2008年第1回定例会一般質問 質問者 三小田准一 |
子育て支援の充実、高砂団地の建替えは住民本位ですすめよ 【目次】 1、子育て支援について 金町子ども家庭支援センターは存続させよ 子育てひろば事業の拡充を 学童保育クラブの増設を 2、高砂団地の建替えにともなう問題について 仮移転は住民の意向をふまえよ 「間取り」の改善を 新築を理由にした家賃値上げを許すな 跡地利用について、拙速な地区計画決定はさけるべき ●再質問 1、子育て支援について 《金町子ども家庭支援センターは存続させよ》 先の通告に従い区政一般質問を行います。 まず子育て支援についてであります。 予算概要では「地域とともに進める子育て」「発達段階に応じた居場所づくり」、これらを通して、『子育てするなら葛飾で』と高らかにうたっています。 しかし、今後の計画は、子ども家庭支援センターの統廃合、公立保育園の民営化、公立学童の縮小、児童館職員体制の見直しなど、地域の子育ての核となる施設や事業をのきなみ後退させようとしています。 第3子の保育料の無料化を打ち出していますが、対象が制限された不十分なものであり、再検討が求められます。 子ども家庭支援センターは、児童虐待などの身近な相談窓口として果たしている役割は極めて重要になっています。相談件数が増えていることが、そのことを示しています。 センターへの相談には「薬を飲ませても下痢が止まらない。どうしたら良いか」というものから、言葉や身体機能など、発達の遅れについての相談、また「体調が悪く、子どもにつらくあたってしまう。このままだと子どもを虐待しそう」と泣きながら訴えてくる親への対応、さらに最近、若い親から夜中にメールやファックスでの相談も増えていると聞きます。 今後、金町駅周辺でのマンション建設が進めば、若い世代も同時に増えてくることは想像にかたくありません。 身近なところで相談と適切な指導・援助をしていくためには、その核となる子ども家庭支援センターの存在はかかせません。相談件数が増えていく中で、2ヶ所のセンターを1ヶ所にすることは区民の理解を得ることはできないでしょう。 金町子ども家庭支援センターは存続させ、さらに増やしていくことが必要です。答弁を求めます。 《子育てひろば事業の拡充を》 基本計画では「親と子どもの集いや交流の場」「子育てを学ぶ場」として子育てひろばを設置していくことが示されています。「地域とともに進める子育て」をすすめていくためにも、この子育てひろば事業の果たす役割も重要です。 金町子ども家庭支援センターでの子育てひろばを利用しているお母さんは、「統合され遠くなってしまったら、とても3人のこどもを連れては通えない」と不安を語っていました。 「子育てするなら葛飾で」と言うなら、こういう不安を与えることはやめるべきです。金町子ども家庭支援センターでの子どもひろば事業は継続すべきです。また、7ヶ所の基幹型児童館でも専任職員を配置するなどして、子育てひろば事業として拡充すべきと思うがどうか。 《学童保育クラブの増設を》 「発達段階に応じた居場所づくり」と言いながら学童保育クラブは大きく後退させようとしています。 昨年、国は「放課後児童クラブガイドライン」を定めました。この「ガイドライン」では、一学童保育あたりの入所児童規模は「最大70人」と定め、「子どもが生活するスペースについては児童一人当たりおおむね1.65平方メートル以上の面積を確保することが望ましい」としました。 ところが区は、定員を設けず、詰め込むだけ詰め込み、大規模化を進めてきました。来年度の入所申請数では公私立合わせて70人以上は17クラブ、中には100人を超えるクラブもあります。 「ガイドライン」にもとづき、大規模クラブは是正し、「遊びと生活の場」にふさわしい学童保育クラブにしていかなければなりません。 70人以上のクラブを解消するためには、それにふさわしい増設計画をもつことです。施設面積においては、来年度一人当たり1.65平方メートル以上を確保できないクラブは、増築など、緊急に対策を講じるべきと思うがどうか。 行革方針や行政評価では、公立学童を縮小していく方向が示されています。これは区の学童保育行政の後退につながるもので絶対に許されません。大規模学童を解消するためにも公立学童を増やしていくことが必要です。