2012年第1回定例会一般質問 質問者 渡辺キヨ子 |
放射能対策・介護保険・バス路線の充実について 【目次】 1、放射能対策について 2、介護保険について 3、バス路線の拡充について |
1、放射能対策について 日本共産党区議団を代表して一般質問を行います。 はじめに、放射能対策についてです。昨年3.11福島第一原子力発電所の事故は、本区にとって重大な問題となっています。 小さな子どもをもつ家庭では去年の夏休みを前後して京都へ、大阪へと西に転居した方々、もうすぐ春休みですがこれを機会に沖縄に転居するという方もおり、「このまま葛飾に住み続けられるのだろうか」と心配する声が広がっています。 本区の2010年と2011年の人口動態を比べると、東日本大震災を境に変化し始め、3月から12月までの転入者は対前年比で2864人減少する一方、転出者は681人増えています。 「第2回葛飾区基本計画策定検討会議」で出された将来人口推計では、2020年から本区での人口減少がはじまるとの予測でしたが、2011年10月1日現在の実際の人口は推計値を下回り、昨年からすでに人口減少がはじまっているのです。現在検討している新基本計画の土台のひとつとなっている人口予測が、すでに崩れはじめているのです。 この事態をどう受けとめているのか。放射能による影響であると考えているのか、答弁を求めます。 千葉県の人口減少の要因には放射能問題があることはマスコミでも報じていたところです。だからこそ、松戸市や柏市などの自治体では、国の汚染状況重点調査地域の指定をいち早く受け、除染対策を本腰入れて取り組んでいるのです。 そのことは、これら自治体の予算にも表れています。松戸市では3億2千万円、三郷市では1億700万円、足立区は5千600万円、柏市では、2013年度までの3年間で35億円の予算を投じて取り組んでいくというのです。 ところが本区の場合は、1千万円ほどです。近隣自治体と比べて、なぜこれだけの違いが生まれているのでしょうか。それは、住民から寄せられた「このまま住み続けられるのか」との声に真剣に耳を傾け「自治体の存亡をかけたとりくみ」として位置づけているかどうかのちがいなのではないでしょうか。 本区においては、昨年12月1日付けで放射線対策室が設置されました。その役割は、関係機関などの調整、放射線についての知識の普及・啓発を推進するとともに、放射線の測定や除染に関わる方針の策定にありました。区民の声とともにわが党の繰り返しの提案のもと、学校や公園などでの「きめ細やかな測定」がすすめられ、50台の測定器の貸し出しが行われるようになりました。それはそれとして一歩前進ではありますが、いま問われているのは、中・長期的な方針と計画を持つことではないでしょうか。 そのためにも「汚染状況重点調査地域」の指定をうけることです。 「汚染状況重点調査地域」は、昨年8月に成立した特措法にもとづき、追加被ばく線量が年間1ミリシーベルト以上ある地域を「汚染状況重点調査地域」に指定するものです。除染する区域を定めて除染実施計画を策定することで、除染を実施するものとし、費用は国負担となっています。 除染を促進するためにも、その指定を受けることは有意義なものです。しかし、国から指定に関する問い合わせが行なわれたにもかかわらず、本区は、除染の基準や国の補助内容が不明であるなどとし、指定の要請を見送ったままとなっております。多くの区民が、「国の指定のもと、除染がすすむ」と期待したわけですが、それに背を向けたのです。 民地もふくめて汚染の実態を把握し、すみやかな対処を実行するためにも、国に対し「汚染状況重点調査地域」の指定をうけられるように、すぐに要請すべきです。答弁を求めます。 私がこのように申し上げるのは、その後も、深刻な放射能の影響が広がっている事実が広がっているからです。 1月17日NHKスペシャル「関東の水の汚染」は多くの区民に衝撃を与えたのではないでしょうか。昨年8月に環境省がおこなった東京湾に流れる千葉県内の13の河川や運河など16地点でおこなった測定では、川底の泥に含まれる放射性セシウムの濃度が1000ベクレル以上の数値を測定した地点が8箇所あったと報じています。その中には江戸川の本区と松戸市にまたがる新葛飾橋で1360ベクレルが検出されています。 内部被ばくによる区民の不安を解消するためにも、まず、食への不安が増大する中、区がゲルマニウム半導体検査機器を所持し、区民の要望にこたえた検査・公表をすべきです。その際、区民自身が気軽に検査ができるように検査機器を用意するべきと思うがどうか。 さらに区民、子どもたちの健康診断をおこなうことです。 福島原発事故直後、金町浄水場でのヨウ素131の検出は、本区はもちろんのこと東京、そして近県の人々を震撼させました。