●第3回定例会 中村しんご区議の一般質問  2006
【目次】
1、税制改悪による影響について
  区民に耐えがたい困難、負担の軽減を求める。

2、介護、医療について
  患者の受け皿づくり、介護の負担を軽減する施策を。

3、障害者自立支援法について
  「応益負担」は誤り。障害者の負担軽減、施設運営の支援を拡充せよ。

4、中小企業対策について
  悉皆調査の実施を。受発注、融資、産学公連携、後継者育成に支援を。

5、大学誘致について
  区民に情報を開示せよ。区の資金計画を示せ。


再質問
日本共産党葛飾区議団を代表して、区政一般質問を行います。

1、税制改悪による影響について

 小泉内閣の5年間は、区民にとっても「痛み」の連続でした。

 区政でも「小泉流」新自由主義的「改革」によって、いっそうの民営化、受益者負担の名による住民負担増によって、自治体として本来、果たすべき役割、「住民の福祉」を後退させるなど区民に痛みを押しつけてきました。

 低賃金で不安定な非常勤雇用を拡大させ、医療・年金などの社会保障の改悪も次々にすすめられてきました。

 その結果、大企業や一部大金持ちはますます富を蓄積する一方、いくら働いても「生活保護基準」以下の収入しか得られないワーキングプア層を拡大させてきました。

「痛み」に耐えた多くの国民を「格差社会のどん底」に突き落としていったのです。

 本区においても、生活保護世帯や就学援助の急増、餓死や凶悪犯罪などの深刻なかたちであらわれています。

 区長は、先程、「景気回復の着実さを改めて実感する」と述べましたが、区民の現実からかけ離れているのではありませんか。

 六月に住民税の通知をしたとたんに、「非課税から課税になった、どうしてか」「住民税が何倍になった」と疑問や抗議の電話が区役所に殺到し、その数は、一週間で、約6000人にもおよび、今も続いていることを区長はご存知ではないのですか。

 国で決めたことですが、区の対応にも問題があります。

 区は、年金生活者に課税する場合、社会保険庁の公的年金支払報告一覧表によって、課税しますが、把握できるのは、介護保険料のみです。しかし、国保料、生命保険、医療費や寡婦、また、要介護の判定を受けているなら障害者控除が該当するではありませんか。

 制度が大きく変化した直後だからこそ慎重に区民に周知しなければなりません。

 税金相談はわが党にも多数よせられました。

 都営住宅に住む80代のある女性は、認知症になり、現在、老人保健施設に入所しています。年金額は、174万円ですので、昨年は、非課税でしたが、今年は住民税を3800円課税されました。非課税でなくなった結果、都営住宅家賃は、15000円から21000円で6000円の値上げ、国保料は、所得割分が増え7270円の値上げ、介護保険は、第2段階、28470円から新第5段階の49275円となり、20805円の値上げ、老健施設も食事代の半額補助が受けられず全額自己負担になり、年間248200円の負担増になりました。

 しめて348275円もの負担増となったのです。わずか3800円の課税によってその92倍の負担が強いられ、まさに、雪だるま式の負担増であります。

 この方は、幸い要介護度の認定によって障害者控除が適用となり、非課税となったのですが、急増した高負担に喘ぐ区民が残されている事は確実であります。区長は、こうした現実に対して、どのような認識をお持ちですか。また、これほどの制度改定があったのに社会保険庁の情報のみで課税するのは、問題があるとお考えにはなりませんか。答弁を求めます。

