●2008年第1回定例会一般質問 質問者 中江秀夫
地球温暖化対策、三菱製紙跡地対策について
【目次】
1、地球温暖化対策について
 地球温暖化の現状と「葛飾区地球温暖化対策地域推進計画」の策定について
 区は事業目標を設定し、温室効果ガス削減など数値目標をしめすべき
2、三菱製紙跡地開発について
 公園整備は区民、地域住民の意見を聞くべき
 予想される金町駅周辺の人口激増への対策について

1、地球温暖化対策について
《地球温暖化の現状と「葛飾区地球温暖化対策地域推進計画」について》
 先の質問通告にもとづき、区政一般質問をおこないます。
 「気候変動に関する政府機関パネル」、IPCCが昨年11月、温暖化の原因は「人為的なもの」と断言しました。100年後の気温は、いますぐ対策をはじめても2.4度上昇、現状のまますすめば6.4度上昇すると予測しました。「回復不可能な結果になる可能性もある」と警告を発しています。気温上昇を2度程度におさえられるかは、「今後20年の努力で決まる」と指摘しているのです。
 昨年12月には、約190カ国が参加をして開かれた温暖化対策の国際会議、バリ会議が開催されました。この会議で京都議定書が定めていない2013年以降の削減義務や制度について、2009年末までに合意をすることを確認したことは重要でしたが、IPCCの警告を合意文書に書き入れることにはなりませんでした。それは、日本政府が、アメリカ、カナダとともに反対をしたからです。
 京都議定書における日本の温室効果ガス削減義務は規準年の1990年比で6%削減ですが、06年度の温室効果ガス排出量の速報値では、総排出量が13億4100万トンで規準年比6.4%増と逆に増えているのです。理由は、二酸化炭素排出量の90%が企業関連であるにもかかわらず、政府が、排出削減策を日本経団連の「自主行動計画」まかせにしているからです。イギリスでは目標値8%減に対し14.8%減、ドイツは目標値8%減に対し18.4%減と、すでに目標を達成しています。それは、ヨーロッパ諸国では、自国企業に対しきちんと規制をしているからにほかなりません。
 国連事務総長は、「科学者は仕事をした。今度は政治家が役目を果たすべきだ」と訴えています。
 本区では「葛飾区地球温暖化対策地域推進計画」を策定中です。「地球温暖化対策の推進に関する法律」にもとづく計画として位置付けられれたもので08年度から2012年度までの計画となっています。
 ここでまず、地球温暖化の現状についての区長の認識をお聞かせください。
 そして、計画の策定にあたっては、日本が国際的にも遅れた位置にいるもとで、これを補い、変えていく積極的な取り組みを葛飾区が率先しておこなうベきで、区長の決意をお伺いします。
 この計画素案には、温室効果ガス削減目標の考え方について、以下のようにしめされています。「具体的な対策の内訳やそれによる削減効果については不明確で、実際の対策効果を評価する上で使用しづらいという問題があ」るとし、「国の6%削減目標の内訳で5.5%を占める「森林吸収源」と「京都メカニズム」を、地域の削減目標の中に組み込むという手法は、現実的に考えると振興管理は困難」なので、温室効果ガス排出量総量としての削減目標は定めず、定量的な事業量目標を設定して、削減数地目票とするというのです。
 他区での計画はどうなっているでしょうか。
 例えば、先駆的に計画を策定した板橋区では、04年の温室効果ガス排出量が規準年比で12.7%も増加していて、このまま現状の対策が講じられたとしても目標年度の2012年には規準年より4.2%増加になってしまうので、国や東京都の対策と連携し、板橋区での追加対策を講じて6%削減の達成をめざすとしています。
 台東区では、将来推計として2010年までに規準年比2.2%と予測をしていますが、「一世帯当たり、一事業所当たりのエネルギー使用料が増加傾向にあること、また、今後、世帯構成や産業構造等の一層の社会的な変化も考えられることから、台東区としては、国の目標達成計画にある森林吸収や京都メカニズムによる削減効果に頼らずに、追加的な対策を進めることによる、温室効果ガスを2010年度までに規準年比マイナス6.0%とすることをめざす」と目標を明確にかかげています。

《区は事業目標を設定し、温室効果ガス削減など数値目標をしめすべき》
 一方、本区の素案では、先ほど述べたように目標は持たないとして、事業計画を実行すると2012年までに「概ね8%削減に相当する」と「目安」としての数字を示しています。本区は2004年時点で、基準年から6.1%すでに減っているということなので、あと2%減らせばよいという大変消極的な目標になっています。そもそも減ったのは工場の移転等が原因で、区の努力で減ったわけでもありません。
 数値目標を明記するのは、計画の根幹にかかわる問題で、そうでないと政策は単なる努力目標になってしまいます。本区では輪をかけて消極的な目標になっているのです。いつまでに、どれだけ達成するかを決めて政策の具体化がはかれるのです。したがって、発表された素案は、「心がけ集」になってしまっています。本区に比べ、他区の計画は具体的数値目標をかかげ、年度別分野別に削減目標を明記しています。
 本区ではなぜ目標をかかげていないのですか。かかげるべきと思いますが、区長いかがですか。

