2014年第一回定例会代表質問 質問者 中村しんご

 日本共産党葛飾区議会議員団を代表し質問いたします。

 まず、区長の基本的政治姿勢について質問します。
 今月九日に、都知事選挙が行われました。その結果は、舛添氏の当選となりましたが、政権与党が応援した前回の猪瀬氏の得票を大きく下回り、一方、わが党も推薦した宇都宮氏や原発ゼロを訴える批判票の割合が増大したことも大きな特徴となりました。
 都民の日々の暮らしや営業が脅かされ、子育て支援や、老後の不安も大きな判断材料とされました。この間の都知事選挙で大きな判断材料とされた「リーダーシップ」を求める声よりも「政策を最大の判断基準とする」声が増大したのもそれが原因だと思われます。
 そして、その背景には、安倍政権の暴走に対する国民の怒りも表れました。
 消費税増税の直前であり今後の経済は本当に大丈夫のか、昨年暮れに強行採決の末ゴリ押しされた秘密保護法、原発再稼働の企み、集団的自衛権行使をねらい戦争国家体制づくりなど、多くの国民が深刻な不安を抱いています。
 安倍首相は今月12日の衆院予算委員会で立憲主義を否定する答弁を行ったことは、民主主義の土台を堀崩す暴挙であり絶対に認められません。
 歴代の政権が論理的な追求の結果、積み上げてきた憲法解釈の全面否定です。時の政権が選挙結果で憲法解釈を変更することは憲法が国家権力の暴走を許さないために、改定には高いハードルが設けられています。さらに、ことは集団的自衛権行使についてその判断を覆そうというのですから国際問題にもなり、東アジアの緊張を一層高める重大問題です。
 翌日の自民党総務会でも、この首相答弁が大問題となり「三権分立を崩す」ものと批判が相次いだことが報じられています。
 その翌日には、区長も応援し当選した舛添氏が記者会見で立憲主義の問題の質問について、「憲法は国家の対抗概念である個人を守るためにある」と答えました。
 ここで質問しますが、安倍総理の立憲主義否定発言に対する区長の見解を伺いたいと思います。

 また、安倍政権は教育再生実行会議を組織し、教育改革再起動にのりだしました。
 戦後、権力が教育行政への支配を排除するために教育委員会が独立した行政委員会として機能を持っていることに対して権力が教育行政に介入できるようにしたいという安倍政権の意向にそったものです。
 そのなかで、この「実行会議」は教育委員会の審議が形骸化している、危機管理能力が不足しているなどと攻撃し、現行教育委員会体制に限界があると敵視しています。
 この提言をうけて、政権内では改定を急いでいますが、いずれの案も改革は明らかに首長の権限強化です。2月19日付の毎日新聞記事でも「暴走の危険」と報じました。現行制度を否定し、国と首長による教育行政への政治支配の強化、支配・介入はあってはならないものだと思うがどうか。この点については、区長のみならず教育長からもそれぞれ考えを伺う。

 さて、区長所信表明の景気に対する記述には大変違和感を覚えます。冒頭に消費税引き上げによる駆け込み需要を改善と捉えているからです。駆け込み需要の後は、冷え込む危険をどのように考えているのでしょうか。また、景気回復を期待、同時に動向を注視などといっていますが能動的にどう対応していくかが問われていると思います。
 消費税を8%に引き上げ後、10%に引き上げの時期に合わせさらなる地方法人課税の国税化について言及されました。わが党は、8%の増税による影響の深刻化への対応がまず先であって、10%への引き上げの時期も決定しているわけではありません。
 ですから、決定していない将来への対応よりも現実に決定された国税化への対応についてどのように影響をとどめるかという努力が必要だと思うのです。
 葛飾区議会は、昨年の第四回定例会で「法人住民税の一部国税化に反対の意見書」を全会一致で採択しました。区長が行うべきは議会の意思を尊重し、区長会等で国税化反対の意思決定をさらに強め働きかけることなのではありませんか。答弁を求めます。

 次に来年度予算について伺います。
 まず、切実な区民要求である保育所や特別養護老人ホームの建設や子育てする多子世帯への負担軽減や私立幼稚園保護者負担軽減策のさらなる充実など一定の配慮が行われたことは区民から歓迎されるものだと思います。
 しかし、区長の所信表明では、今後の景気判断が極めて楽観的なためにこれでは区民生活への深刻な影響から区民を守ることはできないと思います。

