●2006年第4回定例会一般質問 質問者 三小田准一
増税と負担増で区民のくらしと営業は!
葛飾版「教育改革」で子どもたちはいま 


【目次】
1、 増税と負担増について
2、 後期高齢者医療制度について
3、 公立保育園の民営化について
4、 教育について
5、 柴又の観光について

 日本共産党区議団を代表して、区政一般質問を行います。

(1、増税と負担増について)
内閣府発表の月例経済報告は、「景気が回復している」と指摘しながらも、消費低迷を認める修正をしました。国民に「実感がない」からであります。
 一方、大企業は、自動車や電機などの輸出産業で業績を拡大し、6大銀行・サラ金業界は法人税や消費税を払わない等、優遇税制と低賃金・不安定雇用の拡大で空前の利益をあげています。
 今や働く貧困層、ワーキングプアーは800万世帯、貯蓄なし世帯は23%と貧困と格差は広がるばかりです。来年度予算では生活保護の母子加算廃止、雇用保険の国庫負担廃止なども議論され、安倍政権初の予算編成は負担増先にありきが鮮明となっています。
 すでに定率減税の半減や老年者控除の廃止などで、多くの国民、とりわけ高齢者に増税が押し付けられ、その影響は介護保険料や国民健康保険料の値上げに及んでいます。
 しかも、来年は、住民税のフラット化、定率減税の全廃です。住民税のフラット化で一律10%になれば、本区の住民税納税者の6割が影響を受けます。
 今年6月、住民税の増税で問い合わせが殺到したことを考慮すると、今からでも来年の税制改正についての説明が必要です。鎌倉市は、すでに今月、5つの会場で説明会を開催し、八王子市は今月から「税金相談窓口」を開設しています。
 また、申告をすれば 税が減額になることを通知する書類を 送るなどの取組みで、10月までに 国分寺市では約100名、三鷹市では約400名が還付されました。
 正当な控除が受けられるよう相談窓口の設置や地区センター等での説明会の開催、年金生活者には、申告書を同封した説明資料を送付するなど、対応すべきと思うがどうか。
 
 加えて地方自治体は「住民福祉の増進」の立場にたつことが求められます。なぜなら政府は、一連の増税と負担増を押し付け、さらに消費税の増税も狙っています。そうなれば、区民の暮らしや営業は深刻な事態になりかねません。そこで、もっとも身近な区政が、国の悪政から 区民の暮らしを守る防波堤の役割を果たすために、積極的な施策を講じなければなりません。
 総務省発行のこのチラシには、来年から所得税と住民税の税率が変わるが、税源移譲なので負担は変わりませんと書いています。しかし、読み進んでいくと、定率減税の廃止などによって所得税も住民税も増税になると書いてあります。
 自営業者は確定申告後に 所得税が減税となるために 税源移譲の恩恵は1年後になり、納税額は増えます。
 どれくらいの増税になるのか、このチラシには2つのモデルケースが示されています。夫婦と子ども2人で年収700万の場合、41000円の増税、70才独身で年金収入200万の場合、4800円の増税です。
 今年増税になり、来年も増税になる、これでは区民はたまりません。3定でも要求したように、地方税法にもとづく減免対象を具体化することが必要です。
 たとえば青森市では医療費が所得の10分の1以上であれば市民税を半減にする制度、岡山市では失業などで所得が減った割合に応じて減免する制度、川崎市には、少額所得者免除制度があり、単身の場合、給与収入なら1,871,999円以下、年金収入なら2,327,600円以下であれば非課税にします。
 本区の区税条例でも減免対象を具体化すべきであります。答弁を求めます。

 来年の住民税フラット化でもっとも心配されるのが国保料です。先ほどの70才独身で年金収入200万の方はどうなるか 計算をすると、H17年度の国保料は25,680円、今年度は37,742円、来年度は、現行のままだと71,776円、なんと今年の2倍、去年の3倍です。
 これでは制度に対する信頼そのものがなくなり、制度崩壊につながるのではないかと心配をします。
 もはや激変緩和措置だけを検討していても問題解決にはなりません。累進性という社会保障制度そのもの観点から 住民税方式による国保料の算定方法を抜本的に見直すことが緊急の課題であります。
 そこで緊急対策として、第1に、法定減免に加えて、申請減免を新たな区独自の減免制度として拡充していくことが必要と思うがどうか。
 第2に、現在の激変緩和措置は、前年所得が125万以下でないと適用されません。05年度非課税だった方で適用されなかった方には区独自の緩和措置を講じるべきです。
 第3に、国保料の算定方法の見直しは待ったなしの時点に来ています。制度改善について、改めて区長の決意を伺います。
 
