●第2回定例会 中村しんご区議の一般質問  2008
【目次】
1、 後期高齢者医療制度は撤回を
2、 高齢者福祉の充実と介護保険事業計画の見直しを
3、 区民の「格差」を是正しくらし応援の政治を
4、 教育振興ビジョンの見直しについて
5、 指定管理者制度について

●再質問
1、後期高齢者医療制度は撤回を
 日本共産党葛飾区議会議員団を代表して、区政一般質問を行います。
 まず、後期高齢者医療制度についてであります。
 第一回定例会では、区長はわが党の質問に対して、「後期高齢者医療制度のもとで、その心身の状況に応じて適切な医療が受けられるものと理解している」と答弁し、「後期高齢者を差別した考え方ではないと思っている」との見解を述べられました。
 その後、どうなったでしょうか。
 4月15日の年金天引きを中心に怒りが広がり、一向におさまる気配がありません。
 わが党都議団が5月12日から15日にかけて、東京都内23区26市を調査いたしました。このうち本区など6区市が未把握・未回答となっていますが、苦情が寄せられた件数は、20万件以上にのぼりました。回答があった自治体に92万人の後期高齢者が住んでいることで割り返すと、単純計算で五人に一人以上が問い合わせ・苦情をしたことになります。
 その内容も、「75歳以上で人間を区別する制度は、人権侵害だ」「年よりは早く死ねという制度か」と言った意見や、「保険料が安くなると言っていたが、実際には高くなる」というものです。
 わが区議団も、区内の高齢者クラブ、診療所などを訪問し、意見を聴いてまいりました。
 普段、あまり行政に不満を言わないクラブの方々ですが、今回は、行く先々で憤まんやるかたないお話を聞きました。
 例えば、「自分たちは、戦中・戦後をくぐりぬけてきた世代。いつもひどい目にあう。その上こんどの医療制度でゴミ扱い。人生を否定された気分だ」、「断わりもなく年金から保険料を天引きするのはおかしい」とか「どうしてこういう制度が必要なのかわからない。」という話でありました。想像以上の怒りが充満しているというのを感じています。
 医療機関から、高齢者担当医制度への批判があいつぎました。
 高血圧や糖尿病など慢性疾患を抱える高齢者が「主な病気を一つ」決めて、一人の担当医を選び、定額制の包括診療を受けるという制度であります。4月から改定された診療報酬で、外来診療の「後期高齢者診療料」が導入されました。
 医師たちの批判は、「多様な病気をもっている高齢者に、一人の主治医だけで管理をするのはむつかしい。医療も病気別に専門分野があり、これまでつくられてきた地域の医療連携を破壊するものだ」ということです。
 そうした中、先月、朝日、毎日、読売の朝刊に、東京都医師会による「東京宣言」が掲載されました。
 そこで言われていることは、主に3点です。患者さんたちが医療機関を自由に選択できること、包括医療を拡張・拡大させないこと、医療の質を低下させないことであります。
 事実上、後期高齢者医療制度のボイコットであります。こうした表明は、全国で30を超える道府県の医師会で、すでにおこなわれています。
 現在、同診療料を採用した診療所は、全国でわずかに14%にとどまり、葛飾の医師会に問い合わせたところ、いまだにゼロだそうであります。
 これでも区長は、高齢者の方々が適切な医療が受けられる制度だと、言うつもりなのでしょうか。改めて、区長に見解を伺いたいと思います。
 中曽根康弘元総理が「至急もとに戻せ」と発言している通り、党派を超えて廃止の気運が高まっています。
 こうした中、政府・与党が見直し議論をしていますが、制度の根幹を動かそうとはしておりません。75歳で、線引きをするという差別医療をそのままにしての議論は、決して国民の理解を得られません。
 撤回以外に、解決の道はないと思いますが、区長、いかがでしょうか。
 さて、撤回が仮に決まっても手続きが終了するまでは、制度は動いています。
 そこで、緊急にわが区がとるべき2点についておたずねします。
 1、10月からの年金天引きはやめて、同時に普通徴収とされる方々を対象にした補助制度をつくること。
 1、資格証明書は絶対に発行しないこと。以上、お答え下さい。

2、高齢者福祉の充実と介護保険事業計画の見直しを
 次に、保健福祉制度の見直しについてです。
