2008年第3回定例会一般質問 質問者 野島英夫
行きづまった自民・公明政治から区民の生活と営業をまもれ

【目次】
1、物価高から区民生活をまもれ
2、原油、材料高騰で苦しむ中小企業に支援を
3、学校給食は来年度も値上げするな
4、後期高齢者医療廃止、利用者本位の介護保険に見直しを
5、三菱製紙跡地開発2つの疑問
  超高層マンションはまちこわし!地価吊り上げは区の自作自演?


●再質問



1、物価高から区民生活をまもれ
 はじめに、秋本孝太郎前議長が逝去されましたことに、心からの御悔やみをもうしあげます。
 さて、日本共産党区議団を代表して一般質問を行います。
 福田首相が突然の辞任表明を行いました。内閣改造を行い、臨時国会を召集しておきながらの政権の放り出しは、1年前の再放送を見るようです。安部前首相に続いての政権の放り出しは偶然ではなく、自民・公明の政治が2つの点で行き詰まっているからです。
 その一つは、構造改革の名で一部の輸出大企業のもうけを応援し、国民の暮らしを痛め続けてきた結果、貧困と格差を広げてきたことです。年収200万円以下の労働者は1000万人を超え、ここに増税と負担増が押し付けられています。さらに、原油、原材料の高騰を作り出している投機マネーの国際的規制についても背を向け続けています。こうした政治が今日の深刻な事態を招いているのです。
 いま一つは、アメリカいいなりで憲法を踏みにじって自衛隊を海外に派兵していることです。いまだに、インド洋での給油活動に固執していますが、アフガンの治安は混乱する一方です。戦争でテロをおさえこもうという路線が破たんしていることは明瞭です。
 自民党総裁選ではこの二つの「破綻」と政治空白をつくりだしていることに何の反省もせず、にぎやかにテレビに露出すれば国民の支持が得られると思っているようです。しかし、政治の中身を見直さなければ国民の信頼を取り戻すことはできません。
 なかでも、社会保障費の自然増を毎年2200億円削減する政策は、後期高齢者医療制度など社会保障のあらゆる分野で負担増と給付減を押し付けてきました。
 日本医師会は「社会保障費の削減に反対」し、「国民のみなさんと戦う」と7月15日の全国紙で広告を出し、与党の中からでさえ、抑制は「もう限界にきている」という発言もでています。
 社会保障の抑制路線について、区長はどのような見解をお持ちなのか伺います。

2、原油、材料高騰で苦しむ中小企業に支援を
 さて、自公政治の行き詰まりによる今日の深刻な事態は、区民の暮らしや営業にも現われています。
 先日、区議団として商店街訪問をおこないましたが、どの商店も仕入れ値が一〇%〜三〇%も上がり、値上げせざるを得ない状況にありました。菓子店では原料値上げをせんべい等は2枚減らして同じ価格を維持している。そば店では、粉だけでなく、海老、卵も値上げで、そば、うどん、親子丼など売り値が3割以上になっているとのことです。
 クリーニング店では、材料費の値上げを料金に転嫁できず、時間を延長したり、従業員に休んでもらったりしていました。
 売り上げはどうか。7月から急激に落ちたことが共通して語られました。
 原材料の高騰による商品の値上げと、勤労者の収入減、また、商店街の買い物は高齢者が多いことから、後期高齢者医療制度の納付書が届くなど新たな負担増が高齢者を襲っていることも原因としています。
 まさに負担増、収入減、物価高の3重苦が区民の暮らしや営業に重くのしかかっています。
 区長はあいさつの中で「日本経済全体の先行きについては、より一層不透明感が高まっており、多くの区民が景気後退への不安を強く感じていると認識している」と述べられましたが、だからこそ、住民にもっとも身近な区政はどうあるべきかが問われていると思います。
 さまざまな施策展開が求められますが、緊急と思われる3点だけに絞って、実施を求めるものです。
 第1に、住民税と国保料の減免制度を区独自に拡充することです。老年者控除や定率減税の廃止、住民税のフラット化など、この3年間の増税が家計を極端に冷え込ませました。住民税増税が国保料の値上げにつながるなど悪循環をつくっています。
 ただちに区独自に減免制度を拡充すべきです。
 第2に、母子家庭に対する支援です。
 母子家庭白書によると母子世帯の1世帯当たりの平均所得金額は、前年から20万円以上の大幅減となり、全世帯の平均所得金額の4割以下の水準という厳しい状況にあります。ある方は、昼間はパートで働きながら、夜は子供を寝かせつけてから9時?12時までの内職をする、その手当は2万円だそうです。去年から始まった自立支援給付制度は、今の仕事からさらにスキルアップするための支援ですが、経済的、時間的に余裕がなければ受けられません。
 そこで母子家庭の支援策として、家賃補助を区独自に実施することを求めるものです。
 第3に、区臨時職員、専門非常勤職員の給与を引き上げることです。
 12日に地域別最低賃金の改定額の答申がだされました。東京は27円の引き上げで766円となりましたが、それでも生活保護費を下回っています。本区の臨時職員の時給790円も、23区最低であることに合せて生活保護水準以下であります。時給を1000円以上にすることが必要です。
ただちに区臨時職員、専門非常勤職員の給与を引き上げるべきです。いかがですか。
今年度末には、積立基金が700億円を超えます。また「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」に基づく財政健全化状況も良好であり、財源は十分あります。まさに税金の使い方が問われていると指摘するものです。

