2009年第2回定例会一般質問 質問者 三小田准一
【目次】
1、核兵器廃絶にむけて
2、新型インフルエンザ対策について
3、医療体制の整備について
4、介護保険をはじめとする高齢者福祉について
5、北総運賃の値下げについて


1、核兵器廃絶にむけて
 日本共産党区議団を代表して、区政一般質問をおこないます。
 まず、先の第1回定例会が終わってから今日までの2ヶ月間に、核兵器廃絶という大問題について、大きな、新しい動きが世界に生まれていることについて伺います。
 4月5日、アメリカのオバマ大統領がプラハで演説を行いました。それは、世界最大の核保有国であるアメリカが、今後、国家として核兵器廃絶を目標とすると宣言し、核兵器を使用した唯一の国でもあるアメリカには自ら核兵器廃絶に向けて行動する道義的責任があると述べ、世界に協力を求めたものでした。
 わが党は、このオバマ演説に心から賛同する立場から、4月28日、志位和夫委員長名でオバマ大統領に書簡を送り、部分的な措置の積み重ねではなく、核兵器廃絶を正面から主題とする国際会議を呼びかける必要があること、また来年2010年の核不拡散条約NPT再検討会議では、10年前に行われた核保有5カ国による核兵器廃絶へのいわゆる「明確な約束」が再確認される必要があること、などを率直に伝えました。
 そして、5月5日、国連本部で開かれていたNPT再検討会議準備委員会で核保有5カ国、すなわち、アメリカ、ロシア、フランス、イギリス、中国が共同声明を発表し、核兵器の全面廃絶に対する核保有国の明確な約束を再確認することを議題とする、としました。
 これは議題すら決まらなかった前回2005年の再検討会議とは様変わりともいうべきものであります。
 5月16日には、オバマ大統領からわが党への返書が届き、わが党が「どうすれば私達が最良の方法で核兵器のない世界を実現できるか、についての考えを伝えてくれた」ことへの感謝が記されていました。
 しかし、その一方、5月26日、北朝鮮が核実験を強行しました。この核実験が、国際社会が核兵器廃絶に向かって舵をきろうとする、まさにその時に強行した国際世論への重大な挑戦であり、絶対に容認できないものであります。
 こうした道理なき逆流を許さないためにも、今、重要なのは核兵器廃絶の世論を巨大なうねりのように強めていくことではないでしょうか。NPT再検討会議準備委員会と同時に行われた非政府組織NGО国際会議でも、この流れを生かすのは世界的な市民運動だ、という盛んな討論が行われました。
 その中で唯一の被爆国、日本の市民運動が重要な位置を占めることは言うまでもありませんが、同時に非核平和都市宣言をもつ地方自治体の役割もまた、かつてなく重要になっているのではないでしょうか。
 そこで伺います。オバマ演説から始まった核兵器廃絶への世界の新たな情勢への区長の認識と、非核平和都市宣言区の区長としての決意をお聞かせください。

2、新型インフルエンザ対策について
 次に、新型インフルエンザ対策について質問します。
 世界的にもひろがった新型インフルエンザは、国内でも感染者がひろがり、小中高校の休校や修学旅行の中止、なかでも保育園の閉鎖は、共働き家庭にとっては子どもを預けられず、大変な事態となりました。
 さいわい新型インフルエンザは軽症が多く、従来の治療薬も効果がみられます。しかし、国民の間では、急速な国内感染の拡大に不安を募らせ、発熱した方が医療機関を受診する前に相談する「発熱相談センター」に電話が殺到するという状況も発生しました。
 本来ならば地域の保健所がこうした場合の対策にあたるものですが、保健所の統廃合がすすみ、1997年には全国で706あったのが2008年には517に大幅に減り、きめ細かい対応ができなくなっています。長年にわたる医療破壊を続けてきた政府の責任は重大です。
 保健所の統廃合は、本区においてもけっして例外ではありません。99年4月には2箇所あった保健所を1箇所に、5つの保健センターは2つにし、新小岩、高砂、水元はブランチとして医師がいなくなりました。これでは、新型インフルエンザへの対応をはじめ区民の命と健康をまもることはできません。
 新型インフルエンザに過剰に反応しすぎることはありませんが、引き続き警戒する必要があります。
 そこで、以下の点についてうかがいます。
 まず、第一に、保健所の体制強化が必要です。
 都内で感染者がでた後、相談件数が急増し、保健所職員は、その対応に大変努力されてきたことは承知しています。しかし、今後も続く相談窓口業務、また、区内の感染が現実になった場合、現在の保健所の体制で済ますことはできません。
 区長は「対策本部」を設置したといいますが、保健所の体制強化こそ急ぐべきと思うがどうか。
 第二に、区民の予防接種は、高齢者に対する一部補助となっていますが、これを機に無料にし、その対象も拡大する必要があると思うがどうか。
 第三に、新型インフルエンザの流行のもと区民の中では健康への不安が増大しています。いつでも、だれもが安心して医療機関にかかれるように、国保証のとりあげはやめるべきです。答弁を求めます。

