2011年第3回定例会 一般質問 質問者 中江秀夫
防災・放射能・子育て 区政のあり方が問われている

【目次】
1、新政権の基本姿勢と区民にあたえる影響について
2、「新基本計画」の策定について
@ 災害から区民の命と財産を守る取り組みについて
A 福祉の増進を図る取り組みについて
B 中小企業の営業を守る取り組み
3、放射能から子どもたちを守る取り組みについて
4、保育所の待機児問題について
●再質問


1、新政権の基本姿勢と区民にあたえる影響について
 日本共産党葛飾区議団を代表して区政一般質問を行います。
 野田新内閣が、9月2日に発足しました。
 民主党政権の三代目の内閣ですが、この間、国民に対する公約であるマニフェストを次々に投げ出してきました。自民、公明と密室協議で三党合意を結び、民自公の翼賛体制を固めつつあることは重大です。
 野田首相は、組閣前に日本経団連などの財界詣でを行いました。組閣前に財界に頭を下げに行くことは、歴代自民党内閣でもやったことはありません。小泉内閣時代につくられた財界を司令塔にした「経済財政諮問会議」の民主党版をつくることを約束したのです。
 また前原政調会長は、首相の所信表明の前にアメリカ詣でを行い、武器使用の基準緩和、武器輸出三原則の見直しを誓約しました。まさにアメリカ・財界直結内閣の姿を示しています。
 さらに野田首相は、「税と社会保障の一体改革」と称した消費税10%増税法案を来年の通常国会に提出することを表明しています。しかし、先の参議院選挙では消費税増税への審判が下されたばかりです。その点では、この「改革」を是が非でも実行しようとしているということでは、最悪の内閣だといわなければなりません。
 「税と社会保障の一体改革」では、社会保障給付にかかる公費全体について消費税を主たる財源として安定財源にするとしています。厚い給付が必要ならば、消費税を上げるか、消費税の引き上げがイヤなら、低い給付で我慢せよ、という脅しです。
 これでは、国民の暮らしが破壊される最悪の案でしかありません。社会保障を消費税でまかなうという基本的考え方は、所得の再配分としての税負担の在り方を根底から否定する暴論であり、国と地方自治体の在り方の根本が問われる大問題です。
 しかも、民主党政権は、4年間は消費税増税はやらないと公約して、政権の座に就いたにもかかわらず、来年の通常国会で、消費税を引き上げる方針を具体化することは許しがたい公約違反との批判は免れません。
 そこで、伺います。民主党野田政権が推進しようとしている「税と社会保障の一体改革」によって社会保障の財源はすべて消費税でということになれば際限のない消費税大増税になります。区長は、こんな「改革」には反対すべきと思いますが、答弁を求めます。

2、「新基本計画」の策定について
 次に新基本計画策定について質問いたします。
 新基本計画策定に向けて10月からの検討会議開催の準備がされています。私は、この時期に基本計画を策定することは非常に重要な意味があると思います。それは3月11日の東日本大震災以降、日本の政治のあり方、地方自治体のあり方が根本から問われているからです。
 いうまでもなく地方自治体の使命は、地方自治法第1条にあるように「住民の福祉の増進」にあります。また災害時には「住民の生命、身体及び財産を災害から保護する」ことは自治体の責務となっています。
 抽象的な言葉ではなく、自治体の使命、責務を明確にするためにも「区民の命と暮らしを守る」ことを新基本計画のコンセプトにすることが必要だと考えます。
 具体的には、第1に、災害から区民の命と財産を守ること、第2に、自治体本来の仕事である「福祉の増進」を図ること、第3に、景気悪化が続く中、中小企業の営業をまもること、この3つに対する区の責任を明確にすることを新基本計画策定にあたってのコンセプトにすべきと思いますが、区長、いかがでしょうか。