 今年、住民税を新たに課税された方は、12000名にのぼります。

 こうした方々に再度わかりやすい諸控除の説明と申告書を通知すべきと思うがどうか。また、相談コーナーを公共施設に設置し、積極的に対応すべきですが答弁を求めます。

 非課税から課税された場合、利用できなくなる制度も多数あります。

 紙おむつ助成や補聴器購入補助、入院時の食事負担金の減額などです。

 収入が増えた訳でもないのに課税され、その上、こうした制度も活用できず、すべて自己負担となるのではダブルパンチです。

 こうした事態を回避するための動きが広がりました。新宿区に続き台東区、三鷹市でも新たな取り組みを進めています。

 非課税世帯に対する現金給付事業の利用者が、新たに課税となっても引き続き制度を利用できるように改善すべきと思うが答弁を求めます。

 激変緩和措置の縮小や住民税を一律10%にするフラット化することで来年度はさらに深刻です。

 それだけに、区民に堪え難い困難をもたらすことになるでしょう。

 そこで、特別区税条例の改定によって改善することも検討すべきです。

 特別区税条例の36条は、減免制度を規定しています。本区では、生活保護や災害や火災に被災した場合などに限定しています。

 例えば大阪市は、独自の設定で7割、5割減免を設けています。京都市も独自の5割減免、失業者や被爆者に対する減免規定があります。

 本区も独自の減免規定をつくり、また、「税制改正」によって新たに課税された区民を非課税とする条項を加えるべきと思うがどうか。



 さて、増税による負担増は、国保料や介護保険料にもはね返ります。

 これまで、国保料を7年連続値上げしたのに加え、増税によってさらに値上げが押し寄せてきます。

 例えば、70才の二人暮らしで年金収入400万円の世帯では、住民税と国保料の合計で、今年、約10万円の負担増となりました。しかも、来年、住民税フラット化で、税率が倍加するので所得割料率が今年と同じだと仮定すると、国保料は20万円もの値上げになります。これも許しがたい負担増です。

 住民税のフラット化は、今の国保の仕組みでは、もはや成り立たないのではないか、と思うのです。

 地方税の税率を一律化すること自体、税の民主性の観点に立てば累進制を後退させるもので、不当です。

 しかも、本区は、低所得者層が多く、地方税が5%から10%に倍加する納税者は、全体の6割、12万人に及びます。それだけに、これまでの住民税方式では、低所得者ほど国保料値上げに苦しめられることになります。滞納がさらに増大すれば、制度の存続そのものに関わります。

 社会保障制度は所得の再配分機能を果たすために、どの制度も収入に応じて累進制をもっています。ところが、住民税のフラット化は、この累進制の否定です。

 そこで社会保障制度としての国保料の算出に、フラット化した住民税をそのまま連動させていいのでしょうか。この点についての区長の認識について伺います。

 また、本区の事情をふまえるならば、当然、「統一保険料方式」を維持することを前提とすべきであり、保険料算出には新たな仕組みの探求が必要だと思いますが区長の見解について答弁を求めます。



2、介護・医療について

 次に、医療・介護について質問します。

 まず、療養病床削減に対する緊急対策についてです。

 7月4日、NHKの番組「生活ホットモーニング」では、病院から患者が追い出されるという問題をとりあげていました。療養病床削減が社会問題になっているからです。

 先日、日本療養病床協会の調査では、現在「退院が可能と予測される」方々のうち、要介護5が7割にのぼり、世帯構成は17%が独居、40%が高齢者の世帯だと言うのです。「療養病床から退院させられる患者の受け皿が出来ていない。この削減は財政面からの締め付けで、先進国としては恥ずかしい改革だ」などの意見も出されています。

 厚生労働省は、療養病床の削減計画を押し付けながら、一方で「地域ケア体制」の計画的な整備を求めています。そこで、その受け皿づくりのための「検討委員会」を設置すべきと思うがどうか。

 先の第二回定例会では、我が党のこの質問に、「必要な調査について検討」と答弁されましたが、どんな取組みをおこなわれてきたのかお答えください。

 今、病院から追い出された患者を救済する取組みが広がっています。

 わが区議団は、NHKの番組で紹介された、三郷市の「みのりホーム」を調査しました。病院から出された高齢者が在宅で生活できるように、会社の寮を改装したものです。介護事業所が併設され、24時間介護に当たっています。寝たきりで呼吸器を使ったり、胃ろうの方など重度の方も多数でした。

 港区の「すこやかの家みたて」は、都営住宅の1、2階の跡地を活用し、グループリビングという高齢者見守り機能をもつ住宅としています。この住宅の管理をしている事業者が、訪問看護やデイサービスの事業所を併設し、医療機関と連携をして、往診に来てもらっています。港区の支援のもと在宅で医療や介護が安定的に提供されてます。

 厚生労働省は、病院から追い出された方々を介護施設や有料老人ホームに移せば良いと考えているようですが、施設不足は深刻です。有料老人ホームは高すぎて入所できない高齢者が多数です。

 そこで、発想を転換し、今ある一棟借上げ住宅、シルバーピアが活用できませんか。

 条例上は、立ち退き等住宅に困窮していることや介護が必要な人は不可等と制約があります。これを改正し、地域の介護事業所や医療機関と連携してはいかがしょうか。答弁を求めます。

