1、区長の政治姿勢について
日本共産党葛飾区議団を代表して区政一般質問を行ないます。
まず区長の政治姿勢についてです。
第1に、国政で大問題になっている秘密保護法案についてです。
秘密保護法案は、国家が強権的に情報を統制し、国民の知る権利と言論・表現を抑圧することを目的とし、日本国憲法の基本原理を根底からくつがえす悪法です。だからこそ、かつてない広範な個人、団体による反対と抗議の声が急速に広がっているのです。
衆議院段階では、与党と修正合意をした党も含めて、今や野党7党が共同して慎重審議を求め、世論調査でも法案に賛成は、わずか2割台です。
この法案については、自治体の長としても当然に反対の意思を表明すべきと思いますが、区長の見解を伺います。
第2に、先の区議会議員・区長選挙の投票率の低下についてです。
投票率は、41.66%と前回より5.78%下がりました。私は、2つの要因があると考えています。
1つは、地方選挙とはいえ安倍政権の暴走に対する区民の不信です。
消費税大増税、社会保障切り捨て、原発やTPP推進、集団的自衛権行使容認、秘密保護法案など、安倍政権の暴走は、多数の民意に逆らうものです。こうした政治への不信が投票行為に影響を与えました。
今ひとつは、区長自身が、「区政について区民のみなさんにもっと知っていただく努力をしないといけない」とマスコミに答えていること、そのものです。
今回の選挙で大きな争点となった区役所建て替え問題を区長は積極的に語ろうとしませんでした。
それだけではありません。公立の保育園・学童保育クラブ・児童館の大幅削減、高砂・小菅両保健センターの廃止計画など、区民の暮らしにかかわる重要問題を隠してきました。
逆に積極的に語り選挙をたたかった「住みよい葛飾をつくるみんなの会」の野口弘次区長候補は、36,699票、得票率25%という支持を得ました。これはわが党が区議会議員選挙で得た得票の2倍以上にのぼっています。
投票率の低下は、国政に対する不信、区政の重要問題をひた隠そうとする姿勢への不信の現れだと思いますが、区長の見解を伺います。
第3に、区役所の建替え計画についてです。
先ほど申し上げたように区長は、区役所建替え計画を積極的に語ろうとせず、むしろ隠して選挙をたたかいました。
一方、区議選では、区役所建て替え計画の白紙撤回や見直しを主張したのは、わが党だけではありませんし、庁舎建て替え反対実行委員会という団体から11,254筆の反対署名も提出され、マスコミも大きく取り上げました。
まさに争点でありました。
さる11月25日には、この団体と区長との話し合いも持たれ、この中で団体の代表から真っ先に出されたのが、「区役所建て替え計画をどうして選挙公約にしなかったのか」ということでした。
これに対して区長は、「まだ先の話だから今回の選挙での重要な問題だと考えていなかった」と答えました。
もしそうだとするならば、基本計画の重要プロジェクトに位置付ける必要もなく、計画そのものは白紙撤回すべきです。区長の答弁を求めます。
2、区民生活応援を・・・4つの提案
@特養ホーム、認可保育園の整備を
次に、区役所建て替えよりやるべきこと、区民生活応援について提案をいたします。
第一に、特別養護老人ホーム、認可保育園の整備についてです。
特別養護老人ホームの待機者は、7月1日現在で1786人でしたが、10月1日現在では1445人となりました。
7月以降、施設が増えたわけではありません。なぜ減ったのかといえば、入所を申請してから2年経過すれば期限切れとなり、再申請がなければ待機者数から除く仕組みを作ったからに他なりません。
仮に再申請を求めるならば、本人又は家族に通知をし、なぜ再申請が必要なのか、区職員が直接訪問し、理解を得るための体制を作るべきです。
優先入所基準も改善が必要です。
夫102歳、要支援2、妻95歳、要介護3のご夫婦、まさに老老介護です。妻は、人口肛門を装着していますが、両手がマヒし自分でパウチの装着や便だし、ガス抜きができません。それを要支援2の102歳の夫が看ているわけですが、週のうち1〜2回はパウチがはずれ、ふとんの中を汚してしまうことを繰り返しているとのことです。
今まで、利用できるサービスの活用でがんばってきたものの、限界を感じ特別養護老人ホームを申し込みました。しかし、優先入所基準の13点に達しませんでした。
なぜこういう結果になるのでしょうか。
それは判定基準が介護の実態に適応していないからです。
