開催日:平成28年 2月25日
日本共産党葛飾区議会区議団を代表して質問を行います。
まず、補正予算ですが、区長は、「政府は、デフレの脱却、経済再生と財政健全化の双方を同時に実現、一億総活躍社会の実現すべき対策を打ち出した。国の補正予算に呼応して、区一般会計第4次、5次補正予算を提案したと説明されていますが、政府の政策も、区財政の予算編成も区民にとって、本当に明るい兆しが見えてくるものになっているでしょうか。
内閣府が2月15日に発表した、最新の2015年10〜12月期の国内総生産速報値は、年率換算でマイナス1.4%であり、個人消費の落ち込みが最大の原因です。内需の冷え込みが景気悪化させる悪循環が鮮明となっています。
この間、東京株式市場の乱高下も激しく、日銀が異次元緩和を始めた時期の水準まで株価を下げるなど厳しい状況にあります。日銀は、マイナス金利政策に打ってでましたが、これによる副作用も現実化しており、エコノミストから金利政策で物価を上げようとしていることに異論も出されています。
この現状は、「経済再生と財政健全化を同時に実現」などとは程遠い状態なのではないでしょうか。
第四次補正予算では、低年金者に3万円支給する予算が盛り込まれていますが、消費税増税、参議院選挙前に実行しようというもので、とても景気対策と言えるものではありません。その消費税も軽減税率といいますが、食料品等だけが8%に据え置かれるのだけであり、それ以外の品目は全て増税であり、一世帯当たり年間 万円の負担増になります。消費税の税率引き上げを止めることが最大の景気対策です。
しかも、この補正予算は、深刻な状態にある区民に対して冷たいのも特徴です。第4次補正では、昨年を大きく上回る87億円余の新たな積立を行っています。その内訳は、公共施設建設基金に45億円、財政調整基金に27.5億円、総合庁舎整備基金=区役所建替えのため込に15億円など、今後の大型事業を遂行するためのものとなっています。
第5次補正も、6000万円の増額補正ですが、国の補助金を得るための補正であり、どう使われるのかは全く不明であることが問題です。
安倍内閣のアベノミクスなる経済対策は、国民生活破壊に拍車をかけているにもかかわらず、これを評価する区長の姿勢と区政の具体策が区民生活に悪影響をもたらしていると言わなければなりません。
Q→どうか
続いて、2016年度予算について質問します。
本区では、基本計画の中期実施計画、区民サービス向上改革プログラムの初年度の予算です。
安倍政権の「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」「創生総合戦略」の閣議決定、これをふまえ、各自治体に2060年までの人口ビジョンの分析とそれに基づいて、「葛飾区総合戦略」がつくられ、整合性を持たせているものと思われます。
人口ビジョンの分析から導き出された結論、つまり「葛飾総合戦略」に疑義があります。
人口増の要因の大きな一つに外国人の急増にも着目する必要があるのではないかと思います。平成元年に本区に居住している外国人は、5000名余でしたが、平成26年には14000名余となり、急増しています。生活実感からも外国人が増えていることを実感することができます。しかし、総合戦略では観光客としての外国人対策は、明記されていますが、区内に居住する外国人への具体策は書かれていません。
また、人口ビジョンでは、ファミリー層の転出傾向、生産年齢人口の減少、特に20〜30代女性の減少をあげ、これらの世代に対する効果的な施策を求めています。それなのに、今後の取り組みの方向性は筆頭に、なぜ、「駅周辺のまちづくり」なのか。
「ファミリー層と20〜30代女性の減への具体的な対策」とは、定住志向を向上させる子育てしやすい、だれもが安心して暮らせるまちづくりであり、的外れで強引に再開発を是が非でもしたいということではないのか、答弁を求めます。
続いて、来年度予算の特徴、問題点について述べたいと思います。
第一の特徴は、安倍政権の意向に沿って、社会保障解体が色濃い予算となっている点です。
いま、必要なことは、最も身近な自治体として、こうした攻撃の防波堤と似ることが必要です。寝たきり高齢者等の出張理美容の本人負担の軽減や訪問入浴の利用回数の増は歓迎すべきことです。
しかし、介護の分野では、総合事業の開始によって、軽度の要支援者と事業所に対して深刻な犠牲の上に進められることに強い警鐘を鳴らさなければなりません。
介護人材の不足が深刻な問題になっています。東京都は、来年度予算でこの分野の人材確保のために一定期間都内で介護職につく返済不要の奨学金制度の創設、教材の支援や居住施設への支援も行うことを明らかにしています。
全国各地では、介護報酬があまりに低くされていることにより介護職の低賃金や人材不足になっています。そして、介護施設が定員を受け入れられない事態が広がっています。入りたくても入れない施設利用希望者がいて、人手不足がさらにそれに拍車をかけているという状態です。
そこで伺いますが、本区では、特別養護老人ホームの入所率について伺います。
本区では、特別養護老人ホームの新設が予算化されていますが、今後、区内で人材を育成するために東京都と同主旨の区内の事業所に一定勤務すれば、資格を取るための授業料や教材費の支援を行うべきだと思うがどうか。
また、施設に対して区独自に賃金助成を行う制度を実施すべきと思うがどうか。
次に、国民健康保険についてです。
追加提案の国民健康保険料条例が提案されました。毎年繰り返される値上げですが、均等割で1500円の値上げ、1人当たりの平均保険料で3419円の値上となります。
保険料の算定方法(住民税方式から「旧ただし書き方へ」へ)の改定後、23区統一保険料は高額療養費の一部を保険料に繰り入れる措置が取られなど、上昇し続けています。 都内の各自治体が保険料をいかに抑えるかという努力が行われてきましたが、この間の値上は深刻な事態を作り出しています。東京社会保障連絡協議会の調査では、23区の保険料は、40歳代の夫婦で夫が給与所得400万円、妻専業主婦で子ども二人という平均的な世帯で比較すると三多摩のすべての自治体の保険料を上回る状態になります。
