2012年第3回定例会区政一般質問 質問者 中江秀夫
区民の立場で「基本計画」(案)の見直しを
医療環境の充実、新金貨物線の旅客化を求める



【目次】
1、 基本計画(案)について
 (医療環境の充実、新金貨物線の旅客化について)
2、 高齢者福祉、低所得者支援について
3、 放射線対策について
4、 いじめ問題について
【再質問】

1、基本計画(案)について
(医療環境の充実、新金貨物線の旅客化について)

 日本共産党を代表して、区政一般質問を行います。
 通常国会が閉会しましたが、国政はまさに目を覆うばかりの惨状ではないでしょうか。国民の多数の意見に全く耳を傾けず、民主、自民、公明の3党の談合で消費税増税だけを決めてしまい、社会保障の一体改革はかけ声にすぎません。しかも、よくなる方向は全く見えません。
 原発推進に対する国民の怒りは首相官邸前抗議行動とともに各地で広がっています。にもかかわらず、2030年代までに原発ゼロをと努力目標を言い始めました。
 アメリカ言いなりの外交姿勢は、世界一危険なオスプレイの低空飛行訓練に全国知事会が反対し、普天間基地配備には沖縄で史上空前の抗議集会が行われたばかりです。
 石原都政の長期計画も、オリンピックをてこにして三環状道路建設という巨大開発を進め、外国の法人税を免除し、企業誘致を目玉にしています。その一方で、肝心な都民生活の深刻さの解決に全く目を向けようとしません。
 こうした悪政が吹き荒れる今だからこそ、最も身近な区政が区民の切実な願いに応えることが、ますます求められています。
 それだけに、新基本計画の中に区民要求がどれだけ反映させることができるかは重大なことです。これまで基本計画策定に当たり、まず中間まとめの策定後、区民の意見を聞く会を開催し、素案をまとめ、パブリックコメントが行われました。そして、基本計画(案)が示され、それぞれ指標や数値などが記載されました。
 新基本計画(案)には、我が党としても繰り返し要求してきた防災問題、再生可能エネルギー問題を重視し、今度の案では新たなプロジェクトに子育て環境の充実を加え、中でも保育待機児のゼロを目指すことなどは歓迎します。区民との協働、パートナーシップによる計画の推進と副題でうたっているのですから、当然の手順ととらえています。
 しかし、切実な住民の願いが渦巻いており、これで十分とは到底言えません。

 まず、区民が切望している課題を一たんは打ち出し、取り下げてしまった問題です。
 その第1は、区内医療環境の充実についてです。中間まとめでは、放射線がん治療の撤退という事態も踏まえて、高度な医療サービスが提供できる医療機関の誘致を掲げました。これは時宜にかなったものでした。
 ところが、素案でも、案でも放射線がん治療の撤退という事実に目を閉ざし、真に必要とされる医療を見きわめる、多角的に検討と重大な後退をしてしまいました。なぜ具体性が欠如してしまったのか。高度な医療サービスが提供できる医療機関の誘致は本区にとって必要なことだと思いますが、区長いかがですか、答弁を求めます。

 第2に、新金貨物線についてです。
 これは、当初、中間まとめで記載されていませんでしたが、区民からの意見で素案に記載されたものです。ところが、最新の案では、何と削除してしまいました。このことは、これまで新金線旅客化のために折衝してきた各方面に、葛飾区としては10年間、白旗を揚げましたとサインを送る最悪の対応だと言わなければなりません。
 新基本計画を検討している今、その結論なるものを受忍したままでいいのか。今こそ、あらゆる知恵や努力、区民との協働で打開し、実現に向かって努力しようという意思を明示すべきです。答弁を求めます。