 さらに「高齢者向け優良賃貸住宅制度」の活用です。

 これは、「高齢者の居住の安定確保に関する法律」にもとづき「高齢者が安全に安心して住めるように『バリアフリー化』し、『緊急時対応サービス』が可能な住宅」です。

 他県では、実際に、家事援助や介護サービス等を提供するため、社会福祉施設や診療所等を併設しています。こうした整備のために、補助金も設けられています。

 本区では、この制度を利用して6棟162戸の住宅があり、23区内でもダントツですが、現状は、バリアフリー化、集会室等が設置されているだけです。

 医療や介護の機能を併設した住宅として整備するべきではありませんか。答弁を求めます。 

 第二に、介護ついて3点質問します。

 まず、福祉用具貸与についてであります。介護保険法の改悪で、要支援・要介護1の軽度者から介護ベッド、車椅子等の取り上げが始まっています。

 左半身が不自由で要介護1の方は、一人では寝返りもできず、身体を起こすにも電動ベッドが必要です。手すりにつかまりながらリモコン操作でようやく立ち上がれます。「ベッドがあるから生活できるし、次の一歩が踏み出せる」と訴えていました。

 介護ベッドは、利用者が自力で起きるためになくてはならないものであり、ベッドの取り上げは、寝たきりを進行させることにつながります。

 8月14日付の厚生労働省の通達「福祉用具貸与及び介護予防福祉用具貸与費の取扱い等について」では「一律にとりあげてはならない」とあり、ケアマネージャーや主治医らの判断を十分配慮すべきです。

 港区、新宿区、北区では、自費で介護ベッドや車椅子を購入・レンタルする高齢者に対して独自の助成制度を実施します。本区でもこうした制度を創設するべきと思いますが、いかがですか。

 二つ目に、高額介護サービス費の支給の問題です。

 高額介護サービス費の支給とは、非課税世帯で収入が80万以下であれば1割の自己負担額の総額を15000円とし、それ超えた場合、超過分を支給する低所得者のための制度です。

 しかし、非課税でも80万を超えれば、その上限額は24600円に、さらに、課税世帯になれば37200円になってしまいます。

 福祉サービス同様、今回非課税から課税された高齢者に対し、いままでどおり利用できるよう対応すべきではありませんか。答弁を求めます。

 三つ目に、介護施設における食費・居住費についてです。

 低所得者に対する国の軽減制度も、非課税世帯に限られています。例えば非課税で第3段階の方が課税されると年間38万円の負担増となります。新たに課税されても継続して受けられるよう、独自の軽減制度を設けるべきです。答弁を求めます。



3、障害者自立支援法について

 次に障害者自立支援法についてです。

 障害者自立支援法が施行されて5ヶ月が経ちました。この間、障害者団体との懇談をしてきました。様々な問題が噴出していますが、なかでも原則1割の応益負担による大幅な利用者負担増、施設運営を揺るがす報酬の激減の2点について質問します。

 まず応益負担であります。これまで作業所に通う障害者は1ヶ月通い1万円前後の工賃を得ていましたが、応益負担となり、1万5千円から2万5千円の新な負担が強いられ、これが、障害者やその家族を苦しめています。

 施設に通う障害者は、「一生懸命働いているのにお金を取られるなんて、通うことがむなしいい」と自立の芽を摘むような状況に追いやられています。ある障害者の親からは「子どもが『働きに』行っていると思っていたが、これからは『預かってもらう』と考えなければいけないのか」と嘆いています。

 障害者が働く意欲をもって施設に通い、そこに人間としての喜びや生きがいを感じ、親もそう願っています。しかし、応益負担は、それを否定するものになっています。これで自立支援と言えるでしょうか。 

 そもそも、生活できるだけの所得保障がされていない障害者に、1割負担を求めること自体、間違っています。

 障害者基本法では、国や自治体は障害者の自立を促進するために、障害者やその家族の経済的負担の軽減や税制上の措置、公共的施設の利用料の減免などを図るよう定めています。応益負担は、これに反しています。

 障害は自己責任ではない、このことを肝に命じなければなりません。

 政府は、「軽減制度があるから心配ない」と言いますが、区内のある施設では、減免対象者は33%にとどまりました。これは減免制度の基準となる収入認定が本人ではなく、世帯としているからです。収入の基準を障害者本人の収入とするよう国に求めるべきであります。また、区が独自の軽減制度を創設すべきです。答弁を求めます。

 今年10月の本格実施を前に利用料を軽減する自治体が広がっています。台東区は、10月から通所授産施設に通う障害者の自己負担をなくします。府中市は、車イスなど高額の補装具や精神障害者地域生活支援センターなどの地域生活支援事業も無料にします。

