2012年第2回定例会一般質問 質問者 三小田准一
基本計画を区民本位に 防災強化・高齢者対策を急げ


【目次】
1、 新基本計画について
 @ 防災について
 A 高齢者と地域社会のつながりについて
 B 学校選択制について
2、 熱中症対策について
3、 環境対策について
4、 放射能対策について
【再質問】
 @ 学校等の震災対策、非構造部材の総点検について
 A 放射能対策について
1、 新基本計画について

@ 防災について
 日本共産党区議団を代表して、区政一般質問を行います。
 国会会期末が迫っていますが、消費税増税法案をめぐって民主、自民、公明の3党が修正協議という名の増税談合を始め、21日の採決を狙っています。しかし、どの世論調査でも、5割〜6割は消費税増税に反対しており、増税大連合の動きは、民意に真っ向から背くものです。
 わが党は、増税法案の廃案のために全力をつくす決意です。
 さらに、今定例会には、特別区税条例の一部を改正する条例が提出されますが、これは2014年度から10年間にわたって住民税均等割りを20%増税するものです。
 これもまた国会で民自公の3党が政府案をあえて修正し住民税を増税にしたもので、絶対に認められません。

 さて、私の質問の第1は、新基本計画についてです。3点質問します。

 第一に、防災についてです。
 防災問題は重要プロジェクトの第1にかかげられ、これまでの取り組みと合わせ、高潮や液状化などを含む 複合的な災害の発生に備える取り組みの方向が示されています。
 東京都が4月18日に発表した「首都直下地震における被害想定の見直し」報告書では、前提条件が6年前とは異なってはいるものの、本区においては、倒壊や火災と合わせ 液状化による被害が大きくなることが想定されています。
 したがって、その被害を抑える減災対策の強化が必要です。今回、新たに耐震診断の無料化や改修助成額の見直しを行うことは、私どもも要求してきたものであり評価するものです。
 ただ改修の助成対象が、1981年以前の旧耐震基準の建築物となっていますが、新基準で建てたものでも、すでに30年が経過し、老朽化しているものも存在します。こうした建築物についても、助成の対象にしてはいかがでしょうか。
 
 先日、墨田区で防災シンポジウムがあり私も参加しました。パネラーの一級建築士が耐震改修とともにリフォームの例を紹介していました。それはトイレのドアを引き戸にするという工事でしたが、リフォーム助成があれば、耐震化とともにバリアフリーを促進することもできますし、災害時の被害を修繕するときにも有効です。
 計画策定にあたって住宅リフォーム助成制度を創設してはいかがでしょうか。
 
 防災の2点目は、避難所の問題です。
 文部科学省が昨年7月発表した「東日本大震災の被害を踏まえた学校施設の整備について」の緊急提言では、「非構造部材に被害が生じて、使用を再開するまでに復旧が必要な事例がみられた」と指摘し、学校施設は、教育機能のみならず、あらかじめ避難場所として必要な諸機能を備えておくという発想の転換が必要であるとしています。
 非構造部材とは、天井材、内・外装材、照明器具、設備機器、窓ガラス、家
具等を指します。
 東日本大震災では、天井材の被害1,636校、照明器具の被害410校、外壁の被害968校となっており、宮城県内の体育館では、余震により被災者のそばにバスケットゴール板が落下、ある小学校ではゴール板の固定金具が破損し、傾いたことから 避難中の400人が隣の校舎への二次避難を強いられた などが提言の中で紹介されています。
 こうした事例のもと、構造体の耐震化だけでなく、非構造部材の耐震対策の速やかな実施、特に致命的な事故が起こりやすい体育館の天井材、照明器具、外壁、バスケットゴール板の落下防止対策をすすめる必要があるとしています。
 学校現場では、家具や本棚、ロッカーなどはしっかり壁や床に固定されていますが、3・11のときに「窓のパテがはずれた」「体育館の照明器具がねじれて一時立ち入り禁止にした」「壁に亀裂が入った」などの被害が生じていたことを学校長から伺いました。
 あらためてこの緊急提言の話をしますと、「どの窓ガラスが強化ガラスになっているのかはわからない」、「確かに照明器具等が落ちてくるかもしれない」などの声が返ってきます。
 屋上の防水シートが切れ、水が屋上に流れ込んでいる状況もありました。区に要望しても「予算がない」と言われ修繕されないというのです。仕方なくテープを貼ってはいるものの、それも剥がれていました。また外壁に亀裂が入って、中から鉄筋の赤錆が染み出ているという状況も見受けられました。
 子どもたちの命と安全を守り、災害時に避難所の役割が果たせるようにすることは、区政の優先課題です。
 今定例会では、第2順位となる避難所の安全確認を求める請願がだされておりますが、非構造部材について、学校施設をはじめ区内公共施設の総点検を直ちに実施し、実施計画を作り改修を急ぐべきと思うがどうか。  
 
