日本共産党葛飾区議団を代表して、区政一般質問をおこないます。
この間、アベノミクスと称して、さんざんマスコミがもてはやしてきましたが、当初急騰した株価も暴落と乱高下、一方、円安の影響で生活必需品や材料費が高騰し、国民のくらし、中小零細企業の経営が深刻な事態となっています。
わが党は、いま行うべきは、大企業や富裕層の「富」を社会に還元させ、働くものの賃金を引き上げ、下請け中小企業への単価切り下げを改めさせ、消費を活性化させることこそ必要であり、日本経済を大本から切り替えることを求めてきました。もちろん、消費税増税はやめるべきです。
わが党区議団がとりくみ寄せられた1800通余の区民アンケートでは、暮らしが「苦しくなった」と答えた人が64.1%、「変わらない」が34.2%と景気回復の兆しはみられません。収入面では年金や給与等は減り続け、支出の面では健康保険料や介護保険料が上がったからという人は37.3%とトップ、続いて公共料金、医療費、税金の値上げ、負担増が家計を脅かしていると回答をよせています。これは区政も含めて行政が家計に深刻な打撃を与えていることの現れではありませんか。
また、区政に望んでいることは、第一に高齢者福祉の充実が47.0%で、第二に医療37.4%、第三に防災28.7%、そして第四に子育て支援27.3%でした。こうした要望にどう応えていくのか区政に求められています。しかし、3年半の現区政は、このどの分野でも区民との矛盾が激しくなっています。
以下、具体的に何点か伺います。
1、国民健康料について
まず、国民健康保険料についてです。
現区政になって国保料の算定方式を旧ただし書き方式に変更した結果、たとえば、年金収入200万円の2人世帯では、住民税方式であった2010年度と今年度の保険料を比較すると63,840円から85,886円へと1.35倍、22,046円も値上げになっています。
給与収入200万円の2人世帯では、91,233円から157,204円へと1.72倍、65,971円もの値上げです。
一方、年収が500万円を超える世帯では、住民税方式と比較しても、保険料はさほど変わりません。
保険料が安定するとか幅広い層の負担と言いながら、結局、低所得層に大幅値上げを押し付けているのが実態ではありませんか。
しかも、この値上げは単に医療費が上がっているからではありません。
旧ただし書き方式への変更後に2年間実施してきた激変緩和を区長会が廃止し、さらに一般財源の繰り入れを意図的に減らしていることです。この二つを合わせて5億3千万円にもなります。
今月、大幅値上げとなった保険料の通知が一斉に届きます。
急激な円安による、電気・ガス代などの値上げなどによる物価高に加えて、こんな時に「保険料がまた値上げ」。多大な影響がおよぶ区民の驚きや落胆の気持ちに、区長は痛みを感じませんか。
保険料が値上げになればなるほど、払うことが困難になります。一方、徴収する区自身が、保険証の取り上げや差し押さえなどで区民生活を脅かすことになり、本末転倒です。
先の第1回定例会で、区長は23区区長会で保険料の決定過程について「特段発言しなかった」と答弁されました。大幅値上げを黙認するなどとんでもありません。値上げを避けることが、自治体としての仕事ではありませんか。
一般財源を投入し、保険料の値上げを抑える努力をすべきと思いますが、区長の答弁を求めます。
2、特別養護老人ホームの待機者問題について
特別養護老人ホームの待機者問題はどうでしょうか。
昨年の区の調査で、6年間の間に700人余もの人たちが入所できずに、亡くなっていたことが明らかになりました。1人暮らし、あるいは老老介護のもとで、どれだけ待ちわびながら入所できずにいたことか、区長の責任は重大です。
今年二つの新しい特別養護老人ホームが220床分開所しました。2月末には1594人が待機者となっていましたので、現在の待機者は少なくとも1000人をはるかに超えています。区の計画では、2015年度までに2施設180床分しか計画はありません。これでは、無念に亡くなる方々をふやすだけです。
区長、特養ホームの増設は待機者解消に見合った計画にするべきと思いますがいかがでしょうか。
3、子育て支援について
子育ての分野はどうでしょうか。この間、全国的にも、23区でも、認可保育所が不足していると大きな社会問題となっています。入所できない保護者が集団で不服審査請求を行ったことがニュースになっていましたが、その特徴は、認可保育所に入所を求めているということです。
先ほど、区長は所信表明で、今年4月1日現在の待機児童は38名だと述べました。前年度に比べ、確かに待機児童数は減りました。しかし、この数字は、認証保育などに入所した子どもを除いた数字で、都の新基準によるものです。本来の待機児童数である以前の基準、つまり、認可保育所に申し込んでも入れなかった児童数はいったい何人なのですか。お答えください。
この待機児童は、日を追うごとに増え、この間毎年秋口になると500人規模となります。
わが党区議団の区民アンケートには、「現在、育児休業中。職場復帰のために区に問合せをしたら『保育所に入れない場合は、認可外の保育所などにいれるか仕事をやめて下さい』と言われた」と寄せられています。