 第4期の高齢者保健福祉計画と介護保険事業計画の見直し時期をむかえて、策定作業が行われています。
 前計画のときには介護保険法が全面的に改定をされ、予防重視のかけ声のもとに、サービスが大幅に縮小されました。いわゆる「家事代行」ヘルパーを原則廃止し、「介護の社会化」という最大の看板がなげすてられました。
 介護施設は、居住費・食費が全額個人負担となり、負担に耐えられない人は出ていかざるを得ない事態をつくり、また、軽度者からは、介護ベッド、車椅子などの貸しはがしが行われました。
 その結果、給付費が減るという事態となり、「保険あって介護なし」がいっそう進む結果となりました。
 今回の見直しにあたっては、こうした事態を生み出したことを反省し、それを克服する処方せんを示すものでなければなりません。
 そこで、幾つかの基本的な問題で質問をいたします。
 第一は、国いいなりにならないことであります。
 財務省は、先月13日に財政制度等審議会で要介護2以下の人を給付から外せば2兆9百億円を削減できるという抑制案を提出しました。8年間続けてきた介護保険制度を根底から覆すものであり、区長がよく言う「国の動向を見守る」などという事態ではないと思います。
 また、わが区の現計画では、老健施設の計画がなくなりました。国の参酌標準を上回っているというのが、その理由でありますが、しかし、区内の老健施設は現実に不足しており、介護施設を求める家族も、ケアマネージャーも深刻な状況になっています。実状にあわせた計画とすべきですがいかがでしょうか。
 東京都が、特別養護老人ホーム建設に対する用地費補助を打きりました。前定例会で、町田市の例をあげましたが、区独自の補助制度をつくり建設を促進していくことが求められます。区長は、どうお考えでしょうか。答弁を求めます。
 第二は、区が高齢者福祉に責任を果たすことであります。
 かつては、わが区にも高齢者福祉課がありました。しかし、今は、福祉という名前が消えて、高齢者支援課と名称変更しています。区は高齢者福祉に責任を負うのではなく、高齢者の支援のみに限定しようという考え方です。
 そこから、従来区がおこなってきた高齢者福祉施策が、介護保険制度の中に次々に組み込まれました。
 今度は、後期高齢者検診、65歳以上の特定検診の生活機能検査のチェックリスト、問診などが介護保険に組み込まれました。
 ますます、利用者には給付費を抑制し、区の高齢者施策を介護保険に組み入れることで、公費負担を縮減しようということではありませんか。
 今、計画を見直すにあたって、区のとるべき態度は、こうした路線を根本的に変えることであります。
 介護保険に組み入れた従来の区による高齢者対策事業を元に戻すこと。廃止された福祉電話、老人福祉手当などの経済的給付を復活すること。
 また紙おむつ支給、出張理美容、高齢者生活支援サービスなどの高齢者対策を改善・強化すること。以上、区長の見解をもとめます。
 第三は、人材確保であります。
 介護現場における人材不足は深刻であり、その原因は、介護報酬の低さによる低賃金であります。このままでは、介護保険制度の維持すら困難になりつつあります。もはや、区が傍観者でいることは許されません。
 今年度から千代田区では、区内に住む介護職員には月5万円、それ以外の職員には月2万円を上限に補助し、また資格取得や、技能向上のための費用なども助成し、職員の精神面の負担軽減のためのカウンセリング費用の補助もしています。
 わが区も、介護職員への助成制度を始めるべきと思いますが、区長の答弁を求めます。

3、区民の「格差」を是正し、くらし応援の政治を
 次に、区民の「格差拡大」の是正について質問します。
 厚生労働省の調査によれば10年前、非正規労働者はパートやアルバイトでその割合は、20%程度でありましたが、現在では派遣が激増し全労働者の30%を超え、なかでも、女性と30代以下の若い世代の約半数が非正規雇用となっております。 
 以前は当たり前だった正規雇用を、財界の意向で非正規雇用に大規模に置き換えてきたからであります。この間の規制緩和と99年の労働法制の改悪によってこれがいっそう加速しました。なかでも、この非正規労働者の賃金は低く抑えられ、年収200万円以下のいわゆるワーキングプアは1千万人を超えるといわれております。
 まず区長に伺いますが、こうした現状は日本の社会にとって、異常なことだと思いませんか。答弁を求めます。
