2010年第3回定例会 発言者 渡辺キヨ子 |
2009年度決算に対する反対討論 |
日本共産党区議団を代表して、2009年度一般会計及び国民健康保険、介護保険、駐車場事業の各特別会計決算に対する反対討論を行います。 本決算は、前区長により予算編成されたものですが、青木克コ区長が現在進めている予算編成に大きな影響を及ぼすものであり、前区政のどこをどう転換するのかが問われるものです。 今なお続く不況のもとで、区民の暮らしも中小企業の営業も深刻な事態が続いています。それなのに、国民健康保険料、介護保険料、学校給食費の値上げを強行し、区民への負担増を押し付けてきました。 区民には公共料金の値上げ、冷たい施策を押しつけ、一方で開発優先とムダ使いということが浮き彫りになっています。 その結果、今決算による繰越額は、80億円余、積立基金総額では888億7千万余となり、空前の溜め込みを行ったことは重大です。 本区の1人当たりの老人福祉費は06年度から08年度まで3年連続23区最低となりました。本会議でその認識を問うと「最低であるが、最低でない」とおよそ説明のつかない答弁をしました。こうした開き直りは許されません。 青木区長が正すべきことは、まず第1に、高齢者福祉施策を拡充することではありませんか。 たとえば、紙おむつ支給の基準は、非課税世帯で要介護4以上と23区でもっとも厳しい基準です。人間の尊厳に関わる問題でありただちに是正すべきです。 見守り型緊急システムも利用料が高いため、利用者は対象者のわずか1%程度です。 介護保険サービスの独自の利用料軽減制度がなく、介護サービスが受けづらくなっています。保険料の減額制度も適用者はわずか18名であり到底、減額制度と言えるものではありません。 特別養護老人ホームの整備率は23区でトップだと自慢しても、1500人もの待機者がいます。 こうした高齢者福祉に冷たい姿勢が、1人当たりの老人福祉費を23区最低にする要因を作っているのではありませんか。 第2に子どもに関わる問題です。 保育園の待機児解消は、区政の緊急課題です。本年4月時点での待機児は、昨年よりも大幅に増えました。長引く不況の下で仕事にでなければならない状況が広がっている中、保育所の増設が追いついていないことを直視すべきです。 高砂団地内の保育園統合の見直し、水元地域での計画を前倒しですすめることなど実施すべきです。 学童保育クラブは、70人を超える大規模学童を解消することが大きな課題でしたが、今なお解消されていません。 教育の分野では、学校選択制や学力定着度調査結果の公表で格差・選別教育を拡大しています。 土曜授業は、現場の教職員の意見を充分取り入れないままの実施であり、子ども達にも負担を強いるものです。やるべきことは、少人数学級であり、23区でもっとも厳しい就学援助の認定基準の改善です。 第3に、開発優先・ムダ使いの問題です。 金町6丁目南口地区再開発ビルが完成しましたが、テナントは空き店舗が多く駐車場もがら空きです。このまま同駅前地区の再開発をすすめることは無謀だと言わなければなりません。立石駅前再開発も含め計画の抜本的な見直しが必要です。 奥戸地区の地区計画は、圧倒的多数の住民を無視したまま計画が作られたことは重大な汚点を残すものです。 まちづくりの主役は住民です。ところが、そのための「区民参加による街づくり推進条例運用経費」は2年連続で執行されませんでした。このことは、「区民参加のまちづくり」がかけ声だけであることを示しているのではないでしょうか。襟を正すべきです。 災害に強いまちづくりを進めるためにも、木造家屋耐震改修助成はさらなる拡充が必要です。ところが「制度の整備は終わった」と、今後の拡充に背をむけたことは重大です。 防災対策として新宿6丁目地区の盛土を行っていますが、浸水想定より低い盛土であり、区民に説明のつかないムダ使いです。 同和対策事業は、相談事業の中で「差別についての相談はない」と答弁しており、廃止して一般施策に移行すべきです。 最後に慈恵医大青戸病院におけるがん放射線治療の問題です。 本区のがん死亡率が高いことは区長もご存知のとおりだと思いますが、がん治療の体制を強化拡充することは緊急の課題です。 しかし、区内で唯一、放射線治療を実施している慈恵医大青戸病院が、がん治療から撤退を表明していることは、がん患者にとっても大変切実な問題となっているところです。 自治体の役割として区内にがんの放射線治療が出来る病院を存続させる事、拠点病院、認定病院の誘致に、積極的に取り組むことが求められていますが、区長は、就任後、そうした取り組みをしてきたのでしょうか。 区民の命と健康を守る、そのことが区長の第一義的任務ではないのでしょうか。 日本共産党区議団は、これからも区民の命を守る運動を進めるとともに、「区民の暮らし最優先」の立場で要求実現に全力を尽くすことを表明しまして反対討論といたします。 |