 防災の最後は、まちづくりの問題です。
 東日本大震災では、地域の助け合い、いわゆる共助のあり方も教訓となっています。それではこの共助をどう作り上げていくのか。これはまちづくりにも関わる問題です。
 奥戸4・5丁目地区では、地域住民の1%にも満たない賛成で地区計画が条例化されました。個人の財産にかかわる問題でありながら、少数でルールを決めてしまう、こんなやり方では共に助け合うまちを作っていくことはできません。  
 このやり方を今度は、東四つ木3・4丁目全域で行おうとしています。約40ヘクタールにも及ぶ広い地域を 一つの地区計画で規制をかけることは あまりにも乱暴です。
 しかも説明責任が尽くされておらず、当該地区では説明会に参加した権利者はわずか数%、地区計画に対する意見は反対が多数となっています。
 本来、地区計画は、街区ごとに住民自身が自主的に合意形成をはかり まちづくりのルールをつくるものです。合意もないままに住民に規制を押しつけるやり方はもうやめるべきです。
 東四つ木地域におけるこの計画は白紙に戻し、もっと小さな街区ごとに住民合意を積み重ねることが、真の防災まちづくりではありませんか。区長の答弁を求めます。

A 高齢者と地域社会のつながりについて
 第2に、高齢者と地域社会のつながりについてです。
 本区では、自殺も含め人に看取られることのない不審死を孤独死とし、平成20年に229名、21年に168名、22年に205名発生しています。
 高齢者を中心にした孤立死・孤独死は 1990年代後半から大きな社会問題になっています。ニッセイ基礎研究所の推計では、死後4日以上経過して遺体が見つかった65歳以上の高齢者は、年間1万5600人にものぼっており、毎日約40人の高齢者が誰にもみとられることなく息を引き取っています。
 高齢者が地域社会とのつながりが希薄になるのは、根本には貧困の問題があります。
 少ない年金では冠婚葬祭の付き合いもお返しもできない。町会や高齢者クラブの催しも出費がかさめば断る方も少なくありません。
 介護認定を受けていても介護サービスを受けていない方は16.4%、介護サービスを限度額いっぱい利用している方は、18.3%しかいません。1割負担の利用料が重すぎるためにサービス利用を控えているのが現状です。
 地域社会との希薄な関係を解消していくためにも独自の福祉サービスを充実させることが必要です。
 しかし本区の場合、そうした施策を充実するどころか逆に切り捨ててきました。たとえば安否確認・孤独感の解消を図る福祉電話を廃止したのはその典型です。敬老金の廃止、敬老館の風呂の廃止、敬老館そのものも廃止、家具転倒防止器具の設置助成も廃止してしまいました。見守り型緊急通報サービスは、23区の中でもっとも高い利用料負担のため、利用者は670人にとどまっています。介護サービスの利用料軽減も独自には実施していません。
 このような緊縮策が、高齢者と地域社会とのつながりの希薄さを拡大し、23区最低の老人福祉費につながっているのです。
 基本計画策定にあたり、これら緊縮策を転換することが必要と思うがどうか。
 
