●2007年第4回定例会 発言者 三小田准一
高齢者から子育て家庭まで安心してくらせる区政に

【目次】
1、後期高齢者医療制度について
2、子育て支援について
3、中小企業対策について
4、「未来を見据えた学校づくり」について
5、大学誘致・三菱製紙跡地買収計画について

●再質問


1、後期高齢者医療制度について
 私は、日本共産党区議団を代表して、区政一般について質問いたします。
 最初は、後期高齢者医療制度についてです。
 かつて、国連のコフィー・アナン元事務総長は、高齢者問題世界会議で、「アフリカでは、老人が1人亡くなると図書館が1つ消えるといいます。この言葉が意味するところは文化にかかわらず真実です。高齢者は、過去と現在、そして未来を結ぶ仲介者なのです。その知恵と経験は、社会にとってかけがえのない宝です。」と演説しました。
 高齢化社会は、人類だけがもつ社会です。人間以外の動物は、高齢になったり障害をもつと、他の動物に食べられるか、餓死するかします。人間は、前近代までは、「姥棄て」が存在しましたが、歴史の発展にともなって次世代が高齢者をささえる社会を築いてきたのであります。
 このことを国連は、1982年に策定された「高齢化に関する国際行動計画」で、「高齢化は、質的のみならず量的な意味からも、社会・経済発展の兆候であると同時に結果でもある」と高らかに宣言をしたところです。
 ところが日本では、逆の方向にすすんでいます。歴代自民党政府によって、高齢者いじめ政治が押し進められ、長生きすることが悪であるかのような風潮がつくりだされています。
 小泉内閣以来の自民・公明政権の構造改革路線によって、その傾向はさらに強められ、とくに一昨年の税制改正では、公的年金等控除の縮小、老年者控除の廃止、住民税の非課税措置の廃止など高齢者をターゲットにした改悪が強行され、それにともない国保料、介護保険料、都営住宅家賃、老健施設の食事代などの雪だるま式値上げをもたらしました。
 さらに、06年の医療制度改革による療養病床の削減は、多くの高齢者を病院から追い出し、命そのものを奪っています。
 「住民の福祉の増進を図ることを基本」とする地方自治体であるわが区は、こうした悪政と闘い住民生活をまもる立場を堅持しなければならないはずですが、実際は、国と一緒になって「高齢者いじめ」政策をすすめてきました。
 敬老金、福祉電話、老人福祉手当の廃止、ねたきり高齢者の紙おむつ支給の縮小、各種事業の有料化など枚挙にいとまがありません。来年度からは、敬老館の廃止や社会福祉協議会への敬老事業助成も廃止するなど、敬老事業そのものにとどめをさそうとしています。
 こうした高齢者いじめに対する国民的怒りが示されたのが今年7月の参議院選挙の結果です。
 参議院選直後の8月5日付朝日新聞に「自民の大敗は年寄りの反乱」という投書が載りました。
 74歳の方からのもので「自民党の歴史的大敗に終わった参院選を、私は『じじ・ばばの反乱』と受け止めている。年寄りをばかにしてきた政権与党への仕返しだ」と痛烈に批判し、税制、医療、年金などの悪政を列記し、「年寄りはもう要らないから死ね、と言わんばかりではないか」と、告発しています。
 こうした声を謙虚に受け止めるなら、これまでおこなってきた「高齢者いじめ」政策をあらためなければならないのですが、反省するどころか、さらなる高齢者への仕打ちを強めようとしているのが、来年4月発足の「後期高齢者医療制度」であります。
 後期高齢者医療制度は、その中身が知られるにつれて怒りが広がっています。
 すでに、制度の見直しなどを求める意見書を可決したり、請願を採択した地方議会は、295議会にのぼります。
 とくに怒りが集中しているのは、75歳以上という年齢によって、保険と医療が差別されることであります。
 11月20日、第1回広域連合議会定例会が開かれ、東京都における保険料等をきめる条例が可決されましたが、それによって、ほとんどの人が、これまでの国保より高い保険料が徴収されるようになります。
 しかもこの保険料は、高齢者人口と医療給付費の増加によって、自動的にひきあげられる仕組みです。