 所得税の定率減税半減による影響で 来年の保育料は約5000万円ほど負担増となります。この負担増については独自の軽減を行い、第2子または第3子からの保育料は無料にすべきです。答弁を求めます。

 障害者自立支援法が施行されて8ヶ月が過ぎました。本区ではいち早く給食費の軽減や施設報酬減への補助、ウエルピア内通園施設の1割負担の免除など 実施をしています。わが党も一貫して要求していたことであり、評価をいたします。
 そこで、この軽減制度を自立支援法にもとづく他の1割負担についても広げるべきと思うがどうか。

 来年の税源移譲と定率減税全廃の影響で 区税収入は45億円ほど増収になることが見込まれています。これは、もともと区民のお金であり、区民の暮らしに使うべきです。

(2、後期高齢者医療制度について)
 次に、後期高齢者医療制度についてお伺いします。
 自公政権の医療制度改悪によって、08年度から、75歳以上の高齢者は、被保険者の扶養からはずされ、全員が強制加入の後期高齢者医療制度に移行します。
 そもそもなぜ75才以上を切り離すのでしょうか。年をとればとるほど病気の割合が高くなるのは常識です。それをもって財界・大企業は、高齢者の医療費は金がかかると宣伝し、現役世代と高齢者の保険を「分離」し、そのことで企業の負担分を軽減しようとしているからです。
 さらに75才以上で働いている健保本人の人たちを 健保から切り離すことによって、被用者であるにも関わらず、事業主の保険料負担がなくなることも重大です。これは「被用者は被用者保険」という 日本の健保の大原則を崩すことになってしまいます。
 また、財界の要求によって75才から70才、65才と徐々に年令が下げられ、被扶養者を現在の保険制度から切り離していく、まさに、わが国の健康保険制度を崩壊させかねません。
 区長は、この制度をどう認識されていますか。見解を伺います。

 本区の場合、対象は、約4万人となり、そのうち、いままで被扶養者として保険料をおさめていなかった方も保険料負担が強いられます。
 保険料の全国平均は月6200円、介護保険料とあわせると月1万円以上を年金から天引きにし、さらに、国保と同様に、滞納者には、短期証、資格証明書の発行や1年半以上の滞納者には保険給付の一時さし止めまでおこなうなど、情け容赦のない負担増と給付減の押し付けです。
 運営主体となる広域連合の議会は、後期高齢者の意見が十分反映できる構成にする必要があります。そして、規約には、区市町村議会への報告義務、後期高齢者の意思反映の仕組み、情報公開の徹底、高齢者の実態に応じた保険料設定、区内の後期高齢者からの意見聴取、などの内容が盛り込まれることが最低限必要だと思うがどうか。

(3、公立保育園の民営化について)
 次に保育園の民営化について質問します。
 区は5つの公立保育園を2010年までに民営化するガイドラインを発表しましたが、該当園での説明会では保護者の不安や疑問が増すばかりです。
 たとえば民営化の時期について区は「平成22年まで」としていますが、保護者は「納得をえてから」というのが多数であります。ところがこの多数の声を無視し、11月15日の広報に民営化の予定時期を発表しています。これは現在、話し合いを続けている保護者の不安や疑問を増大させ、保護者を愚ろうするものです。記事の撤回を求めます。
 横浜地裁の判決は、「民営化は決定事項で変更できないという当局の対応に問題がある」と指摘しており、この判決内容を重く受け止めるべきです。

 また「民間だと保育士が不安定になるのでは」という質問に対し、区は「職員の入れ替わりが頻繁では安定した保育はできない。そうならないように一定の条件をつけていく」「職員配置、事業内容などを委託仕様書等に載せ、チェックをしていくことで、その履行を確保していきたい」と回答しています。しかし、営利企業に運営させている小谷野しょうぶ保育園では、保育士の退職が相次ぎ、契約どおりの体制になっていません。
 「一定の条件をつけて」も「委託仕様書等に載せ」ても実際には、まったく履行されていないという実態ではありませんか。
 小谷野しょうぶ保育園の運営は、「年度内の職員の異動は行わない」という契約に違反しており、ただちに直営に変えるべきです。答弁を求めます。