@災害から区民の命と財産を守る取り組みについて
 さて、この3つの取り組みは、計画策定待ちにならずにただちにやるべきことでもあります。
 第1の災害から区民の命と財産を守る取り組みについてです。
 地域防災計画では、首都直下型地震による被害想定にもとづく減災目標が明記されていますが、現基本計画には、位置付けられていません。新基本計画には、この減災目標を位置付けることをまず求めます。
 減災目標にあるように一番大事なことは耐震化、不燃化、避難路の確保であります。これらは「自助、共助」を強調するだけでは進みません。何よりも住民主体の防災まちづくりを行政が支え応援することが必要です。
 墨田区の一寺言問地区は、4つの丁目で6,145世帯ですが、「一寺言問を防災のまちにする会」をつくって「災害が起きても逃げ出さなくてもよいまち」「100年後に残せるまち」を目標に様々な防災まちづくりを行っています。
 たとえば狭隘な道路であっても、ブロック塀に門扉をつけてもらい、行き止まりの道路から広い道路に避難できる取り組みや、地区内に6カ所の手押しポンプを設置して火災のときに初期消火に役立てる取り組みをしています。
 こうした住民主体の取り組みを応援することが行政の役割です。本区のように「防災まちづくり」と言えば、「道路を広げ、燃えない建物・施設をつくらなければ」と不安をあおるやり方ではなく、地域の構成員みんなで防災活動を担っていくという意識を高めていく、いわば「共助」という地域コミュニティーを育てていく住民が主役のまちづくりに徹することが重要と思いますが、いかがでしょうか。
 そのうえで、建物の倒壊による死者を減らす住宅の耐震化については、2015年度までに90%にし、家具類の転倒防止器具の実施率を高める、という減災目標を達成させる具体化が必要です。
 現在の耐震化率は71%ですが、問題は旧耐震基準の木造家屋耐震化の遅れです。今回、耐震改修助成の一部拡充をしましたが、耐震化を促進するには抜本的な拡充が必要です。
 何よりも耐震診断を実施し、耐震補強が必要かどうかの判断が先です。そのためには耐震診断に経済的負担があるようでは進みません。耐震診断は無料にすべきです。そして耐震補強のメニューを増やし、費用負担ができる工事を選択できるようにすることです。
 工事費用に対する無利子の融資制度、助成額のさらなる拡充ももちろん必要です。また家具転倒防止器具の取り付けは、どのような施策でどこまで高めるのか、数値目標をもって具体化すべきです。答弁を求めます。
 火災による死者を半減させるために建物の不燃化や地域における初期消火力の強化があげられています。建物の不燃化と言っても建替え時に行うことがほとんどであり、長い年月を要するものです。
 そこで地域の初期消火力を高めるための訓練を奨励することが必要です。消火栓に直接つなぐスタンドパイプは、消防団の可搬ポンプと違い女性でもホースをもつことができます。こうした整備を区が責任をもって行うべきと思いますが、いかがでしょうか。
 建物の倒壊を減らし、火災の延焼を防ぎ、身の安全を確保しながら避難場所や避難所に逃げることができるようにしなければなりません。ところが、地域防災計画の被害想定では避難所が7万人分不足するとなっています。避難場所についても河川敷は水害時には避難場所になりませんし、火災の場合、どこに逃げるかはその時の判断にゆだねられます。
 いったいどうするのか。そのことをあいまいにして、老朽化した公共施設の更新期と称して区役所建替えに熱中することは許されません。
 7万人分の避難所不足をどう解消するのか、区民の命を守るために明確な展望を示すべきです。区長の答弁を求ます。