 ここで近年、本区の財政状況についての現状は、毎年、特別区民税の税収落込みが深刻です。
 特別区民税は、税収が落ち込んでいるのに2008年のフラット化により特別区税の税収は51億円も増加しました。その増収の原因は、低所得の住民が多い本区では、このフラット化が低所得者に多大な増税となりました。また、2012年にも税収となりましたが増の要因は、年少扶養控除の廃止でした。2014年は復興増税などです。ですから特別区税の税収が落ち込む一方、もっぱら制度改悪によって税収を搾り取るという構図になっています。
 これに対して財調交付金は、現行制度になって以来、2007年以降リーマンショックの直後を除き、確実に増えています。最大の要因は、大手企業が大幅な利益を上げているからです。その内実は、労働法の改悪で正規社員を派遣社員に置き換え、労働者の賃金を抑えつつ利益を上げ、空前の内部留保を確保しつつ税額が伸びているということです。
 厚生労働省は、今月五日、毎月勤労統計調査(速報値)を発表しましたが、いまでも勤労者の実質賃金は下がり続けているのが現状であり、「アベノミクスでも賃金上がらず」と報じられました。
 また内閣府が17日に発表した2013年10月から12月期の国内総生産速報値も伸びが四半期ごとに連続して鈍化し、名目成長率も引き下げられました。各界からアベノミクスは掛け声倒れになっていると指摘もされています。

 このような状態で消費税増税と復興住民税の一律課税という二つの大増税が区民生活にどれだけの被害をもたらすかを冷静に見るべきです。区にとっては、消費税増税は歳入として地方消費税交付金が12億3500万円の増収となるのですが、区民にとっては大変な痛みとなることを重く受け止めなくてはなりません。
 復興地方税についても納税者すべてに一律1000円の上乗せするものです。しかし、この増税も応能負担ではなく公平性の観点からも税の持つ再分配機能を保障していないというもので重大な問題をもったまま10年間にわたって継続される予定です。
 とりわけ、景気浮揚策だと称して大企業には復興増税を中止して、個人住民税の復興増税の徴収開始というのも問題があると思います。
 さらに、年金引き下げや生活保護費の引き下げが現在進行中です。生活保護費の引き下げは単に保護世帯のみの問題ではなく、住民税の均等割、最低賃金、就学援助など区政にも直接かかわり、多くの区民生活に大きな影響を及ぼすものです。増税と手取りの受け取り額が抑えられるうえ、公的支出としての国保料や後期高齢者医療保険料の値上、四月以降70才になる方の医療費も、一割から二割負担へと倍増します。その影響額は、臨時福祉給付金や子育て世帯臨時特例給付金では、とてもカバーしきれない大変な負担増となります。

 日本共産党は消費税の増税は中止すべきだと主張し、いまからでも中止すべきだと主張します。しかし、増税を前提とした予算案の議論については、その悪影響をいかにして食い止めるかという立場で提案をするものです。

 第一に、区民の負担軽減のために思い切った対策が必要です。
 国保料の値上げによる区民生活の影響は深刻です。
 先の保健福祉委員会の庶務報告資料で明らかにされましたが、均等割で前年比1800円、平均4253円、率にして6.53%の値上になります。
 年収・家族人数別具体例で、例えば、年収200万円の三人世帯の例ですが、均等割り2割減免が適用されても、来年度は前年比23654円の値上げとなります。こうした世帯は、住宅扶助支給分を考慮すれば、明らかに生活保護基準以下の世帯であり、国保料設定が生保基準以下の世帯からもこれほど重い負担を求める制度であることに重大問題があります。
 また、国保加入で来年度70才に達する方々の医療費窓口負担が二割へと倍増することになります。
 後期高齢者医療保険料も均等割で前年比2100円、率にして5.2%という値上げになります。
 制度上、増え続ける高齢者世帯や非正規労働者の増大により、制度上負担増が免れないうえ、国庫負担率の減少、高額療養費を保険料に加算する制度改悪などで値上げが免れない仕組みとなっています。
 すでに制度の存続そのものが危ぶまれている国保・後期高齢者医療制度ですが、独自の補助制度を創設し、区民への負担軽減策を実施すべきと思うがどうか。
 来年度、70才に達する方々の医療費負担を引き続き一割負担とする医療費助成制度を創設すべきと思うがどうか。