 財力の弱い後期高齢者が、より高い保険料を押し付けられるというのは、どこから見ても納得のいくことではありません。
 その保険料は、介護保険と同じように年金から天引されます。同時に、1万5千円以下の年金者は、普通徴収にし、払えなければ保険証をとりあげ資格証明書を発行するとしています。
 これまで、75歳以上の高齢者は、被爆者や障害者とならんで、保険証の取り上げが禁止されてきました。医療を奪われたら、ただちに命にかかわるからです。
 今年3月に、わが党国会議員団が、全国724病院におこなったアンケートでは、資格証明書による受診が70%の病院であり、重症化した患者事例が1027件あったという回答を得ています。「脳出血を起こしていたが自宅で寝ていた」「風邪だと思っていたら、肺炎になっていた」など、深刻な実態が明らかになっています。
 これを後期高齢者に適応すれば、一層深刻なものになるのは、火をみるより明らかなことです。
 一方、給付の方は、包括払い方式の導入や、主治医の紹介なしでは他の診療科にかかりにくくすることの検討など、後期高齢者の医療を受ける権利に制限を加えようとしています。
 厚労省が作成した「後期高齢者医療の診療報酬大系の骨子」では、後期高齢者の特徴を、「治療の長期化と複数疾患」、「認知症の問題」、そして、「いずれ死をむかえる」の3つをあげています。
 言い換えると、後期高齢者の病気は長引き、いずれ死をむかえるのだから、それに見合った医療でいいと言うことなのだろうと思います。あまりにひどい扱いであります。
 このまま実施されれば、後期高齢者が医療からはじきだされてしまう結果となります。
 そこで、緊急を要する問題に限定して、区長に質問するものです。
1、都後期高齢者医療広域連合は、2カ年間に限って100億円の一般財源の投入を区市町村で合意し、ひとりあたり保険料を年額10万2900円としたとしていますが、それでも全国平均を大きく上回ります。
 また、年金収入388万円以下については、現行の国保料を上回わっています。所得税非課税者など低所得者は、保険料の免除または減額とすべきです。
 区が単独補助をしてでも、さらなる軽減策を講じるつもりはありませんか。
2、広域連合は、保険料計算の基礎となる所得について、「旧ただし書き」方式を採用しましが、それによって身体障害者などに負担増が生じないようにすべきだがどうか。
3、資格証明書の発行は、しないよう方策を講じるつもりはないか。
4、広域連合は、後期高齢者に対する健診は、「特定健診における必須項目」としました。また、「健診費用を無料とする場合は、区の負担とする」としました。しかし、後期高齢者であっても、従来の高齢者健診と同様の項目とし、健診費用も無料とすべきと思うがどうか。
5、政府は、健保の扶養家族の人の保険料を半年間延期し、70?74歳の医療費窓口負担の引き上げを1年間凍結するなどを言っていますが、国民世論の怒りは、それだけでは納得しないほど高まっています。この際、区として制度の実施を中止するよう求めるべきと思うがどうか。

2、子育て支援について
 次に、子育てに関わるいくつかの点について質問します。
 日本の合計特殊出生率は1・32と少子化傾向は深刻です。その背景には、非正規雇用の増大による低賃金、長時間労働と賃下げ、リストラなど貧困と格差を広げる構造改革路線にあることは、各分野から指摘されています。
 こんな時こそ、子どもを産み育てたいという願いに沿った支援が基礎的自治体には求められるのですが、現状はどうでしょうか。
 本区では、公立保育園や学童保育クラブの民営化、子ども家庭支援センターの統廃合、保育料の値上げなど、まったく逆行しています。
 とりわけ保健所の建て替えに伴って、子ども家庭支援センターを統廃合しようとしていることは、現在の子育ての難しさをまったく認識しておらず、愕然とするものです。
 金町と青戸の子ども家庭支援センターでの相談件数は年々増えており、06年度は、合計1036件にのぼります。その中でももっとも多いのが児童虐待で3年間で1、7倍です。児童虐待、ネグレスト、ストレスなど子育ての難しさや障害を取り除いていくための重要な役割を担っているのが子ども家庭支援センターであります。
