●2010年第1回定例会 一般質問 質問者 中江秀夫 |
子育て支援、理科大・公園予定地の盛土について
【目次】 1、子育て支援について 2、理科大・公園予定地の盛土について ●再質問 |
1、子育て支援について 先の通告にもとづき、区政一般質問をおこないます。 まず、子育て支援についてお伺いします。 今年1月24日江戸川区で、親からの暴行を受け、小学1年生の男の子が死亡した事件が大きく報道されました。 本区内においても、昨年7月、両親が1歳女児を暴行し死なせるという事件が起きています。このような痛ましい事件が、あとを絶たないというのが現状です。 昨年、東京新聞が「母親が子どもを激しく叱責し、近所の人が虐待相談窓口に通報しても改善しない事例」を報道したところ「同じような母子がいる」と投書が相次いだという記事がありました。その中には「しつけか虐待かは母親の誰もが悩んでいる。記事中の母親は私かもしれない」という投書も寄せられていました。 私自身、小学校と保育園に通う子をもつ親として、決してひとごとではなく、時に声を張り上げ我が子をしかる自分自身とも重なる思いでした。 子どもの命にかかわる深刻な虐待を防ぐには早期発見が大切ですが、虐待としつけの線引きが明確でないグレーゾーンも含めて対応しなければ早期発見は難しいと言われています。 本区で、その役割をはたしているのが、子ども家庭支援センターです。 子ども家庭支援センターは、近隣の通報等があれば、休日でも夜間でも現場に行って様子を見たり、話しを聞いたりと親身で迅速な対応がされていると聞きます。職員が、研修も受け専門職としてことにあたっているからこそできる対応だと思います。 センターの活動延べ件数は年々増え、08年度で1万件を超え、その役割の重要性は、ますます高まっています。 昨年3月に本区がおこなった「子育て支援に関する意向調査」では、「子どものしつけや子どもとの接し方」の悩みを持っている方が5割を超えていました。また「子ども家庭支援センターをもっと増やし、充実させてほしい」などの意見も寄せられています。 より身近な所にセンターを設置し、いつでも気軽に相談にいける体制を構築していくことが必要だと思います。 ところが区は、子ども総合支援センターの整備を機に、現在ある金町、青戸の2か所の子ども家庭支援センターを統廃合しようとしています。その理由として、統合すれば機能が強化される、児童館にも相談室があると、くり返して述べてきました。 児童館にも心理専門員などを配置するのですか。そんな計画はないではありませんか。 今まで、青戸でも金町でも相談に応じてくれていたからこそ、今日の到達点を築いてきたのではないでしょうか。それを1か所にすることは、あまりにも乱暴です。なぜなら、虐待は、多様化しており、相談体制の強化こそ求められているからです。悩む親、通報者など、センターが身近に存在しているからこそ有効だとされています。 1か所にすれば相談者の足が遠のき本来の役割が果たせなくなってしまいます。現在でも心理専門員は1人体制であり、この改善こそ優先すべきです。 子ども家庭支援センターは、統廃合ではなく存続させ、増設をすべきです。また心理専門員を増やし、相談活動を強化していくべきではありませんか。答弁を求めます。 保育園の待機児解消は、待ったなしの課題です。 「子育て支援に関する意向調査」では、「就労したい」「現在就労している」が5割を超えています。深刻な経済状況の下で、働かなければ生活が成り立たない、そのために保育園に預けたいという願いが高まっていることがわかります。 来年度予算案では、認可保育園などの増設や改築などはあります。これは当然です。しかし、その一方で、高砂団地の建替えを機に2か所の保育園を1か所に統合し、定数を減らす計画もあります。この地域では、団地建て替え、高砂駅の一日も早い高架なども含めてまちづくりが進んでいる地域です。 保育園を減らすなどというのは言語道断です。現状通り2か所の保育園を設置すべきと思うがどうか。 予算案概要では、具体的に待機児解消を掲げたのは3つの地域だけでした。一つは、「区内での待機児の多い地域を中心に」として堀切7丁目に認可保育園、2つは、「特に待機児が多い」として亀有地域に認証保育所、そして3つは、「区内でも待機児が多く発生している」として水元地域に認可保育所と、この3つの地域です。 しかし、実際には、どこでも保育園が足りないというのが現実ではありませんか。3つに限定することは許されません。待機児解消に向け、認可保育所設置のために、水元だけでなく区が土地を取得し保育所を設置できるようにすべきです。区長の答弁を求めます。 学童保育クラブは、新たに2か所設置していくことが示されましたが、どちらも70人規模で、大規模学童ギリギリの基準です。 国は、「40人規模が望ましい」というガイドラインを定め、2011年3月末で、大規模学童を無くすように示しています。本区も、その考えであることを表明してきました。したがって、来年度中に大規模学童を解消するための具体的な計画が必要です。 しかし、後期子育て行動支援計画案では今後5年間で10か所、464人分の学童保育クラブを設置するという計画です。まったくかみあっていません。 大規模学童の早急な解消のために増設計画の見直しが必要と思うがどうか。同時に国が示した「1児童当たり1.65平米」という基準を確保することを求めます。区長、いかがですか。 子育て家庭の経済的負担の軽減も重要です。 ご存知だと思いますが、渋谷区では、第二子以降の保育料の無料化に踏み出します。