 さて、先の定例会以降雇用情勢はどう変化してきたでしょうか。
 わが党の志位委員長は、衆院予算委員会で派遣労働の実態、人間扱いしない究極の「日雇い派遣」労働者の実態を告発し、なかでもこの日雇い派遣労働を悪用し、「偽装請負」という犯罪行為をくりかえし、労働者の犠牲のうえに史上空前の大もうけをしている「キャノン」などの労働現場の実情を明らかにしました。
 この質問は直後から、国会質問としては常識で考えられない反響をよび、インターネット上で視聴がくりかえされ、現在もとどまらず20万件以上のアクセスがすでにありました。こうした反響は、新聞や週刊誌やテレビでもたびたびとりあげられています。
 その後、偽装請負をたびたび告発されていた「キャノン」の工場が、派遣社員を直接雇用に切り替え、多くの他社工場でも同様の措置がとられました。
 また、マクドナルドの残業代なしの名ばかり店長が、残業代を請求し、東京地裁で勝利判決をうけ、その後人事制度の改変がニュースになりました。
 わが党区議団が実施した区内労働組合へのアンケートには、連合系の組合からアルバイトが組合に加入したら報復行為として不当解雇され、会社の横暴とたたかう組合のニュースなどが同封される回答もよせられましたが、たたかいは前進していると実感するとともに、潮目が変わったと言う感があります。
 わが党は、労働界での異常事態の解決は、政治の責任だと考えています。だからこそ、先の定例会でもこの雇用の深刻な実態を示し、区としての改善策を求めました。
 その改善策とは第1に、区が自治体として区民の雇用対策を主体的にとりくむこと、2つめに区自身が、事業者として雇用対策を改善する事だと考えます。
 まず、自治体として主体的にどう取り組むかです。
 08年度都予算では、低所得者生活安定化プログラムを発足させ、全区市町村に相談窓口設置を予算化しましたが、それを社会福祉協議会に委託するそうであります。
 これらの窓口業務は、「格差と貧困」対策の最前線であり、ネットカフェ難民の救済などにかかわるものであり、強い公共性をもつ仕事であります。
 先の定例会の質疑で明らかになりましたが、テクノプラザでの「雇用・就業マッチング支援事業」も人材派遣会社に委託するなど、「丸投げ」は許されません。区が責任を負うべきではありませんか。答弁を求めます。
 この低所得者生活安定プログラムは、都が2011年までの時限的な事業としているそうです。だからといって都が示したメニューだけを実施すれば良いのではありません。
 これを契機に、融資の上乗せや区独自の支援策を検討すべきであります。答弁を求めます。
 格差を是正するための税負担の軽減がかかせません。
 石原知事が言い出した住民税減税は、選挙後反古にされましたが、各自治体独自でその動きが広がっています。
 狛江市は、独自に生活保護基準の1.1倍の所帯に対して住民税減税をいたします。
 わが党が、提案した「特別区税条例」の改定案に対して、起債制限がかかる恐れがあると答弁されましたが、区民の利益の為にそうした不当な制裁をしようというものなら断固たたかう姿勢を示すのが区の責務ではありませんか。
 かつて鈴木都政の時代から固定資産税・都市計画税の減免が現在でも継続していますが、その時も起債制限と言う国の圧力に抗していま現在実施しているではありませんか。
 今定例会では、「特別区税条例」案が提案されています。先程質問した「後期高齢者医療制度」の年金天引きに対する批判が凄まじいというのに輪をかけて、住民税も年金から天引きしようという提案であります。政府与党でさえ、保険料年金天引きを改善しようとしているときに、来年から、住民税も年金から天引きは絶対に容認できません。今やるべきは、独自の住民税減税を検討することだと思いますが、区長いかがでしょうか。

 次に、事業者としての区役所における雇用の改善です。
 葛飾区が、官製ワーキングブアを出現させる最大の原動力になっていることに深く反省求めたいと思います。
 先の定例会で、私自身が区の雇用形態について、他区と比較しても非正規雇用がダントツに多い事を指摘したところ、「経営改革の成果」だと自慢しました。
 しかし、自慢できるどころか、非正規職員の際限のない拡大によって、区政と区民生活に支障をきたしているではありませんか。
 専門非常勤職員について、三点指摘します。