先ほど区長は、「必要な地域に可能な限り早急に」と言われましたが、これでは一気に待機児解消はできません。基本計画で待機児ゼロと示しているのですから、待機児解消に見合う認可保育所を抜本的に増設すべきです。いかがですか。
さて、この認可保育所をめぐって、現在区は「子育て支援施設の整備方針(案)」をしめし公立認可保育所を、一部を除いてすべて民間に譲渡し、民設民営で建て替えを進めることを表明してきました。これは、主に財源を理由にしたものですが、法改正によって、その財源確保は全く不透明であることを指摘してきました。そして、先の定例区議会では、わが党が公立保育所の建替えについて都の独自補助を求めたことについてふれ、区の姿勢を質しましたが、「主管課長会で十分議論してまいりたい」と答弁されました。
実際はどうでしょうか。議会に答弁したことを果たしていません。予算委員会では当時の部長が「区長と一心同体」とまで言い切ったではありませんか、区長は、議会で答弁したことを実行していないことについてどのようなご認識を持っているのですか、答弁を求めます。
23区区長会で話し合い、きちんと東京都に支援を求めるべきではありませんか。あらためて答弁を求めます。
区は、「子育て支援施設の整備方針(案)」に対するパブリックコメントを実施しました。区民からは「これでは整備計画ではなく、整理計画だ」と批判の意見が出されています。なぜなら、先ほども述べたとおり、一部の公立認可保育所を除きそれ以外は全部民営化、児童館も七つだけ残して後は廃止、それに伴い、つぶされた児童館内の学童保育クラブも民営化か廃止という、一言でいえば、区が担ってきた、子育て機能の放棄に等しい暴挙であると思います。
その最大の動機は、子育て支援の区の財政負担を縮小することであることがみてとれます。子育て支援施設の建替えをすすめていくことがムダだと考えているのなら、それは住民に対する重大な背信行為です。
こんな整備方針は白紙に戻すべきです。答弁を求めます。
4、「葛飾区立学校の改築に向けた指針」について
小中学校の建替えも共通の考えなのでしょうか。
「葛飾区立学校の改築にむけた指針」を年度末にまとめましたが、庁舎は60年しか持たないと決めつける一方で、学校施設は、75年使用できるように長寿命化で対応しようという考えです。本当にメンテナンスを強化した予算になっているかと言えば、学校からの修繕要望には十分対応せず、長寿命化の最大の敵である雨漏りへの対応にはまともに応えていません。昨年度、雨漏りの改善要望が16校から寄せられていましたが、教育委員会は、「見送り」等で、実際に区が着手するのは4校のみです。これでは長寿命化とは、口先だけの号令に過ぎないではありませんか。
学校修繕予算を増やし、とりわけ、「雨漏り対策」は、要望の出たすべての学校を対象にすべきと思いますが、いかがですか。
そもそも、この指針でいう、適正規模なる定義自体わが党は疑義を持っています。将来の人口推計にてらして、どの学校をみても廃校にしなければならない学校はありません。もし、廃校にしなければならない学校があると仮定するならば、それは、他区で実際に生じた新入生の希望者が「ゼロ」となる場合です。しかし、それこそ学校選択制の弊害であり、その最大の責任は、教育委員会の失政であると断言しなければなりません。
小中学校の建替えを14校に限定し、統廃合をちらつかせるような態度をつつしみ、すべての小中学校の建て替えを前提とした、年次計画の策定こそ行うべきと思いますが、いかがですか。、答弁を求めます。
5、庁舎建替えについて
一方で、庁舎建替には一生懸命ひた走るという状況です。
区民生活が大変なときに、国保料の軽減のための税金投入は減らし、特別養護老人ホームは必要な数だけ増設をしない。公立認可保育園の建替えはケチるという姿勢です。その上、総合庁舎整備基金48億円の原資は、事実上、教育施設整備積立基金を後回しにして積み立てられたものです。
まずは、総合庁舎整備基金を、区民生活応援、公立保育園の建替えや教育施設整備積立基金に積み替えるべきと思いますが、いかがですか。
何故いま庁舎を建替えなければならないのか。
第一に、「耐用年数60年が目前で建替えが必要」だと理由付けをしていましたが、区自身がおこなったコンクリート劣化診断調査では、45か所中問題があったのはたった5か所でした。残りの9割は問題がなかったのです。必要な修繕をすればもっと長く使えるのです。
第二に、「災害対策本部を設置するにはIS値が足りない」というものですが、別に建物が倒壊するわけではありません。1981年6月の「新耐震設計基準」後に建築された建物は所要の耐震性能を保有しており耐震診断は不要としています。また、老朽化したと言われる荒川区では、すでに免震工法による耐震化が終了し、今後は設備機器について大規模修繕計画を策定し、計画的、定期的に大規模な改修を行うとしています。どこでも、こうやって莫大な税金を投入する庁舎建て替えはできる限り先にして、長く使うようにしているのです。