 次に、中小企業対策です。
 わが党は、商店街と同時に製造業も訪問調査を行いました。
 ある鉄工所では、「この二年余りで鉄の価格は約二倍に上昇。受注は、六月から激減し、材料を直接入れるなどの工夫をしている」。
 また、ある金属加工所では、「もともと材料は取引先から直接入れる仕組みなので原料高の直接の影響はないが、加工賃が三から四割ダウン そのうえ仕事量の減で苦しんでいる」と訴えられました。
 真鋳と銅を扱う加工所では、材料費はこの三年間で三から四倍。毎晩、インターネットで金属の先物取引を見ているが溜息ばかりだというのです。
 こうした深刻な実態をみるにつけ、自治体としての支援はいかにあるべきかが問われています。
 まず、材料高騰に苦しむ中小企業、関係業界に経営を維持できるよう直接補てんを国に求めるべきとおもいますが、どうですか。
 一方、区として何ができるかです。
 渋谷区では、今年四月から高騰する原油価格に直接打撃を受けているクリーニング業に対して、値上がり分の差額を最高二〇万円まで支援する制度を実施しています。それに続き23区中14区で原油高対策として、融資、助成などの経営支援策をうちだしました。本区でも何らかの対応が必要なのではありませんか。
 また、急激に経済が悪化しているいまこそ融資制度の改善が必要であり、融資条件の緩和、利率の引き下げが必要と思うがどうか。答弁を求めます。
 さて、大田区では、昨年12月に 「産業実態調査」をとりまとめました。この調査で注目すべきは、年4回の景況調査の結果、中小企業の実態を正しく判断し、そのための対策を充実させることを目的としていることです。
 本区ではこの景況調査を行革の対象にして廃止してしまいました。まず、この景況調査を復活して、本区の中小企業対策の正しい認識を持つことが必要と思いますがどうでしょうか。
 〇五年に策定した本区の地域産業活性化プランは産業界と研究者によってまとめられ、高付加価値化や異業種の連携、大学との連携などを打ち出しています。しかし、経営については、区のメニューに乗ってきた企業について相談に応じるという対応です。
 大田区では、「仕事まちから獲得する姿勢への転換」を第一の柱にすえる、つまり、区の第一の仕事は、「攻め」の姿勢に変えることだとしているのです。こうした発想の転換が必要なのではないでしょうか。
 また、改めて悉皆調査によって、区内企業の現状、データベースの更新を区の責任で実施することを求めます。
 本区のプランの具体化として、伝統産業への後継者育成の制度の実施は、一歩前進だといえます。しかし、弟子入りした青年から私どものところに、「生活が成り立たない」との相談がありました。この制度は、雇用されてから、三カ月間は何の保証もないからです。改善をしなくてはなりません。
 同時に伝統産業だけではなく、地場産業全般に対象を広げることを求めます。