A福祉の増進を図る取り組みについて
 第2の福祉の増進を図る取り組みです。
 リーマンショック、円高、震災、原発という経済社会状況の変化から区民の暮らしを守ることは区政の喫緊の課題です。
 基本計画策定にあたっての依命通達では「今後10年間の中で発現することが
 確実な事象や、現時点では深刻化または顕在化していないが、今後、課題解決に向けた取り組みの重要性が増大すると考えられる事象への対応」「区民からの要望が高いにも関わらず、満足度が低い分野にかかる施策の充実」となっています。
 少子高齢化が進むのは今でもわかることです。構造改革路線によって拡大された貧困と格差はますます拡大しています。深刻化していると言えば、特別養護老人ホームの待機者や認可保育園の待機児が解消されないのは、本当に深刻です。
 少子化対策、高齢者対策、低所得者対策をどうすすめていくのか、これは「福祉の増進」という自治体本来の仕事であり、待ったなしの課題です。
 現計画の福祉分野では、高齢者、障害者、子ども・家庭、低所得者について、あくまでも「支援する」となっており、行政としての主体的な取り組みになっていません。
 たとえば、小規模多機能型居宅介護施設は、2008年度までに7か所整備することになっていますが、現在2か所にとどまっています。開設する事業者が現れれば整備支援をするという立場にたっているからです。
 計画を決め、民間にできなければ最終的には行政が責任をもって整備する、そのことは「福祉の増進」を使命とした自治体の本来の立場ではありませんか。福祉に対する自治体としての主体的な責任を明確にし、新基本計画にもそのように位置付けるべきです。答弁を求めます。

B中小企業の営業を守る取り組み
 第3の中小企業の営業を守る取り組みでは、震災や円高などで影響を受けている事業所もあり実態調査が必要です。区長は、現場第1を公約に掲げたわけですから、まず区自ら中小企業実態調査をすることを求めるものです。
 長期化する不況の中「とにかく仕事を」との思いから低価格で入札し、その結果、官製ワーキングプアがつくられる構図が広がっています。公共事業に限らず、指定管理者制度の導入で施設の維持・管理などを低価格で受託し、そこに働く労働者が、低賃金でしわ寄せを受ける状態も見受けられます。
 こうした事態は、発注者である自治体の公的責任が問われるものです。
 野田市、川崎市、国分寺市では、すでに公契約条例を制定し、労働条件の悪化につながる低入札を防止する取組みを始めています。本区でも公契約条例に踏み出すべきです。
 住宅基本計画では、高齢者が居住する住宅について、「手すりの設置」または「段差のない屋内」を満たす一定のバリアフリー化を39.7%から75%に、「手すりの設置」「段差のない屋内」「廊下などが車いすで通行可能な幅」のすべてを満たす高度なバリアフリー化を7.2%から25%に引き上げる目標を掲げています。これを達成させるためにも住宅リフォーム助成制度の実施を求めるものです。
 温暖化対策を真に進めていくには、節電・省エネを進めるとともに、原発依存を根本的に改め、対策の重点を風力や太陽光などの再生可能な自然エネルギーに移すことが求められます。
 本区では、期限を区切って太陽光発電設置助成やLED電球購入助成を行いましたが、継続することが必要です。同時に、医療機関や介護施設、障害者施設、保育園などでの太陽光発電設置を民間事業者の自己責任にするのではなく、区が目標をもって設置すべきです。答弁を求めます。

