●第4回定例会 中村しんご区議の一般質問  2009
年末年始かけ区民生活支援の緊急対策を


【目次】
1、区長の任期について
2、年末年始の緊急対策について
 @中小企業・商店街等の緊急対策について
 A雇用の改善とセーフティーネットについて
 B医療危機から区民を救うこと

3、今後の区政運営について
4、慈恵医大青戸病院のガン放射線治療について
1、区長の任期について
 日本共産党区議団を代表して、区政一般質問を行います。
 まず、公職選挙法の改正によって、本区では、出直し選挙以来、四回目の区議会議員と区長の同時選挙が行われました。前回までは、青木勇区長が再選されたので問題は表面化しませんでしたが、今年は、新区長が既に選出されています。
 新区長が選出されているのに、われわれ新議員が、来年度予算編成の責任者となる新区長に今定例会で質問ができないという異例の事態となっています。
 予算編成権は首長の権限だと言われていますが、地方自治の発展とともにその予算編成の過程の透明化が図られ、国会では事業仕分けに国民の関心があつまるなど予算編成過程の透明化を求める世論が形成されています。
 ところが本区でも現在、予算編成作業にある中、来年度予算の決定権者が不在という状態で本定例会が開催されています。
 こうした状態になることは、予想できたことでありました。この状態を解消し、今定例会で新区長の所信を伺い、その所信に対して質問をするのが自然なことだとおもいますが、これはだれも強制できることではありません。区長ご自身がご判断される以外にないことです。今後、新区長が再選されるたびに同じ問題が発生します。
 この状態をどのように認識されていますか。公職選挙法の第259条には、地方公共団体の長の任期は、選挙の日から起算するとありますが、この条項について、どのような見解をお持ちになっているのか答弁を求めます。

2、年末・年始の緊急対策について
 さて、区長の冒頭あいさつでは、景気動向について、厳しい状況にあるとの基調判断にたち、とりわけ中小企業の多い本区の産業分野にあたえる影響について、「十分に注視し、対処していく必要があると認識している」と述べられました。
 ところが、そのように述べているのに、どう打開していくのか具体的な提起が極めて乏しい所信だと指摘しなければなりません。一貫しているのは、区民のおかれた深刻な状態をいかに打開するかではなく、区財政にとってどうなのかという視点です。区長として区財政を健全化することは大事なことだと思いますが、現実にある区民の苦難に心を寄せるべきです。
 区長挨拶では、都の税収の落ち込みをあげ、特別区交付金の減を心配しています。
 そうしたなかでもまちづくりや都市計画道路などを進める必要があり、大変厳しい状況になると予測しています。
 さらに、新政権の「自動車・道路関係税の暫定税率の見直し」や「子ども手当て実施にかかる財源の地方の一部負担」が検討されていることをあげていまが、新政権に対するやつあたりにも聞こえます。

 現実を直視するならば、倒産・失業の増大、就職内定率の減など深刻です。中小企業や商店の営業不振も深刻な事態となっています。今日のデフレ、円高の克服には10年近く要するというアナリストの指摘もあります。
 こうした困難に直面している状態の改善のためにこそ力を尽くすべきです。区長は冒頭のあいさつで任期を全うするご意志を表明されました。それならば、残りの任期は僅かですが、それまでに年末年始の思い切った緊急対策をうつ必要があります。
 以下、三点についてお尋ねします。

@中小企業・商店街等の緊急対策について
 第一は、区内の中小企業・商店街等の緊急対策です。
 融資の一層の改善として、利率の引き下げを実施すべきと思うがどうか。国会ではモラトリアム法案が可決しましたが、区の融資についても、返済開始を六ヶ月後と固定するのではなく、返済の開始を一年後から三年後に改善をするべきと思うがどうか。くれぐれもその間の利息は、区が負担するという前提であります。
 こうした制度融資に活用できない事業者は、消費者金融、商工ローンやヤミ金などに資金を求め多重債務者となっている実態があります。営業不振によって生活そのものがたちゆかなくなっているからす。
 いまこそ区の直貸し融資によって、こうした事態を防ぐ必要があると思いますがどうでしょうか。
 生業資金融資事業の改善も提起しておきます。生業資金融資は、相談件数は、一定あるものの実際の貸し出しは、きわめて少ない実態になっています。その最大の原因は、資金融資を受けた後、当面1から2ヶ月程度の運転資金があることが条件に事実上されています。これを完全に撤廃し、条件を緩和すべきと思うがどうか。
 商店街には、元気出せ事業に対する区の負担を増やし、商店街の負担を軽減すること。商店街がイベントの規模拡大について要望がある場合、区の責任で要望にこたえるべきと思うがどうか。答弁を求めます。