3、医療体制の整備について
 次に、葛飾区民に対する医療体制の整備について質問します。
 都内の高度医療体制が都心及び、23区西南部に偏り、とりわけ区部では足立、荒川、葛飾の東北部が高度医療の過疎地域になっている事態をいまこそ解決する必要があります。
 第一に、先ほどのべた、新型インフルエンザなどの感染症対策です。
 発熱などの症状が出た場合、「発熱相談センター」に電話で相談し、その指示で「発熱外来」を受診、発熱外来は、東京では60ヶ所、区内には2か所です。
 さらに新型インフルエンザと確認されれば、感染をひろげないために周りより気圧が低い「陰圧病床」を備えた専門の病棟に入院することになります。この「陰圧病床」は都内に10施設で、区内にはなく、区民が感染した場合は、都立駒込病院に行かなければなりません。
 発熱外来として受診できる医療機関を増やす必要がありますし、「陰圧病床」を備えた病院も区内に必要だと思うがどうか。
 
 第二に、周産期医療です。
 昨年10月、江東区の妊婦が救急搬送を断り続けられ墨東病院で死亡するにいたった事件は記憶に新しいところです。都が指定するハイリスク分娩の妊婦を救急搬送する総合周産期センター病院は、区部東北部には存在せず、板橋区の帝京大学付属病院になります。
 わずかな時間で手遅れになりかねない救急搬送先が板橋区で、しかも、空きベッドがない場合もあります。
 先の悲劇を回避するためには、ハイリスク分娩に対応する総合周産期センターとなる病院の設置がどうしても必要だと考えますが、その認識について伺います。
 また、総合周産期センター機能をもつ病院の設置までの代替措置として、慈恵医大青戸病院小児科、葛飾赤十字産院、東部地域病院などの専門性のある医療資源の効果的連携を図ることも検討してはいかがでしょうか。
 葛飾赤十字産院は、都内でも有数の周産期医療をおこなっている地域周産期医療病院であり、未熟児の新生児集中治療室(NICU)が9床設置されています。区部東北部では、このNICUは葛飾日赤産院のほか荒川に6床、合計で15床しかありません。
 これは厚生労働省の指針にてらしても約半数にしかなりません。慈恵医大青戸病院や東部地域病院でのNICUの設置を働きかける必要があります。答弁を求めます。
 
 第三に、ガン治療についてです。
 国はがん対策基本法を制定し、がん対策高度医療を全国に展開するために、「地域がん診療連携拠点病院」を指定しました。
 都は、国が指定する「拠点病院」14ヶ所の他に「東京都認定がん診療病院」を10ヶ所指定しました。ところが、葛飾区を含む東部六区には、国の指定病院も都の指定病院もありません。
 本区はガン死亡率が高く、予防とともに治療の体制を作っていくことが大変重要です。東京都に対し、認定ガン診療病院を葛飾区内の病院に必要な支援もおこない認定するよう求めるべきと思うがどうか。
 
 がん対策の強化が求められているときに慈恵医大青戸病院の放射線ガン治療の継続は、ますます重要です。
 慈恵医大青戸病院建て替え計画は、一昨年秋に明らかにされました。その内容は、放射線ガン治療機能を新橋の本院に移転することが前提となっています。
 わが党は、本会議や各委員会でもこの問題を取り上げ、住民とともに運動もすすめてきました。
 区長自身、区民の切実な声をふまえ昨年11月に、慈恵医大に対して、放射線ガン治療の継続を求める要請を行ったと答弁しました。
 4月27日、わが党は、慈恵医大に直接、要請に行きましたが、その席上では最終的な判断には至っていないとの回答でした。区に対しても慈恵医大側から回答がないとも伺っています。
 しかし、慈恵医大は、昨年12月に着工する計画を延期したものの、今月の説明会開催、12月には着工の予定だとしています。
 