たとえば要介護者の状態が、介護度だけに限定され、その他のことが無視されています。同じ要介護3でも、要介護者の身体状況によって、あるいは認知症状の違いによっても介護の負担は変わります。
介護者が高齢であるかどうかは判定の対象になっていますが、65歳以上、75歳以上の2項目だけです。75歳と85歳では違いますし、100歳となればまったく違います。それを75歳以上は、すべて5点と切ってしまうのは不適切です。
優先入所基準を点数だけの書類選考だけにすれば、本当に必要とされている人が、切り捨てられてしまいます。
配点項目の抜本的見直しとともに、区の責任で調査員を派遣し、きめ細かな判定を行うべきです。
区長は、「特養の整備率は23区トップクラス」とよく自慢されますが、1400人を超える待機者がいることに胸が痛みませんか。この6年間で待機したまま700人を超える方がおなくなりになったことをどう思われて「トップクラス」と言われるのでしょうか。
前期実施計画で3施設・280人分を整備するという計画ではきわめて不十分です。待機者解消に見合った増設計画をもつべきです。それぞれ区長の答弁を求めます。
認可保育園もまったく足りません。
4月1日現在認可保育所に入れなかった児童は320人でしたが、10月1日現在642人にもなっています。
安心して子育ても仕事もできる葛飾区にするためにも、前期実施計画で掲げた、2016年度までに700人分の整備を、前倒しをして実施すべきです。そのためにも、民間だけではなく公設公営の施設も含めてスピード感を持ってとりくみ、一日も早く待機児解消を行うべきです。答弁を求めます。
さて、施設整備には土地の確保が必要です。
小菅1丁目地区では国有地を活用して特別養護老人ホームの整備の動きもでてきていますが重要なことです。
国有地だけでなく都有地の活用もはかるべきです。東京都は都有地の活用は、特別養護老人ホームや認可保育園の施設整備について「有効な手段だ」と、今すぐにでも使える区内8箇所の都有地を明らかにしています。
活用できる都有地は、ただちに要請すべきと思いますが、答弁を求めます。
A 国保、介護、後期医療の保険料引き下げを
第二に、国民健康保険、介護保険、後期医療の保険料の引き下げについてです。
国保料は、毎年値上げとなり、4世帯に1世帯が滞納という状況です。この10年間だけでも均等割りで約1.4倍、資格証の発行は5倍以上にもなっています。病気になっても病院に行けない、深刻な事態が生まれています。
さらに来年4月からの消費税増税は医療費負担増につながり、医療給付費全体が増え、保険料を押し上げることにもなります。
にもかかわらず、23区区長会は、低所得者の保険料軽減措置を来年度には大幅縮小し、さらなる値上げを押し付けようとしています。それだけでなく、高額療養費への一般財源の投入をやめるために一部保険料に参入したことも値上げの要因を作り出しています。
23区区長会で一言も発言せず、値上げを黙認することは許されません。軽減措置の拡大、高額療養費の一部保険料参入をやめることを23区区長会で区長自身が要求すべきです。
また、この間繰り返し要求してきましたが、23区区長会での国民健康保険に関わっての検討内容を区民、区議会に明らかにすべきです。
23区区長会の検討の都度、区議会に情報提供している区もあります。かたくなに拒否をする姿勢は、情報公開の流れに逆行します。区長の答弁を求めます。
後期高齢者医療保険料も来年度は大幅値上げが予想されます。介護保険料は、2015年度となりますが、昨年度34%もの値上げを実施し、区民生活を直撃しました。
これ以上の負担増にならないよう、区独自の軽減策を講じるべきと思いますが、答弁を求めます。
B 生活扶助、就学援助の引き上げを
第三に、生活扶助基準の見直しに関わってです
生活扶助基準の見直しは、今年8月に始まり、3年間で10%の切り下げが実施されます。この引き下げに抗議し提出された審査請求は1万件を超えています。
国民の最低生活を保障する生活保護制度が、その最低生活を脅かしてしまうとんでもない改悪です。
区として独自加算を実施し、区民生活を応援すべきです。
また生活扶助基準は、さまざまな制度の基準にもなっています。就学援助は、その一つですが、それ以外に影響をうける事業はどれだけあるのか。国は、生活扶助基準の見直しで「できる限りその影響が及ばないように対応する」ことを求めています。
これを受けて今までどおり受けられるようにしている区もあります。本区は、どのように対応するのか。
さらに就学援助への影響については、第3回定例区議会で、「調査・分析する」という答弁でした。その結果はどうだったか。影響がでないようにするための対策はどうか。