3、学校給食は来年度も値上げするな
 次に、学校給食についてです。
 区長は先程、「今年度に限っての暫定的な措置として給食食材」の現物支給をしていくと表明されました。
 わが党は、7月24日に「公費負担で補い、値上げをしないよう」教育長に申し入れをしましたが、その決断をされたことは評価するものです。しかし、今年度に限っての措置でいいわけにはいきません。
 そもそも学校給食とは何でしょうか。学校給食法が成立した当時政府は、「食という体験を通じて子どもに生きる力の原点を学ばせる教育の一環である」と説明をしていたように、憲法で保障されている子どもの発達権、生存権、教育権の確立とつながっているものです。
 憲法では義務教育は無償と定められていますが、実際には教材費、積立金、給食費など多額の費用がかかっています。今年から子供が小学校に入学したお母さんから「体操着、ピアニカ、絵の具と出費ばかりで大変」という声を聞きました。義務教育は無償という憲法上の原則がいまだ徹底しているとは言えません。
 そうした中で、全国的には少子化対策の一環として学校給食費を無料にしている自治体もあります。また江戸川区では、給食費の約3分の1を公費負担として、保護者の負担軽減を行っています。新宿区では原材料高騰分の補助だけでなく牛乳の現物支給も行うことになったそうです。
 一方、本区では、かつてあった牛乳代1本3円の補助を打ち切り、就学援助の基準も引き下げ、申請方法も改悪しました。義務教育は無償どころか負担を拡大してきたのが現実です。
 この間、子育て世帯の経済的負担を軽減するために、中学3年生までの医療費無料化をはじめ、最近では妊婦健診の助成拡充など実現してきましたが、教育費についての負担軽減は、置き去りにされてきたのではないでしょうか。
 教育費の保護者負担についても積極的な支援策が必要ではありませんか。
 同時に、原材料が上がっているから、値上げという単純な考え方では、保育園の保育料、学童保育クラブでのおやつ代など次々に公共料金の値上げにつながっていくことになってしまいます。
 小中学校の保護者負担の軽減を行うと同時に、学校給食への公費補助を今年度だけでなく、来年度も引き続き行うべきと思うがどうか。
 また、東京都に対して、学校給食食材費の補助を要請すべきと思うがどうか。

4、後期高齢者医療廃止、利用者本位の介護保険に見直しを
 次に、高齢者福祉について質問いたします。
 日本の平均寿命は、世界でもトップクラスですが、最近は、自民・公明政権による後期高齢者医療制度の導入や介護保険の相次ぐ改悪など、長寿を手放しで喜べない風潮です。
 区政は、こうした流れに歯止めをかけ、真に豊かな高齢化社会をむかえるために、力をそそぐ必要があります。
 まず、後期高齢者医療制度についてです。
 希代の悪法がはじまって半年が経過しました。75歳以上の人を別の保険にする差別医療にたいする怒りは、一向におさまる気配にありません。納付書発送の7月17日以来、こんにちまで抗議の声を聞かなかったことはないのではありませんか。
 先日の保健福祉委員会の報告では、8月15日の集計で、問い合わせは、1万6千件を超えているとのことであります。これは今までの制度発足時にも見られない前代未聞のできごとです。
 政府は、低所得者対策を行ったと盛んに宣伝していますが、制度そのものの本質は変わるものではなく、問題の解決になりません。
 国民のこの怒りに応えるためには、参議院で可決されている廃止法案を衆議院でも可決し、制度をいったん白紙にもどし、安心できる医療制度をどうつくるかの国民的な議論が必要であります。
 区長は、先の本会議でわが党の質問に対して、「75歳以上の方と、それ以外の74歳以下の方で受けられる医療に差はない」「即時に撤回すべきものとは考えていない」と答弁しました。
 これを報じた「区議会だより」を読んだ区民から、わが党にこんな手紙が届いています。
 「私の妻は、ガンで胃を全摘し七種類の薬を投与。ところが、後期高齢者医療制度では、『六種類まで』といって減らされました。ここにきて寿命を縮められる不安にどう納得しろ!と言うのでしょうか。私の通う歯医者さんは、一本痛んで行っても、悪い部分は全部、手をかけて下さるので、安心してお任せしてきましたが、今回は一本のみの治療で、その他は手をつけませんでした。『あとは抜け落ちてから』という感じです。制度の撤回運動に参加したいが何もできず、情けない、歯がゆい。」と言うのです。区長は、この声に何とこたえますか。
 国いいなりの答弁を繰り返すのではなく、区民の実態を調査して、国に廃止を求めるべきと思うがどうか。