 次に、切実な区民要求に積極的に応えるための重点課題についてです。
 第1は、高齢者福祉になぜ光を当てないのかということです。
 計画策定の視点で、人口推移と少子高齢化への対応の必要性を説き、平成23年度の高齢化人口は21.8%、計画最終年の34年度には24.8%へ急増すると警告し、長期的な変化を見通し、各種施策を構築とあるのに、なぜ具体化がないのでしょうか。
 我が党は、老人福祉費の1人当たりの額が23区最低という状況が何年も続いている事態から脱却するためには、他区と比べ劣悪になっている制度の充実が必要と訴えてきました。それは区民の切実な声だからです。ところが、この声に誠実に応えないどころか、福祉の心を置き去りにして、自己責任論に凝り固まった新自由主義的自治体運営に徹してきました。この無責任な姿勢が、できるだけやればいいとする原因になっているのではありませんか。
 特別養護老人ホームなど高齢者入所施設の不足は深刻で、この解決が急がれています。高齢化する障害者、また、その親御さんの高齢化も深刻であり、グループホーム、ケアホーム、また通所施設の増設は待ったなしの緊急課題です。
 区長、みずから行った分析と方針に従って高齢者対策もプロジェクトとして格上げし、計画化すべきと思いますが、いかがでしょうか。

 第2に、あらゆるセーフティーネットが壊され、格差と貧困がかつてなく広がっているもとで、低所得者対策を鮮明に打ち出すべきという点です。
 今、生活保護に対する異常なキャンペーンが続いています。同時に、そのセーフティーネットから漏れて、病死や餓死など貧困によってとうとい人命が絶たれ、また、孤独死も広がっています。新基本計画(案)でも、地域福祉の課題で毎年200名を超える不審死を問題点として挙げているのに、なぜ低所得者対策として新たな計画事業は一つもないのでしょうか。格差と貧困の拡大、本区の現実に照らし、この分野に光を当てプロジェクトとして取り上げるべきと思いますが、いかがでしょうか。

 第3に、産業プロジェクトが観光に特化されていいのかということであります。
 言うまでもなく本区は中小企業のまちであり、物づくりの歴史とともに歩んできました。確かに、産業構造の変化や企業の海外移転などの空洞化が進んでいますが、それでも都内でも有数の工業集積地として、また、すぐれた技術力によって支えられています。この条件を一層発展させるため、区がどういうイニシアチブを発揮すべきなのかが問われます。
 この夏、私は浜松市を訪れ、市の産業振興課長の話を聞く機会を得ました。浜松市は、大企業もありますが、圧倒的大多数は中小企業で、自動車下請関連がひしめいているという本区との共通点があります。
 その浜松市は、産業の空洞化対策と地域産業の発展を目指し、昨年、浜松産業イノベーション構想を策定しました。その最大の特徴は、次世代の自動車が確実に電気自動車に取ってかわることを前提に、市が呼びかけて市内の中小企業とチームをつくり、自動車部品の開発を行っていることです。さらに、次世代自動車実験協議会を設立し、車両走行実験部会、部品・制御技術開発部会などをつくり、実用化の研究をしています。また、新産業分野として健康、医療、農業などをターゲットにした支援を行っています。本区の現状と比べると、このままでは中小企業の生き残りをかけた激しい競争に残れるのだろうかと不安になってしまいます。産業政策プロジェクトの抜本的見直しが必要です。答弁を求めます。

 第4は、まちづくりの発想を転換すべきです。
 まちづくりというと、駅前再開発や住民合意のない地区計画に熱中し、多額の予算を惜しみなく注ぎ込んできました。中でも、立石駅北口再開発は、何年進めても住民合意を形成されず、区として推進派に肩入れをしたため、地域コミュニティ壊しに区が加担するという、新基本計画に掲げる協働とは一体何なのかが問われています。
 私は、将来を見据えたまちづくりと言うなら、例えば補助138号線の整備に必要な中川にかかる新橋梁の建設を急ぐべきと考えます。三菱製紙跡地などの住宅供給増、東京理科大学の開学、新公園の供用開始、さらには将来を見据えた交通アクセス整備という観点に立てば、待ったなしの課題です。都市計画マスタープランにも必要とされたこの橋梁建設を新基本計画に明記すべきと思いますが、いかがですか。答弁を求めます。