第三に、区民事務所が持つべき機能と区役所本庁との役割分担が今後、どうあるべきかという議論が固まっていないのに建替え先にありきとなっているのも問題です。
そもそも、区民の多数がこの建替えについてほとんど知らされていないというのが現状です。わが党区議団が行なった区民アンケートでも、約6割の方が計画そのものを知らないと答えています。
このように道理のない、庁舎建替えは凍結し、必要な修繕計画を持つべきではありませんか。時間をかけて区民的議論を行うべきと思いますが、いかがですか。答弁を求めます。
この庁舎建替えをいま行おうとする最大の理由は、区が強引に進めようとしてきた立石駅再開発をより反動的に打開しようという狙いが見えています。
この立石駅周辺の再開発は、もともと青砥・立石・四つ木間の連続立体交差化事業にかこつけて「座していてはすすまない」と再開発をこの連続立体交差化事業に組み込んだのです。その結果どうでしょうか。
区民の悲願である青砥・四つ木間の連続立体交差化事業は、都市計画決定以降12年の月日が経ちました。この事業における用地買収の進捗も再開発地域を除いて95%とすすみました。
補助274号線と京成押上線の交差する踏切にたって見てください。
線路のカーブを緩めるために巨大な空き地が原野のごとく荒涼と広がっているではありませんか。
一方、再開発地域の沿線は、こう着状態ですすまず、用地買収契約はわずか3件にとどまり、本組合の設立のメドもたっていません。
その様は、だれが見ても不自然であり、現在の青木区政の行きづまりを象徴しているかの如く見えます。
この青砥・四つ木間の連続立交の遅れは、高砂駅の連続立交にも影を落としています。この高砂駅の開かずの踏切解消をと関係する江戸川区、東京都、京成電鉄、そして本区で協議会を立ち上げ、その事業の推進をと80億円もの基金を積み立てました。しかし、立石がこう着状態のまま高砂の事業がすすむはずがありません。
この青砥・四つ木間の連続立交の都市計画決定にあたって、当時都市計画審議会の委員をしていた私は、「再開発と切り離さなければ、将来、足かせになる」と指摘をしました。結果は、予想した通りです。
一日も早くこの連続立交を実現するためにも、再開発を白紙に戻し、この事業と切り離すべきであることを重ねて強調するものであります。
6、病院誘致について
最後に病院誘致について質問します。
所管委員会に報告される資料を見ますと、本年4月18日に区東北部二次保健医療圏における病床数が642床不足しているということで、病院誘致はなんとしても実現にこぎつけたい課題だと考えます。
特に新小岩・奥戸地区における病床の減少は深刻で、誘致先が西新小岩地域の旧松上小学校跡地であることも好条件です。
よりよい病院誘致の実現のために知恵と力を合わせることが肝要だと考えます。
私は、5月2日に行われた葛飾区医師会の講演会に参加させていただきました。
区東北部においては、将来、総人口が減少する一方で、75歳以上の人口は、38%増えることから医療需要も高まり、回復期や後期高齢者向けの医療提供体制の充実が必要だという、本区の将来における医療の在り方について示唆に富んだものでした。
その点でも回復期リハビリテーション病床や医療療養病床等の医療機能をもつ病院誘致は、時宜にかなったものといえます。
しかし同時に、本区に求められている今後の課題からも、そこにとどまってはならないと思います。
なぜなら基本計画を策定する過程において、「中間のまとめ」では高度医療等が提供できる病院誘致を盛り込みましたが、その後削除されました。そのことについて、わが党の指摘に区長は、「高度医療はもちろんのこと、地域医療連携、周産期医療、救急医療、リハビリテーション医療、障害児医療、精神疾患に対する医療など、さまざまな視点から多角的に検討することで、区民にとって真に必要とされる医療を見きわめていく」「今後の超高齢社会を見据え、健康な区民生活に寄与できる将来の医療環境の充実を関係機関とも連携しながら幅広く検討」すると答弁されました。このことは基本計画にも位置付けられています。
まず真に必要な医療をどのように見極め、幅広く検討したのか、説明を願います。
本区の場合、がん死亡率が全国平均よりも高く、慈恵医大青戸病院が建替えに伴いがん放射線治療から撤退後、「がん治療の拠点病院」を求める声は本当に切実です。
今回の病院誘致にとどまらず、基本計画で位置づけた高度医療、周産期医療などについても整備を検討すべきです。
そのためにも東京都の支援を求めることが必要です。
私ども区議団は、さる5月15日、都庁へ行き、病院誘致の支援を求めて申し入れを行ってきました。東京都からは「できることは何でもやります」と回答がありました。
東京都は回復期リハビリテーション病床、療養病床の整備については支援をしていますが、運営費の支援はありません。
区民の切実な願いを実現するためにも、区として東京都の支援内容を抜本的に見直しすることを求めてはいかがでしょうか。答弁を求めます。
以上で、私の質問を終わります。
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