 身近な所に気軽に相談に行ける、子育ての「駆け込み寺」とも言うべき支援センターが地域にあり、そのセンターを中心にネットワークを構築することが早期発見、早期解決のカギとなります。
 現在、金町地域には、マンション建設計画が急ピッチで進んでおり、駅周辺だけでも3000戸近いマンションが建設される計画です。若い子育て世代が確実に増えていきます。
 こうした現実を見据えれば、子ども家庭支援センターの統廃合ではなく、むしろ増設こそ必要ではありませんか。答弁を求めます。
 貧困と格差が広がる中、経済的負担の軽減も必要です。一つは、保育料の問題です。
 区は、来年度から保育料を値上げすることを発表しました。税源移譲によって保育料が下がる分を値上げによってカバーしようと言うのです。
 しかし、区民は収入が増えていないという実態があります。そして定率減税の全廃によって増税が押し付けられ、保育料の値上げを強いられています。
 「使用料等の見直しについて」では「保育料については据え置きが妥当である」となっています。だとすれば、少なくとも定率減税の全廃による値上げ分は、値下げこそ必要ではありませんか。また第2子以降の保育料無料化を実施すべきです。答弁を求めます
 2つ目に、お金の心配なく安心して子どもを産むためにも、妊婦健診や出産費用についても支援が必要です。
 今、全国各地で妊婦の搬送受け入れ拒否が社会問題になっていますが、病院側が断る理由の一つに妊婦検診の「未受診」があると言われています。
 妊婦検診の公費負担は2回程度がほとんどで、健診費用は1回に約5千円、血液検査を伴うと1万から1万5千円かかることから、若い夫婦には重い負担になっています。 
 すでに23区の中では、11区で独自支援を行っています。台東区では14回分、杉並区では12回分などであります。 
 本区でも、無料回数の拡大が検討されています。厚生労働省が自治体に対して、公費負担については「14回程度行われることが望ましい」とする通知を出したことからも、「葛飾らしく」思い切って、妊婦健診の無料化にふみだすべきと思うがどうか。
 また、出産費用は平均50万円程度かかります。出産時の一時金35万円では不十分であり、区独自の助成を行うべきと思うがどうか。答弁を求めます。

3、中小企業対策について
 次に中小企業対策について質問します。                    
 今月7日、わが党は、長野県岡谷市に視察に行ってまいりました。岡谷市は人口約53000人、製造業が700社ある、本区と同じく中小企業の街でもあります。
 この岡谷市の中小企業対策については学ぶべきものがあります。
 まず対策の拠点として、本区と同じ名称でありますが、テクノプラザおかやが5年前にオープンし、市営で管理・運営がされています。何よりも中小企業の生の声を聞くことが一番と言う姿勢に確固としたものがあり、テクノプラザには企業訪問を日常的に進めるために常時2名を配置し、来年度は市長先頭に700社のすべての企業訪問をすることになっているとのことでした。
 企業訪問によって要望を聞き市政に反映することや最新のデータベースによる受注機会を拡大することができます。
 受注機会の拡大という点では目を見張るものもありました。それは展示会の位置づけです。
 市内で実施する展示会は、150社が参加をしています。さらに小規模企業の商品を集め共同で展示できるよう市が援助しています。この共同展示会は、市内ではなく本日からは名古屋で、来年1月22日からは東京新宿での展示会となっていました。もう一つは、諏訪広域6市町村の共同での展示会、諏訪圏工業メッセが実施されており、この展示会では、7割以上がその場で商談に結びつき、全国でも注目されている展示会であります。
 中小企業都市との交流も旺盛に行っています。墨田区、大田区も参加している中小企業サミットに参加し、中小企業振興に関わる諸課題について協議・交流し、解決策の探求や提言を行っています。
 岡谷市のこうした取組みは、市外・県外に岡谷市のものづくりのすばらしさを発信し、中小企業の営業に役立っ対策となっていることが特徴であります。