 本区では、給食費補助を実施しています。先ほど新たな支援策の表明もありましたが、区は独自のいっそうの軽減策に努めるべきではありませんか。答弁を求めます。

 応益負担の問題は、低所得者ほど打撃が大きく、障害者福祉の基盤を根底から崩しかねない大問題です。国に対して応益負担の撤回を求めるべきです。答弁を求めます。

 次に、施設運営の問題です。

 これまでの月払い方式から日払い方式になり、施設は大幅な減収となりました。

 本区が実施した10%の補助は先進的なもので評価されています。しかし、それでも1施設当たり年間2千万から3千万近い収入減になっていることを直視すべきです。

 懇談の中では、収入減をカバーする対策として人員削減、非常勤化、賃下げなどが共通してだされました。これまでも、毎年制度改悪が続くなかで、多くの施設が、職員の労働条件の切り下げなどでしのいできたのです。これでは、結果として障害者福祉の担い手を育てていくことができません。

 それどころか、「もう運営できない」と内部で相談したという施設もありました。しかし、障害者を放置するわけにはいかないと思いとどまったそうですが、まさに施設の存続が問われる大問題です。

 多くの施設の通所率が80%?85%になっている現状では区の10%補助を15%に引き上げていくことが必要ではありませんか。そして国に対して日払い方式を従来の月払い方式に改めるよう求めるべきです。答弁を求めます。

 さて、支援費制度から自立支援法に変わって、区の財政負担は半減しました。予算ベースでは、7億4千万から3億7千万であり、その差額を活用すれば独自の支援策を拡充することは十分可能です。答弁を求めます。

 昨年7月、区は「葛飾区障害者施策推進計画」の策定のための意向調査を実施しましたが、自立支援法の下で新たな問題が生まれています。現状を正しく反映させた「計画」にするためにも実態調査を実施すべきです。答弁を求めます。



4、中小企業対策について

 次に、中小企業対策です。

 政府は、一部大企業などが空前の利益を上げるなど業績が好調なことから、「景気回復」だといっていますが、区内の中小企業からは悲鳴があがり続けています。

 ある業者は「景気回復というが隅田川の向こうの話ではないのか」、「単価の切り下げ、コストダウンがおしつけられて、引き続き厳しい状態」と話しています。

 足下をみても、大規模工場から小規模のものも撤退や廃業が目立ち、統計でも、事業所の減少が続き、この十年間で、20%以上も減少しました。

 9月8日、NHKの特報首都圏という番組では、「景気回復というけれどー中小企業は今」と題して、銀行の貸しはがしの実態、石油高騰によって営業が追い込まれている実態など、もはや、個人の力では現状を打開する事はむずかしいと指摘しています。

 東京商工リサーチの調査よれば、今年上半期の企業倒産件数は前期比を四年ぶりに上回り、「今後、倒産は増加傾向」と分析しています。

 こうした厳しい現状のもとで区内中小企業は、必死の努力で営業を守り続けています。

 これまでの、区の対応がそれに相応しいものだったのでしょうか。

 まず第一に、中小企業の実態をどうとらえるかという問題です。

 本区の産業振興プランの検討委員をつとめた駒大・吉田敬一教授は、生きた振興策を進めるには、常に中小企業の可能性を掘り起こし、長所と弱点を研究し、振興策に取り組む事だと言います。

 その具体化のひとつとして、区内企業の基本的なデータを収集し、ホームページに掲載し受発注を促進するのは基幹的な事業です。

 ところが、この根幹を区の事業として引き継ぐのではなく、今年から指定管理者に「丸投げ」してしまいました。

 今、倒産・廃業した事業所もそのままネット上に掲載したままで、従業員数や新たな分野に事業を広げても情報の更新がほとんど行われていません。

 わが党は、中小企業の悉皆調査をくりかえし要求し、04年に実施されました。

 その際、わが党は、墨田区や東大阪市で実施したように、幹部職員が先頭に訪問するよう求めました。生きた振興策にするためには、能力豊かな責任ある職員の投入がどうしても必要だと考えるからです。

 しかし、この悉皆調査も、これまた外部に丸投げでした。

 まず、「悉皆調査」やり直し、区の中小企業対策の再構築の基礎データとすべきと思うがどうか。

 また、ホームページ上の受発注情報の管理は、指定管理者の事業とするのではなく、直営で現状を正確に把握したものにすべきと思うがどうか。答弁を求めます。



 第2に、受発注情報交換会の改善について提案です。

 当初は、仕事確保を目指す中小企業にとって有益であり喜ばれていました。しかし、ここ数年の間に、商社が介在するようになり「何円でこの仕事を受注するなら、発注する」と、いわば、単価切り下げの場となっていると訴える中小業者が少なくありません。