A雇用の改善とセーフティーネットについて
 第二に、雇用の改善とセーフティネットについてです。
 11月17日の読売新聞では、厚生労働省の調べで、今年6月から12月に雇用保険の失業給付が終了する方が39万人と推計され、このうち六割の23万人は三か月以上収入が途絶えた状態となり年末年始に支援が必要だと推計しています。
 深刻な状態は昨年以上の悪化をまねかないかと危惧されているではありませんか。これは、決して都心部だけの問題ではありません。
 なぜなら区内にも、インターネットカフェや、先日、大阪で大惨事となった個室ビデオ店など宿泊施設ではないのに事実上、ホテル代りになっている施設が90ヶ所以上にものぼります。
 こうした施設には、厚生労働省の把握している数字以外の不安定な状態におかれている人々も少なくありません。
 政府は、昨年末のような派遣村をつくらないようにするための対策として、離職によって住宅を失ってしまう世帯支援の住宅手当や臨時特例つなぎ資金を創設、求人情報、住宅確保、生活保護も含めたワンストップ・サービスの試行などしていますが、これらに対象者がすべて年内に解決できる保証はありません。
 たしかに、この大問題を区行政がすべて解決することはできません。失業給付の改善や就労支援策の改善、それまでの生活保障制度の確立は、国や都が果たすべき大きな役割があり、新たなセーフティネットを築くことを区長としても呼びかけていただきたいと思います。
 しかし、現状では、いま行われている緊急対策と最終的なセーフティネットとしての生活保護を適用しなければなりません。自民党の安西議員の質問への答弁でもワンストップ・サービスについて、区長は検証が必要などと答弁しましたが、現状でも土、日をのりきり、月曜日に役所につなぐ、このままでは年末年始は、私ども日本共産党のボランティアを含む民間任せになりかねません。そのさい、土曜、休日、年末年始の体制を改善することがどうしても必要となります。  
 具体的には、担当課任せにせず、幹部職員など全庁をあげて、緊急窓口を土日と年末年始に設けるべきと思うがどうか。年末年始は、年越し用の宿泊施設を確保しておくべきと思うがどうか。地域コミュニティ施設は、家事や台風の避難のために活用されますが、こうした施設は年末年始が休館になります。必要な場合はこうした施設を活用することも検討すべきと思うがどうか。

B医療危機から区民を救うこと
 第三に、医療危機から区民を救うことです。
 まず、資格証の発行についてです。今年九月に国保年金課が「国民健康保険資格証明書の取り扱いについて」という文書で、新型インフルエンザ蔓延にそなえて、十月一日から半年間、資格証から短期証交付に切り替えることになりました。
 わが党は、資格証の発行を中止するように繰り返し求めてきましたが、今回の措置は当然だと受け止めています。しかし、生命維持のセーフティネットになっている医療保険の保険証を取り上げることは、その制度の根幹を掘り崩すものであり絶対やってはならないことだと考えています。
 資格証の発行をやめることは、新型インフルエンザが流行しているから必要なのではなく、医療制度を守るためにこそ必要なことです。
 二つ目に、無料低額診療の実施を求めたいと思います。
 お金に困っている人に不安なく病院にかかれるようにと、国が定めている無料低額診療を実施している医療機関が増えています。通常の三割負担が、無料ないし低額で診療を受けられる社会福祉法にもとづく制度で、都道府県に届け出た病院・診療所が実施します。
 兵庫県尼崎医療生協の調査では、利用者の所得は、78パーセントが生活保護水準以下であり、貧困層の深刻な実態がうきぼりになりました。
 ところが国は、昨年「必要性が薄らいでいるとの理由で抑制」する通知をだしていました。わが党参院議員の政府に文書回答をもとめる質問主意書では、ホームレス自立を支援する「基本方針」では、無料低額診療の積極的活用をうたい、医療機関の未収金防止策として、無料低額診療を紹介することをあげている事実を示し、答弁書では、「低所得者に対する必要な医療を確保する上で重要であると評価し、医療機関から届け出があったら受理されるべきもの」としました。
 本区においても、医療機関に対して、無料低額診療の届け出を行うように働きかけるべきと思うがどうか。

3、今後の区政運営について
 次に、今後の区政運営に関わる問題について質問いたします。
 区長選挙の結果は、現区政の継承を掲げた候補者が当選しましたが、区政転換を求める区民世論の大きさを令静に受け止める必要があります。
 しかし、区長のあいさつでは、今後の政策をしばるような内容や議会軽視とも言える問題が含まれています。たとえば小中一貫教育校、フィットネスパーク、保育園建設、さらに補正予算案には東京理科大に関わる予算が計上されています。

 小中一貫教育校は、松上小と新小岩中を平成23年度の開校に向けて、高砂小と高砂中は平成24年度の開校に向けて、と言うことですが、松上小と新小岩中の小中一貫校についての説明会の対象は、その2校の児童生徒のみになっています。学校選択制でありながら、区民的な議論を保障していないことを直視すべきです。しかも、その説明会では不安を抱えた保護者が多数いたと聞いております。
 したがって現区長が1年後、2年後の開校に固執すべきではありません。新しい区長のもとで区民的な議論が保障されなければなりません。