 第一に、「公」としての専門性が確保できなくなるという問題です。
 例えば地域図書館です。募集の際、司書資格という制限をはずしてしまいました。正規職員は異動も有り、必ずしも司書資格がありません。このままでは司書資格のない非正規職員がふえ続け、ひとりも司書資格のない図書館が出現する可能性があります。
 第二に、どの職場でも非正規の賃金があまりに低いために大量の官製ワーキングプアをつくりだしていることです。
 第三に、正規職員として採用する事に道をとざしたまま、非正規雇用の長期化が進んでいます。労働者派遣法では同じ仕事を3年続けたら、その職場で採用するよう義務づけています。今年4月のパートタイム労働法の改正により、パート労働者の転換促進のための措置が義務化されました。
 非正規職員の処遇を改善するとともに、希望する非正規職員に正規職員としての採用に道を開く具体策をぜひ示していただきたいと思います。答弁を求めます。
 パート・アルバイトについては、23区でも最低の時給790円の改善が急がれます。区内経営者は、本区の最低賃金を参考にしていると明言しています。これは区民の賃金の足をひっぱっていることになりませんか。しかも、この十数年1円もアップしていないのであります。 区の最低賃金を引き上げるべきです。答弁を求めます。
 この問題の最後に、区が採用している「人材派遣」社員について伺います。
 人材派遣は規制緩和され、職種が広げましたが。法律上は通常業務の代替としてはならないと厳しく制限をしています。
 本区ではこの人材派遣が、戸籍住民課や国保年金課の窓口案内、税務課の収納業務補助など事実上通常業務の代替にしてる疑いがあります。
 そうなれば労働者派遣法の違反行為であり、先程述べた「キャノン」などの「偽装請負」と同じ事をしていることになります。地方自治体として絶対に許されないことであり直ちに改善すべきだと考えます。いかがでしょうか。答弁を求めます。

4、教育振興ビジョンの見直しについて
 次に、教育振興ビジョンの見直しについて質問します。
 教育振興ビジョン見直し検討委員会が設置され、今、検討がされています。
 振興ビジョンの策定の後、基本計画では「区内の小学校を卒業した15%が私立や他区などの中学校に進学している」とのべ、学力向上を強調しています。
 ちょうど一年前、文教委員会で私自身が教育長にうかがいました。区外中学校を選択しているこの15%について教育長に質問したところ、「区立中学に行きたいという保護者や子どもが増えていくことを望んでいる」と答弁をされました。
 これも前提にしてビジョンの見直し検討が行われているのでしょうが、大事な前提が変化しています。 
 それは、区立中学離れが進行していることであります。
 教育振興ビジョンがつくられ5年目になりますが、初年度は、通学区域住民登録者のうち区立中学を選択しているのは81%でした。ところが現在は77%にまで低下しているのであります。
 まず教育長に伺いますが、なぜ区立中学校が選ばれず、私立や他区の中学校が選択されているとお考えですか。素直に考えれば、現「教育振興ビジョン」に問題があるからだと私は思いますが、答弁を求めます。
 さて、振興ビジョンでもっとも問題になっている一つが、「地域との連携」を断ち切る学校選択制であります。
 区青少年問題協議会の今年度基本方針では、家庭や学校、地域、青少年団体や関係行政機関が連携し青少年の健全育成、非行などを防止するためには、「地域の中で孤立した家庭をつくらないことが大切」だと指摘しています。
 私には、学校選択制によって、いま、進行しつつある問題点の指摘に聞こえます。
 昨年の新中学1年生学校選択状況の一覧をみると、通学区域住民登録者数に比べその区域内の中学校に就学している生徒数が5割台またはそれ以下という学校が24校中10校にも及んでいます。3割代が3校もありました。このような中で、現場はどうなっているでしょうか。
 例えば、PTA活動が困難な状況へと追い込まれています。それでなくても、中々役員のなり手がいない、その上、地域パトロールも中々人が集まらない。また、学区域外の中学校に行った子どもたちは、今までの友人関係が薄れ、地域そのものとの関係が希薄になってしまうという意見であります。
 生徒数が減った学校では教員も減り、部活が維持できなくなり、子どもたちは部活が活発な他校を選び、生徒数の減少に拍車がかかるという悪循環もあります。