このヨウ素131は、半減期が8日のためすぐさま問題がないようにも扱われていますが、所によっては5月ごろまで高い放射線量が検出されたと報じられています。チェルノブイリでも、遠く離れた地域で子どもの甲状腺がんが問題になり、わが国での影響を案ずる声も広がっています。乳児、幼稚園・保育園児、小中学校の児童生徒など、様々な機会を通じて検診をすべきです。あわせて、母乳の検査などもおこなうべきと思うがどうか答弁を求めます。 第三に、東京都立水元公園への対応が、いま問われています。 先日、神戸大学の山内教授による測定で、水元公園内におけるアシから高濃度の放射線量が検出され、このことにまつわる様々な問題が報道されました。水元公園はもちろん都有地ですが、水面管理は葛飾区が担っているのですから、区が放射線量の測定をおこない、その結果にもとづき東京都と協議し対策を講じるべきではありませんか。答弁を求めます。 日本共産党都議団は、今月22日に記者会見を行いました。2月15日に都立水元公園内の空間放射線量及び落葉、土壌等を採取し、その放射線量を測定し、結果、1 キログラムあたりの放射性物質濃度は、広葉樹の落葉が5320〜8290ベクレル、落葉が混入した土壌が21700〜23300 ベクレルでした。 さらに今回の調査によって、水元公園では多くの地点が環境省ガイドラインの除染基準である地上50センチから1メートルで毎時0.23マイクロシーベルト以上あり、その原因の一つに高濃度の放射性物質が土壌、落葉などに集積していることが明らかになりました。 国は、焼却灰、上下水道汚泥などによる作業者の年間被曝量を1ミリシーベルト以下にするなどとして管理型最終処分を必要とする基準を8000ベクレル以上としていますが、わが党都議団の調査によって、これと同等のレベルのものが、区民や子どもたち等が頻繁に使用する水元公園で検出され、放射能汚染の深刻な事態があらためて浮き彫りとなったのです。 区長、すみやかに以下の点について東京都に要請すべきです。 1. 水元公園をはじめ、学校、都営住宅など全都有施設について、ただちに、きめ細かな空間放射線量測定と合わせて、落葉、土壌のストロンチウムを含めた核種分析調査をおこない、公表すること。 2. 区市町村からの学校、公園などの落葉、土壌の核種分析の要望にこたえる態勢をとること。 3. 落葉については、回収サイクルを早めるとともに、その保管については厳重な飛散防止策をとること。 4. 高濃度の放射性物質を含む土壌、落葉などの処理については、万全の対策をとること。 区長、いかがですか。答弁を求めます。 第4に、測定の基準と方法を改善することです。 昨年、砂場の除染を地上5センチ、毎時0.25マイクロシーベルト以上としましたが、その後、除染の基準は、地上1センチ、毎時1マイクロシーベルトとしました。この基準は、近隣自治体と比較しても、多くの区民が危険性を指摘するとともに、区の対応に大きな失望を抱いています。 わが党区議団は、一月に集中して区内の公園、児童遊園の砂場の放射線測定を実施しました。その結果は、171公園・児童遊園、500箇所中86園134箇所と5割を超えるところで、区が基準とした0.25マイクロシーベルトを超えるものでした。 このように、一度測定したところでも再度測定をおこなうべきです。 日本科学者会議災害問題研究委員の坂巻幸雄氏は、「都内はこれから乾燥と砂ぼこりの季節になるので、それらに伴う局所的な再汚染の可能性は常に残っている」と指摘しています。 除染の基準を現状のまま変えないという姿勢は区民の信頼をそこね、不信をあおるだけのまちがった態度だと指摘しなければなりません。この数値を再検討すること、また、公園・児童遊園はもちろんのこと、学校、保育園などでの砂場もふくめた、きめこまかい再測定をおこない、必要な対策を講じるべきだと思うがどうか答弁を求めます。 最後に、区民への放射線測定器の貸し出しを改善し、区民との共同を一層構築していく立場にたつことです。すでに金曜日などを中心に予約が殺到し、1ヶ月以上待ちになっているようです。これは、とても大切なことであり、初めて、放射線測定をした方から、「放射線への関心がより深まった」、「放射能のたまりやすいところとそうでないところの違いがよく分かった」などの感想も寄せられています。いっそうこうした区民の関心を広げて正しい意識の啓発のためにも、貸し出し日数を長くしたり、貸し出し対象を広げて、町会などの団体へも貸し出しができるようにすべきです。 区として貸し出し者にアンケートをとっているようですが、任意での測定結果を求め、区内汚染マップを作成してはどうでしょうか。さらに、高い数値が出たところは民有地も含め、区がいっしょに除染に当たるべきです。