●2006年第1回定例会 発言者 野島英夫
2006年度区予算案に対する反対討論

 私は、日本共産党を代表して、2006年度予算に対する反対討論をおこないます。

 今、葛飾区民の生活は、小泉内閣の反国民的な政治のもとで大変、深刻な事態になっています。
 雇用の形態は大きく変わり、三人に一人は非正規となり、勤労者の所得が減り続けています。格差社会の拡大は、生活保護が本区でも10年間で倍増し、就学援助も増えています。さらに定率減税の縮小、老年者控除の廃止などの税制改革によって、負担を強いられています。
 耐震強度偽装事件、ライブドア事件など儲け本位によるモラルハザードもおこっています。
 東京都政も税収増にもかかわらず、老人医療費助成(マル福)の廃止に向けた削減など福祉の切りすてをすすめる一方、再開発や幹線道路建設などの開発優先政治をつづけています。
 こうしたときこそ、もっとも区民に身近かな自治体である葛飾区政が、「住民の安全・福祉を守る」ことに全力をあげなければなりません。
 そうした観点で、2006年度一般会計予算案を見ると、私立幼稚園保護者負担軽減の増額等、わが党の要求が実現した部分もありますが、全体としては、新基本計画にもとづき、いっそうの福祉切りすてをすすめると同時に、大型開発等のために必要以上の基金積み立てをするなど国や都の政治と軌を一にするものとなっています。
 以下、その理由を申し上げます。

 第一に、区民のくらしと営業を犠牲にしていることです。
 税制改悪は高齢者など社会的弱者と呼ばれる人たちにするどくしわよせされています。紙おむつ支給や補聴器購入助成等の対象からはずされるなどの被害がでています。増税分はこうしたところに援助することが必要でありますが、何ら対策を講じていません。これは自治体としての基本的姿勢が問われるものです。
 6億円の事務事業の見直しの内、老健施設建設費助成、住み替え家賃差額助成制度の廃止など、8割が福祉関連で占めるなど、切り捨てをすすめています。
 区内商店が打撃を受けることがはっきりしているにも関わらず大型店の出店を野放しにし、また中小企業予算をひきつづき減らしたのは認められないことです。

 第二に、「民でできるものは官はおこなわない」と宣言し、民営化路線を一層推進しようとしていることです。シンフォニー、テクノプラザ、総合スポーツセンターなど主要な区施設の指定管理者制度導入にひきつづいて、保健所や立石図書館等の建て替え計画も、PFIでやろうとしています。
 また保育園の民営化、学童保育クラブの民営化・大規模化、区立小中学校の給食・用務等の民間委託などは、自治体責務の放棄です。
 すでに、指定管理者制度の導入で、関連企業で多くの失業者がもたらされました。雇用の確保は、区の基本計画の重要課題です。その区が原因で、雇用不安をつくりださすのは、自家撞着と言わなくてはなりません。

 第三に、学校現場への競争・管理教育をつよめようとしていることです。
 「確かな学力の定着度調査」をホームページで公表したのは、事実上格差をあおり、競争の激化・管理統制をすすめるものであり、「未来を見据えた学校づくり」も、学校統廃合を狙うものです。三十人学級こそ実施すべきです。
 社会教育館の廃止を計画し、社会教育主事を館から引き上げることは社会教育を否定するものです。

 第四に、住民不在のまちづくりです。
 大規模工場跡地への巨大マンション、大規模商業施設設置をすすめる地区計画の悪用をあらためるべきです。青戸七丁目のまちづくりは、葛西城址という歴史文化的資源を踏まえた計画に見直す必要があります。
 地元住民が反対している立石駅周辺再開発、四つ木駅駅前広場の計画は見直すべきです。固執すべきではありません。
 耐震補強工事助成制度の対象件数引き下げは、災害への安全対策上、逆行した行為です。

 第五に、区民を戦争に動員する国民保護計画策定は、認められませんし、同和対策経費は、廃止すべきです。

 以上の理由により、一般会計予算に反対です。

 国民健康保険特別会計は、七年連続の国保料値上げであり、反対です。資格証の乱発はあらためるべきです。
 介護保険料の値上げは認められません。基金の活用や一般会計をつかうなどして、保険料・利用料の助成をはかるべきです。
 駐車場特別会計に区民の税金を投入することになったのは、イトーヨーカ堂・住都公団優遇の結果です。わが党の再三の指摘にも関わらず、区はまったく反省してきませんでした。とうてい容認できません。
 なお、老人医療費及び用地特別会計は了承いたします。

 日本共産党葛飾区議会議員団は、今議会で、重度高齢者介護手当の創設や議員報酬の引き下げ等の条例提案をおこないました。また、不要不急の事業を削減し区民生活応援のために使うよう「予算組み替え動議」も提案しました。
 しかし、他の会派の賛同をえられなかったのは残念なことであります。
 我が党は、今後とも区民要求実現へ全力でとりくんでいくことを表明し、反対討論といたします。