 こうした局面にある今だからこそ、区長が区民の代表として、改めて放射線ガン治療の継続を要請すべきだと思いますが、どうでしょうか。
 また、慈恵医大青戸病院だけでなく、一定の高度医療を担っている東部地域病院などに対しても放射線ガン治療の機能を求めるべきと思うがどうか。

4、介護保険をはじめとする高齢者福祉について
 次に介護保険と高齢者福祉について質問いたします。
 介護保険は、この4月で10年目をむかえました。
 「介護の社会化」、「選択の自由」、「在宅介護の充実」という言葉は、それまでの介護地獄を解消するに違いないと、多くの人に期待をもたせ、出発をしました。
 10年たって、その実態はどうでしょうか。当所の宣伝とは裏腹に、多くの高齢者を介護からしめだし、老老介護、認認介護、介護殺人、介護離職、などという言葉があたりまえの状態になっています。
 そうした中、4月25日と26日、NHKがふたつの特集番組を放映し、話題をよびました。
 一つは、「追跡!AtoZ無届老人ホームの謎」と題するもので、群馬県の無届老人ホームの火災で、10人の生活保護の高齢者が死んだ事件に関連して葛飾を例に報道されたものです。
 番組は、行き場を失った高齢者を食い物にする悪質な貧困ビジネスを浮き彫りにする一方、冒頭部分で「こうした施設に送り込んだのは、弱者をまもるべき行政だった」として、いきなり本区の生活課長が登場したので、どうなることか固唾をのんで見守りました。
 結果は、本区を攻撃するものではなく、制度の不備を補うために涙ぐましい努力をしている現場職員の姿を紹介し、現在の介護保険がいかに欠陥だらけであるかを鋭くつくものでした。
 もうひとつは、「介護保険10年目の検証」と題するNHKスペシャルで、新宿の戸山団地の住民1600世帯のうちアンケートをよせた893世帯の回答を分析したものです。
 このふたつの番組は、現在の介護の実態、介護保険の到達点を映像化したものでした。そこで、ここに報道された中身に添いながら、いくつかの点について質問致します。
 一つは、特養老人ホームなどの高齢者の住宅に関する問題です。
 無届老人ホーム「たまゆら」の火災事故は、大変ショッキングな事件でした。
 NHKの番組では、部屋の隅に置かれたポータブルトイレで用をたす高齢者、取材に応じたオーナーが「成れの果て」とうそぶく場面が映し出されるなど、正視に耐えるものではありませんでした。
 厚労省の緊急調査では、こうした無届けの有料老人ホームや法的な位置付けのない社会福祉施設などに入所する生活保護受給者は、全国で1万4268人にのぼると発表しました。
 本区でも、100人以上の生活保護受給の高齢者が、老人ホーム以外の施設に入所しています。
 厚労省が「特別養護老人ホームの入居待機者らが都市部の外の施設などに移動したと考えられる」とコメントしているとおり、都市部の施設不足に由来するものです。
 本区の特養老人ホームの待機者は、2月1日現在、1574人となり、介護保険導入時にくらべて4倍近くなっています(99年6月426人)。
 区は、特養の整備水準は、23区で上位だと言いますが、東京は全国で最低水準ですので、そこで上位といっても、それほど説得力はありません。
 急いで、特養老人ホームの建設計画を待機者に見合ったものに改めるべきです。いかがですか。
 その際、東京都が用地費補助を廃止したもとで、用地確保が困難になることが当然、予想されます。高砂団地、西亀有、小合など都営住宅建替で、スペースを確保するよう具体的交渉にはいるべきと思います。
 また、大規模な特養ホーム建設だけでは区民要求に応じきれません。もっと身近な所に建設をするために、特に土地確保の困難な地域での建設をするためには、小規模特養の建設が必要です。
 第三期改定で、地域密着型サービスとして、29床以下の小規模特養建設が可能になっています。
 今年度予算で、千代田区は、麹町に小規模多機能型居宅介護、認知症グループホームなどと併設した24名定員の特養ホームを建設する予定です。
 新宿区も小規模多機能を併設した29人定員の特養建設をおこなうと発表しています。
 こうした例にならって、本区でも小規模特養の建設をすすめることを求めます。
 また、建設を民間にだけまかせてきましたが、採算を考えると限界があります。区独自の建設計画をもつべきと思うがどうか。
 特養老人ホームだけでなく、もっと柔軟に住居の確保をおこなうことも大事であります。高齢者向け優良賃貸住宅制度の活用や、借り上げ住宅の活用など、さまざまな工夫が必要です。
 わが党は、2006年9月の本会議で、三郷市の「みのりホーム」と港区の都営住宅の跡地を活用した「すこやかの家みたて」の住宅の取組みを紹介をしましたが、東京都は、今年度からモデル事業として、「医療・介護連携型高齢者専用賃貸住宅」事業をはじめます。これを利用することも可能であると思います。答弁を求めます。

