2010年第2回定例会一般質問 質問者 三小田准一 |
住民不在のまちづくり・開発やめよ 大企業にものが言えない区政でいいのか 【目次】 1、住民不在のまちづくり・開発やめよ @「奥戸四丁目地区地区計画」は住民の意見をよく聞くべき A立石駅北口再開発・庁舎建替えは白紙撤回を 2、大企業にものが言えない区政でいいのか @イトーヨーカドー亀有駅前店の撤退を許すな Aダイヤ「改正」は京成電鉄と交渉せよ ●再質問 |
通告に従い一般質問を行います。 鳩山首相の辞任を受けて、民主党の菅直人氏が新首相に選ばれました。しかし、米軍普天間基地問題と政治とカネの問題で、「2つの大きな重荷を総理自らが辞めることで取り除いてくれた」と記者会見で述べました。これは、鳩山首相が辞めたことで、この2つの問題は、一件落着となったということを述べたものです。 しかし、総理が代わっても決して一件落着となるものではありません。米軍普天間基地の移設問題では、「国外最低でも県外」という公約を投げ捨て、名護市辺野古への移設だけでなく、鹿児島県徳之島をはじめ全国に分散拡大するという日米合意は存在し、管政権も引き継ぐとしています。 私は、4月25日の超党派で開催された沖縄県民大会に参加しましたが、この時点でも県民の怒りを肌で感じました。その怒りはいまやさらに高まっています。5月31日発表の毎日新聞と琉球新報の世論調査では辺野古への移設反対、84.1%となっており、基地撤去の声は沖縄県民の第1の声です。 重荷を取り除くどころか、その重荷を押し付けようとすることは全体に許されません。 政治とカネの問題でも本当にクリーンな政党と言いたいのであれば、小沢氏の証人喚問は避けて通ることはできません。首相が辞めたからと言って、一見落着ということには決してなりません。 鳩山首相が退陣に追い込まれた最大の原因は、公約を裏切った政治に対する国民の怒りです。そしてその根本にはアメリカと財界にものが言えない政治があります。 この政治の中身を変えていくために、全力をつくすことをまず表明いたします。 1、住民不在のまちづくり・開発やめよ @「奥戸四丁目地区地区計画」は住民の意見をよく聞くべき さて、私の質問は、青木区政のまちづくり・開発行政の異常さについてであります 第1に、区民の声を聞かず強引にすすめる手法についてです。言うまでもありませんが、まちづくりの主役は住民です。しかし、青木区政のまちづくり・開発は、一貫して住民不在が貫かれています。そのためどこでも矛盾が激化するばかりです。 まず「奥戸4丁目地区地区計画」です。 東京都グリーンベルト構想のもと、昭和43年に都市計画決定がされた土地区画整理事業について、時代の変化に対応した新たな地区計画の網をかけるというものです。 地区計画の具体的な内容は、建ぺい率を50%から60%に、容積率を150%から200%に緩和することと合わせて、80平米未満の土地への新たな分割における建築物の禁止、16メートルの高さ制限、区画道路および隣地境界線からの50センチの壁面後退、2メートル以上の隅切りの設置等です。その対象区域は26.1ヘクタールと広く、地権者数約1150名、住民数2970名にもなります。 しかし、そもそも地区計画というのは、区自身が発行している「地区計画で快適なまちづくり」という冊子の中で示しているように、比較的小規模な地区を単位として住民の自主的な話し合いによって、きめ細かな住み良いまちづくりをめざすため定められたもので、区画道路や小公園、緑地などの地区施設、また用途や容積率、建ぺい率などの建築物の制限に関すること等についてルール化するものです。 今回のような広範囲にわたる地域を地区計画でしばるのは適切ではありません。 4年前に、「区民参加による街づくり推進条例」を策定しましたが、その条例には区の役割として「街づくりを推進するに当たっては、区民等の意見を尊重するとともに、区民等及び事業者の理解と協力を得るように努める」と明記されています。 しかし、実態は全く違います。