 素案では、定量的な事業目標を設定して、削減目標数値とすると言っています。そうであるならば、以下4事業について、具体的事業量の数値目標と、温室効果ガス排出削減量の数値目標を示してください。
 @太陽光発電の普及促進をした場合。
 A太陽熱利用についての補助制度を創設した場合。
 B住宅・マンション等の高断熱化の普及促進をした場合。
 C廃油のバイオディーゼル化の普及推進をした場合。
 さて、現在おこなっている太陽光発電設備助成は「住宅用」を対象としており、上限4キロワット、限度額12万円というものです。中小企業のまち葛飾区として、これでは不十分です。10キロワットまで引き上げることや、工場だけにも助成の対象にすること、限度額の引き上げ、融資制度の拡充等おこなうべきと思いますがいかがですか。
 使用済み天ぷら油を適切に処理をしてつくるバイオディーゼル燃料も行動計画でしめされています。廃油を精製しバイオ軽油を活用する松本市、大町市等の自治体がふえています。障害者授産施設に委託して再生し、軽油として資源化をすすめ、ゴミ収集車の燃料として使用しています。環境にもよく障害者の仕事確保にもなるものです。
 この廃油のバイオディーゼル化とともに、重点行動計画で示している太陽熱利用、住宅等の高断熱化の促進について、当然助成制度などを創設するのだと思いますが、その内容についてお聞かせください。
 計画事業がわざわざ重点行動計画として目標を数値化している課題についても、やる気を疑わせるような目標となっています。例えば、かつしかエコファミリー登録者数を800世帯にするとしていますが、区内155丁目で考えても1丁目当たり5世帯にしかなりません。
 温暖化対策は、単なるキャンペーンではなく温室効果ガスを具体的に削減していく計画であり、区内800世帯登録を目標にしてどれだけの削減効果があるか疑問です。板橋区ではエコアクション世帯を5500世帯登録することを目標にかかげて計画化しています。重点行動計画をもっと具体的に改めるべきと思いますがいかがですか。
 地球温暖化対策で一番問われているのは、区内最大の事業者である区自身の姿勢です。
 まず、区自らの事業活動についてISO14001を導入すべきではありませんか。事業計画が示されている「かつしか子どもISO」も悪いとは言いませんが、区自身が環境マネージメントシステムを導入すべきです。区長、いかがですか。
 全ての区有施設で、CO2削減計画をもち、目標を定めることも必要だと思いますがいかがですか。
 重点行動計画では区民のエコリーダーを100人登録するとあります。どういう内容で、どういう効果があるのでしょうか。より具体的に効果をあげるためにも、区内各公共施設に区職員によるエコマネージャーを配置すべきと思いますが、いかがですか。
 小中学校屋上に、太陽光発電システムの設置を積極的に推進すべきです。金町小学校で太陽光発電が設置され、直接の温暖化対策になっているとともに、子どもたちの環境学習にも役立っています。ところが、年に1箇所というのが現状です。これでは70年以上たたないと全校に設置されません。2012年までに全校設置するよう計画化すべきと思いますがいかがですか。
 あわせて、芝生化などによって小中学校の緑被率を引き上げる目標をもつべきと思いますが、いかがですか。お答えください。

2、三菱製紙跡地開発について
《公園整備は区民、地域住民の意見を聞くべき》
 次に、三菱製紙跡地開発について質問します。
 昨年11月、区長はこの跡地のうち11ヘクタールについて、巨大ショッピングセンター計画を見直し、大学と都市計画公園にすることを正式に表明しました。今後4月以降に進出大学を公募し、その結果がでてみないと具体的にどうなるかはわかりません。しかし、3〜5ヘクタールは大学を誘致したいという区の意向も示されていますので、少なくとも6ヘクタールは公園としての活用になるわけです。それも、防災機能を兼ね備えた運動公園にしていくという方向です。
 この方針転換について、どれだけの区民の方々が経過を含めそのことを理解しているでしょうか。わが党は、都市計画決定がされる前から、新宿六丁目地区の開発についてはきちんと区民に知らせ、意見を聴くべきと主張してきました。しかし、いままでの区長の態度は、「地域に十分説明をしてきた」というばかりです。実際には、区民の側からすると区から何も知らされていないというのが実態です。「広報かつしか」で特集を組んだことがありましたか、この大学誘致への方針転換が表明されてから3か月以上も経つのに、地域で説明会をおこないましたか。
 経過を含め、大学誘致と都市計画公園について、今度こそ、地域での説明会を開いたり、広報を通じて知らせるべきと思いますがいかがですか。そして、いまからこの公園整備について、区民、地域住民の意見を聞くべきと思いますがいかがですか。

《予想される金町駅周辺の人口激増への対策について》
 さて、この新宿六丁目地区のまちづくりでは、1500戸の住戸をつくる計画は変わっていません。近隣では、東金町1丁目の三菱体育館跡と現在のボーリング場の跡に約700戸、金町駅南口再開発による41階建てのマンション棟、金町第一団地や新宿六丁目都営住宅の建て替えと少なくとも3000戸規模で住戸が増えるのです。そうなれば、ショッピングセンター計画はなくなっても、様々な問題が予想されます。道路の渋滞、それにともなう排気ガスによる大気汚染、地区幹線道路2号の改良計画はあるものの駅へのアクセスも解決しなければならない課題です。朝のラッシュ時における金町駅の混雑もあります。区長は、どう考えているのですか。具体的な対策についてもお聞かせください。
 もう一つ問題になるのが、人口増加にともなう公共施設不足です。
 南水元3丁目に700戸のマンションができて花の木小学校の児童数は優に100人はふえました。3000戸規模で住戸が増えれば、小学校もたりなくなります。もちろん保育園も必要です。現在この地域に100人程度の認可保育園がつくられる計画ですが、もともと待機児の多い地域ですので、これで足りるとは思えません。さきほどの南水元のマンション内にも保育室がつくられましたが、マンション業者が支援するのは今年度いっぱいで、財政的負担が重いということで、この部屋は他の目的に利用されるようです。開発者、マンション業者まかせでは困ります。
 区長、こうした公共施設の不足が予想されるもとで、B街区等に土地を確保しておくことが必要ではないでしょうか。いかがですか。

 以上で、私の質問を終わりますが、答弁いかんによっては再質問させていただくことを表明いたしまして質問を終わります。