 二つめは、介護保険の不備を補完する援助を区独自で新設することです。
 NHK番組では、介護保険が使えない実態を放映していました。「毎日がサバイバルです」と訴えるパーキンソンの夫を介護している車椅子生活の妻、ショートスティを利用しようとしているが空きがない。仕事をやめて母親を介護している娘。利用料の負担に苦しんでいる姿を映し出しています。
 こうした事態を打開するための取組みが必要です。
 番組では、新宿区で、ショートスティの代わりに有料老人ホームのベッドを借り上げ、介護保険の料金で利用させたり、ベッドをとりあげられた軽度者に特殊寝台を貸与したり、認知症の方の介護者のためにヘルパーを派遣するリフレッシュ支援などを実施していることが紹介されていました。
 港区、文京区では、病院内移動のヘルパー派遣を実施するようになっています。
 その他、休日のヘルパーを確保することが困難で、サービスを受けられないという問題や、認知証、精神障害者の人は、予想以上に手がかかり、事業者に負担がかかっている問題など、区独自の加算や予算化が必要であると思います。
 区の積極的対応を求めるものです。
 さて、訪問介護における散歩は、これまでも問題になってきたところです。
 そうした中、昨年12月の政府による「訪問介護員による散歩の同行については、適切なケアマネジメントに基づき、自立支援、日常生活活動の向上の観点から、安全を確保しつつ常時介助できる状態で行うものについては、利用者の自立した生活の支援に資するものと考えることから、現行制度においても、介護報酬の算定は可能である」という回答は、全国の自治体に衝撃を与えていると思います。
 何故なら、本区を含めほとんどの自治体が、散歩を認めてこなかったからです。
 散歩は、歩行機能の向上や低下防止、ひきこもり解消などのために大きな効果があります。算定基準を緩和して散歩を認めるべきと思いますが、いかがですか。
 三つめは、今年度から始められた新認定方式についてです。
 厚労省は、認定調査の項目を82から74に減らし、その際、訪問調査のためのテキストも改変しました。これまでは能力に着目していたものを、実際の介助活動に着目するようにしたというのです。
 具体的には、ねたきりの人の洗髪は、これまでは全介助でしたが、これからは頭髪がないと洗う必要がないという理由をつけて、「介助なし」としました。あまりにもこじつけと言わなければなりません。
 その結果、従来より低く認定される人が続出しています。
 知り合いのケアマネに聞いたところによると、「78歳の女性、脳欠陥障害で左に麻痺があり、この4年間の認定が介護度4だった。それが、6月1日の新規認定で、3になってしまった。症状は変わっていないので、同じように書いた。何が、下がったかわからない。」と話していました。
 厚労省の試算でも、二割から三割の人が低く出るとされています。
 その上で厚労省は、従来より低くでた場合は、当面の措置として、従来どおりとするとしていますが、受給率をさげることを目的とした改変ですので、いつまで続くか期待できません。
 さきほどの例の人は、6ヶ月間と言われているとのことです。
 6ヶ月たつと、低くなった介護度でサービスを受けるようになるのですから、これでは問題の先送りというだけの話です。
 厚労省の経過措置の期間が終了しても旧来の認定を維持するための補助が必要と思いますがいかがでしょうか。
 ヘルパーの派遣回数、施設利用、ディーサービス、従来サービスを維持するために自己負担が増えることのないようにすべきです。
 介護2の人が要支援2に認定されれば、ベッドをとりあげられることにもなります。そうでなくとも軽度者は、半年毎に要支援2と要介護2をいったりきたりすることもしばしば目にします。電動だけでなく、ベッドは、軽度者の日常生活動作(ADL)を高めると言われています。ベッドのレンタル制度をつくるべきです。答弁を求めます。 
 最後にわが党は、この認定調査はいらないと考えています。だいたい、重く認定されると喜ぶということ自身が本末転倒であると言わなければなりません。
 介護保険がはじまって10年たちます。ケアマネを中心に人材が育っています。その人が、どんなサービスが必要か、本人を含め専門家がともに検討して、サービスの量と質を決める、これこそ選択の自由であり、介護の社会化であると考えます。