 ある青少年委員は、学校選択制のもとで「地域の教育力」が大きく後退し、破壊されてきたと述べています。
 現在、学校選択制を導入していない太田、世田谷、中野、北区、この4区では、共通して「地域性が希薄になる」とし、「子どもは地域で育てる」という教育方針を打ち出しているのであります。
 この学校選択制によって生み出された様々な弊害をどのようにお考えになっているのでしょうか。この弊害を解決するためには、大胆な見直しが必要ではありませんか。答弁を求めます。

 さて、教育振興ビジョンには、「学校改築の推進と適正配置」とあり、その具体化として、昨年末「未来を見据えた学校づくり」という名の、学校統廃合計画がだされました。
 小規模学校は悪いものだと決めつけた統廃合計画は、学級規模を40名という時代遅れの基準とし、学級数は、12から18学級までの適正な規模とし、中学校は9学級までは許容範囲としました。その結果、今年度の在籍児童・生徒数では、小学校は11校、中学校は3校が対象となります。こうなったのは、学校選択制と無関係ではありません。
 風評によって、子どもの数が大きく変わるからであります。例えば、ある小学校では、元々小規模校ですが、今年の入学児童は前年度と比較しても半減してしまいました。それは、昨年おこなわれるはずだった耐震補強工事が延期されたために、「小規模校だから廃校の対象で、工事がおこなわれなかった」との噂が流れ、近隣小学校に流れてしまったのであります。
 この小学校こそ、教育委員会の責任による被害者ではありませんか。この学校に対する統廃合計画など、絶対に容認できないことを申し上げておきます。
 地域のコミュニティーを破壊していく学校統廃合計画、「未来を見据えた学校づくり」は白紙にもどすべきです。
 そして、いまおこなうべきは、30人学級の実現です。東京を除く全国の道府県で少人数学級に足を踏み出しています。東京都に対して、30人学級の実施を求めるべきです。そして、足立区や杉並区にも学んで、子どもたちの学校生活の基礎単位となるクラスを少人数とすべきです。答弁を求めます。

5、指定管理者制度について
 最後に指定管理者制度について質問します。
 区長は、あいさつの中で改革パワーアッププランの改定にふれ「区が直接実施してきたサービスの内、可能なものはできる限り民間事業者に振り向ける」とし、さらなる民営化推進宣言をおこなっています。
 この間、区は民営化に拍車をかけてきましたが、どうなっているでしょうか。小谷野保育園では低コスト追求による人件費削減の結果、保育士が長続きしていません。学童保育クラブでは際限のない大規模化が進んでいます。
 そして指定管理者制度では、公共施設を丸ごと民間事業者に管理運営させるものであり、公的責任の放棄と市場化の促進につながるものとして、我々は批判してきました。
 シンフォニー、テクノ、スポーツセンターなどの管理運営を指定管理者に移行させたことによって、その問題はいっそう鮮明になりました。
 3つの施設で問題になったことが、指定管理者を決めたあとにテクノプラザでは、6千7百万円の事業の追加、シンフォニーヒルズでは、事業の追加ではなく、同じく7千万円を渡して自由に使わせる、スポーツセンターでも8千万円をかけて競技場の人口芝化が行われ、そのことによって利益を上げています。このことは監査からも指摘をうけたものであります。
 いずれも指定管理者の公募段階ではなかったもので、「民間のノウハウを生かす」という大義名分で次々に事業が追加されていったわけであります。
 とりわけシンフォニーヒルズでは、7千万円でどういう事業をやってきたのかについては企業会計を理由に明らかにせず、区も同様の姿勢でした。しかし、その一方で「報告を求めたり、調査したりする権限は区にある」と矛盾した態度をとっています。
 結局、区長の政策判断でいくらでも事業を追加することができる、また税金を投入する権限は区にあるとしながらも、企業秘密を理由に議会や区民に明らかにしないという構図になっています。
 公の施設を使って税金を食い物にし、しかも区がそれを促進する役割さえ果たしています。公の施設を区民のためでなく、民間事業者のために利用する、まさに公的責任を放棄していると言わなければなりません。