 次に介護保険の第4期事業計画についてです。
 現在おこなわれている第3期計画では、「介護予防」の名による「介護とりあげ」が促進されました。
 介護施設の居住費、食費が保険給付の対象外にされ、在宅介護も、同居家族のいる場合の生活援助打きりなどが行われ、また介護1の大部分を要支援2にして、福祉機器のとりあげをはじめとするサービスの大幅制限がおこなわれました。
 その結果、著しい利用抑制がおこりました。
 わが区の在宅介護は、決算ベースで、06年に延びが急激に鈍化し、08年予算では、給付費が前年を下回るようになりました。
 また、2回にわたる介護報酬の引き下げによって、介護職員の労働条件が悪化し、離職率が二〇%を超す事態になっています。その速度は、介護制度そのものが崩壊の危機にあると言っても、過言ではありません。
 一方、保険財政は、わが区の介護保険料が23区で一番安いのにも関わらず、赤字になるどころか、積立金が19億円にものぼっています。
 まさに、給付抑制が積立金を急増させている感があります。
 第4期計画は、この矛盾を解決して、区民が安心と納得のできる介護制度となるよう計画することがもとめられます。
 以下、4点にわたって質問いたします。

 第1は、保険料の問題です。
 介護保険の積立金の目的は、次の計画で消化するためにあるのであって、長期間積み立てたままにしておいて、いいものではありません。
 高齢者人口の増加にともなって、1号被保険者の負担割合が引き上げられることが予想されます。現在の19%が20%になるとも言われています。
 後期高齢者医療制度の導入だけでなく、高齢者控除、年金控除の廃止など、高齢者への負担が増えているときですから、積立金を残すことなく、保険料負担を軽減することが必要です。また、区独自の低所得者への保険料の減免を求めます。

 第2は、国の「給付適正化」による給付抑制政策と対決し、公的介護にふさわしいものにたちかえることです。
 区が発行した「サービス案内」には、訪問介護の生活援助に「同居の家族が居る場合は、利用できない」とか、予防の訪問介護は、家族支援や地域支援のない場合に限ると記されています。
 在宅介護の中心は、訪問介護、家事援助にあるのですから、これでは、介護の社会化とか家族介護の開放といった理念の放棄です。
 考え方を本来の理念どおりにすることがどうしても必要です。軽度者や同居家族のいる人の家事援助を利用しやすくすることをもとめます。

 第3は、特養建設の問題です。
 すでに待機者は、1863人となったと聞いています。さきほど区長は、保育園の待機児は48名で、待機児ゼロをめざすと表明されました。手法は、別にして、これはけっこうなことです。しかし、特養の待機者にはひとこともありません。どうしたことでしょうか。
 特養待機者が増える原因は、あまりにも、在宅介護がきびしいため、施設入所を望む人が増えていることが最大の原因ですが、同時に、計画が待機者に見合ったものとなっていないからです。
 また、建設主体を社会福祉法人にして、区独自の建設を避けていることにもあります。
 来年度以降から、都の用地費補助がなくなりますから、民間だけにまかせていれば、建設がおぼつかなくなるのは、火を見るより明らかなことです。
 区独自の補助制度を見直し、社会福祉法人の建設を促進するとともに、区立特養の建設もすすめることを求めます。
 また、都に用地補助の復活をもとめるとともに、すでに建て替え計画がすすんでいる高砂団地の跡地に、無償で特養用地を提供するよう求めるべきと思うがどうか。また、今後の都営住宅の建て替えに際しては特養ホームの合築を要求すべきと思うがどうか。

 第4は、小規模多機能型介護です。
 第3期計画の中で、地域密着型は、区が管理・監督することができるとして注目してきました。しかし、小規模多機能型介護施設は、7カ所の計画のうち1カ所も建設されませんでした。
 他の事業者のサービスを利用することができないこと、介護報酬が低いこと、地代・家賃が高いことなどで、採算がとれないというのが原因です。
 それなのに、事業者だけにまかせていては、いつになっても計画がすすまないのは自明のことであります。
 区長は、口を開けば、「民で出来ることは民に」と言ってきました。小規模多機能型介護は、民が出来ないのですから、公がやらなければ解決できないと思いますが、いかがですか。
 民でやる場合でも、区が建設費、運営費の補助をして、採算をとり易くするほか、利用制限を緩和して、利用者が利用しやすくすべきです。