 次に、新基本計画のプロジェクトとして本当に掲げるべきなのかと疑問のある問題であります。
 第1に、公共施設の効果的・効率的な活用についてです。
 まず、低利用率施設の見直しですが、なぜ低利用率の公共施設が存在するのか。それは、区の政策によって意図的に利用したくなくなるような制度改悪、新たな利用料金の設定など、区自身が原因をつくってきました。まず、区が取り組むべきことは、正当な目的をもって税金を投入して建設した価値ある施設を区民に利用してもらえるように努力することです。具体的には、旧敬老館は風呂を復活する、旧社教館などは本来の公民館と同じように無料で地域コミュニティの形成の場として開放すべきです。

 第2に、この見直しのプロジェクトには長寿命化も挙げられています。
 我が党区議団は、この間、学校の非構造部材に関して独自に各学校を回り、調査を行ってきました。昨年度の学校側からの修繕要望に基づいてヒアリングをしていくのですが、各学校側からの修繕要望は圧倒的に主要構造部に属するものが多いのが実態です。前年度の要望については、20校以上から雨漏りの改善が訴えられているのですが、うち教育委員会で対応されたのは、わずか3校だけでした。一部に学校対応とあるのですが、これは校長権限で行える応急処置のみであり、抜本的対策にはなりません。それどころか、ことごとく様子見などと先送りされているのが実態です。長寿命化というなら、学校現場の指摘を踏まえて積極的に対応すべきと思いますが、いかがでしょうか。

 第3に、施設の転用、統廃合も打ち出されています。5月11日に行われた教育委員会で、露骨に学校名も挙げて小・中学校の統廃合論議が行われていました。私は、こうした一連の動きを見てみますと、このプロジェクトに掲げた最大の目的は、学校統廃合のためのプロジェクトなのかという気さえしてきます。言うまでもなく、公共施設で最大の割合を占めているのは、ほかならぬ学校です。現場からの修繕にまともに応えようとしないのは、こうしたねらいからくるものではないかという疑念さえ生じてきます。答弁を求めます。
 そして、庁舎建てかえプロジェクトは何をか言わんやです。まともな区民的議論も、合意もなく、ましてや選挙で審判も受けていない大問題の計画化、重点プロジェクトとして計画することは絶対に許されるものではありません。
 以上、新基本計画が区長の賢明なる判断で改善されるよう、強く求めるものであります。