3、放射能から子どもたちを守るとりくみについて
 次に、放射能から子どもたちを守るとりくみについてです。
 ホットスポットが問題になってから、早半年が経ちます。本区は、23区で一番放射線量が高いと指摘もされてきました。
 区民の中には、不安の声が渦巻いています。「1歳7ヶ月になる子どもがいます。保育園で、毎日泥だらけに汚してくる洋服を楽しみにしていましたが、3月11日以後不安と戸惑いを感じています。公園に行って土や芝生の上を裸足で駆け回らせたいと思ってもためらってしまいます。やっぱり放射能のことが頭をよぎる毎日です」と子育て中のお母さんは言います。あるお母さんは、「自体はどのくらい深刻なのか正直よく分からない状態です。個人では調べられない情報、数値の計測と公開、食品の測定も細かく徹底していただきたい」と話していました。
 区長は「子育てするなら葛飾で」と言ってきましたが、子育て世代の家庭では不安はつのるばかりです。それどころか、これまでどれだけの家庭が、原発事故後、不安に耐えきれず葛飾から離れていったことか、ご存じないのですか。
 区民の声を直接聞く説明会を開催している区は、23区中12区までひろがっています。本区でも実施すべきと思いますが答弁を求めます。
 さて、先の第二回定例区議会では、葛飾っ子の未来を考える会の議長あて請願が全会一致で採択されました。ところが現状は、この議会の意思を尊重しているとは到底思えないという到達です。
 第一に、毎時0.25マイクロシーベルトという基準についてですが、砂場の対策を講じるための基準を定めたことは一歩前進です。しかし、この数値の根拠について「近隣区がそうだから」とか「安全か安全でないかの基準ではなく」などというもので、主体性がありません。
 確かに、放射線量の安全基準については学者の間でも見解が異なるのは事実ですが、「放射線の被曝量は少ないに越したことは無い」というのは否定できないものです。せめて足立区のような根拠をキチンと区民にしめすべきです。区長、いかがですか。
 第二に、この放射能対策は砂場だけでいいのかという問題です。
 UR団地居住者を対象に発行している「ザ・ニュー・キー」という新聞がありますが、9月10日付けには「金町第一公団自治会はURに除染要望」という見出しの記事が掲載されています。発端は7月下旬の日本共産党都議団が発表した放射線量測定結果で、たまたま測定地点となった同団地公園の値が1.30だった。自治会でも独自で測定したところ、28箇所中25箇所で0.26〜0.85を記録した。これをうけ、8月20日の夏祭りを中止したというのです。そして「放射線量の高い状態を放置すれば団地居住者はもちろん、団地内公園などに遊びにくる近隣の保育園児などの安全や健康にまで影響を及ぼす可能性がある」と自治会長のコメントも紹介しています。
 同じ公園内でも草むらや滑り台、ブランコ、こういうところこそ放射線量が高いのです。そのことは区長もよくご存じのことではありませんか。しかも、砂場の無い公園は測定すらしていません。小さな子どもたちにとっては砂場も草むらも同じです。
 区長、同じ公園内でも砂場だけでなくよりきめ細かく測定をおこなうことが必要ではありませんか。学校の校庭や河川敷では野球やサッカーなどでスライディング等もあり、直接手にするどころか体にこすりつけています。公園も子どもが遊ぶ遊具付近が放射線が高いという実態に目をつむっていていいのですか。
 同様に幼稚園や保育園、学校の校庭も、そして河川敷もきちんと測定すべきです。そして区自身が「目安」とした毎時0.25マイクロシーベルト以上の数値のところは除染の対策を講じるべきと思いますが、答弁を求めます。
 第三に、給食食材の測定に対する区の態度です。
 今定例会には、空間放射線量測定器購入で97万5千円の補正予算が提案されていますが、杉並区では、給食の食材と牛乳の独自検査をできるように検査機器購入費など約2900万円の思い切った補正予算を計上しています。
 本区では購入する意思がないのですか。全会一致で採択された請願の内容に真摯に向き合い、本区でも食品検査機器の購入をすべきです。
 そうすれば、給食食材に限らず、区民農園で収穫している野菜等の放射線量を測ることや各家庭での不安を解消する等、幅広く区民の安心・安全を確かめられるようになると思いますが、答弁を求めます。
 第四に、測定器や検査機器、除染にかかる費用については、きちんと東電に請求すべきです。千葉県東葛6市では6月8日に東葛地区放射線対策協議会が発足し、8月26日には東電に対して、放射能対策にかかわる費用等に対し支払い請求をしています。本区としても近隣区と共に協議会を設け、東電への費用請求をすべきです。区長の見解を伺います。
 この放射能の問題は、いうまでもなく福島第一原発事故によるものです。わが党は、国会でも県議会でも地震・津波で重大事故の危険性を具体的に指摘し、改善策を求めてきましたが、根拠のない「安全神話」にひたりきって、対策を怠り続けてきました。区長は、この原発事故を自然災害とは異なる、人災であるという認識をお持ちですか。お聞かせください。
 原発は、いったん事故がおきれば、それを抑える手段がありません。それだけでなく、外部に放出された放射性物質は拡大し、その影響は長期にわたって続きます。計画避難区域では、いつ戻れるかの見通しも無く、地域社会の存在そのものを脅かしています。まさに他の事故とは違う異質の危険性を持っているのです。
 すでにドイツ、スイス、イタリアでは、原発からの撤退の世界的な流れがおきています。昨日の明治公園における「さよなら原発集会」には、6万人の人々が集まりました。事故を起こした日本が、一刻も早く原発から撤退する決断をおこなうことが必要だと思いますが、区長の見解を伺います。

