2010年第2回定例会一般質問 質問者 渡辺キヨ子 |
高齢者福祉の充実 小中一貫教育の在り方を改めよ 【目次】 1、高齢者福祉の充実 @非課税世帯の負担軽減、介護保険制度を補う区独自の事業を A特別養護老人ホームの地域偏在解消を 2、小中一貫教育の在り方を改めよ @小中一貫校の開校は中止し、小中一貫教育の在り方を改めよ A区独自に少人数学級の実施を |
1、高齢者福祉の充実を @非課税世帯の負担軽減、介護保険制度を補う区独自の事業を 通告にしたがい一般質問を行います。 まず、高齢者福祉についてです。 先日、地域のお年寄りの方が、骨折し歩行困難になったためにシルバーカーについて区役所に問合せしたところ、65歳以上で所得制限があり、3分の1は自己負担になることを知ったそうです。そのことを江戸川区の知人に話すと、びっくりしたそうです。なぜなら江戸川区では60歳以上で歩行困難であれば無料で給付するからです。 これまで何度も指摘してきましたが、本区の08年度決算に占める老人福祉費は、23区最低であります。 紙おむつ支給の制限、非課税世帯であっても福祉サービスの原則有料化など、これまでの切り捨て・縮減は、目に余るものがあります。 しかし、他区では切り捨て・縮減ではなく、独自の施策をスタートさせて拡充する動きが目立っています。 目黒区・渋谷区では低所得者対策として訪問介護などの介護給付11事業の利用料を軽減しています。足立区では無料で乳酸菌飲料を毎日届け、高齢者の安否確認をする事業を実施しています。また75才以上医療費無料化を実施している日出町では、月2万円の寝たきり高齢者支援事業を始めました。 本区が介護保険制度を補完する事業の紙おむつ支給は、要介護4以上で非課税とし、23区で最も厳しい基準です。出張理美容は、要介護3以上で1500円・緊急通報システムは、非課税で1040円です。 お隣の足立区では、紙おむつ支給は、要介護3以上から、出張理美容は、500円、高齢者緊急通報システムも500円です。 冒頭紹介した江戸川区ではシルバーカーは無料の他、紙おむつ支給は常時失禁者で所得制限はなく、緊急通報システムは非課税者で300円です。 同じ自治体で、なぜこれだけの格差があるのでしょうか。 他区が、無料・負担軽減している事業は、どれも多額の予算が必要とはしません。いつまでも福祉向上に背を向け、23区最低という不名誉な状況を放置することは許されません。 暮らしが大変な時だからこそ、福祉サービスの原則有料化という考え方を改め、非課税世帯への負担軽減、介護保険制度を補う区独自の事業が必要です。答弁を求めます。 A特別養護老人ホームの地域偏在解消を 特別養護老人ホームの地域偏在を解消しなければなりません。 第1回定例会では、区長は「区全域を一つの単位としてとらえて整備している施設であり、現在のところ、地域ごとに整備する考え方はない」と答弁しました。しかし、この考え方には2つの問題があります。 第1に、そもそも福祉というのは地域によってアンバランスがあっていいのかという問題です。どの地域に住んでいても等しく受けられる、それが福祉の基本です。 保育園に地域偏在があれば大問題になります。もし、高齢者は、家族と遠くてもいいのだというのであれば、「姥捨て山」でよいと考えていることになりませんか。 特養ホームに入所する方は、高齢者であり、配偶者が施設に入ると足を運ぶのも遠くては行けません。公共交通におけるサービス水準の考え方では、一般の人が歩くのに抵抗を感じない距離は、約300mとされていますが、高齢者の場合は、その3分の1の100mとされています。高齢者にとってちょとした移動は大変困難だからです。 「地域ごとに整備しない」という考え方は、高齢者福祉に背を向けています。 第2に、地域密着型サービスの拠点をどう位置付けるかという問題です。 4月15日に、特養ホームが1か所もない堀切地域と柴又地域の皆さんが施設建設を求める陳情を行いました。 この陳情の席上で、区は、特養ホームなどの施設は地域密着ではないと説明をしていました。 地域密着型サービスは、要介護者が住み慣れた地域で暮らし続けるために必要と考えられるサービスを区市町村が提供される仕組みとして新たに創設されたものです。 これには、定員29人以下の特養ホームに入所している要介護者へのサービスを提供することも明記されています。 地域で暮らし続けるためには、大規模特養だけでなく、小規模特養の必要性を示したものと言えます。 さらに特養ホームでは、地域密着型サービスであるデイサービスやショートスティが実施されます。また先日、ある特養ホームではバザーが行われ、地域のボランティアの方がたくさん手伝っていました。特養ホームという施設を核にした新たな地域コミュニティーが作られていることを実感できるものです。 まさに特養ホームは、地域密着型サービスの拠点になる施設と言えます。 「地域ごとに整備しない」という考え方を改め、少なくとも特養ホームがない地域には、小規模特養ホームを含めて区の責任でただちに整備することが必要です。答弁を求めます。 特養ホームの待機者解消は、全国的な問題です。都内でも豊島区では、小学校跡地で建設計画、町田市では2年間で6か所の増設計画、足立区は、平成30年度までに毎年1か所建設すると表明しました。 本区の中期実施計画では、来年度までに2施設の計画ですが、実現の展望はありません。計画通りにいかないのは、区が特養ホームについては「23区の中で高い整備」と自慢し、待機者が1500人いても「実状にあっている」と真剣に取り組まず、民間まかせにしているからです。 整備計画に区自身が責任をもつべきです。さらに区内で都営住宅の建替えに伴い跡地ができる地域には、特養ホームの建設計画を持つべきです。答弁を求めます。 