方針は撤回すべきです。答弁を求めます。 2、高砂団地の建替えにともなう問題について 《仮移転は住民の意向をふまえよ》 次に、高砂団地建替えに伴う問題について質問します。 東京都は、昨年12月14日に「高砂団地の建替えについて」を発表しました。これによりますと団地南側の約3分の1、3.85ヘクタールを活用し、920戸分8棟を1期、2期に分けて建てる計画になっており、平成26年度までに完了するスケジュールです。その後、時期は未定ですが、3期として180戸の建設を予定しています。 住民本位に建替え事業がすすむことが求められますが、すでに心配や不安が生じています。この間の説明会でもっとも多かった意見は、「建替え後の団地に戻りたい」「間取りが狭い」「家賃がどうなるのか」のこの3点でした。 まず第1の建替え後の団地に戻りたいという問題についてであります。 現地建替えですので、南側の約220世帯が新宿6丁目の団地に移転を迫られます。新宿6丁目団地は、新築ですので本移転となり高砂団地には戻って来ることはできません。しかし他の都営住宅か民間住宅への仮移転であれば、高砂に戻ってくることができるとしています。 私は今、団地内での住民アンケートに取り組んでいますが、3人の子育て真っ最中の5人世帯からは「4月から次男が中学3年生、受験を前に転校はとても考えられない。長女は新入学です。初めての学校生活に慣れない内に新しい学校へ行くのはかわいそうでなりません」、60代後半の2人世帯は「高砂から移転するのは不安です。仮移転するのも高砂団地内ですと安心なのですが、近くに移転させてくれる場所がなく、夜も寝られないほど、毎日悩んでいます。このままでは生きていけるかどうか不安です」、75歳以上の2人世帯は「昭和39年に入居し、44年当団地で暮らしてきました。主人も私も要介護2、要支援1です。当団地から離れることは出来ません」、82歳の単身の女性は「現在、細田診療所に通院しています。新宿に移転すると通院が困難になります。出来れば団地内の空き室に入れてください」など切実な声が寄せられています。 まさに高砂団地に「戻りたい」、「残りたい」というのは団地住民の人権に関わる問題であります。 ところが、東京都が仮移転先として区内で確保した都営住宅の空き室は、わずか11戸。区外で44戸です。民間住宅では高い家賃を全額自己負担しなければなりません。さらに重大なことに、説明会で「仮移転を希望したいが空き室が不足したらどうするのか」この質問に、都は「これ以上の空き室の確保は難しい」と回答しただけでなく、1期、2期建設での920戸にも「空きはない」と言っています。 ということは、仮移転の方は、平成26年度以降、時期が未定となっている180戸の建設を待たなければならないということになってしまいます。 仮移転であれば戻ってくることが出来ると言いながら、その時期を明確にしない東京都の態度は、まさに人権感覚が麻痺していると言わざるを得ません。 何よりも仮移転を希望した住民には、平成23年度完了する1期建設に優先的に戻すことが必要です。その上で、高砂団地内の約50戸の空き室を利用することや、やむを得ず民間住宅になる場合は家賃補助も検討するよう東京都に要請すべきと思うがどうか。 《「間取り」の改善を》 第2に「間取り」についてです。 東京都は、型別供給として4つのタイプしか供給していません。1人世帯は1DK、2人世帯は2K、3人世帯は2DK、4人以上世帯は3DKの4つしか型がありません。その面積は改悪につぐ改悪で狭くしてきました。 アンケートでは「母親は90歳と高齢のため、常時、息子である私が心配で一緒に住んでいます。出来るだけ部屋を増やして欲しい」、新宿の団地を見てきた方からは、「2Kを見てきたが、あまりにも狭く、これが経済大国日本の首都東京住民の暮らす家かとため息がでました」、「移転先の部屋があまりにも狭すぎます。今ある荷物、家具をすべて捨てろと言うことでしょうか。高砂団地で一緒に育ち、不幸にも亡くなってしまった2人の兄弟の荷物もあります。思いでも何もかも捨てて、新宿に移転しろと言うのは、非人道的すぎる気がします。高砂で40年近く暮らしてきた私たち住民には人権はないのでしょうか」、こうした声が多数寄せられました。とりわけ、6畳と3.5畳の2Kの狭さに怒りと落胆が広がっています。