 地域の見守り体制をどう強化していくのか、これも重要な課題です。
 「中間まとめ」では地域包括支援センターについて「家族や地域住民等から相談や通報があった場合だけでなく、個別訪問等の実施により 積極的に 支援の必要なひとり暮らし高齢者や認知症の疑いのある高齢者等の把握を行う」とあります。
 しかし、現在の支援センタ−は個別訪問等の実施ができる体制ではありません。
 23区では、ほとんどの区が1センター当りの高齢者人口は5,000人から8,000人です。本区の場合は13,000人と極めて広範囲になっており、これでは高齢者を把握することはできません。
 国は地域包括支援センターを中学校区域に1カ所という方向をだしていますが、個別訪問で高齢者の把握ができるよう、必要な予算と人員配置をすべきと思うがどうか。答弁を求めます。

 今年に入って北海道、埼玉、東京などで、「孤立死」や「孤独死」が相次ぎましたが、高齢者世帯にとどまらず働く世代のいる世帯にも拡大していることは極めて深刻です。
 札幌市で起きた姉妹の孤立死は、昨夜「心のない福祉」と題してテレビ放映されていましたが、生活保護の相談に市の窓口を3度も訪問していたのに申請させなかったことによって引き起こされた、まさに行政の対応不備による悲劇でした。
 お笑いタレントの実家の母親が 生活保護を受給していたことを一部国会議員やメディアが問題視したことをきっかけに、厚生労働大臣が、生活保護基準の引き下げや扶養義務を強化する方向を示唆しています。
 しかし、制度改悪による締め出しは、地域と人々の関係を断ち切るだけです。政府がすすめようとしている生活保護制度の改悪に反対すべきと思うがどうか。

B 学校選択制について
 第3に、学校選択制についてです。
 「区民のご意見を伺う会」では、学校選択制に反対する意見が多数だされました。たとえば「災害時に避難するのに、遠くの方に学校に行っていたら避難できない。風評被害なのか、偏った学校の人数が現れている、私は選択制がよくないと思う」、また「10名のクラスと35名のクラスがあるが、教育環境として正しいのか。学校の先生1人が見ている子供が10人と35人、平等なのか」という意見です。
 学校間に人数の偏りがある。これは、学校選択制がもたらす弊害なのです。
 これに対して、教育長の回答は、「マンションがどんどん建って、子どもの数が増えているところと、マンションが全然建たずに、段々と減っているところと、両極端になっている」などと地域的な特性であるかのように問題の本質をそらすものでした。
 さらに問題なのは、児童が少ないことに対し、「社会性に問題がある」と述べていることです。選択制によって意図的に児童数の偏りを作り出し、その結果としての少人数のクラスに対して、あたかも問題があるかのように言うのは、許せません。
 少人数のクラスが多い学校に行って話を聞きましたが、子どもたち一人ひとりに目が届き、きめ細かい授業ができる。校庭は広々として、のびのびと運動や遊びをさせられるなどの大きなメリットがあるのです。
 
 今年度、道上小学校では教室の増築がされますが、教室を増やしても、校庭は狭く、休み時間に全員の子どもが遊びに出ないよう制限をしているといいます。体育館も全児童を集めての集会では、教員の移動が大変になるほどで、危険です。上千葉小学校でも、20分休みと昼休みで校庭に出る子どもを学年ごとに制限していると聞きました。
 学校選択制によって狭い学校に子どもたちを詰め込まなければならない、運動も十分にできない、こういう現状を放置するわけには いかないではありませんか。
 