2、高齢者福祉、低所得者支援について
 次に、高齢者福祉、低所得者支援に関して、今直ちに改善を図らなければならない具体策について質問します。
 まず、保険料の問題です。
 6月に介護保険料、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料を一斉に値上げをした結果、区民からの苦情・問い合わせが殺到しました。介護保険料では、窓口及び電話を合わせると1週間で1,753件にもなり、23区では3番目に多い件数になっています。それだけ保険料値上げが深刻なものであることがわかります。国民健康保険料と後期高齢者医療保険料は、窓口だけですが、1,000件を超えています。他区の状況を見ますと、電話件数は窓口の二、三倍ですので、電話での件数をカウントすれば相当数の件数になっていることがうかがえます。
 私どもの控え室には、区役所に電話をしたが怒りがおさまらないと抗議の電話がありました。この方は、介護保険料と国民健康保険料、そして公共料金を引かれたら年金の約半分がなくなる、どうやって生活しろというのかと言われました。まさに生存権にかかわる問題です。
 だからこそ、保険料の区独自の減免制度を再三要求してきたわけですが、区は拒んできました。特に国民健康保険料は毎年値上げです。前年度から保険料算定方式の変更に伴う値上げ軽減のための経過措置が設けられ、2割の方が対象になっているものの、それでも値上げです。この経過措置が来年度どうなるかはわかりません。しかも、新基本計画では一般会計から国民健康保険事業特別会計への繰入率を10年間で2.5%削減するとしています。なぜ削減できるのか、答弁を求めます。
 今まで、高い保険料が払えず、4世帯に1世帯が滞納となっており、その結果、資格証の発行という事実上の保険証取り上げが横行しています。直近の数字では625件です。高い保険料が払えず、保険証を取り上げられ、病気になっても病院に行けない、そして重症化、死亡という悪循環に陥るだけです。資格証の発行は直ちにやめるべきと思いますが、いかがですか。
 介護保険料は、35%もの値上げです。区は、一般会計を使っての減免制度はペナルティーがあると言いますが、既に一般会計を活用して減免制度を実施している自治体はあります。
 区長、国民健康保険、介護保健、後期高齢者医療の保険料について、区独自の減免制度を実施すべきです。また、国民健康保険料の経過措置は来年度も継続すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 高い介護保険料を押しつけながら、十分なサービスが受けられる保障がないという問題もあります。
 今年度から、生活援助の単位が60分は45分に、90分は70分に変わりました。例えば90分の場合、掃除、買い物、洗濯が可能ですが、70分になれば、買い物に行けば時間的に余裕がなくなります。結局掃除の時間を減らさざるを得なくなり、トイレやお風呂、部屋の中が汚れてくるそうです。60分から45分になった場合、調理する時間がなくなるために宅配弁当に変える方も出ています。時間が短くなれば、これまでヘルパーと利用者が一緒にやったこともできない、大切な会話の機会も奪われるなど、自立支援に逆行する事態が生まれています。
 この生活援助の時間短縮にあわせて、区は、特定高齢者を対象にした高齢者生活支援サービスも時間短縮をしましたが、実態を無視した便乗改悪そのものです。もとに戻すべきではありませんか。
 特別養護老人ホームの増設は、喫緊の課題です。区は本人や住宅の状況などに点数をつけ、13点以上であれば優先的に入所できる基準を設けていますが、13点以上でも今600人を超える待機者がいます。施設建設のおくれは明白です。
 しかも、この優先入居基準には重大な問題があります。それは、13点以下の方に対して優先入居基準に該当しませんでしたと通知し、点数に変更があったら再度申込書を提出してくださいと促していることです。これは入所申し込みを抑制するものであり、改めるべきと思いますが、いかがですか。
 特別養護老人ホームの待機者をどう見るかは、人間の尊厳のとらえ方にもかかわってくる、いわば自治体として福祉の心があるのかどうかが問われるものです。したがって、基準をつくる場合、本人の状況がどうであるかに最も重きを置かなければなりません。
 足立区や江戸川区は、認知や問題行動、年齢、入所待ち年数も加点の対象となっており、本人の状況が全体の46%から60%の点数を占めます。本区の場合は要介護度だけですので、わずか31%です。改善が必要です。
 特別養護老人ホームは、待機者解消に見合った増設計画を持ち、入所基準は要介護者自身がどういう状況にあるのかを判定の基礎に置くべきと思いますが、区長の答弁を求めます。
 基本計画では、介護が必要になっても、高齢者が住みなれた地域でいきいきと安心して暮らせるようにしますとあります。安心して暮らすためには、介護だけでなく、医療も在宅で保障されることが必要です。
 東京都は、看護士復職支援事業として、有資格者に対する研修を実施しています。訪問看護師は2日間の研修を受けて復帰できるというもので、受講料は無料です。そこで、区が有資格者で離職している方への案内を積極的に行い、研修後、受け入れた事業者への賃金助成をするなど独自事業を実施し、訪問看護師を養成してはどうでしょうか。答弁を求めます。
 最後に、低所得者支援ですが、これは現計画と同じ生活保護が中心です。
 計画案では満足度が49%から51.4%に上がることになっていますが、政府は生活保護見直し方針を閣議決定しています。生活保護費が削減されれば、当該者にとっての満足度は下がることになります。そうではなく逆に上がるということは、この満足度調査が当該者の声を反映していない意味のない調査であるだけでなく、保護費削減をよしとする生活保護改悪のためのキャンペーンになりかねない危険なものになるのではありませんか。こんな調査はやめるべきです。区長の答弁を求めます。
 この間、私どもは、法外援護の復活、就学援助の基準改善、敬老金、寝たきり高齢者の介護手当などの支援策を提案してきましたが、こういう独自の施策を講じてこそ低所得者支援としての満足度は上がるのではありませんか。答弁を求めます。