4、保育所の待機児問題について
 次に、待機児童問題について質問します。
 リーマンショック後の急激な経済悪化により、保育需要が増し、保育所が不足しているという状況はわが区でも深刻です。また女性の就労と社会進出は世界の大きな流れとなっていますが、わが国の保育所整備は圧倒的に遅れています。
 小泉政権以来「最小のコストで最大・最良のサービス」をスローガンに民間参入をすすめて来た「待機児童ゼロ作戦」が社会保障費を削り、公立保育所を減らし、保育所建設を抑制してきたことにあります。その結果、ゼロどころか大量の待機児童を生み出してきました。
 そもそも児童福祉法第24条では自治体の責務として「児童の保育に欠けるところがあり、保護者の申し込みがあったときは保育所において保育しなければならない」のであり待機児童が解消出来ないということは、本区において違法状態が続いているということです。
 本区の待機児童の推移をみますと、2009年4月は62名、2010年4月は139名、年次途中の10月には待機児童590名となり、昨年は、区が認可保育所127名を含む215名の定員増をすすめたにもかかわらず、今年4月には、また145名と増え続けているのが実態です。なぜこのような状況になるのでしょうか。それは区の保育計画そのものが、区民の保育需要にかけ離れているからです。
 東京都が児童福祉法第56条に基づいてつくった保育計画では、保育サービスの利用児童数を2009年4月との対比で、全都で2010年から2012年で保育サービス利用児童数22,000人増、2010年から2014年では35,000人増としています。
 この割合を本区に置き換えてみれば2012年までに993名増、2014年までに1591名増が必要となりますが、現在の本区の計画では平成26年度までの478名であり、桁違いです。このような乖離が生じるのは、区が区民の保育需要をきちんと見据えていないからです。
 2009年3月に本区が実施した「子育て支援に対する意向調査」のアンケートでは、希望した通りの保育サービスが利用出来たのは48.7%で半分以上が希望通りになっていないことを示しています。
 また母親の就労率は50.2%で、未就労の母親のうち就労希望は84・5%に及んでおり、すぐにでも働きたいが17.9%、1年先、子どもがある程度大きくなったら働きたいが66.6%です。
 保育計画の目標を設定するにあたっては顕在化している待機児童数だけでなく、潜在的なニーズも踏まえることが必要です。2010年1月に国が発表した「子ども・子育てビジョン」では、2017年度時点での3歳未満時に関する潜在的な保育需要を44%と推計しています。都も、潜在的なニーズ量は就学前児童人口の44%であり、この数値を考慮して目標を立てる必要があるとして先にあげた保育サービス利用児童数を設定しているのです。
 そこで伺いますが、区は、国や都が予測している保育潜在ニーズ量の44%をきちんと見据えて保育計画をつくり直すことが必要だと思いますが、答弁を求めます。