 まちづくりに関わって次のような意見もありました。「人がどういう風にこの街で育っていくのか。子どもたちが、自分たちのこの街が大好きなんだ、この街に住む人たちが大好きなんだと、そういう思いがつながっていかなければいけない。街づくりをつなげていくのは、あくまでも地域の子どもたちである」というご意見です。
 この意見は、その地域に住む人たちが 子どもたちとかかわっていく中で子どもたちを育んでいく、そしてそういう子どもたちが やがては地域を支えていく、という問題提起がされています。
 それに対して区長は、「おっしゃる通り」と肯定し、「家庭と学校と地域が連携して、地域の子どもたちは 自分たちの子どもたちだという意識を持って育てていくことが 人間性の豊かな子どもを育てることになる」と答えていながら、学校選択制の弊害を認めず、見直しをする意思表明をしないのは、この発言の本旨をまったく理解していないと言わざるを得ません。
 今年度、学区域内の学校に就学した子どもが5割を切ったのは、小学校では4校、中学校では6校にもなっています。学校選択制によって地域と子どもたちの関係は、ますます希薄になっています。
 
 去年は、小学校・中学校のPTA連合会から 見直しを求める要望が上がっていましたが、地域としても子どもたちの安全を守ろうという観点から、また、まちづくりという観点から、町会長や自治会長、子ども会の関係者などからも学校選択制に対して見直しを求める声が日増しに強くなっています。
 来年度から杉並区、新宿区が教育環境の格差を拡大する傾向があるとして学校選択制を見直します。
 学校選択制によってもたらされている弊害に目をそらさず、区民の声を真摯に受け止め、学校選択制を見直すべきです。答弁を求めます。
 
2、 熱中症対策について

 次に、熱中症対策について質問します。
 昨年5月〜9月までの本区における熱中症による救急搬送は、人口10万人あたりで32人、一昨年の43人を下回りました。
 昨年、熱中症対策として、冷却スカーフを要介護3以上の高齢者や難病などの方を中心に個別訪問で配布、さらに要介護1以上の方等を中心にした窓口配布によって、合計約7000人に配布されました。
 地区センター等における一時涼み所の開設もされました。
 こうした取り組みによる効果があったと思いますが、区長あいさつでは、今年の対策として冷却スカーフの配布は 触れられませんでした。
 昨年の取り組みに加え、冷却スカーフと熱中症の危険度を表示できる「携帯用熱中症計」を 15,000人の一人暮らし高齢者も対象に加え、個別訪問によって配布し、窓口配布では、要介護1以上だけでなく高齢者全体を対象にしてはいかがでしょうか。
  
 生活保護世帯に対しては、冷房機器購入設置経費を一時扶助として支給できるよう国に求め、都に対しては、昨年、実施した冷房機器設置支援事業を継続するよう、そして生活保護世帯だけでなく低所得世帯にも対象を拡大するよう求めるべきと思うがどうか。

3、 環境対策について

 次に環境対策について質問します。
 まず節電対策です。
 LED電球の事業所向けの助成は継続されていますが、区民向けの助成は終了し、商店街の景品としての対応となっています。産業振興に結び付けることも必要ですが、景品として扱う商店街が限定されていることや景品が当たらなければ節電対策にも結び付きません。
 区民向けの購入助成は、前年度補正予算で5600万円を計上していながら、実績は、2100万円にとどまっています。区民向けの購入助成を復活し、さらなる普及をはかるべきと思うがどうか。
 楽しく節電できる工夫も必要です。「無理なく、無駄なく、楽しく節電」のアイデアを募集している自治体もありますが、本区でもかつしかエコライフプラザに「楽しく節電するコーナー」を設けてはどうでしょうか。
 また「見える化」も重要です。区長は、電気使用量などがわかる省エネナビを貸与する事業を 拡大実施すると言われました。この事業は、エコファミリーに登録していることが前提ですが、登録者のわずか8%しか貸与を受けていません。  
 拡大すると言うならエコファミリー登録者全員に省エネナビを設置していただく取組みにしてはどうか。答弁を求めます。