本区としても、保育料の無料化の拡充や出産祝い金の創設、ひとり親家庭への家賃補助など、区独自の支援を実施すべきと思いますがいかがでしょうか。 また、水痘、おたふく、インフルエンザb型、小児肺炎球菌の予防接種への助成を実施しますが、1歳児かぎりで、それも4種類のうち1種だけに半額の4000円の助成では、いささかお寒い限りです。就学前まで拡大し、助成回数も増やすべきと思いますが、いかがでしょうか。 2、理科大・公園予定地の盛土について 次に、新宿6丁目地区の大学・公園用地の盛土ついて質問します。 東京理科大学の進出にあたっての53億円の「思いやり予算」については、いままでもくり返し指摘してきたところです。昨年の第4回定例会では突如として補正予算に「科学技術センター」が計上されました。さらに、理科大が示した地域貢献策には「大学の敷地内に防災倉庫を設置する」となっていたのに、新宿6丁目公園内に防災倉庫を設置する計画です。そして今度は、8億円余もかけて大学・公園用地を盛土するための予算が計上されています。 そこで、いくつかの点について伺います。 第一に、経過についてです。 この盛土計画について、はじめて議会に示されたのは、昨年の第3回定例区議会で、「葛飾キャンパスの学科構成及び開設時期について」の報告でした。しかし、この盛土については、基本協定及び土地譲渡契約書にはまったく触れられていなかったものです。 いったい、この盛土計画はどちらから出されたものなのか、いつから検討をはじめたのか。この計画は、どこのコンサルタント会社に委託をしているのかなど、その経過についてお聞かせください。 また、いったい、何立米の土を盛る予定なのですか。これだけの土をどこから運んでくるのですか。合わせてお伺いします。 第二に、防災性についてです。 いざ災害の際の広域避難場所として、都への申請もおこなっているということですが、「災害のため」というと聞こえがいいのですが、本当にそうなのでしょうか。 そもそも、「浸水想定区域図」をもとに作成した江戸川洪水ハザードマップでは、この新宿6丁目地域は1.5メートルから2.0メートル浸水するとしめされています。あくまでも想定の範囲なので、実際どこまで浸水するかは分かりませんが、葛飾区史によると、1947年のカスリーン台風のときには当時の水元飯塚町で3.2メートル浸水したというのですから、ハザードマップもそれなりの説得力があります。 ところが、この盛土計画では、大学の建物まで傾斜をつけて1.5メートルの盛土をすることになっています。なぜ、2メートル以上ではないのでしょうか。そうでなければ意味がありません。 なぜはじめから、人が50センチも水につかるような計画になっているのでしょうか。だいたい、区が設置する防災倉庫も盛土をする区域外ですので、ここも水没してしまいます。 区長、水害が発生したときの区民の避難、防災が目的という説明とは裏腹に、浸水することが明らかなのに、なぜ防災と言えるのですか。明確な答弁を求めます。 第三に、この計画は、区民全体の避難を考えたものではなく、大学の建物だけを救済し、周辺地域の区民を見捨てるというものではありませんか。 そのことを今度の予算案は端的に示しています。区民全体にかかわる「総合的な洪水時の避難対策等の検討」の予算にはたった30万円で、一地域の防災対策には8億円余。まったくあべこべです。 この盛土計画は、白紙撤回すべきです。答弁を求めます。 ハザードマップでは、避難勧告・指示が出たら「できるだけ公共交通機関を利用してください」とか「小中学校へ避難を開始してください」としめされています。あのカスリーン台風の際にも、浸水するまで3日かかったということからも、瞬時に水に浸かってしまうということではないからです。 必要なのは、災害の際の防災教育や避難方法等について日常的におこなわれているかという問題です。 熊本大学大学院の山田文彦教授は、「ハード対策のみに依存した水害対策では限界が生じる。今後の水害対策では、地域住民や地域コミュニティが主体となり、行政や専門家などと連携した地域防災力向上の取り組みが重要となる。そのため、ハードとソフト対策を両輪として実施し、実効的な自助・共助により被害最小化を目指す、防災から減災への方向転換がすすめられている」と述べています。 大学のために8億円かける対策よりも、防災教育や避難方法等についての計画を立て推進していくことこそ必要だということを指摘しておきます。 以上で、質問を終わりますが、答弁いかんによっては再質問をすることを表明し終わります。 ●中江区議再質問 再質問をおこないます。今の答弁の中では到底納得のできるものではないというものも多々ありまして、今後の予算審査特別委員会などを含めて、ひきつづき問うていきたいと思います。 この場では盛土について一点だけ伺いたいと思います。 今のご答弁では、安全性の向上ということも述べられていましたし、昨日の他の議員への答弁を含めますと、1.5メートルの盛土をすると、床下浸水程度にできるということで、これまたおかしな話かと思います。 この盛土をするところに住宅がたくさん造られるのであれば、百歩譲って理解もできますけれども、そうではありません。できるのは大学の建物だけ、それも高さ制限を30メートルから45メートルへと緩和して、11階建、立派な建物を建てるんですけれども、別に床下浸水だろうが、2メートルになろうが、大学が区民を受け入れれば十分避難できる、このことは明らかだと思うのです。 だから、この盛土は大学の建物を救済するだけで意味がない、むしろ、周辺の住民をはじめ区民を見捨てるものだと言っているわけです。この盛土は撤回すべきです。区長、明確な答弁、もう一度お願いいたします。 |