 保育園の待機児解消に向けた保育園増設は、待ったなしの課題であり増設を非難するつもりは毛頭ありません。しかし、これまでの議会との関係でいえば、庶務報告が行われ、その後、予算化という手順でした。今回は、庶務報告もなくいきなり区長あいさつと補正予算への計上です。
 しかも区議選の最中には、すでに堀切地域に保育園建設がされることを公約していた与党の候補者もいました。議会への報告はせずに、一部の議員・候補者だけには情報提供をしていたというのなら、これは極めて異常なことであり、区政の私物化といわれても仕方がありませんか。
 
 大学誘致の問題でも、これまでも議会軽視、区民不在のもとですすめてきたこと、契約締結後も議会に諮ることなく内容を勝手に変えていることなど指摘してきました。ここで繰り返すことはしませんが、今回の補正予算案には東京理科大に関わって科学技術センター基本設計等委託費5,807千円が計上されていることについて大変疑問に思うことがあります。
 まず第1に、当初の計画、もちろん東京理科大学との契約にもなかったものだということです。
 このセンターは、東京理科大が公園内施設として建設する図書館・ホールの中の1000uを使って区が設置するものだと聞きました。
 東京理科大の提案内容は、議会にも一部しか公開されていませんが、その範囲では、東京理科大の科学技術や科学授業の連携の提案は、大学の産学官連携課や科学技術交流センターを中心とした中小企業との技術交流や小中学校へ出張しての科学技術、講座の開催となっています。
 したがって提案の時点では大学はセンターの設置を求めていません。提案にもなく契約内容にもないのに、なぜ区が設置しなければならないのか、まったくわかりません。
 第2に、科学技術センター建設さきにありきという問題です。
 施設を作る場合、その位置づけ、目的、事業内容などを議論することが先ではありませんか。
 委託費の中には、基本設計だけでなく、基本計画が含まれているようですが、この科学技術センターが本区の中小企業や子供たちにとって将来にわたってプラスになると思うのであるならば、その基本計画は、議会でも時間をかけて議論すべきものです。その際、既存の鎌倉二丁目の旧明石小学校内の科学教育センターにおける事業に対する総括や検証についても十分な議論がされなくてはなりません。しかも、現科学教育センターは、平成18年耐震補強工事のときに   円かけて、リニューアルされたばかりです。
 それなのに、センター建設さきにありきの予算計上は、いったい誰のため、何のためなのか、大変疑問に思う所です。
 第3に、仮にセンターが必要だという結論が出た場合でも、大学固有の建築物の中なのか、あるいは既存の公共施設の活用かは、これもまた議論していかなければなりません。
 なぜ、議論もしないまま大学固有の建築物に設置することを決めるのですか。
要項では、大学固有の建築物には支援しないとなっていますが、区施設の設置を名目にして大学内に施設建設するというなら、53億円の思いやり予算に続く、際限のない税金投入になるのではありませんか。
 科学技術センターの基本設計等委託費については、以上の3点から問題があり、今回は、撤回をすべきです。答弁を求めます。

4、慈恵医大青戸病院のガン放射線治療について
 新しい区長は、「区民第1」「現場第1」と公約していましたが、公約通りの区政運営を望むところです。そのためにも次期区長の政策をしばるような言動は厳につつしむべきだと言うことを指摘しておきます。
 次に慈恵医大青戸病院のガン放射線治療について1点質問します。
 慈恵医大病院から正式に「撤退」の回答が来たとのことですが、区長は、第3回定例会での決算審査特別委員会で、このガン放射線治療の問題について「区民の意向に対して要望するという態度はこれからも捨てずにいきたい」と答弁をされました。
 病院側が「撤退」を表明しても「存続を」という区民の意向は変わりません。再度、要望する気持ちはありませんか。答弁を求めます。

 最後に、さる11月30日、葛飾ビラ配布弾圧事件で最高裁が高裁判決の上告を棄却するという「不当判決」を下しました。
 この事件は、五年前、公費である政務調査費で作成されたわが党のアンケートや区議会報告を配布していた僧侶が不当にも逮捕され23日間勾留された後、異例の起訴となりましたが、東京地裁では、社会通念上罰することではないと無罪となりました。ところが検察は不当にも高裁へと上告し、二年前に逆転有罪判決で罰金五万円を言い渡したものです。日常当たり前におこなわれていることを無理やり犯罪だとしたところに重大な問題があります。
 われわれ議員にとってマスコミでは取り上げられない区政のことをビラにして伝えることはあたりまえのことです。これを罰することは、表現の自由のみならず地方主権、民主主義社会への攻撃だと言わなければなりません。
 民主主義の根幹にかかわるこの不当判決は、憲法97条で、「基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に耐え侵すことのできない永久の権利」と規定していることに照らして、歴史に耐えられない判決として後世にのこるものと指摘しなければなりません。
 われわれは区民の代表として、いささかも怯むことなく、区民の利益のために今後も堂々とビラ配布を行うことを表明するものです。
 以上でありますが、答弁いかんによっては再質問することを表明し、質問を終わります。