 7月から家庭や市民発電所などで生み出される電力を 電力会社が安定した価格で買い取ることを義務づける 電力固定価格買い取り制度が始まります。このことによって、太陽光発電への関心が今以上に高まることが予想されます。  
 現在、公共施設をはじめ事業所や戸建住宅も含めて全部で約1400件の設置がされているとのことですが、戸建住宅への普及率は、2%以下になります。
 区の助成と合わせ国や都の助成を受けても 住宅用の平均3.5kWでは、設置費用に100万円前後かかります。
 本区の設置助成は、kW8万円ですが、墨田区はkW10万円、新宿区はkW14万円です。
 
 初期費用をゼロにする取組みも進んでいます。
 長野県飯田市では、市民の出資等で地域のエネルギー会社「(株)おひさま進歩エネルギー」を立ち上げ、一般家庭にゼロ円で太陽光パネルを設置する「太陽光市民共同発電事業」を実施しています。
 9年間は月額料金が必要ですが、節電や省エネに取り組めば売電収入が増え 負担は軽減できますし、10年目からは譲渡されますので、売電したものはすべて家計収入となります。
 この事業によって 飯田市の太陽光発電設置の世帯普及率は 3.6%にまで増えています。  
 世田谷区では、太陽光パネルの一括購入で低価格で提供します。さらに電力固定価格買い取り制度を活用すれば 10年間で導入コストと相殺できるとして、実質負担ゼロにする「せたがやソーラーさんさん事業」を8月から実施し、1000棟を目標にすることが報じられていました。
 助成額を引き上げることや 飯田市や世田谷区の取組みなども参考にし、本区でも太陽光発電の設置世帯を思い切って増やしていく事業を 展開してはいかがでしょうか。

4、放射能対策について

 次に、放射能対策について質問します。
 野田首相は、関西電力大飯原発3号機、4号機の再稼働の実施を表明しました。「福島を襲ったような地震・津波がきても事故を防止できる対策と体制は整った」といいますが、福島原発事故の原因究明もすすまず、安全対策も避難計画もあいまい、原子力の規制機関もありません。
 これで事故防止ができるというのは、まさに安全神話の最悪の復活に他ならず、国民の命と安全を危険にさらすものです。
 わが党は、大飯原発の再稼働に断固反対です。原発ゼロへの政治決断を政府に求めるものです。
 
 さて、原発事故による放射線被害に対する不安の声は、ますます広がっています。
 高砂地域の方から「3歳の子どもがいる。放射線量が高いので、子どものためにも沖縄への転居を考えている」と相談がありました。事故から1年以上経った今でも転居を真剣に考えている区民がいることをリアルに見なければなりません。
 ある小学校近くの公道では毎時2.3μSvを記録し、ある民有地では、毎時3.87μSvが記録されました。公道の方は除染されましたが、民有地は放置されたままです。
 柴又地域のあるマンション管理組合では、区に測定や除染を要請しましたが民有地であるとして拒まれ、組合として放射線対策委員会を設置し、独自に測定、業者に依頼して除染、高圧洗浄機も購入し、つい先日、自主的に学習会を開催しました。この学習会では、区の対応についての不満も話題になっていました。
 町会単位でも、「放射能から子どもを守る」ことを目的にした住民団体も 自主的な測定や除染、各種学習会を開催し、そこに多くの区民が参加しています。
 この背景には、依然として、本区の放射線量が他区と比較して高く、測定によって新たなホットスポットの確認などが続いているからです。
 
 今年度になってから、高圧洗浄機の区民向けの貸与、学校給食のサンプル調査の実施、食品検査機器を国から貸与をうけ検査ができるようにする、などの報告を受けましたが、施策の小出し感が否めません。どうしてこうなるのか。
 これまでも繰り返し指摘してきましたが、除染基準があまりにも高いからです。近隣自治体ではどうか。台東区は毎時0.23μSv以上を除染の対象に、三郷市、松戸市、野田市でも毎時0.23μSv、必死で除染に乗り出しています。
 ところが、本区では、除染の対象を地上1pで毎時1μSv以上とし、それ以下は「問題ない」という態度に固執しています。こうした態度が、対策を遅らせている根源となっています。
 0.23μSvは、国の汚染状況重点調査地域に基づいた数値です。本区でもこの調査地域に該当していることを認めているにもかかわらず、毎時1μSv以上としているのは矛盾しているのではありませんか。
 現行の除染基準では、区民の不安を払しょくすることは絶対にできません。まず、除染基準の見直しをすべきです。答弁を求めます。
 