 同時に待機児童解消は喫緊の課題で、認可保育所の新増設こそすすめなければなりません。
 ところが今、認可保育所建設を進めるための財源確保について、重大な状況が生まれようとしています。
 政府は保育所待機児童の解消を政策課題としてとりあげたものの、保育所の財源確保はいっさい示さず、もっぱら地方自治体にその責任を押し付けてきました。リーマンショック後、いよいよ待機児童問題が深刻になるに及んで、ようやく2008年に財源措置として「安心子ども基金」が設けられ、都道府県でも保育所整備の財源措置がとられるようになりました。これにより、特定財源を確保できるようになり、認可保育所建設の流れが出て来たのです。現に本区でも認可保育所の建設にあたって区の独自財源は建設費総額の約22%あまりです。
 ところが国はこの「安心子ども基金」を今年度で打ち切ろうとしていると聞いています。もともと「安心子ども基金」が3年間の時限立法としてつくられたという経過はありますが、待機児童問題は決して一時的な問題ではありません.基礎的自治体である区が中長期的な保育計画をたてられるように国に対しては「安心子ども基金」を、また都に対してはその具体化である待機児童解消区市町村支援事業の継続と拡充を強く求めるべきと思いますが、いかがでしょうか。また、認可保育所の新増設をさらに進めるべきと思いますが、答弁を求めます。

 次に、老朽化した公立保育園の建替え計画を具体化することも、待機児童解消の為に重要です。
 区立保育園は1960年代から70年代に建設されたものが多く、8割を占めていると言われます。老朽化した区立保育所の建替えが葛飾区にとって重要な計画事業となることは避けられません。この区立保育所の建替え計画を策定すべき時期にあるのではありませんか。答弁を求めます。そのさい、区立保育所の建替えに対して、都の財政措置がありません。区立保育所の改築、改修も含めた施設整備について東京都が広域自治体として責任を担うよう補助することを要求すべきと思いますが、答弁を求めます。

 次に、認証保育所の保育内容や、施設改善の要望についてです。認証保育所は都の制度だからといわんばかりに、区の補助が乏しい現状を放置できません。区は認証保育所の定数も、区の待機児童解消の数に入れてカウントしているではありませんか。認証保育所に子どもを預けている父母に、せめて区としてアンケート等で要望を調査すべきではありませんか。
 それらをふまえて必要な改善を都に求めていくべきです。答弁を求めます。

 最後に、「義務付け・枠付けの見直し」の問題です。
 9月2日、厚生労働省は、来年4月から2015年3月までの3年間の時限措置として待機児童問題が深刻な都市部の35市区の自治体に対し、認可保育所の面積に関する現行基準緩和を特例的に認めることを告示し、本区もその対象区になっています。
 子ども1人当たりの面積が基準を下回ることを容認し、待機児童解消を図るとしています。しかし、保育関係者や親からは「本来の政府の保育サービスの量と質を増やすという基本方針に逆行するもの」、「狭い部屋に子どもを詰め込むことになる。目が行き届かず事故が起きたらどうするのか」など懸念の声が急速に上がっています。
 待機児童問題を子ども達に負担を負わせて解決しようとするのは、本末転倒です。対象となっている中央区も横浜市も、この「見直し」に異を唱え、基準緩和を実施しないと明言しています。区長もこの基準見直しに反対し、実施すべきではないと思いますが、いかがでしょうか。

 以上で私の質問を終わりますが、答弁いかんでは再質問をおこなうことを表明しておきます。ご清聴ありがとうございました。

●再質問
 二点について再質問したいと思います。
 一つは国に対しての区長の態度であります。税と社会保障の一体改革について、自治体の長として明確な態度を示さないと、これは到底区民の理解を得られるものではありません。消費税増税についてはきっぱり反対だと、そういう態度を示すべきだと私は思います。せめてですね、この質問にありました原発からの撤退に対して、区長に見解を求めているのですから、この点については区長、イエスかノーかはっきりとお答えいただけるよう、まずひとつお願いします。
 もう一点は、東電への態度です。これ、費用請求をなぜしないのでしょうか。東電に請求できない理由があるのか。弱みでもあるのでしょうか。東電のせいで被害を受けたのですから、請求するのは当然のことではないでしょうか。実際に東葛六市は請求しているのですから、できないわけではありません。あらためて区長の答弁を求めたいと思います。以上で再質問を終わります。