2009年第1回定例会一般質問 質問者 渡辺好枝
【目次】
1、地球温暖化と区の温暖化対策について
2、「中川親水河川・防災ベルト構想」について

●再質問
1、地球温暖化と区の温暖化対策について
 日本共産党葛飾区議団を代表して、区政一般質問をおこないます。
 初めに、地球温暖化対策についてです。
 この2月に夏日を記録したかと思えば、その三日後には雪が降ったり、暴風が吹き荒れたり、地球温暖化の影響とマスコミでも報道されました。
 私たち自身が地球温暖化を身近に感じています。
 このような中で、2020年までの温暖化ガス排出量削減の中期目標設定に、日本の政府がようやく動き出しました。
 1990年比で25%減から7%増の六案を有識者による「地球温暖化懇談会」で検討し、6月までに日本の目標を決めるとしています。
 しかし、気候変動に関する政府間パネル=IPCCの目安を最低限満たしたものは一案だけにとどまり、逆に排出量を増加させるという、温暖化対策の目標に値しないものまで含まれています。
 これでは、京都議定書で義務付けられている目標の達成さえも危ぶまれています。
 こうなったのは、政府の方針が温暖化阻止を最優先にせず、対策に伴う日本の経済コストを抑えることを第一の基準にしているからです。
 温暖化は日本を含め世界に大きな被害をもたらす以上、日本の経済コストだけにとらわれたやり方では議論は前進できません。
 一日も早く、わが国の対策の遅れが是正されるよう望むものです。
 一方、自治体の取組みも進んでいます。
 ロンドン、パリ、マドリードなど欧州の約350市がこのほど、地球温暖化防止の活動を推進するため、欧州連合と協定を結びました。EUに加盟していないスイスやノルウェー、ウクライナなどの国の都市も署名に応じています。
 日本国内でも、大阪府豊中市で1990年比で20年までには20%、
50年までには70%の温室効果ガス削減目標をかかげてとりくむなど、各地方自治体で、創意工夫をこらしたとりくみがおこなわれています。
 地球温暖化対策は、政府だけにまかせるのではなく、自治体も積極的にとりくんでいかなくてはなりません。
 それでは、本区ではどうでしょうか。
 一年前、この本会議で我が党が、当時、策定中だった「葛飾区地球温暖化対策地域推進計画」素案について、削減目標をきちんと持つべきと質問すると、区は、「総量での削減目標は効果が見えないため、事業量目標としての設定が望ましい」と答弁しました。
 日本政府とまったく同じ態度ですから、以来、議会審議を通じて、批判をしてきたところです。
 そして今度の中期実施計画案で、ようやく2012年までに1990年比13.5%の削減目標を定め、それまでの各年次目標を明らかにしました。
 これはこれとして前進面ではありますが、区の率先行動による抑制は、わずか3%であります。あまりにも低い目標と言わなければならないのではありませんか。もっと積極的な高い目標を持つべきと思います。
 その姿勢が、取り組みさえすれば直ぐにでも実現可能なことも消極的にしているように思えます。
 中期計画では、太陽光発電システムについて、導入費用の助成や小中学校の設置、区がグリーン電力証明購入費などの年次計画をたて、予算化しています。
 しかし、毎年、同じテンポで推移するようになっていて、これでは、大きな成果が期待できません。
 例えば、小中学校の太陽光システムの設置は、来年度4校実施となっていますが、全校設置には20年近くかかってしまいます。これを改め、来年度は20校実施し、中期実施計画期間に全校設置を目標にした計画をもつべきと思います。同時に、太陽光発電システムの助成制度も拡大し、助成金額も引き上げるべきと思うがどうでしょうか。
 街路灯の水銀灯を蛍光灯やLED蛍光灯に切り替えることは電気の消費量を下げ、なおかつ照度もあがる効果があると言われています。すべて切り替える計画を持つべきと思いますがどうでしょうか。
 さて、温室効果ガス削減において、新たな排出源を抑制していくことも大切です。注視しなければならないことは、開発行為による環境負荷です。
 来年度には公園・道路や公共施設の新築、大規模改修などの都市整備等における温室効果ガス排出削減のための「葛飾版環境性能基準・指針」を策定するとしているが、公的なものだけにとどめず、民間のマンション建設等にも基準・指針を設けるべきと思うがどうでしょう。
 また、個々の建築物を対象とした「単体対策」とともに「面的対策」の基準を設けることも必要であります。