5、三菱製紙跡地開発2つの疑問
  超高層マンションはまちこわし!地価吊り上げは区の自作自演?
 最後に、三菱製紙跡地開発について伺います。
 9月10日の都計審は、住宅A地区に住友不動産の39階建て、高さ138メートル、800戸という超高層マンション建設計画の都市計画変更を強行しましたが、このまま見過ごすわけにはいきません。
 9月6日には、地域で組織されている「三菱製紙跡地のまちづくりを考える会」による「まちづくりシンポジウム」が開かれました。参加者からは、「三菱跡地は巨大なグリーンゾーンになるところなのではないか」「超高層マンションは、コミュニティーを壊す」「区はまちづくりのビジョンを持っていない」、などと今度の都市計画の変更についての意見が多数寄せられました。
 パネラーのひとりで一級建築士の方からは、「葛飾での超高層マンションは数十年後には廃虚と化す」との警告が出されました。高く売れるのは上層部分で、低層部分は普通のマンションの同じ階より安くしないと売れない。そうなるとマンション内で所得格差が生じ、管理が難しくなる、まして800戸となれば大規模改修などの際の意見がまとまらず、やがて廃虚となるというのです。「まちづくりと称してまち壊しになる、このタワーマンションはその典型」と明言されていました。
 このシンポジウムの直前に、緊急アンケートを実施したところ、回答された方の9割が計画に異議を唱えるものでした。区計審に寄せられた「意見」も、19件、すべてが反対意見でした。
 こうした意見が集中する一つの要因は、マンションの立地と大学・公園用地との関係です。
 先の全協では、「大きな公園の中に大学があって、森の中に沈むような大学の存在は、100年経っても街のシンボルになる」と述べました。ところが、その真南に超高層マンション計画ですから、区自身の答弁も成り立たず、450億円の税金投入が、台なしになってしまうではありませんか。
 私は、このマンション建設に2つの疑問をもっています。
 その一つは、この地域に何故、超高層マンション建設が可能なのかということです。
 都市計画決定上は、この地域の高さ制限は45メートルです。だから、建たないはずです。ところが、都市計画決定には、「ランドマークを創出する建物については45メートルを超えることができる」という例外規定を設けられています。
 そこでランドマークとは何かというのが問題になりますが、都発行の「都市計画用語集」では、由緒ある建物、塔、坂、山などであり、例えばニューヨークの自由の女神、パリのエフェル塔など都市を象徴とするものと示されています。
 ランドマークになるかどうかは、住民や歴史がきめることであて、行政が一民間企業のマンションにランドマークとお墨付きを与えていいものでしょうか。

 いま一つは、区の関わり方です。
 わが党は当初、住友不動産いいなりと思っていました。ところが、8月1日の区計審では、この超高層マンション建設計画は、「URが誘導し高値の取引になった」のではなく「はじめから区とURで計画したもの」と述べられました。
 この「はじめから区とURで計画」という言葉に大変、ひっかかります。
 と言うのは、区が1平米45万円、450憶円という高値でURから大学・公園用地を購入した経過があるからです。
 もともとこの土地は、三菱製紙から平米13万円でURが購入したものです。区が、大学誘致へと政策転換し、買収交渉に入るときには、すでに、B街区に特別養護老人ホーム建設の土地として、1平米60万円という売買実例がありました。
 その後、B街区より駅から離れた奥の土地を住友不動産が1平米77万5千円で落札しました。この売買実績が、大学・公園用地の買収交渉を困難にしたとわが党も判断せざるを得ないできました。
 ところが、区とURが、このときランドマーク計画をしたというのであれば、区がURといっしょになって地価吊り上げをおこなってきたということになります。
 そうであるならば、公園用地を一平米あたり45万円まで下げさせたとみせかけるために、住宅A地区の地価をつりあげたと理解せざるをえません。
 超高層マンションの建設を可能にするために、地区計画を利用したというのが真相ではありませんか。
 これは、「区民参加のまちづくり推進条例」の精神にも反するのではありませか。
 明確な答弁を求めます。
【再質問】
 2点再質問を行ないます。
 介護保険計画の見直しに対する、先ほどの理事者の答弁では、住民の介護要求に応えられないと思います。特に特養の待機者の解消はまったくできないのではありませんか。先ほど少し触れましたが、区長は保育園の待機児解消には意欲を示していますが、特養の待機者には関心がないような感じがいたします。区長は特養の待機者解消をどのようにお考えになっているのでしょうか。
 教育長に聞きます。公費による援助を今年度に限って来年度は値上げをすると答弁をされました。いま、格差と貧困が社会問題化していますけれど、中でも親の所得のちがいによって教育格差がひろがって貧困の連鎖につながっているというふうにいわれています。
 だからこそ、公教育における父母負担の軽減が重要になっているのだというふうに思うのですが、教育長はこのことをどういうふうにお考えになっていますか。
 尚、新宿6丁目の三菱跡地については、450億円という高額な税金を使っておこなうものですから、先ほどの答弁では区民は納得できないのではないか。区民に疑惑や不信が広がってしまう、こういう状態ということだけ申し上げておきたいというふうに思います。以上です。