 第二に、就学援助については一層の改善を行うべきです。
 生活保護基準の改悪から、教育委員会が改善に着手したことは率直に認めます。給食費を費目認定としたことも率直に一歩前進だと思っています。これにより就学援助を受けられる世帯が広がるからです。しかし、旧生活保護基準では教材費の援助を受けられたが、新基準で1.2倍になると給食費のみの援助となる生徒が410人ほど生じて、これら生徒は、援助額が結果的に引き下げになってしまいます。
 予算ベースでも来年度の就学援助予算は、前年度比で2000万円ほど減となっています。
 就学援助支給基準の改定によって、結果的に就学援助の援助額が減少することのないように、さらに改善措置を求めたいと思います。答弁を求めます。

 第三に、雇用対策の拡充を求めます。
 昨年の四定で、青年の雇用対策に本格的に区が乗り出すべきと提案し、足立区で実施している若者サポートステーションの取り組みを紹介し、提案しました。その足立区ではハローワークの窓口も併設され現実に近隣区である葛飾区の若者も多く利用していることも紹介しました。各区の目玉政策が各紙で紹介されていますが、世田谷区が若者サポートステーションを設置することが紹介されていました。
 都内で来年新たな開設が5ケ所で、計10ケ所となる見込みです。私は、改めて葛飾区としても若者サポートステーションを設置して、雇用対策の拡充を求めます。同時に、厚生労働省が開始したブラック企業の告発をもっとも身近な自治体として相談、援助が可能な相談窓口をつくり、根絶する努力をすべきと思うがどうか。
 デフレ脱却とはいっても賃金アップが実現しなければ、モノの値段が上がるばかりとなれば生活は追いつめられるだけになります。
 区内の大企業が流出した結果、現在では葛飾区自身が区内最大の事業所であることを自覚してもらいたいと思います。ですから区がどれだけ賃金を保障するかが、区内経済の循環という観点から見て重要だと思います。
 地方公務員の給与の改定は、人事院勧告というルールにもとづいて決定されますが、少なくとも区の判断で非常勤職員の賃金アップは可能です。増額をすべきと思いますがいかがでしょうか。
 区役所が発注する工事や委託などの業務や、指定管理者の指定も含めて、そこで働く人々の生活が保障されなければなりません。そのためには、公契約条例によって区役所にかかわる仕事を行い、そこで働く人々の守る必要があると思います。いま、賃金アップが実現しなければ、景気回復の芽はつぶれてしまいます。公契約条例の制定を求めますが、答弁を求めます。

 第四に、思い切った中小企業対策で葛飾から景気の底上げをという構えで事業拡大するべきです。
 震災対策としての耐震診断助成の拡充は当然の措置だと思います。東日本大震災以降、制度の拡充にともない耐震改修の建替えもともに実績を上げていることは承知しております。
 私は、この事業の拡充を区内景気回復の一大事業として位置付けるべきだと思います。耐震改修事業は、先進の静岡県と比較すると、前進したとはいえ、まだまだ制度の内容も実績にも大きなかい離もあります。
 わが党の聞き取り調査では、区の現在の補助率と補助額では、自己負担額が相当上回る事例もありました。
 したがって、耐震改修、建替え助成制度の補助率と補助額のさらなる拡充をすることによって区内建築関係の仕事確保の一大事業として取り組むべきと思うがどうか、答弁を求めます。

 また、原発に代わるエネルギー対策の抜本的強化を求めます。
 原発は、使用済みの核燃料の処分もできないばかりか、福島原発の事故は、放射能の流出を制御することができず、空間的にも時間的にも社会的にも被害が広がり続けるという「異質の危険」にさらされています。この事故によって原発は、最も高コストの電源であることも明らかであり、わが党は、原発をなくし、自然再生エネルギー社会に転換を求め、それは国民多数の声でもあります。
 本区でも、新エネルギー対策について、東日本大震災の後、拡充されましたが、来年度予算では予算額が減少している事業もあります。
 この分野でも自然再生エネルギーへの助成拡大によって仕事起こし、経済の活性化につなげるよう求めます。そのためには、各種事業の大幅な助成額と補助率のアップを、さらにメニューの拡充を求めます。答弁を求めます。
 また、区内中小企業が自然エネルギー技術開発に取り組むための支援を本格的に行う基金の創設や新たな融資制度のメニューを広げてはどうでしょうか。

 消費を刺激するための方策もこのさいあらゆる手立てを考えていただきたいと思います。わが党はかねてから、商店街の販売促進のためのプレミアム商品券事業の創設を求めてきました。
 この事業は、基本的には商品券作成の事業費を除けば、プレミアム分に係る経費の数十倍の経済効果を持つものです。1億円分を10%のプレミアムとすると11億円の経済効果を持つこととなります。これまで区振連から要望が出ていないなど、やらないことを合理化する態度から脱皮しなくてはなりません。この事業は、区自身の事業としてもその気になれば実施できる制度だからです。
 プレミアム商品券事業を実施することによって消費の刺激する方策も検討すべきと思うがどうか。