 株式会社では利益があがらなければ撤退するのではないか、と不安もだされています。これに対して区は、「企業は、社会的使命で運営していく」と説明していますが、神戸市において保育サービス会社が運営していた認可保育園が廃園になりました。補助金を目的外に流用し、資金繰りが難航したのです。それだけでなく保育士に対する不当労働行為があったという判決もでています。
 社会的使命どころか利益を得るためには、何でもあり、そういう一例でもあります。
 民営化しても変わらない、むしろサービスが良くなると言っていますが、先ほど紹介した小谷野しょうぶ保育園のようには、相次いで保育士が退職しているというのは保育条件が悪化しているということではありませんか。保護者に対して事実をありのままに説明すべきです。答弁を求めます。  

 さて、民営化は、区や社会福祉法人が長年築き上げてきた葛飾の保育をどのように変えていくでしょうか。
 第一に、行政の責任が大幅に後退します。行政が直接運営しないということは、保育内容について直接責任を負わないということ、さらに保育についての財政支出を削減するという2重の後退です。
 第二に、営利企業の参入です。企業がいかに利益を上げるかが保育体制や保育内容をきめる要因となります。財界は、社会福祉法人と民間企業の競争条件を同一にするよう求め、社会福祉法人を支えている現行制度を変質・後退させようとしています。
 第三に、保育の格差が生じます。民営化によって公的保育の保障が崩れ、高い水準の保育には高額の負担、負担ができなければ劣悪な保育という格差が生まれます。
 葛飾の保育をこういうものにしようと言うのですか。 
 保育というのは、子どもの生命・身体の安全を確保し、それぞれの個性を尊重しつつ全面的に発達を保障するものです。そのためには専門性と経験をもつ保育士を確保し、子ども、保護者、保育士、行政の協力・信頼関係を確立することが必要であります。
 区長は、あいさつの中で経常収支比率も義務的経費比率も改善してきたと言われましたが、それならば、現在の公立保育園を何が何でも民営化する必要はないではありませんか。民営化のガイドラインは撤回すべきです。答弁を求めます。 

 いまやるべきことは、待機児解消にふさわしい保育園増設計画を立て、延長保育・病後児保育など要求の高い保育サービスを公立保育園の全園で実施することです。答弁を求めます。

(4、教育について)
 次に教育問題について4点お聞きします。
 まず教育基本法の問題です。
 さる11月16日、衆議院本会議において教育基本法改定案を与党単独で強行採決しました。しかし、各種世論調査では、「今国会で成立すべき」は少数、「時間をかけて」という声が圧倒的です。
 なぜかと言えば、改定案の最大のテーマとなっている「愛国心」について、首相自身も「愛国心を評価するのは難しい」と述べ、全国各地で愛国心を評価する通知表が是正されたり、東京地裁が都教育委員会による「日の丸・君が代」の強制に対し違憲判決をくだすなど、改定案の根拠が崩れたからにほかなりません。
 また、誰もが胸を痛めるいじめ自殺や高校、中学での未履修など 深刻な問題が続出し、こうした現実問題こそ 優先的に解決すべきだと言うのが 多くの国民の気持ちです。タウンミーティングでの「やらせ質問」は、国民があたかも法改正を求めているかのように 世論をねつ造したもので、法案提出者としての資格が問われる問題です。
 にも関わらず、「今国会で成立させる」という安倍内閣の方針は、国民の気持ちをふみにじるものです。
 教育基本法は教育の基本、憲法に準ずる法律であります。時間をかけて慎重に審議すべきと思いますが、教育長の見解を伺います。

 2点目に、いじめ問題と教育振興ビジョンとの関わりについてです。
 区長はあいさつの中で、いじめ問題の対応について、教育振興ビジョンとは別の問題として説明されましたが、いじめの深刻な広がりは、いま進められている教育改革との関係、つまり本区では 教育振興ビジョンで進めていることと 切り離して考えることには無理があるのではありませんか。答弁を求めます。
 