 後継者の育成については、どの自治体でも重要な課題でありますが、岡谷市では、ものづくりは「かっこいい」と思ってもらう観点から、小学生を対象に工場見学、ものづくり教室の開催、若手従業員の技術・技能習得に必要な経費への助成をしています。
 さて本区の中小企業対策は、岡谷市のように外に向かって発信するという取り組みになっているでしょうか。                      
 発信する場合、ホームページの活用はかかせません。企業のデータベースはあるものの、調査が不十分であり、データーについてもすでに倒産・廃業している企業もそのままになっています。さらに驚くことに、そのページには「情報の正確性について保証するものではない」という表示もされています。     
 あらためて企業の悉皆調査を実施し、要望を聞きながら、最新のデーターにすべきです。また、データベースの管理は、民間任せではなく区が直接責任を負うべきです。答弁を求めます。
 受注機会を拡大するための展示会はどうでしょうか。               
 先月開催した産業フェアーでも製品展示はありますが、受注機会の拡大というよりも地域の方々に製品を知らしめることが第一義的なものであると思います。
 先日、12チャンネルで出没アド街ック天国という番組で「四つ木」のまちが紹介されました。地域のさまざまな個店が紹介されましたが、そのNO1は、町工場でした。おもちゃを地場産業として、レインボーブリッヂをはじめとする巨大建造物の部品づくりが行われていることは、本区の宝の一つでもあります。 
 受注機械を拡大する上でも、こうした葛飾区のものづくりを全国、世界に発信することが重要です。産業フェアーも行われていますが、それとは別に、受発注拡大を最大の目的として、新たに大規模な産業展が必要だと思います。たとえば区内中小企業はもちろん、墨田区をはじめとした東京東部ブロックや近隣自治体に呼びかけ、東京ビッグサイトなどの大規模な展示場での開催を検討してはどうでしょうか。
 他自治体との交流という点では台東、荒川、墨田、葛飾の4区が共同したTASKプロジェクトがありますが、全国的な交流の場としての中小企業都市サミットに積極的に参加すべきと思うがどうか。
 区地域産業活性化プランによると製造経営者の年齢が60歳以上は、62,2%となっており、後継者育成は重要な課題となっています。低学年から「ものづくり」に興味をもってもらう取組みを行うとともに岡谷市のように後継者の育成・確保の観点から技能講習会や技能訓練を受ける場合の補助金や奨励金を支給してはいかがでしょうか。        こうした中小企業対策をすすめる拠点としてのテクノプラザの役割を直視し、管理・運営は、指定管理者を活用するのではなく、区が直接責任を持っべきです。また、前年度テクノプラザが実施した雇用・就業マッチング支援事業、雇用促進支援事業、若年者就業支援事業などの雇用対策は、結果として実施できなかった事業や費用対効果から効率が悪いなどの課題を生み、どれもうまくいきませんでした。
 本来、雇用対策は、利益を生み出す事業ではないため民間任せで進むものではありません。区が責任を持って実施すべきです。答弁を求めます。

4、「未来を見据えた学校づくり」について
 次に「未来を見据えた学校づくり」について質問します。
 先ほど区長は、「これからの学校教育のあり方や方向性を十分にふまえて、将来にむけた学校施設のあり方について検討をしてきたた」、そして学校施設のあり方については「学級規模が12から18学級までの適正な規模が必要であるという考え方」を基に検討していくと述べられました。
 学校教育のあり方や方向性を十分に踏まえるなら、まず本区が教育行政の「大方針」としている「教育振興ビジョン」を今後どうしていくのか、ここがまず問われなければなりません。
 現在、「教育振興ビジョン」は見直しをすすめているのに、なぜ、ハードの部分の答申が先行するのでしょうか。私は、順序が逆ではないかと問いたいのです。「大方針」が定まってこそ、学校の校舎のあり方など検討するのが本来の順序ではありませんか。答弁を求めます。