3、放射線対策について
 次に、放射線対策について質問します。
 まず、汚染状況重点調査地域の指定についてであります。
 この間、我が党は、この調査地域の指定を受けるべきだと要求してきましたが、区は、除染の基準や国の補助内容が不明である、面的対策は不要と言い、拒んできました。しかし、そんな言いわけはもはや通用しません。
 私は、この間、調査地域の指定を受けた柏市、松戸市などの関係者からお話を伺いました。指定を受けると除染実施計画を策定しますが、地上1メートル、小学生以下の子供の生活環境では地上50センチメートルで毎時0.23マイクロシーベルトを超えたところは、国が全面的に助成をし、公園などの芝生の張りかえや戸建て住宅での壁面の清掃や拭き取りも国の助成対象となります。
 国の除染基準も助成内容も明確なのです。松戸市も柏市も、文部科学省の航空モニタリングの調査結果とともに、独自に測定した数値をもとに除染実施計画を策定しています。
 本区の場合も、航空モニタリング調査では、汚染状況重点調査地域の対象となる地上1メートルで0.23マイクロシーベルトを超えている地域があります。そして区自身の測定でも、江戸川河川敷や奥戸総合スポーツセンター、水元公園内における中央広場でもガイドライン基準を超えているのが現状ですし、地上50センチであれば面的汚染は明らかです。
 調査地域の指定を受けた場合、区が対象地域を定めることができます。さらに、ほかの管理者の区域であっても、計画を策定した自治体が権限を持つことになります。
 川向こうのみさと公園では、三郷市の除染実施計画に基づき、埼玉県が公園の除染を実施している最中です。つまり、水元公園の除染は、葛飾区が都に対して実施を求める権限を持つということになるのです。そうしてこそ、文字どおり葛飾区が誇る水元公園をよみがえらせることができるし、安心して住み続けられる葛飾区にしていくことができるのではありませんか。本区でも汚染状況重点調査地域の指定を受けるべきです。区長の答弁を求めます。
 こうした近隣自治体での放射線対策は、徹底した測定と除染から、食の安全、子供たちの健康管理、外部被曝だけでなく内部被曝など、住民要求に応えた取り組み内容に広がっており、既に住民が食材を持ち込んで検査できる体制がつくられています。独自に食材等の検査機器を学校区ごとなどに設置し、体制も整えるべきと思いますが、いかがですか。
 放射線は測定しなければわかりません。そして、人体への影響もすぐにはあらわれません。チェルノブイリ事故でも発症は3年、5年たってからです。取手市ではホールボディーカウンターでの測定に対する助成を実施しています。松戸市、柏市ではこれから実施されるようですが、本区でも同様の施策について検討するとともに、尿検査や血液検査、甲状腺エコー検査などについても支援すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 さて、放射線対策の最後に、人口動態についてお聞きします。
 柏市は、2005年の合併で40万人都市になって以来、人口はふえ続けてきましたが、東日本大震災以降人口が減少し、昨年8月からことし4月までに3,000人も人口が減ってしまったのです。
 市長は、原発事故直後、放射線対策について、特段の対策は必要ないと消極的な姿勢でしたが、人口減によって、事故当初の対策は失敗だったと総括し、放射能汚染と市の人口減少傾向の因果関係も認めました。市長は、子育て世代の市外流出や不動産取引の減少に伴う地元経済の影響など、大きな危機であるとし、汚染されたまちという柏のイメージを覆す懸命な努力をされています。
 本区も震災前までは人口が増加していましたが、昨年7月以来、1年間で2,000人以上減少しています。このままでは、まちづくりも、観光も、産業も低迷していくのではないかと心配です。本区も人口減という現実を直視し、本腰を入れた対策をとるべきと思いますが、区長の所見を伺います。

