●2006年第3回定例会 発言者 中江秀夫
2005年度決算に対する反対討論
 日本共産党区議団を代表して、平成17年度一般会計、及び国民健康保険特別会計、駐車場特別会計に対する反対討論を行います。

 小泉政治は、「構造改革」の名による規制緩和によって、様々な分野で国民、区民へのくらしと営業を脅かしてきました。
 働いても貧困から抜けだせない、いわゆる「ワーキング・プア」に象徴される格差社会の拡大は、大きな社会問題となっています。政府は、法律を改悪までして派遣労働を拡大しました。名だたる大企業が、偽装請負という法律違反をかさね、無法な行為で至上空前の利益をあげていることも明らかになりました。これも「ワーキング・プア」を増大させる原因です。
 その一方で、社会保障の切り捨て、税制改悪による負担増は深刻なくらし破壊に追い打ちをかけています。
 こんなときだからこそ、「住民の福祉の増進」にあたるべき地方自治体が防波堤の役割をはたさなければなりません。
 ところが、本区政は、区民のくらしと営業に背を向け、さらなる区民への負担増をおしつけてきました。このような税金の使い方は、到底認められません。

 以下、17年度一般会計決算についての反対理由を述べます。

 第一に、国の税制改悪による影響等で得た、特別区民税の増収分を財調基金に44億円も積み立てたことは重大です。増税と大企業の巨大な利益による増収は、区民のくらしを応援するために、積極的に使うべきです。

 第二に、くらしと福祉、健康への施策の切り捨てです。
 23区最低水準にした福祉タクシーの助成額をもとにもどすべきです。
 障害者の補装具給付等の判定については巡回相談を復活するとともに、自立支援法にもとづく一割負担への軽減措置の準備をおこなうべきでした。
 人間の尊厳に関わる紙おむつ支給の制限はやめ、税制改悪によるあらたな課税者への支給を引き続きおこなうべきです。
 敬老館での健康体操は全館で実施し、お風呂を復活すべきです。
 ガン罹患率の高い本区において、早期発見、早期治療を奨励するためにも、ガン検診は、無料に戻すことが必要です。
 審議において、大気汚染による公害被害者救済問題で、自動車メーカーに応分の負担をするよう、都に働きかけることを強く求めたところ、真摯な答弁がなかったことも認められません。

 第三に、公的責任を投げ捨てる民営化・民間委託を推進し、指定管理者制度・PFIを拡大していることです。中でも指定管理者の選定にかかわる疑惑も問題点として指摘されました。
 公立保育園の民営化計画は、コスト削減ばかりが優先され、子どもの成長に背を向けたものであることが、浮き彫りになりました。
 学校給食は教育の一貫であり、民間委託を見直し、直営にすべきです。

 第四に、中小企業のまちに相応しい歳出になっていないことです。政府は、景気回復といっていますが、区内中小企業の状況は深刻です。
 悉皆調査の実施の求めを拒否したことは認められません。産学公連携の遅れの現状を自覚し急いで実施すべきです。
 亀有へのアリオ出店による商業への影響は深刻です。ところが、当初から予想された影響のために予算化された「ふれあい空き店鋪対策」は、執行率が、ゼロであり、事実上放棄したに等しく、問題です。

 第五に、住民不在のまちづくりをすすめていることです。
 立石駅周辺再開発は多くの住民が反対している中で、区民の悲願である鉄道立体交差化事業を遅らせることになりかねず、計画を見直すべきです。
 青戸東洋インキ跡地開発は、住民の声に背を向け、巨大な袋小路をつくり、マンション建設を呼び込むもので認められません。
 地元住民の賛否が拮抗する四ツ木駅前広場等計画は、見直すべきです。
 無料自転車置場の廃止が、近年、放置自転車を増加させる原因となっており認められません。

 第六に、いっそうの管理・競争教育をすすめていることです。
 学校選択制と学力定着度調査の結果公表は、学校統廃合をすすめるものであり認められません。30人学級こそ実施すべきです。
 各学校の修繕費や運営経費、教授用指導書等の削減は、教育環境を悪化するものです。 区立幼稚園は廃止ではなく、3年保育や預かり保育こそ実施すべきです。
 社会教育会館の廃止計画は、撤回すべきです。
 水元高校存続の運動がすすめられ、都は同跡地を教育施設として利用すると示しているのに区は「フィットネスパーク構想」に固執しています。水元高校を復活するよう都に働きかけることを求めます。

 不公正な同和事業に税金を投入していますが、もう、やめるべきです。
 本決算審議でも明らかになりましたが、清掃一部事務組合が、廃プラスチックを燃やすサーマルプランを推進するために新会社を設立し、業務委託をしていくことは公的責任を投げ捨てることであり、改めるよう求めるべきです。
 また、慈恵医大青戸病院におけるガンの放射線治療が継続されるよう、財政支援も含めて検討すべきです。
 なお、区民参加の名のもとに実施しているパブリックコメントは、全く区民の意見を聞くものとなっておらず、改めるべきです。

 国民健康保険特別会計は、7年連続で値上げをおこなってきたもので、反対です。
 駐車場特別会計は、わが党がくり返し忠告をしてきたにもかかわらず、ついに税金投入をしたものであり、認められません。

 日本共産党区議団は、本決算審査を踏まえ、区民の税金を区民のくらし応援の使い方へと切りかえ、さらなる願い実現に全力で奮闘する決意を申し上げて反対討論といたします。