなってしまいます。とくに小学校の低学年は、自分がいつでも大事にされている、と感じることが重要です。それでこそ、いろいろな試練を乗り越える力となる自尊感情が芽生えるからです。
 また、これだけ児童が増えると、指導員が子どもたちを把握することすらむつかしくなります。子どもが知らない間に外に出ていた、子どもが学童にきていたことすらわからなかった、という話しはいくらでもあるのです。
 すくなくとも、定員数をもとの40人にもどすべきです。そのためにも、もっとたくさんの学童保育クラブを設置していくべきです。
 また、すでに大規模化している学童保育クラブでは、増設をまたずに緊急対策として、ただちにトイレの数を増やすなど施設改善をすべきです。区長おこたえください。

(3、子ども医療費助成の拡充を)

 次に、子どもの医療費助成制度について、質問します。
 わが党は、「乳幼児医療費助成制度」の実施を求めてきて以来一貫して制度の拡充を求めてきました。昨年4月からは中学校三年生までの入院費用が無料になりました。23区で、この拡充の流れが広がっています。いまでは、予定を含め、通院費を小学生以上に拡充したのは8区になっています。
 区長、子どもの医療費無料化制度を通院費も中学校3年生までに拡充すべきです。

 以上で、私の質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。