こうした取り組みは行政が請け負うだけではなく区民との共同があって当然と思いますが、いかがですか。 2、介護保険について 次に第5期介護保険事業計画案について質問します。 介護保険制度は、老後を安心して暮らせるように「介護の社会化」「選択の自由」を掲げて始まった制度でした。 しかし、実際はどうでしょうか。 要介護3の奥さんの介護を始めて4年半になる方は、週2回のデイサービス、週3回の訪問介護、週1回の訪問看護、月2回の訪問診療など受けられるサービスを限度一杯受けているそうですが、夜中は10分に一回ほど起こされ、トイレも手を引いて最後まで付き合うなど、毎日が睡眠不足になっており、「もう限界だ」と言っておられました。この4年間で9回入院し、救急車は11回呼んだそうです。それでも自宅で過ごしたいという本人の気持ちを大事にしてあげたいと施設への入所は選択肢にいれていなかったわけですが、精神的にも肉体的にも限界となり、施設への入所を申し込んだそうです。しかしいつ入所できるかわかりません。 在宅介護で苦労している方から「いっそ死んでほしい」という言葉を聞くと本当に胸が痛みます。 一昨年6月に、区内で介護殺人があったことは、まだ記憶に新しいところです。52才の息子が、8年間介護して来た母が苦しむ姿をみて、「楽にさせてやりかかった」と手をかけたというものでした。母親は事件の約二年前からたんの吸引が必要になっており、訪問看護師が週二回ほど訪れていたが、吸引の間隔は短くなる一方で、最後は15分間隔になっており、昼も夜も目が離せなかったというものでした。 第5期介護保険事業計画は、こうした実態を解消していくための展望のある計画にしていかなければなりません。 確かに在宅介護をどう支援していくか、このことが重要です。しかし、特別養護老人ホームの待機者は2100人、そのうち要介護4以上の重度の方は1100人と半数を超えています。一人暮らしや住宅の状況など点数を付ける優先入所基準で優先度が高いと判定されても入所できない方は600人です。待機中になくなる方は三桁にもなっています。 区議会には、待機者解消に見合った増設計画をつくることと高砂団地建替え後の跡地に特別養護老人ホームの建設を求める請願が4000筆の署名と合わせて提出されています。署名に寄せられた切実な願いを区も議会も重く受け止めることが必要だと思います。 ところが、第5期計画案では特別養護老人ホームの建設計画は、2ヶ所、180床にとどまっています。 いつまでも特別養護老人ホームの整備率は23区でトップクラスという答弁を繰り返したり、特別養護老人ホームを作れば保険料が上がると区民を脅したり、民間が建設すれば支援する民間まかせという姿勢で待機者の実態に背を向けることは許されません。 足立区では、緊急度の高い待機者を解消するために3年間で1000床の建設計画を発表しました。一刻も早く入所を希望している方々が入所できるよう、展望ある計画を持つべきと思いますが、答弁を求めます。 第5期介護保険事業計画案では、保険料基準額が5180円と35%もの値上げを示していることは重大です。 1円でも高齢者にとっては大変なことです。ある高齢の女性は、「我が家は、98円のとうふを買って、3つに切って3日分に分けて食べている」と話しをされていました。 負担軽減を図るための最大限の努力をしていかなければなりませんが、その努力がまったく見られません。 今回、給付準備基金と財政安定化基金を保険料抑制に活用するとしていますが、この2つの基金は、保険給付が不足した場合に国、都、区が3分の1ずつ拠出していたものです。今回の区拠出金はもともと保険料ですので活用するのは当然です。しかし、その結果は、低所得者に薄く、高額所得者に厚く基金が活用されているのです。 もっとも所得の高い第13段階は、第1段階、第2段階の値下げ額の5倍以上の値下げです。しかも第1段階は乗率を上げたために、値上げになっているのです。もっとも所得の低い段階の乗率を上げるなどとんでもありません。そもそも第1段階と第2段階では所得階層が違うにも関わらず、上率を同じにすること自体が問題であり、まず第1段階の乗率はもとに戻すべきです。答弁を求めます。 欧米では富裕層へ増税、この流れが大きくなってきています。保険料も同様ではありませんか。基金の活用は、低所得者に手厚く活用すべきです。そしてもともとが保険料ですので1円も残さず全額取り崩して使うべきです。 その上で区自身が保険料値下げのための努力をすることが求められます。 第1に、財政安定化基金は、保険料抑制に区拠出分は活用するものの、国・都の拠出分は、明確となっていません。保険料抑制に活用するよう働きかけることが必要です。 第2に、介護職員処遇改善交付金は、介護職員の賃上げの為に交付されていたもので、2010年度、2011年度は介護報酬ではなく国負担でした。