 次に、来年度予算は、区役所建て替えか、区民にとって必要な施設整備、更新かが鋭く問われているのだということも指摘しなければなりません。
 なによりも優先すべき必要な区民のための施設は何でしょうか。確実に倒壊の危険がある施設を最優先することは当然です。
 そのさい建て替えが是か非かの判断が必要な場合もあるでしょう。
 しかし、この間、区から提案されたた公共施設の統廃合計画は、おしなべて区民にとってはなくてはならない施設ばかりでした。
 保健センターの建替えは、急務です。震災の場合はもちろん、母子保健でも、精神衛生行政など観点から様々な議論が行われてきましたが、これまでの説明は全く通用するものではありません。保健センターの統廃合計画は、抜本的に見直し、必要な業務の根幹となる保健師の増員などの体制こそを計画化すべきと思うがどうか。

 小中学校の建替え計画も指針が作成された段階で、具体化しているのは中青戸小学校のみです。長寿命化を打ち出して75年間使用しようという考えを否定するつもりはありません。しかし、先送りすればするほど、建て替え需要がますます重なり、将来の財政運営をひっ迫させる要因にもなりかねません。
 これまでも表明してきたとおり、本区には、一校たりとも不要な学校はありません。
 現実に児童生徒がゼロとなる要因は、学校選択制の存在です。この制度を放置することによって、他区で現実に新入生ゼロという異常事態が生じているのであって、その結果、児童生徒、教職員、また、学校の支えになっている地域の人々を大きく傷つける結果となりかねません。
 したがって、学校選択制を見直すべきです。
 そして、全ての小中学校の建替え計画を前倒して計画化することを求めます。答弁を求めます。

 子育て支援施設の統廃合計画が進められているようですが、その全容は定かにされていません。保育所については、区が追うべき最大の問題は、待機児を解消できていないのですから、この待機児の解消こそが全力をあげるべき課題なのです。
 認可保育園に入りたくても入れない保護者が、昨年春に都内各地で集団不服審査請求を提出したことが大きな力になって、保育所の増設が進みました。
 葛飾区は、待機児が少ないわけではありません。統計上明らかになっているのは、今年度認可保育所の待機児は、10月1日現在、501名にものぼり、その後、現在も増え続けています。
 増設のスピードをあげなければ区民要求にこたえることはできません。
 待機児ゼロにするためには、認可保育園の増設を一層促進すべきと思うがどうか。答弁を求めます。

 突如昨年暮れに明らかにされた五つの区立学童保育クラブの廃止計画は論外であるといわなければなりません。しかも、こうした動きは児童館つぶしと連動しています。
 葛飾区が児童福祉法に基づき、地域の要望に応えて計画的に児童館を整備してきたことが誤りであったというのでしょうか。
 学童保育クラブも最大の課題は、施設不足による大人数クラブが多数存在していることです。子どもたちにとってもそこで働く指導員にとってもストレスや事故などのリスクを放置するわけにはいきません。
 五つの区立学童保育クラブの廃止計画の撤回を求めるとともに大規模化解消のための計画こそ早急につくるべきと思うがどうか。答弁を求めます。

 これまで提案してきた様々な提案を実現するためには財源が必要ですが、その財源は十分あるといえます。今年度第四次補正予算では区役所庁舎建替基金へ新たに15億円を積み増し、累計63億円を超えました。この補正予算を審議した今定例会の文教委員会では、三年前から始まった教育施設整備基金の積み立てルール、財調算定額の1/4を当初予算で計上したことを確認後、なぜ、残りの3/4を教育施設整備基金に積み増ししないのかという質問に教育委員会としては、要求したが認められなかったと答弁を受けました。いうまでもなく、教育施設のために計上されるべき残りの3/4は、庁舎のために積み立てられた15億円に相当します。
 その他、財政対応の自由性の高い財調基金は100億円、その他、各種基金の合計は、900億円を超えています。

 昨年の選挙後、区役所建替え反対署名を提出した市民団体との区長との面会でも前定例会の区長答弁でも、「区役所庁舎は400を超える公共施設のひとつとして計画」と区長はいいますが、だれが見ても学校建替えよりも庁舎の建替
 公共施設よりも最優先とするこのような姿勢を改めるよう求めるものです。
 以上で私の質問を終わりますが答弁如何では、再質問することを表明して質問を終わります。