4、いじめ問題について
 次に、いじめ問題について質問いたします。
 滋賀県大津市で起きたいじめ・自殺事件は大変深刻で、悲しい事件でした。区長も挨拶の中で、いじめを根絶し、子供の命を守りたいということを表明されました。私も2人の小学生の子を持つ親として、二度とこうした事件が起こらないよう力を尽くしていきたいと思うところです。
 区は、この事件を受けて、教育長名で小・中学校と幼稚園に「いじめ問題に関する指導の徹底について」という文書を出し、子供たちにも緊急のメッセージを送ったと伺いました。しかし、区教育振興ビジョンにはいじめ・不登校についての項目はありますが、詳細な分析や検証はされていません。
 そこで、今までに区内で起こったいじめについて、なぜ起きたのか、どうやって解決したのか、解決できなかった事例はどんな要因があったのかなどの再検証を行うことが再発防止の力になると思いますが、いかがでしょうか。
 いじめ・自殺事件を機に、いじめた側に厳罰をと主張する人もいます。今月5日に、品川区教育委員会が出席停止制度の活用を求めたことが報じられていましたが、出席停止を厳罰という受けとめをされた方もおられると思います。確かに、教室の秩序を維持し、生徒の学習環境を確保するためには、毅然とした対応をすることは必要です。ただ、そのときに罰でおどすのではなく、なぜそのことが悪いのかを考え合うのが教育ではないでしょうか。安易な出席停止制度の活用は逆効果にもなりかねません。
 ですから、すべての段取りを大人がつけてしまったのでは子供の学びにもならないのです。いじめ克服に向かう体験は、どの子にとっても成長への学びです。その主体となるのは子供本人です。子供はどの子も皆、他者とつながり、自分自身と向き合うことで、必ず変化、成長するものです。それを支え、応援するのが大人の役割です。そのためにも、子供が教師と一緒になっていじめ問題に対応している学校がありますが、その取り組みに学ぶべきと思いますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。
 いじめが起こる背景には、今の学校や社会の状況が大きく影響していると言われています。例えば、学力テストで成績の点数を子供たちに競わせる、学校選択制で学校間で競い合わせる、いわゆる競争教育です。子供たちを成績で差別・選別することは、一人一人の個に応じた教育にならず、むしろ自己肯定感を弱め、自分自身の存在を否定することになるのです。教師たちが子供たちの微妙な変化を読み取り、集団で話し合い、情報交換やアドバイスを出し合いながら、教師がみんなで見守っていくことこそが必要です。そのためには、教職員間も管理強化ではなく、互いに信頼し合い、保護者とも一層緊密に連携できる関係を築いていかなければなりません。競争、管理、統制を強める教育振興ビジョンは抜本的に改める必要があることを指摘するものです。
 以上で質問を終わりますが、答弁いかんによっては再質問することを表明しておきます。

●再質問
 特別養護老人ホームの整備率が23区トップといって自慢していますけれども、ちっとも自慢になりません。23区でトップだというんだったら、待機者の解消をする、これをやって初めて自慢していただきたいと思います。本当に葛飾区は福祉の心がない、そのことを指摘しておきたいと思います。
 それでは、再質問1点だけさせていただきたいと思います。
 放射線対策についてでございますけれども、面的汚染はないとして汚染状況重点調査地域の指定を受ける考えがない旨、答弁をされました。しかし、近隣の自治体、先ほども紹介しましたけれども、国のガイドラインに基づいて、国の承諾を受けて除染実施しています。航空モニタリングだけじゃなくて、自分たちで測定をした数値に基づいてやっているわけです。先ほど、ことし3月の国による車によって測定したという数字なんかも出されていましたけれども、例えば江戸川河川敷における面的汚染も明らかで、河川敷における例えば野球場などの区有施設は約10万3,000平米、うち芝生は約7万6,000平米あるそうです。
 ことし2月、3月に区自身が測定をしたこの芝生の放射線量は、38地点中31地点で地上1メートル、毎時0.23マイクロシーベルトを超えています。区有施設の6割以上が国のガイドラインを超えているんです。これ、面的汚染明らかじゃないでしょうか。車でちょっと走っただけで、それを基準にするというのは、これは全然国の、そして区民の願いに全然合ったものではありません。誰もが納得できるように区長、説明してください。
 以上で再質問を終わります。