 そのうえで、今後の改善策を求めたいと思います。
 1、公共施設の測定を引き続き行うとともに通学路の総点検を喫緊の課題として実施すること。
 
 2、水元公園は、葛飾区を代表する緑と水辺の憩いの場です。しかし、いたるところで放射線量が高い所が目立つ場所になっており残念でなりません。つい先日、駐車場の奥の植え込みの土から1sあたり11万2千ベクレルの放射性物質が検出されました。
 ある保育園では、いまだに水元公園での散歩は控えているそうです。
 都立公園ですので東京都に対して、放射線の測定と除染作業を求めること。都が実施しないなら、本区が作業に取り組み、その費用を都に求めること。
 
 3、検査機器は、国からの貸与一台では、不十分です。区民の求めに応じて必要な時に必要な検査を受けられるように、独自に購入し、検査体制を強化すること。
 
 4、学校、保育園等の給食の検査を委託して年3回行う計画は、極めて不十分です。
 江東区では区の保健相談所で給食の前日に検査、夕方には結果がでるとして、年16回の検査を行います。
 「絶対有害なものは混入させない」ためにも検査体制を強化すること。
 
 5、高い放射線は雨どいの出口に集中しています。直接触れないようにするためには、こうした雨どいを直接、下水道や雨水ますにつなげることが、有効です。そのための「雨どい改善助成」を創設すること。
 6、全会一致で採択された請願にもあるように子どもの尿や血液の検査など、健康診断を実施すること。
 
 7、以上あげた対策のすべてについて、国と東電に保障を求めること。そして区民が除染の費用を国や東電に求めるための窓口を作ること。
 以上、区長の答弁を求めます。
 
 以上で質問を終わりますが、答弁いかんによっては再質問を行うことを表明し、終わります。

【再質問】
@ 学校等の震災対策、非構造部材の総点検について
 非構造部材の総点検、改修について、区長は新基本計画に位置付けて取り組むといわれた。緊急提言では、学校構造体の損傷が軽微な場合でも非構造部材の被害が生じていることを指摘しています。たとえば、震度5強の地震により天井材が崩落、鉄製の照明カバーが落下、これによって女子生徒1人が8針を縫うけがをし、生徒19人が打撲等で病院に行った、という事例もあります。
災害はいつ起きるかわかりません。日中、子どもたちが勉強している時間におきるかもしれません。窓ガラスの破損で、けがをする。そんな不安を抱えたまま、勉強がすすむはずがありません。
したがって新基本計画まちではなく、子どもたちの命と安全を守るために、前倒しをして総点検をいそぐべきではありませんか。

A 放射能対策について
 汚染状況重点調査地域の指定を受けていないといわれたが、これほど法の主旨を理解していないものはない。汚染状況重点調査地域は自治体からも希望することができる。国は自治体に意見をもとめているが、昨年、11月16日、区長名で提出した環境省への意見では、汚染地域に該当することを認めながら、国が金をだすかどうかわからないから希望しないと言っている。
 だいたい子どもたちの命と健康を守ることと、国が金をだすかどうかがわからない、ということを天秤にかける問題なのでしょうか。
 事故を引き起こした加害者ははっきりしている。東京電力であり、それを国策として進めてきた国ではないのか。請求先ははっきりしている。
 汚染状況重点調査地域の指定に該当することを認めるならば、その地域の指定を受けて、除染基準を0.23μSvにして対策をたてる。其の費用は東電と国に請求する、区民の命と健康を守る自治体としての当然のスタンスではないか。