2012年度決算に対する反対討論 発言者 おりかさ明実
 日本共産党区議団を代表して2012年度一般会計決算および用地会計決算を除く諸会計決算に対する反対討論を行います。

 2012年は、東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故がおこった翌年であり、防災や放射能汚染に対する区民の意識が高まり、地域のコミュニティーの大切さを再認識させられた年でありました。

 国民を裏切り続けた民主党政権から、国民にレッドカードを突きつけられたはずの元の自民・公明の政権に戻りましたが、政権は変わっても、大企業を応援する一方で国民に対する社会保障の切り下げが連続する政治に変わりはありません。
 年金のさらなる引き下げが行われ、ひとり親家庭や障害者の手当も削ったその当日である昨日、安倍首相によって、さらに国民を痛めつける消費税増税強行が宣言されたことは、今の政治を象徴しているのではないでしょうか。
 
 国の悪政が続き国民のくらしがこれほど大変な時に、区には一番身近な自治体として悪政の防波堤となり、区民のくらしを増進することが求められています。
 しかし、2012年度決算は、国政の暴走をさらに増幅する区政であったことを露呈しました。
 国民健康保険、介護保険、後期高齢者医療保険の保険料の値上げが同時におこなわれ、介護保険料の値上げは35%とかつてない値上げになっています。
 会期中に区の高齢者住宅で白骨遺体が発見されるという衝撃的な事件がありましたが、高齢者に対する見守り、生活の支援は遅れたままです。特別養護老人ホームの待機者は現在でも1700人をこえ、6年で700人もの待機者がなくなっていたという事実は看過できません。

 子育てについても深刻な事態は解消されていません。認可保育所の待機児は今年4月も320人となっており、増設は待ったなしです。その上、「子育て支援施設の整備方針」では、保育所、学童クラブの民営化をねらい、児童館の廃館を進め、区が子育て事業から撤退していく方針を出していることを認めることはできません。
 
 教育に対してもゆがんだ行政が続けられています。
 今年、東金町周辺の学校で、選択制による周辺学校の定義の変更を昨年に続いて行いました。これは、区が旧三菱製紙跡地周辺の開発で巨大なマンション群を呼び込み、無秩序な街づくりをしてきた帰結であります。このような開発優先のまちづくりは、際限ない選択制のルール変更を余儀なくするもので、学校選択制は破たんが明確です。開発優先のまちづくりと学校選択制は、やめるべきです。
 確かな学力の定着度調査の結果がインターネット上で発表されているために、区の意図がどうであろうと、序列化され独り歩きしています。学校の序列化は、とりわけ子どもたちの心に多大な悪影響を与えています。また、学校選択制を行っていることとテストの結果が相乗的に作用し、風評を醸成し、競争をあおる結果となっていることは明らかです。
 
 安倍首相は、オリンピックのプレゼンテーションで「汚染水は、ブロックされている。完全にコントロールされている」といいました。誰がその言葉を信じるのでしょうか。
 葛飾区は、23区でも一番放射線の影響が強い地域であることは、いろいろなデータによって明らかです。しかし、区は汚染に対する認識が薄く、「面的汚染はない」とマニュアル通りのような答弁ばかりが目立ちます。
 近隣の自治体では、一ケタ違う放射能対策が行われており、この問題に対する区のやる気のなさが際立っています。これからも、放射線の影響は長く続き、子どもたちをはじめ、区民の健康に対する手立てが末永く求められています。
 測定は、観測ヶ所を減らさず行うべきです。通学路や民有地も能動的にホットスポットを探し出し、除染をするべきです。

 葛飾には存在しない部落差別をことさら強調し、同和行政を続ける異常さは他区には見られない区政の特徴です。あたかも葛飾の区民が、都内で一番部落差別の意識が高いといっているようではありませんか。仮奥戸集会を同和事業と位置付けて一部の特権団体に独占使用を認め続け、補助金をあたえ続けることは直ちにやめるべきです。
 また同様に、東金町運動場に特定のクラブチームへの優先利用を認めているのは、地方自治法の趣旨に反する重大問題です。このように次々と特権的利用を認める大元は、解同に特権を認め続けることと同質のものであると指摘しなければなりません。一部団体に特権を認めるルールなき公共施設の提供は、区民の信託を裏切るものであり、直ちに是正すべきです。
 
 区民が置き去りにされている区政の極みは、区役所の建て替え問題です。
 市民団体が区役所建て替え反対の署名に乗り出しましたが、多くの区民は10年後までの建て替えを知りません。区民合意のない建て替えを何故急ぐのでしょうか。
 災害に備えるためということなら、なぜ総合庁舎より古い学校を後回しにするのですか。学校は災害で区民非難のための最重要施設ではないのでしょうか。
 古くて狭いといいますが、新庁舎はまだ築35年。ほとんどの学校が新庁舎より古いわけですから、その論理で行くと、ほとんどの学校を10年後までに立て直さなければならないことになります。
 本来学校の建て替えのために積み増しするはずの教育施設整備積立基金を削り、区庁舎の建て替えのために積み増しているところにも、庁舎建て替えに前のめりになっている区の姿勢が表れています。
 10年後までの区役所の建替えは明らかに無駄遣いです。それよりも、いま、区民のためにやるべきことが沢山あります。総合庁舎の建て替え移転は白紙撤回すべきです。
 
 以上、日本共産党葛飾区議団を代表しての反対討論といたします。ご清聴ありがとうございました。