説明会でも間取りについての不満は噴出しました。ここでも人権感覚がするどく問われています。 東京都は、新しい高砂団地について、「新宿6丁目より広くなることはないが、若干の変更はある」とさらに狭くすることも匂わせています。 区長、住まいは人権です。区長自信もそう思うからこそ、区の「住宅基本計画」では居住水準について最低居住水準を解消するだけでなく、誘導居住水準との中間値を目標としたのではありませんか。 区の目標と都の型別供給の面積を比較しますと、2人世帯でマイナス3平米、3人世帯でマイナス10平米、4人世帯でマイナス13平米と驚くべき狭さです。区民の居住水準を引き上げようという区自身の計画から言っても都の型別供給をこのまま是認するわけにはいかないではありませんか。 しかも、新宿6丁目の団地では1DKと2Kが多くを占めています。単身あるいは2人世帯の高齢者だけではコミュニティーが維持できず、地域の活性化にとってもマイナスです。 その上、4つのタイプはすべて縦1列となっており、高齢者を高層階に住まわせるのは、災害時などを考えると適切ではありません。 区長、新しい高砂団地の設計は、これからです。「計画」で定めた居住水準となる設計にするよう求めるべきです。答弁を求めます。 《新築を理由にした家賃値上げを許すな》 第3に家賃についてです。 新築と言うことから保証金は追加となり、なおかつ現在の家賃よりも高くなってしまいます。都は5年間の緩和措置を設けるとしていますが、いずれ高家賃は避けられません。そのため新築をあきらめ、仕方なく古い団地を希望する方もでています。新築かどうかが家賃の基準ではなく、所得に応じて現在の家賃水準が維持できるよう都に要請すべきと思うがどうか。 以上、多くの団地住民から出されている3つの問題点に絞って質問しましたが、単なる建替えの問題にとどまらず、団地住民の人権に関わる問題であることをあらためて強調するものであります。 《跡地利用について、拙速な地区計画決定はさけるべき》 最後に団地建替え後の跡地利用も重要な課題です。 建替え後は、公園等も含め約8.6ヘクタールの跡地利用となります。区は、3月下旬にも地区計画案を地権者へ説明すると議会に報告をしています。その地権者は、東京都、葛飾区、東京電力、2世帯の民間人だけですが、跡地のほとんどが都と区の公有地であります。したがって拙速な計画決定は避けなければなりません。 地区計画の「素案」では、「建替えに伴い創出される用地を将来の社会・地域のニーズを踏まえて活用し、地域の活性化を図る」となっていますが、「将来の社会・地域のニーズ」をどのようにして踏まえるのかが重要です。 ニーズ調査は、いつ実施するのか、また、その結果を議会に報告すべきと思うがどうか。 まちづくりの主役は住民です。東京都のスケジュールにあわせて急ぐ必要はまったくありません。建替えのために地区計画が必要であるならば、文字通り住民本位の建替えになるよう、先ほどの3つの問題、仮移転、間取り、家賃の3つについて東京都に急いで解決を迫ることこそが、今やるべき区の最大の仕事ではないでしょうか。区長の見解を伺います。 以上で私の質問を終わりますが、答弁いかんによっては再質問を行います。 |
【再質問】 |
高砂団地の建替えの問題について再質問をおこないます。 東京都の建替え事業に対して、区民である団地住民が異議を唱えています。区長、その時に区長はどちらの立場に立つのですか。東京都の立場かそれとも住民の立場か、そのことが最も問われているのではないでしょうか。 地区計画を決めなければ建替えが遅れる、そういうならこの原因が葛飾区や住民にあるわけではありません。区の計画や住民の人権を無視した東京都にこそすべて原因があります。区の住宅基本計画の中では、老朽化した公営住宅については、計画的な改善、建替えを推進し、ファミリー世帯、高齢者、障害者世帯等入居者タイプ別戸数の確保や居住水準の向上をはかっていきますと示しています。居住水準の向上どころか、今東京都は低下させようとしているではありませんか。 地区計画の拙速な決定はあらため、東京都に様々な意見がでている住民の声をぶつけ、検討させ、納得できる対応をさせるべきです。住民の立場に立って区長にがんばるという気はないのですか。答弁を求めます。 |