 2年前、埼玉県ふじみ野市で指定管理者に管理運営させていたプールでおきた女児死亡事故で、このほど埼玉地裁は「業者任せは無責任」として市役所の2人の職員に有罪判決をくだしました。安易に民営化する構造改革路線に突き進む自治体の責任が厳しく問われた判決となりました。
 今、さらなる民営化宣言はこれらに逆行するものではありませんか。
 基本計画で示した「文化芸術を根付かせ、地域を活性化させる」ための拠点となるシンフォニーヒルズの指定管理者にたいする区の評価はCとなっています。単に食事の評判が悪いなどというものではなく、区として文化芸術をどう根付かせていくのかという考え方・方向性を示していない結果です。
 中小企業対策は、中小企業の日常的な実態調査などが必要であり、こうした活動は利益追求はなじみません。
 スポーツ団体との十分な協議もなく人工芝化で使用できなくなった競技が生じるなど、スポーツ振興に逆行しています。
 区は、来年度から指定管理者が公の施設の管理業務を行う上で作成、取得して、管理している情報を情報公開の対象にするために条例改正をするとしていますが、その場合でも企業秘密は除くとしています。
 応募時の提案書などが企業秘密として公開されていなければ、事業者選定の透明性は確保できません。公の施設の管理運営についての情報は、すべて公開とすべきです。また、議員や区長、その家族などが経営、あるいは役員になっている団体などは指定しないなどの兼職禁止規定を設けるべきです。
 指定期間を延長するのではなく、1年間を原則とすべきです。そして、指定期間の最終年度を迎える今、シンフォニー、テクノプラザ、スポーツセンターの管理運営は、区が直接責任をもつべきと思いますが答弁を求めます。
 以上で私の質問を終わりますが、答弁いかんでは再質問させていただくことを表明して、終わります。ご清聴ありがとうございました。
【再質問】
 二点について再質問させていただきます。
 一点は、後期高齢者の点と、あともう一点は区が雇用をしている非正規雇用の問題であります。
 第一に後期高齢者なのですけれど、後期高齢者医療制度ですけれども、区長の冒頭のあいさつではこのことには一言もふれず、区政が順調に推移していると述べられましたけれど、さきほど小用議員の質問に対して、私への答弁とは別の言い方をされていましたけれども、さまざまな問題点があると認識していると、だからこそ国も見直しの作業をしていると、そうしているわけですから、言ってみれば順調にいっていないというのが現状なのかなと思わざるを得ないんですね。しかし、先ほどの答弁を聞いていまして、説明不足があったから説明をしているんだと、で、私への答弁に対しては、この制度については問題がないんだと、ましてや自民党小用議員の質問に対しては、説明不足だから説明をしていると、私にはですね、ちゃんと理解していない区民が悪いと、まさに言っているように聞こえます。
 さらにですね、広域連合や大臣に要望するのは結構なことですよ。ただその、自発的に何をやるのかというところが、私は問題だと思います。6月6日の都政新報にはですね、渋谷区が保険料の天引きを選択制にするという記事があって、これに対しては国は否定的なんていうことが書いてありますけれども、渋谷区としては区の判断で断固やると、その決意が示されております。
 区長自身が本当にこの制度に問題点がおありであるとお考えになるならば、私どもは廃止、撤回しかないと思っておりますけれども、何らかの手直しを国だけに求めるのではなくて、区自身がどうできるのか、この点について明確にお答えいただきたい。
 二点目です。区の非正規雇用なのですけれど、さきほど今の非正規雇用がこれだけ多くなってワーキング・プアが問題となるような事態になって、その認識を区長に質したところ、区長はお答えにならず産業経済担当部長がお答えになりました。非常にその点で不満であります。これほど深刻な事態はないと自覚しているからです。
 これもまた、都政新報なのですけれど、都政の東西という囲み記事があってですね、行政が格差社会をうみだす一因をつくってはならないんだということが書かれています。このダントツに非正規雇用が、現実に多いこの事態をこれ以上拡大させてはならないと思います。この点について、あらためて現状の認識と今後の区のとりくみについての具体的な点をぜひ区長から答弁をいただきたい。以上でございます。
 ご清聴ありがとうございました。