「行政が単価切り下げを求める商社のお先棒をかついでいいのか」との痛烈な批判もあります。

 産業構造の大きな変化が、行政の中小企業支援事業をこのように変質させている現状を打開することは急務です。

 受発注交換会で、ダンピングをせまる商社等の実態を調査すべきと思うがどうか。



 第3に、融資制度の改善です。

 いま、都がネットビジネスなどのベンチャー企業に対しては、担保主義にとらわれない融資を開始しましたが、業種を限定されたり、また利率が高いという問題があります。この際、担保主義にとらわれない新たな補完的な制度を、区が創設すべきと思うがどうか。あわせて現行制度の利率引き下げが必要と思いますが答弁を求めます。



 第4に、産学公連携に取り組むことです。

 本区では、環境や農業分野では、すでに「産学公連携」がスタートしているにもかかわらず、中小企業対策としては、極めて遅れた状態です。

 墨田区は、早稲田大学と連携し、企業経営改革支援事業を進め、江東区は芝浦工大、足立区は東京芸大、荒川区は首都大学東京とそれぞれ特色ある振興策をうちだしています。江戸川区も国立・私立の25大学が参加する「コラボ産学官」と提携し、新製品を開発しています。

 「産学公連携」を他区の取り組みにならって具体化していくべきと思うがどうか。



 第5に、後継者育成対策の提案です。

 今年5月からはじまった「ユースジョブセンター」は、中小企業の後継者対策にとどまらず、若年層の雇用対策としても一定の役割を果たしています。

 ある青年は高校卒業後、ヨーカドーにパートとして勤務し正社員として採用される事を希望していましたが、何年たっても採用されず、悩んでいました。そこで「ユースジョブセンター」の門をたたき、区内の中小企業に採用されました。

 若年層が正規採用を求めても採用されず、不安定で低賃金の非正規のアルバイト、派遣、請負などの形態で働く実態が社会問題になっています。

 だからこそこの事業を区の責任で充実する必要があります。答弁を求めます。

 後継者対策として、横浜市の「マイスター事業」は注目に値します。これは、技能を継承するために、市が認定し、自身の後継者への指導にとどまらず、その技能は地域の財産として技能講習会や技能訓練での指導する際、補助金や奨励金を支給するものです。

 本区でも、「優良工場・製品・技能士」を認定し、顕彰する制度がありますが、これを発展させて、「葛飾マイスター事業」とし、横浜市のように貴重な技能の継承や後継者の育成・確保、社会的評価の向上につなげていくべきと思うがどうか。答弁を求めます。



5、大学誘致について

 最後に、大学誘致についてです。

 9月5日付で、三菱製紙跡地へ順天堂大の進出の意向について回答がありました。

 区内に大学が設置される事は歓迎であり、そのための都市計画決定の変更も必要と考えます。問題は、区の対応です。

 この間、わが党は、大学誘致の情報開示を求め、住民にも必要な情報提供を求めてきましたが、このほど、順天堂大学からの回答の報告を聞きました。こうした経過自体が不透明だと思うのです。

 三菱製紙跡地の利用については、昨年の10月の都計審で、巨大なショッビングセンターやマンション、公園などをつくる計画を決定しました。私はその都計審で、「住民のなかでもさまざまな意見がうずまいている、今、決定すべきではない」と唯一、反対しましたが、この都市計画決定は強行されてしまいました。出発点は、この誤りを反省することから始めなければなりません。

 今後、区民、議会の意見を反映し、合意づくりをすすめるべきと思うがどうか。

 大学側の回答には、本区の多大な財政支出を前提とする記述がありますが、これに対する区の資金計画をお示しいただきたいと思います。

 以上で私の質問を終わらせていただきますが、答弁いかんによっては、再質問させていただくことを表明致しまして、質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
中村議員再質問
 数々の答弁をいただきましたけれども、承服、納得できないものも数多くありますが、今後の委員会の中で質問させていただきます。

 私は、再質問として一点について、国保なんです。この国保のところは、区長が答えてくれるのかなと思っていたのですけれども、部長がお答えになりまして、確かに二番目の新たな仕組みの探求という点では、23区課長会を通じて、さまざまな模索をしているというところは承知をしています。

 しかしながらですね、先ほども申し上げましたけれども、住民税のフラット化で納税者の6割、12万人がですね、現実に国保料が今のままスライドさせますとね、12万人が国保料が倍加するという、とてつもない事態がおこるわけですよ。ですから、そこのところで、本当にこのまま、今の制度のまま、国保が成り立つのかどうか、そのへんについての区長の認識について伺いたい。

 また、今後のとりくむ決意といいますか、4ヵ月後にはほぼ、骨格が決まってしまうわけですから、本当にこの数ヶ月間が明日の国保がどうなるのかという、重大な岐路にたたされている、まさにそうした意味で、政治家としての区長の認識と決意を伺いたいということです。

 ぜひ、ご答弁をお願いいたします。