区は説明会を開き「納得を得られた」と言いますが、調べてみると第1回目に115人の参加、2回目26人、3回目10人と、地権者の同意が得られるような状況ではないのです。 私ども区議団が訪問し、具体的に地区計画の内容を説明すると、小規模土地所有者からは、「これでは建替えをしようと思っても四方50センチも離したら入口は玄関だけになってしまう」「鉛筆のような建物しか建てられない」などの反応が返ってきます。またアンケートも実施していますが、「区は住民ともっと話し合いをしてください」「区が一方的に決めることではないと思います」「我が家は20坪前後なので建替えは出来ても売ることになればたたかれてしまいます」などの声が寄せられてきています。 区が「きちんと住民に説明をした、納得している」といっても、ほとんどの住民は、その事態の深刻さを理解していなかったのです。 この対象地域のなかで、土地が80平米未満という方々は半数近くを占めています。売ることもできず、建替えることもできない弱小地権者は、なくなく土地を手放さざるを得なくなります。 そうなれば、あちこちに廃墟ができ、歯抜け状態の空地が増え、まさにまちこわしになってしまうのではないでしょうか。 A立石駅北口再開発・庁舎建替えは白紙撤回を 立石駅北口再開発においては、地権者の声に耳をかさないという手法が、実際には事業が進捗しないという点でことは重大であります。 すでに10年余の月日を費やしていますが、まったくまとまりません。それどころか反対の地権者が半数にも達しているという状況です。 準備組合の発足にあたっては、反対をしている住民には日時も場所も知らせず、議会にも明らかにせず秘密裏におこないました。まさに異常なやり方です。 加えて重大なのは、この立石駅北口再開発を強引にすすめようと、こともあろうに区庁舎の建替え・移転を画策していることです。 区長、先の区長選挙で、あなたは庁舎建替えについて一言も触れませんでした。ところが選挙が終わって、突如として「10年後には建替えを完成させる」と明言したのです。 だいたい09年の庁舎劣化診断では、耐用年数65年に対して残り19年という経過のもとに、大規模改修いいのか、それとも建替えがいいのか、この二つの選択肢を示して、10年を目途に検討するとしていたではありませんか。 ところが、1年も経たないうちに10年後には建替えを完成させると言いはじめたのです。 庁舎の建替えには莫大な費用を要します。区の試算でも、再開発に組み込んだ場合、約240億円になるとしています。しかし、庁舎建設という事業は、実際にすすめていけばさらに膨れ上がっていくというのが実態です。 これだけの税金を使っての事業ですから、まず、時間をかけて区民の合意を得ていくことが必要です。そして、庁舎は必要な修繕もおこないながら、できる限り長く使うべきです。 2、大企業にものが言えない区政でいいのか @イトーヨーカドー亀有駅前店の撤退を許すな 第2に、大企業にものが言えない区政でいいのかという問題です。 まずは旧日本板紙工場跡地へのアリオの出店です。 ここでは、土地所有者であるイトーヨーカ堂と長谷工、そして東京都と葛飾区だけで地区計画を決め、巨大ショッピングセンターと巨大マンションをつくりあげました。まさに地区計画の悪用であります。 本区は、それをさらに後押しするように、ペデストリアンデッキまでつくることに協力し、アリオへの動線を確保してきました。 その結果、区内をはじめ広範囲にわたって商業への深刻な影響を与えました。一番深刻な打撃を受けたのは亀有駅周辺の商店街です。 東京都総務局統計部「商業統計調査」によると、アリオ出店前の02年の亀有地域の小売業事業所数は423でした。 そしてアリオ出店後の07年は412です。ここからアリオ内の専門店数123を除くと、何と5年間で134の小売店が減ったことになります。実に約3軒に1軒が店を閉めたことになります。 最近、亀有駅南口再開発ビルのイトーヨーカドーが、4階以上から撤退すると表明しました。その理由を「近年お大幅な売り上げ減、及びこれにともなう経費の削減」と言っているようですが、自らつくったアリオが影響したのは火を見るよりも明らかです。