5、北総運賃の値下げについて
 最後に北総線の高運賃について質問します。
 京成高砂から北総線新柴又の1区間で200円、同じ高砂から京成金町まで2区間が130円ですからいかに高運賃であるかを説明するまでもありません。このためわざわざ高砂まで行く、あるいは金町線の柴又を利用して節約するなど新柴又駅周辺の区民は不便を忍んで暮らしを自衛しているのが現状です。
 区民の中には、北総線矢切、秋山などにある高校、大学に通学している生徒もいますが、新柴又〜矢切間の通学定期は3ヶ月13,830円、京成運賃では5,090円ですから実に2,7倍です。日本一高いとさえ言われる北総の高運賃が区民の暮らしを圧迫していることはあまりにも明瞭です。
 昨年8月、千葉県内の住民団体は千葉ニュータウンを中心にして、北総運賃を「京成本線の運賃と同一にする」ことを求める署名運動に取り組みました。私自身も新柴又駅、高砂駅周辺で署名に取り組んできました。
 この署名は、実に10万7千筆を越える声に結実し、国土交通大臣に届けられました。同ニュータウン人口は13万余とされますからいかに切実な要求であるかが分かります。
 来年春または夏頃の開業とされる成田新高速線は、北総線を使用するにもかかわらず、安い京成運賃で運行しますが、一方、北総は平均して2倍と言われる高運賃のままという不公正は許されません。
 私ども区議団は、昨年11月5日に京成電鉄へ直接、北総線の高運賃を是正するよう要請も行いましたが、今年3月、国土交通省鉄道局長は地元自治体また住民団体に「成田新高速も北総鉄道も同じ運賃体系」とし「北総運賃を引き下げる」と明言するに至りました。
まさに10万人余の署名の声が国と京成を動かし始めていることを実感できるものです。残る問題はどこまで下げるのか、そして引き下げの原資を誰が負担するのかであります。
 国土交通省は「京成と自治体の負担」と言っています。これを受けて千葉県は4月末、沿線自治体に税金投入を求めて負担額を提示しました。しかし、この提示案は、@ 肝心な京成の負担に触れていない。A 北総鉄道が現在上げている利益30億円には手を触れない。B 投入する血税の40数%は法人税で消える。C しかも北総が存続する場合、少なくとも今後18年間、場合によっては30数年間投入しなければならない。等々の不合理を持っているため沿線自治体の反発を受け、明確に拒否した自治体が複数に及ぶと言います。
 京成に負担能力がないのかと言えばそうではありません。H19年度の決算で見ると京成の税引き前利益は101億円、京成が国土交通省へ提出した事業計画を見ると成田新高速の予定利益は49億円です。住民団体は京成が北総を吸収合併した場合の必要額を30億円以内と推計していますから、京成が全額を負担しても京成運賃に統一することは十分に可能です。
 これらを見れば自治体が負担する必要のないことは明白で、国土交通省が沿線住民の血税による負担を求めることは理不尽きわまります。
 沿線自治体と言えば、新柴又駅や高砂駅がある本区も含まれると思います。
 そこで伺います。仮に国あるいは都、北総あるいは京成から税金投入を求めてきた場合には断固として拒否するかどうか。
 また、住民福祉を目的とする自治体として、区民の暮らしを守り、生徒の勉学権を保証する立場から、連結子会社として北総を支配している京成に対して、北総の高運賃を京成運賃に統一するよう求める考えはないか。運賃認可の権限は国土交通省にあります、同省に京成運賃への統一を要請する考えはないか伺います。
 以上で私の質問は終わりますが、答弁いかんによっては再質問を行うことを表明し、終わります。