 今度の答申では、現行の学級数でみるならば小学校は49校中11校を廃校にする、中学校では対象校があまりにも多いので、やむをえず9学級までは許容できる範囲とし、24校中5校を廃校にすることになっています。
 16校が廃校の対象にされ、しかも一学級でも減少したら、廃校の危険にさらされるのが小学校で13校、中学校で4校、これは現行の選択制が続く限り増える可能性があります。
 そもそも学級数で統廃合の基準を決めること事態に矛盾があります。いま全国的な流れになっている少人数学級を実施した場合、教室数が足らなくなってしまいます。「未来を見据える」と言うならば、30人学級になった場合を想定することこそ必要であります。都内でもついにお隣の足立区が独自に少人数学級の実施に足を踏み出そうとしているではありませんか。
 また、この事業を「多額の経費を要する大きな事業」だと強調していることは、校舎の建替えの経費をさしているのでしょうが、まさに「未来を見据えた学校づくり」は、校舎建て替えにお金を使いたくないから学校を減らそうという、まぎれもない小中学校の統廃合計画そのものではありませんか。明確にお答えいただきたい。
 そもそも小規模校がなぜ生まれたのか。そのひとつには、学校選択制を導入し、政策的誘導があったからに他なりません。学校選択制を続ける限り、競争原理が働き続け、常に12学級以下になる危険があります。こんな不安定な状態におとしめ、子どもたちのために教職員ひいては学校長が教育環境の充実に取り組めるとお考えですか。また地域関係者が廃校になるかもしれない学校を核にして、地域コミュニティの活性化を本当に発展させることができると考えているのですか。答弁を求めます。
 学校規模にこれだけの地域差が生じていることを学校と地域の責任に転嫁することはあってはなりません。なぜなら学校間格差をあおる選択制の推進と通学区域の適切な見直しを完全にサボタージュして、今日のこのような事態をもたらしているのは、区と教育委員会の責任だからです。
 前回の答申では、学区域の変更が第一義的な検討事項でしたが、今回の答申は、通学区域の変更は添え物扱いで、先に統廃合ありきです。通学区域の変更の扱いを再検討すべきと思うがどうか。
 区長挨拶では、パブリックコメントを実施したこともわざわざ引用していますが、まとめ方が一方的、意図的で不公正であります。40件の意見に対して取り入れたのはたった一件、それも「図書室」を「学校図書館」に変更するというものだけです。その他教育内容や小規模校に対する意見、圧倒的に多い統廃合そのものに反対する意見は、「取り入れない」という扱いであります。つまり、パブリックコメントで提案された意見はほとんど無視した格好になっています。
 パブリックコメントに寄せられた区民の貴重な意見を尊重すれば、おのずと報告書は大きく書き換えなければなりません。このさい、答申は撤回し、再検討すべきです。答弁を求めます。

5、大学誘致・三菱製紙跡地買収計画について
 次に、大学誘致・三菱製紙跡地買収計画について質問します。
 11月16日の総務委員会で、同跡地利用について、都市計画公園と大学誘致のための用地として区が買収するとの説明が行われました。
 区民の財産として、公共性のある事業に一定の財源が必要である事は言うまでもありませんが、この計画にはいくつかの問題があります。
 独立行政法人都市再生機構、以下URとよびますが、同跡地の一部をマンション建設のためのものでしたが、平米775000円もの高値で取引をしました。これをもって、URは、本区とも高値での土地取引を進めようとしています。
 なぜ、こうした高値になるのか。その背景には、商業施設と巨大マンション建設と言う間違った都市計画決定をわが党の反対をおしきって強行したからです。
 しかし、三菱製紙からURの前身である住宅都市整備公団が買収したとされる価格は平米127000円であり、現在、国土交通省自身が発表している同地近隣の「路線価」も、17万円強であります。総務委員会では、平米45万円ほどで取引するとの報告でしたが、先程の区長挨拶では、この価格で「確定する段階に至ったと判断」したと表明されました。