 文科省がいじめ件数を5年間で半減する数値目標をつくり、各地の教育委員会がいじめ件数を少なくみせる仕組みを 事実上つくっていたことが明らかになりました。このことによっていじめによる子どもの自殺が 「7年間ゼロ」という報告がされていたのです。いじめの件数で学校を評価する数値目標が 組織的な隠ぺいを助長するものになっていたことの証拠です。
 いじめの発生件数を、2005年までの5年間の推移で見てみますと中学校の場合、全国的には23%の減ですが、本区では85%の減になっています。昨年は中学校では10件という報告でした。実態とかけ離れているという感が否めません。
 いじめ問題の解決のためには、先ほどの区長の決意とともに文科省自身が「教師集団の力で関係者と連携して解決する方針」に示しているように、教師や子どもたちを競い合わせるのではなく、教職員が一致協力する方向に転換しなければなりません。
 しかし、教育振興ビジョンで具体化している 定着度調査の結果や英検、漢検の合格者によって、子どもたち・教師間・学校間を競い合わせ、その結果で学校や教員を評価する実態は、いじめ問題の解決のさまたげになっていると思うがどうか。

 いじめの要因には、子ども達のストレスがあることが指摘されています。
 北海道大学の研究グループがおこなった小・中学生「抑うつ傾向」の調査結果では、全生徒の平均が13%、中学生にいたっては30%を超え、欧米諸国の2倍の水準に達しています。中学生の3人に1人がつねにストレスを抱えている状態です。
 高校での未履修問題は、中学校にも広がり、明らかに受験競争の弊害です。こうした競争教育のあり方が、子ども達に激しいストレスを与えているのです。
 教育振興ビジョンは、学校選択制に加え学力テスト、区独自の定着度調査の 結果公表によって 子どもたちや学校間を競い合わせ、子どもたちにさらなるストレスを与えています。
 いじめ問題解決の障害となる 学力定着度調査と その結果公表は、ただちに中止し、学力テストの中止を都に求めるべきです。答弁を求めます。

 夏休み短縮も子ども達にストレスを与えています。
 ある中学校の生徒は「学校の宿題も多かったから、ほとんど遊ぶことができなかった。夏祭りにも一度もいけずショックだった」、ある小学校の児童は「短くすると決めた人がうざい。もっと遊びたかったのに遊べない」など不満を漏らしています。
 さらに夏休み短縮以来、9月に学校を休む生徒が急増し、小学校の欠席者は、のべで1151名、前年比15%の増です。2倍、3倍になった学校もあります。
 夏休み短縮は、欠席者が急増するなど ストレスを与えていることは明白であり、元に戻すべきです。答弁を求めます。

 3点目は、未来を見据えた学校づくり検討委員会についてです。
 平成7年の「適正規模検討委員会報告書」では「経済効率を主眼としていない」「統廃合を前提とするのではない」としていましたが、今回の検討委員会は、設置要綱の第1に、これからの教育と学校のあり方、第2に、適正規模と学校施設のあり方となっています。つまり教育のハード面ではなく、ソフト面を第1の検討事項としていることに以前との決定的な違いがあります。
 まず最初に、施設課主導の検討委員会でありながら、なぜ教育のソフト面が第1の検討事項となったのか明らかにしていただきたいと思います。
 
 議事録を見ますと、「ソフトとハードをセットで考えなければならない」とか1学年に2クラスしかない学校は小規模校とみなす発言があり、しかも40人学級を前提にしています。
 この検討委員会の会長は、教育基本法改定の論文を多数書き、サッチャー流のイギリスの教育改革を 日本にも導入すべきだと 主張する研究者です。しかし、イギリスの教育改革は、競争原理の拡大で格差を広げたと批判され、06年からは義務教育費は全額国庫負担、少人数学級のための教員の大増員などの見直しが進められています。
 また、この会長は、品川区や足立区で進めている教育改革の 重要なポストも務めている人物です。そこではいったい何がおきているでしょうか。
 品川区は、学校間格差を広げた例として紹介され、足立区は、テストの結果で予算配分に差をつける方針をだし、世論の批判を浴びました。そしてついにどちらも新入生ゼロの学校がでたのです。
 そこで伺いますが、検討委員会は、品川区や足立区のように新入生ゼロにする学校の出現を目的としているのですか。答弁を求めます。

 検討委員会では、「単なる統廃合計画であってはならない」とし、「公共施設見直し推進計画」の内容を盛り込む報告をしています。しかし、学校をどうするかの検討をする中で、他の公共施設の合理化を目的とすることは論外であり、検討方向を見直すべきです。そして30人学級が現在の主流であることを踏まえて検討すべきです。答弁を求めます。