不況のせいにするのは、あまりにも身勝手です。 このアリオの計画が示された当初から「駅前からヨーカ堂は撤退する」と言われてきました。だからこそ我が党区議団は03年の第4回定例会で「亀有駅前店の存続について協定を結ぶべき」と質問をしたのです。ところが、当時の区長は、「現在のイトーヨーカドー亀有店につきましては、出店者がかねてから存続する旨の意向を表明しておりますので、協定等の締結の有無にかかわらず、存続の実行を今後とも求めてまいりたい」と我が党の提案を拒否したのです。結局、わが党の指摘通りになりました。 イトーヨーカドーは、はじめは衣料品の小売りとして商売をはじめたと言われていますが、今は、不動産業者として、テナントを呼び込み、商売をするようになりました。衣料品の小売業だったイトーヨーカドーがユニクロに場所を貸して商売をするとは皮肉なものです。 儲かるとなれば、どこへでも出店し、儲からなくなれば直ちに撤退する、まさに大企業の本質そのものであり、区は、このイトーヨーカドーにまちを売り渡してきたに等しいではありませんか。 住民がいるところでは見切り発車で計画を押し付ける。住民のいないところでは大企業の言いなりになって、地権者は満場一致だと地区計画を悪用して少数で開発をすすめる。住民同士が対立しているところでは、区の都合のいいほうに加担して、反対派は排除する。 奥戸でも亀有でも立石でも、青木区政のまちづくりは、住民不在が一貫しています。ここを根本的に転換しなければなりません。 Aダイヤ「改正」は京成電鉄と交渉せよ 大企業にはっきりとものを言うという点では、京成電鉄のダイヤ「改正」の問題があります。京成電鉄は、7月17日に開通する成田スカイアクセスに伴うダイヤ「改正」を5月28日に発表しました。 重大なことに高砂〜押上間の急行の廃止、高砂〜上野間の普通列車を減便すると言うのです。 成田スカイアクセスの開通によって成田空港から海外へ行く利用者にとっての利便性は高まりますが、その一方で、圧倒的多数の庶民にとっては不便さだけを強いる「改正」であります。 北総線新柴又駅の開業に伴い、葛飾区、北総鉄道、京成電鉄は、1987年12月24日に協定書を結んでいます。その中には、「通勤特急列車を立石駅に停車するよう努める」ことが書かれてあります。 今回のダイヤ「改正」は、通勤特急列車を止めるどころか、今止まっている急行さえなくそうというものです。 10年ほど前の北総線のダイヤ「改正」の時にも、「全列車を新柴又駅に停車させる」というこの協定をまったく無視し、特急を停車させませんでした。 公共交通機関としての姿勢、そして企業としての姿勢が問われる問題です。 区長と議長がいち早く要請に行かれたことは、非常に重要なことです。しかし、一回で終わりにするわけにはいかない問題でもあります。 そこで、区長に質問します。 1、「奥戸四丁目地区地区計画」は、あらためて住民の意見をよく聞くべきと思うがどうか。 2、立石駅前再開発計画、庁舎建替え計画は、白紙に戻すべきと思うがどうか。 3、イトーヨーカドーは、アリオを出店し、その影響で駅前イトーヨーカドーを撤退しようとしているが、こんな身勝手さを許さない交渉をすべきと思うがどうか。 4、京成電鉄のダイヤ「改正」について、京成電鉄との交渉や区民運動を構築していくべきと思うがどうか。答弁を求めます。 以上で質問を終わりますが、答弁いかんによっては再質問をすることを表明しておきます。 ●再質問 一点、再質問をおこないます。立石駅前再開発、庁舎建替えの二つの計画についてです。区長は昨年の区長選挙で、区民第一、現場第一と公約されました。この公約との関係からも、地権者の合意が得られず、進まない立石駅前再開発計画、区民的な議論も合意もない庁舎建替え計画、このふたつの計画はまず白紙の戻すべきではありませんか。そうでなければ、みずからの公約に背を向けることになってしまうのではないでしょうか。区長の答弁を求めます。以上で再質問を終わります。 |