在宅介護の支援を拡充することも必要です。 たとえば地域密着型サービスには、「通い」を中心とし、そこに「訪問」「泊まり」を組み込んだ小規模多機能型居宅介護がありますが、これは、要介護者にとっては身近な所に通ってサービスが受けられるとともに、介護者にとってもショートスティを利用することによって、精神的肉体的負担を軽減することができるもので、これは緊急課題です。 しかし、先月やっと1か所開設、今2つの計画が進んでいますが、区の計画では、当初7か所整備する予定でした。民間まかせでは進まないという典型です。 小規模多機能型居宅介護は、区直営で整備するとともに事業者に対する支援策を拡充して早急に整備すべきです。 また、文京区では高齢者賃貸住宅登録事業として、高齢者世帯の入居を受け入れる賃貸住宅を登録し、バリアフリー工事費を助成、入居者には10年間家賃補助を始めましたが、本区でも検討すべきです。答弁を求めます。 高齢者の医療ついては、民主党政権は、後期高齢者医療制度を廃止するとしていましたが、先送りしたうえ、75才からの医療差別を65才に引き下げる改悪を狙っています。許し難い公約違反です。 国民健康保険料は、長年続いた自民党政治の下で、国庫負担は50%から半減させ保険料を引き上げてきた結果、保険料負担が重すぎて病院にかかれず命を落とす、板橋区では、毎月のように送られてくる督促状を苦にして自らの命を絶つという事件もおきました。国民の命を守らなければいけない医療制度が、死に追いこんでいる、これで本当にいいのかが問われています。 自公政権時代に作られた後期高齢者医療制度を民主党は廃止するとしていますが、区長はどのような認識をお持ちでしょうか。 後期高齢者への資格証発行はしないよう求めます。また国に対して国民健康保険料の国庫負担の引き上げを求め、保険料の値下げを求めるべきと思うがどうか。 2、小中一貫教育の在り方を改めよ @小中一貫校の開校は中止し、小中一貫教育の在り方を改めよ 次に、小中一貫教育について質問いたします。 区長発言にもありましたが、来年度より新小岩中学校と松上小を「新小岩学園」として小中一貫校をスタートします。 新小岩中の学区域は松上小、上平井小、二上小の三校であります。中学校の場合、区内のどこからでも新小岩中学を選択できます。実際、今年度の松上小の六年生は52名であり、一方、同じく新小岩中の学区域の上平井小の6年生は77名で、新小岩中に入学する生徒の過半数が松上小学校以外と見るのが自然です。 来年度、松上小の生徒たちは、新小岩学園の生徒として、一貫教育の継続として新小岩中に入学します。この間、5、6年は、数学や英語を中学の教員から授業を受け、体育では柔道の指導も受けています。 一方、上平井小には、新小岩中から英語教員が数回出張したと説明をうけました。また、上平井小の子どもたちは、学校間交流のために数十分かけて新小岩中へ行ったそうですが、頻繁に行くのは困難だと当事者が答えています。こうして努力はしているようですが、十分だとは言えません。さらに、二上小や他校との連携は何もありません。 つまり一貫校においては、中途入学をしてくる生徒との格差をわざわざつくっています。公教育において中一ギャップの解消どころかギャップを拡大していいのかということが問われています。 当然、地域の父母や関係者からは、不安の声があがっています。 本区の「小中一貫教育検討委員会」の記録に、資料として三鷹市の例が挙げられていました。三鷹市では、「小中一貫教育校開設準備検討委員会」を設け、このなかに「学校運営部会」「カリキュラム作成部会」「コミュニティースクール部会」が設置され、教科ごとの「カリキュラム作成作業部会」も組織されています。そしてそのメンバーに、保護者、地域、市民も入れて94人の委員のべ73回の会議を開催し、多岐にわたる具体的な課題について検討を行ったとあります。 こうした結論に至る以前は、本区のように、モデル校方式で先行例を作ろうとしたのですが、多くの疑問の声が関係者から投げかけられ再検討を重ねた結果、市内全校での小中一貫教育を目指すことを導き出したのです。 先日は、文教委員会が、熊本県・宇土市の小中一貫教育について視察を行いました。宇土市では、小学校と中学校の校舎を一つにするなどという発想ではなく、小中一貫教育のカリキュラムをととのえる、ソフト面での一貫教育にとりくんでおり、そのカリキュラムは市内の全校でスタートさせています。 一方、わが区の「小中一貫教育検討委員会」はと言いますと、メンバーは区の職員と当該校の校長のみで、専門家や保護者の代表は入っておりません。また、その会議はたった3回、本格的な研究、検討をしたとは言えません。ですから、隣り合わせの学校だけ一貫校にするという、根拠は希薄で無謀な計画になっています。 教育での失敗は、被害は子どもたちに及ぶものであり、失敗は絶対に許されません。 小中一貫教育がどうあるべきか、連携強化は私たちも理解しています。しかし、本区で現在進められている計画は、三鷹市や宇土市の実践、研究と比較しても、改善が必要です。 A区独自に少人数学級の実施を さて、今年度より東京都は、小中学校において39人学級が実現できるように教員の加配を行いました。かたくなに実施を拒んでいた石原都政が、少人数学級に踏み出しました。 三鷹市でも熊本県でも、現行教育の改善には、教職員の増員による少人数学級が必要ということが共通しています。 そこで伺います。 1、公教育に格差と選別をもちこみ、中一ギャップをさらに広げる小中一貫校の開校は中止し、小中一貫教育の在り方を抜本的に改めるべきと思うがどうか。 2、子どもたちの教育条件の向上のためには人材の確保が重要である。区独自の施策として小中学校に教員を加配し小人数学級を実施すべきと思うがどうか。 以上で質問を終わります。 |