 本当にそれでよいのでしょうか。公園や文教施設としては異常な高値だといわなければなりません。区長自身も平米45万円は高いとお考えなのではないですか。答弁を求めます。
 直近の事例として、今年11月に慶応大学が横浜市青葉区の市有地を付属小中一貫校の建設のために5ヘクタールを53億円、つまり平米13万円で購入しました。
 ここは、東急田園都市線江田駅から徒歩5分で路線価は、新宿六丁目とほぼ同額です。
 URと本区との取引が、このような高値の取引が行われるならば、近隣の異常な地価の上昇をまねき近隣住民に被害が及ぶとともに、本区にとっても多大な、財政負担になってしまいます。
 そもそも、同地はURの前身である公団が、国費による出資金や財投資金を充て購入した経過から公共性をもっています。しかも、公園などの公共性の高い土地利用をしようとしているのに手前勝手に地価をつりあげるUR商法ともいうべきやり方が放置されてよいのでしょうか。
 URは、たしかに民間企業に変わりましたが「独立行政法人都市再生機構法」という法律にもとづいて、国や地方自治体から多額の出資金でなりたっているまぎれもない「公的機関」であり、その13条では、必要あらば国土交通大臣の求めに応じなければならないという項もあるのです。
 わが党は独自に、国土交通省に対して、この点でのURに対する指導・是正を求めましたが、逃げ回り、責任を果たそうとしていません。地上げ屋まがいの商法に対して、まじめに指導・監督もしない国交省の態度は断じて容認できるものではありません。
 区長は、国交省のトップにこうした事態の改善を求め、あるべき価格で買収できるよう働きかけるべきだと思いますがどうでしょうか。
 また、URとの交渉では、正論を貫き、平米45万円でよしとせず、可能な限り財政負担が最小限となるように努力すべきと思うがどうか。答弁を求めます。
●再質問
 2点について再質問をおこないます。1点目は後期高齢者医療制度についてであります。私は区長に質問をいたしました。しかし、福祉部長が勝手に答弁を致しましたので、改めて再質問をおこないます。
 後期高齢者医療制度は来年4月、さまざまな矛盾を抱えて実施されようとしています。制度の欠陥によって、まっさきに住民から非難を受けるのは自治体であります。その長が他人事のような態度では困ります。区民の代表として声をあげて頂けなければなりません。この制度の問題について、指摘をしているのはわが党だけではありません。9月26日都議会では、石原知事でさえ「結果として貧しい年寄りが早く死ねということになっては決してならない」と答弁をしていました。
 日本医師会もこの制度を財政主導、高齢者の配慮に欠けると批判し、低所得者から保険料、窓口負担をとらない新しい高齢者医療制度の創設を提案しています。
 改めて区長にお聞きします。保険料の更なる軽減に足を踏み出す気はありませんか。高齢者医療制度について、国に対して来年4月の実施の中止を求める気はありませんか。再答弁を求めます。
 2点目は未来を見据えた学校づくりについてであります。未来を見据えた学校づくり検討委員会設置要綱の第2条には、委員会が検討する事項について、第1にこれからの教育と学校のあり方、第2に学校の適正規模と学校施設のあり方とあります。しかし、報告書では第1部で学校施設のあり方、第2部で学校の望ましい規模となっています。
 これからの教育については、何らふれられておりません。これは何故かといいますと、学校を減らすためにどうしたらいいのかと、学校統廃合のためには、どうしたらいいのかと、その1点で立ち上げた検討委員会だからであります。さらに、報告書の41ページには、これまで小学校は6校廃校にしてきた、しかし中学校はしてこなかった、だからダメなんだと言わんばかりに、統廃合にはっぱをかけています。このことからも、未来を見据えた学校づくりが、統廃合先にありきの計画だというのが、明白であります。
 しかも、設置要綱にも反する内容であります。答申については、撤回を求めるものであります。再答弁を求めます。