 4点目として、当面の教育施設に関わる問題です。
 第1に、社会教育館の運営についてです。
 社会教育主事を減らし、予算も減額、社会教育館から主事を引き上げる等、事実上、社会教育事業を縮小してきたのは明白です。また社会教育館の運営について、多くの区民の声を無視したことは重大です。
 区は、社会教育館について「引き続き生涯学習拠点として活用する、区民の学習活動支援の充実強化をはかる」としていますが、具体的に何を 充実すると考えているのか。
 また、コミュニティー施設での専門職員、社会教育主事の活用と言うが、その支援活動の具体化はどうなっているのか。そして、社会教育館以外での 社会教育主事の活用を具体化するためには、人員を拡大する必要があるのではないか。答弁を求めます。

 第2は、旧学校の耐震工事の実施についてです。
 区内小中学校の耐震補強計画を前倒しで実施することは、わが党も要求してきたことであり、歓迎するものです。
 しかし、すでに統廃合された6つの旧学校は、依然として計画が明らかにされていません。旧学校であっても教育センターや保育所、学童などの公共施設として、さらには災害時の避難所として活用されるもので耐震補強が後回しであってはなりません。
 旧6学校の耐震工事の計画をたて、実施すべきです。答弁を求めます。

(5、柴又の観光について)
 最後に柴又の観光事業についてお聞きします。
 今月18日に寅さん記念館がリニューアルオープンしました。私も見てまいりました。今後、入場者が増えることを期待するものです。
 しかし、寅さんを演じた渥美清さんが亡くなって、すでに10年が経ちました。私は、この際、寅さん記念館をもっと長期的な視点にたって、位置付けを変える時期にきているのではないか、と感じます。なぜなら、やがては寅さん映画を見たことがない世代が多数派になる時代がくるからです。
 寅さん記念館を単なる観光スポット施設とするのではなく、寅さんの生きた時代の柴又、葛飾を学ぶことができるミニ博物館として、社会教育的な役割を検討すべきではないでしょうか。
 葛飾には郷土と天文の博物館があり、郷土の歴史を学ぶ多くの企画展など すぐれた業績をあげています。企画のテーマによっては 郷土と天文の博物館と 寅さん記念館が連携するなどして 年間の企画行事にメリハリをつければ、寅さん記念館が世代を超えた区民の施設になると考えます。見解を伺います。

 柴又の観光と言えば、やはり帝釈天です。「寅さん」人気だけでなく、彫刻をはじめとした帝釈天そのものの魅力について アピールしていくことが必要だと思います。
 帝釈天二天門や法華経説話を題材にしている 10枚の彫刻はすばらしいものですが、それを作った経過や説話について 詳しく知ることができれば、さらに興味が湧いてきます。
 ここに帝釈天を紹介したパンフレットがあります。これも参考にしながら、「三尸説」といわれる庚申信仰なども紹介するなど、帝釈天をはじめ柴又の詳しいガイドブックを葛飾区役所として編集・発行し、普及してはいかがでしょうか。

 アピールとともに現地でのガイドの役割も重要です。現在、シニア観光ボランティアガイドのみなさんが活躍されています。
 ガイドのみなさんは、寅さん記念館にある休憩所に集合し、打ち合わせをして、そこに預けている のぼりなどの必要な用具を分け、駅へ向います。駅でお客をつかまえガイドをする。ガイドが終わったら、また休憩所に行き、レポートを提出して終わります。
 駅と休憩所の往復に無駄があるのではないでしょうか。また、お客がいない時には長時間立っていたり、駅員に断って駅舎のトイレを借りているという状況です。
 観光案内の問合せは「高齢者支援課」となっていますが、これはいただけません。確かに「シニア」としているように 高齢者支援課が窓口になっているわけですが、実際には、ガイドの評価が高ければ、また柴又に来たくなる、あるいは別のお客さんを紹介してくれるなど 区の観光事業の一翼を担っています。
 そこで、ボランティアガイドの育成は高齢者支援課、実際のガイドの窓口は産業経済課というように連携し、観光事業として位置付けることが必要だと思います。そして、もっと活動しやすいように、駅前に待機スペースを確保してはどうでしょうか。答弁を求めます。
 以上で私の質問は終わりますが、答弁いかんによっては再質問をおこなうことを表明いたします。