そもそも本区の就学援助の基準は23区最低です。現在の生活保護基準1.1倍から1.25倍へと引き上げるべきです。答弁を求めます。
C 放射線対策について
第四に、放射線対策についてです。
第3回定例会でも指摘をしてきましたが、区民からの通報に、除染まであまりにも時間がかかりすぎるという問題は、改善されておりません。
10月11日及び21日にホットスポットの通報を受け、区が測定し、その後の除染は、11月20日と40日もかかっています。それまでの間、囲いをして立ち入り禁止にすることもありません。
1カ月、2カ月まとめても構わないという考え方を改めるべきです。放射線は目に見えません。だからこそホットスポットは目でみてわかるようにするとともに、迅速な除染をすることが求められます。
区道・通学路について区は「日常の清掃で」と言ってきましたが、側溝などに雑草が生えているところや、私有地の雨どいから流れ出た雨水が溜まったL字溝など、共通して高い放射線量が確認されています。
区道・通学路を測定し、ホットスポットは除染すべきです。
私有地内は、区基準を超えても何もしないという態度は問題です。お隣の松戸市や三郷市などでは汚染状況重点調査地域の指定にもとづき私有地でも一定の基準にもとづいて除染など実施されてきました。本区は重点調査地域の指定に背を向けていますが、私有地でも所有者からの通報にもとづき対策を講じるべきです。
子どもの健康診断は、区議会で全会一致で採択をしました。健康診断の実施をあらためて求めます。区長の答弁を求めます。
3、同和対策の見直しを
次に、同和対策について質問します。
さる9月11日に同和対策事業に関する住民監査請求が区民から提出されました。その内容は、@仮奥戸集会所の解同支部による独占使用について、A解同支部への補助金の不法な支出について、B区長、総務部長からの謝罪について、の3点でした。
10月10日に監査が実施され、結論は、違法、不当ではないというものでしたが、付帯意見として、2つの意見が述べられています。
@ 低利用率施設は見直しの方針があり、「仮奥戸集会所の集会所としての利
用率は平成24年度で21%であり、決して高い利用状況とは言えない。また利用内容も、同和対策のための会議、講座及びイベント等とはいえ、他の施設で代替することも可能と思われる」。
A 「同和問題をめぐる社会状況も大きく変化してきている。多くの各種施
策について、社会・経済状況に合わせた見直しや転換が行われており、同和関連事業についても、同様に見直しを検討すべき時期に来ていると考える。仮奥戸集会所のあり方や同和関連事業について、より効果的、効率的な事業の構築に向けて検討を行うことを要望する」と言う意見です。
施設の利用率は、設置目的や立地によっても大きく左右されます。一律に利用率を施設の存廃の基準にした方針を持ち込んでいることについては問題がありますが、仮奥戸集会所でなくても可能という意見は、これ以上同和対策に資するための施設という主張が行き詰っていることを示すとともに、仮奥戸集会所のあり方と同和関連事業の見直しを求めていることは重要です。
そもそも同和対策は、封建的身分差別の遺りものについて、一部偏見が克服されずにあるということから、同和対策特別措置法にもとづき対策が講じられてきました。
しかし、本区は、「同和対策特別措置法による対象地域ではない」と区職員
が陳述していることからも、本区には同和地区は存在しておらず、同和対策事業を行う根拠はありません。
その特措法も2001年度で終了し、国は、同和問題が基本的に解決したことを
宣言しています。
この特別対策が終結した01年度以降、全国各地の関係自治体で、これまでの同和対策の方針転換を行い、同和関連事業の廃止などを決断し、中には公共施設の独占使用を主張する解同支部と行政との裁判もおきています。
足立区では、解同支部に対して支部事務所の明け渡しを通告、解同は不服として提訴、最高裁では区側が勝訴し、解同支部を公共施設から撤去させました。23年前のことです。大阪市では2008年、大阪高裁の勧告にもとづき解同支部を公共施設から撤去させました。
公共施設を一般開放するために裁判も辞さないというのは、行政として当然の姿勢です。
今回の監査委員の付帯意見を重く受け止め、仮奥戸集会所のあり方、同和関
連事業の思い切った見直しを決断すべきと思いますが、区長の答弁を求めます。
以上で質問を終わりますが、答弁いかんによっては再質問を行うことを表明して終わります。 |