 千葉県柏市では、個々の建築物を対象とした「単体対策」から面的対策をすすめています。一定規模以上の開発をおこなう事業者による「環境配備計画」の策定の義務付けです。
 東京千代田区でも「面的対策」を打ち出し、都市計画決定した飯田橋・富士見地域の地区計画にCO2削減目標が位置付けられ、開発区域内での数値目標を設定することになりました。
 開発区域内での削減数値目標を設定するなどの面的対策を行うべきと思うが、お答えください。
 
2、「中川親水河川・防災ベルト構想」について
 次に、「中川親水河川・防災ベルト構想」についてです。
 地球温暖化問題を利用し、必要以上に住民の不安をかきたて、開発を促進しようとする動きもでており、警戒が必要です。
 その典型例が、「江戸川区における気候変動に適応した治水対策検討委員会」の動きです。
 この検討委員会が昨年発表した「中川親水河川・防災ベルト構想」を見ると、中川流域7km、綾瀬川3kmの合計10kmを埋め立て、幅員240mのスーパー堤防を築くとなっています。中川は中土手まで埋め立て直接、荒川に流し、綾瀬川は、堀切菖蒲園水門までを埋め立てるというものです。
 はたして荒川と中川の中間部に位置する中土手は、不必要なものでしょうか。
 天井川である荒川は、場所によって異なりますが、水位が中川・綾瀬川より高くなっています。そのため、荒川と中川は、中土手で区切り、別の川として東京湾に注ぎ込むように設計されています。
 その中土手を廃止すれば、荒川の水が中川に逆流し、葛飾に浸水被害をもたらしかねません。それを防ぐには、上平井水門上流に中川の流量700トンを荒川に放流する巨大なポンプを設置しなければならなくなるのではないでしょうか。
 綾瀬排水機場に毎秒50トンのポンプ二機が据えられていますが、その実に七倍の能力をもつ排水機場です。
 現代の技術力をもってすれば、それも不可能ではないかも知れませんが、自然の流下にまさるとはとうてい思えません。
 同時にそれは、上流の「中川七曲」の滞流をまねき「死の川」化のおそれさえあります。
 また、100ヘクタール以上にわたる水面の埋め立ては、さらに大きく自然環境を破壊することも予測できます。
 この地域の水辺空間は、渡り鳥が飛来したり、多様な生物が生息したりしています。
 この構想は、地球温暖化を進め、ヒートアイランド現象を悪化させ、環境にやさしい都市づくりに逆行するものではありませんか、区長の見解をもとめます。
 ところで、この「江戸川区における気候変動に適応した治水対策検討委員会」の委員名簿をみますと、13人ならんだ委員の一番最後に、葛飾区都市整備部長の名前が記載されております。
 葛飾区は、どのような立場あるいは根拠でここに部長を参加させているのでしょうか。
 昨年11月、この問題を議論した江戸川区議会で江戸川区長は、「中川の問題は、…江戸川区が勝手に考えるんではなくして、国も、東京都も、葛飾区も、あるいはその他の学者先生を集めてきて、権威ある考えを出していただこうということでやっているので、私たちがこうやればいいと言い出したわけではありません」と発言しています。
 この構想を発表することに葛飾区は賛成しているのでしょうか。また、これほど、葛飾の防災上、重大な構想を区議会にいっさい報告もしていないのはどういう理由によるものでしょうか、お答えください。
 以上で、私の質問をおわりますが、答弁いかんによっては、再質問をおこないます。
【再質問】
 一点だけ質問をさせていただきます。ただいま区長の方から答弁がありました中川親水河川防災ベルト構想についてですけれども、先ほど区長は水害、高潮対策で設置されたもので、この100年のスパンが必要であるということの問題提起だと、ですからこれからも参加するという考えを述べましたけれども、この程度の認識しか持たないのかという疑問があります。
 この構想の中心は、中川を埋め立てるということです。これは、中川が埋め立てられることになるということは、葛飾区民にとってこの治水の安全面からも環境面からも乱暴な計画、構想と言わざるをえません。
 江戸川区の検討委員会に、先ほども述べましたように、都市整備部長も参加しておりますが、このときですね、この構想が出された時に、区としてこれは問題があるのではないかというような主張などをおこなわなかったのでしょうか。
 ぜひですね、先ほど区長からですね、述べられましたけれど、再度、答弁を求めたいと思います。