民主党政権は、来年度から国負担をやめて介護報酬に変えました。その分が保険料の値上げにつながっています。国に国負担を継続するよう働きかけるべきです。 第3に、調整交付金を5%満額にするよう国に強く働きかけることです。 これらの3つの財源を合わせれば10億円は充分に確保できます。10億円あれば第2段階の保険料を据え置き、第4段階までの保険料値上げ分を 500円抑制することが出来ます。そこでいったん区が一般財源で立て替え、保険料抑制に活用すべきです。答弁を求めます。 また区独自の保険料減免制度を実施することを求めます。 第5期介護保険事業計画案は、介護保険事業審議会に諮問されておりますが、その計画案には、保険料の端数処理、高齢者人口、それに伴う保険料負担額、サービス量などの誤りが保健福祉委員会で2度にわたって指摘がされてきました。 保険料の負担増を少しでも軽減する、そういう意識があれば保険料の端数を切り上げ、値上げすることなどできるはずがありません。 保険料はサービス量にもとづき給付費が見込まれ算定されるとしながらも、実際には、サービス量に関係なく給付費が決められていることがわかりました。 たとえば訪問介護を90万回減らす訂正をしていますが、給付費は1円の訂正もありません、90万回と言えば2010年度の訪問介護の1.5倍です。給付費実績は26億円ですので、それ以上の給付費の訂正があってしかるべきですが、そのようにはなっていないのです。 委員会では、「給付費はサービス量に基づくものもあり、人数に基づくものもあり、給付費から推計しているものもあり、したがって自信がある」旨の支離滅裂な答弁をくり返しました。要するに計画案が示した『サービス量にもとづき』というのは事実に反することが明らかとなったのです。 来年度予算案では準備基金に1億円の積立を行う予算が計上されていますが、最初から保険料が余る見込みになっていることは、給付費を多く見込み保険料を上げているのではないかという疑惑も生じています。 審議会や議会には、給付費などの詳細な資料はだされておらず、計画案の是非の審議ができません。 計画案の誤りがわかった以上、またサービス量と給付費の整合性がないことからも、給付費を含む詳細な資料を添付した計画案に見直し、審議会への諮問をやり直すべきと思うがどうか。 介護保険制度は、当初から「保険あって介護なし」と言う意見が強く出されていました。「自立自助、自己責任」だけが強調され、国の責任を投げ捨て国民の負担中心にまかなうやり方では、持続可能な制度にはなりません。 住民福祉の向上を使命とする地方自治体の長として、区長自身が制度の抜本改善を求める先頭にたつべきであるということを最後に申し述べておきます。 3、バス路線の充実について 次に新たな公共施設を、区民が利用しやすくするための、公共交通機関について質問致します。 1つは、青戸4丁目に健康プラザかつしかができましたが、バス停からは外れた所にあり、水戸街道を通ってくるバスが本数も少なく不便であるとの声が聞かれます。健康プラザかつしかは、とりわけ母親学級を受けるお腹の大きい妊婦さん、子ども連れのお母さん、高齢者や、身体の不自由な方が多く訪れるところでもあります。こうした利用者にとって、目の前にバス停があることは、大変助かるものです。こうした区民の声に応え、現在運行されている東京慈恵会医科大学医療センターと青戸駅を結ぶバスのルートをのばし、区役所、健康プラザかつしかも回る新たな循環バスにするよう、区が事業者に働きかけることを求めるものです。事業所が実施しない場合は、区自ら具体化の検討をすることを求めます。 2つ目は、早急な対策についてです。 現在、運行中の東京慈恵会医科大学医療センターと青戸駅を結ぶバス路線には、途中のバス停はまったくありません。新たな停留所を設置してほしいという声があります。 また現在のバスの走行ルートは、区内で初めて設置された青戸のコミュニティ道路を通っています。コミュニティ道路とは、幹線道路の抜け道となり事故が多発している生活道路上の事故を減らすために、障害物を設置することで、車のスピードを下げさせる効果をねらい区が設置した道路です。 狭く危険であり、信号のある道を通ってほしいという住民の声があります。地元の意見をよく聞き、安全な路線への変更を区として要望すべきです。 また、運賃が短距離路線でありながら、ICカードは150円ですが、現金払いは200円と高いものです。もっと区民が利用しやすくなるよう、バス路線の変更とあわせて、運賃の値下げを関係機関に求めるべきであると思いますが、答弁を求めます。 以上で私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。 |