2011年度予算案に対する反対討論 発言者 中江秀夫
 日本共産党区議団を代表して、予算案に対する反対討論をおこないます。
 今度の予算案には、高齢者の紙おむつ支給条件の緩和や認証保育所の保育料助成制度の創設、子どもの予防接種の拡充など、区民の願いが盛り込まれているものの、全体として、いま自治体として求められる予算になっていないことを指摘せざるを得ません。

 第一は、昨年の東日本大震災発生後初の予算編成にもかかわらず、防災対策への対応がとぼしく、この大災害を重く受け止める自覚があまりにもなさすぎるという点です。
 自治体として区民の命を守る第一義的使命を果たすために、わが党区議団は、約3万棟といわれる倒壊の恐れのある木造家屋の耐震化について、支援策を拡充することを一貫して主張してきました。3.11発生のもと一定の改善がはかられましたが、よりいっそうの充実が求められています。高齢者世帯などでの耐震診断が無料となりましたが、対象家屋のわずか3割程度で、すべての対象家屋を無料とし、区が積極的に働きかけていくべきです。そして、耐震補強が必要だと判断されたならば、命を守るための最低限の耐震化ができるようにメニューを増やし、区ができうる限りの支援を講じるべきです。さらに、不燃化を進めていく上でも「耐火ボード」設置費用助成なども求められています。

 第二に、区民のくらし・福祉、営業を応援するという点です。
 いま「税と社会保障の一体改革」と称して、医療や年金、介護など大改悪がすすめられようとしています。所得の少ない人ほど負担が重くのしかかる消費税増税は絶対に許せません。
 こういうときだからこそ、身近な自治体として区民のくらしを守る防波堤となる予算が求められています。ところが、介護保険料は35%もの値上げです。国保料も、後期高齢者保険料も値上げで、到底認められません。独自の減免制度実施を求めるものです。
 区民、とりわけ高齢者への冷たさは、一人当たりの老人福祉費の割合が23区最低を5年も連続して続けていることに現れているといっても過言ではありません。
 また、区内中小企業を支援するために、一貫してわが党区議団が提唱している「プレミアム商品券」の実施や住宅リフォーム助成等に背を向けていることも到底認められません。

 第三に、この冷たさは、子ども・教育の分野にも現れています。
 認可保育所の株式会社による設置・運営は、単なる安上がりというだけではなく、保育を財テクに利用させる許しがたいものです。
 小中学校におけるトイレの全面改修は、区の実施計画で毎年10系統ずつすすめることになっていたのに、この区民・子どもとの約束を反故にし、6系統分しか予算化していません。
 また、中学2年生移動教室の宿泊所として利用してきた「あだたら高原学園」を、放射能への不安を利用して、経費削減のために廃止するというのは、到底区民の理解を得られません。区の大切な教育資源を切り捨てるとともに、地震、原発事故という未曾有の大災害のもと、大変な思いで復興へ尽力されている二本松市の被災者の方々に追い打ちをかけるものです。
 さらに、本来、学校建替えのための基金に毎年18億円ずつ積み立てるべきなのに、それを実行していないことは大問題です。災害が発生したとき、区民の一番身近な避難所となる学校の建替え計画は、いまだたった一つだけです。
 ところが、区は、老朽化、大地震における本部機能を理由にして、区民合意も無い区役所の建替えには一所懸命です。2月の補正予算でさらに15億円も基金に積み立て、今年度末には33億円余もの基金を積み立てているのです。区民の命、くらし・営業、そして子どもたちの願いに背を向けて、区役所建替え計画は到底認められません。

 わが党区議団は、この33億円余の基金と不要不急の事業の予算を財源に、区民要求実現のための予算組み替え動議と6つの条例案を提案しました。区民のくらし・営業がよくなれば、地域経済を活性化し、そのことが本区の税収を温め、発展していくものと確信するものです。
 これからもひきつづき、奮闘していく決意です。

 最後に、原発事故以来1年が経過する中、放射能に対する区民の不安はひろがっています。
 わが党区議団は今定例会で、原発事故以来の本区人口動態を示し、この対策が自治体としての存亡に関わることを指摘してきました。区内4箇所の公園で独自の土壌調査をおこなう中、1キログラム当たり1万6000ベクレルという放射能汚染状況も明らかとなりました。
 このような中、区は1月から空間放射線量測定器の貸し出し、そして今定例会では食材の放射線量測定機器の設置についての検討もあらたに示しました。
 今後、更なる測定と除染、子どもたちの健康診断など、まだまだこの放射線対策における課題は山積みしています。とりわけ、高濃度の放射能汚染が指摘されている水元公園での子どもまつりやしょうぶまつりの開催が大きく問われています。東京都への働きかけとともに、区自身のとりくみをつよく求めるものです。

 以上、一般会計予算案および、区民に負担をしいる国保会計、介護保険会計、後期高齢者医療会計、そして、計画性もなく区民の税金投入にひた走る駐車場会計に対する反対討論を終わります。