さらに、葛飾区の2015年度国保料は、介護保険納付分の所得割保険料率は旧ただし書き所得の1.76%であり、23区で最も高くなっています。
わが党は、これをもって統一保険料の解体を求めているのではありません。平均所得が低いがために介護納付分の保険料が高くなるという仕組みの改善が必要だと主張したいのです。答弁を求めます。
昨年、都議会でわが党は、現在、実施されている7割、5割、2割減免にそれぞれ1割を上乗せ、8割、6割、3割減免として保険料負担を軽減する条例提案を行いました。この条例提案は、国民健康保険法に抵触するものではないと厚生労働省の言質をとって提案されたものです。現実に所得が低く、保険料が低いがために高い料率にして国保料の介護納付分を高くせざるを得ない現制度にあっては、有効な対応策だと思いますが答弁を求めます。
さて、保険料や地方税の徴収について強権的な徴収や差し押さえが行われ、納税猶予制度が機能していない実態を「民間税制調査会」が分析し、今年1月5日付東京新聞に記事が掲載されました。国は国民健康保険料の「収納率向上」に資するものについての交付金を加配するという2号交付金を各都道府県に要綱を制度化するように求め、都は、徴収・差し押さえの成果に応じて事実上の「報奨金」を制度化しています。
わが党は、この間おこなわれた実態にも合わない強権的な税や国保料の徴収に耐えきれず、生活保護に至った実例も示し、改善を求めてきましたが、相談は後を絶ちません。
個別の案件に適切な調査を行わず、徴収強化として差し押さえ件数を定めて補助金の交付を受けるなどということは絶対にあってはなりません。答弁を求めます。
第2の特徴は、公共施設のリストラ計画をいっそう推進する予算だということです。
公共施設等総合管理計画の策定で拍車をかける
区長は、所信表明の中で「自治体間が対立し財源を奪い合う構図は、本来の地方自治の姿ではありません」と述べていますが、それは税制改定、法人住民税のさらなる国税化のことに言及しているものと思います。すでに実施され、また、今後計画している法人住民税の一部国税化は、数十億円税収減という大きな改悪です。
しかし、私は、違和感を覚えます。一方で区長自身の政治姿勢が「自治体間が対立し財源を奪い合う構図」を積極的に推進しているからです。安倍政権の地方財政改革は、「トップランナー方式」ともよばれるもので、アウトソーシングをいっそう推進し、歳出削減を自治体間で競わせ、「こうすればこれだけ削減できる」というモデルをつくり基準財政需要額を決めるものです。
区長自身、矛盾を感じないのでしょうか。
第一に、教育資料館です。
今年度末で廃止を決めた後、教育資料館への来場者が大きく伸びています。廃止する根拠とされた来場者の減という理屈が通らなくなっています。
戦跡として保存することは、不戦の誓いである憲法を持つ国、行政としての義務があると思います。
数々の公共施設統廃合計画の一つとして廃止にするのは間違いです。
安倍政権が、歴史認識を塗り替えようとする動きを加速させ、過去の歴史のなかで都合の悪いものを排除しようとする動きに連動していると言わなければなりません。
展示されている教科書の変遷が、日本の軍国主義化の足跡を示しており、歴史を偽造しようという勢力にとって都合の悪い展示物の隠ぺいなのかという疑いの声も上がっています。
区長は、朝日新聞の記事で所蔵資料の一部にしか管理記録をつけていないことを明らかにし、担当者に改善を指示したと述べましたが、どのように改善されたのか、答弁を求めます。
来年度予算で倒壊防止工事のための予算として560万円計上されているが、耐震補強等には8000万円かかるとした説明とは大きなかい離があるが、何故なのか答弁を求めます。
今後、元水元小学校校舎をどう生かしていくのか、保存を求める市民団体との連携を模索すべきと思うがどうか、答弁を求めます。
第二に、露骨な児童館つぶしです。
「子育てするなら葛飾」といいながら、子どもの居場所、遊びの場を奪っていいのかが問われる大問題です。
平成25年7月に「子育て支援施設の整備方針」という計画を作成し、児童館つぶしが始まりました。新小岩児童館が第一弾となり、今後、さらに具体化されています。
保護者が就労している異年齢間の子どもたちが「ただいま」から始まる放課後を過ごすのが学童保育クラブです。ですから、募集の際、一年生を意図的に外すということは行政が絶対にやってはならない手法だと言わなければなりません。その影響は、子どもにとって異年齢間の交流を遮断し、しかも、わざわざ学童保育クラブとしての魅力を減少させ、募集が減少させるという状態を作り出しています。その犠牲になっているのは、なによりも子どもたちです。そうして、学童保育クラブがなくなった児童館から廃止していこうという意図が見えています。このような乱暴な手法は、今後、やめるべきだと思うがどうか。
しかも、計画に記載していることと異なる事例が生じています。
細田児童館は基幹型児童館として位置付けていましたが、南鎌倉保育園の建替えを機に細田児童館を移転するというものです。事実上の細田児童館の廃止と言わなければなりません。この近隣には鎌倉児童館が位置しており、鎌倉児童館も廃止を狙っているのではないかという疑いが生じるのは当然です。そういう計画はないというなら、きっぱりと明言していただきたい。
そして、まったく異なる方針を出すような行政計画である平成25年7月の「子育て支援施設の整備方針は撤回すべきと思うがどうか。
第三に、保育所の営利企業まかせとミスマッチの問題です。
区内社会福祉法人のなかでも新保育園の設立に意欲のある法人があるのに、2016年度予算の新保育園の計画は、すべて営利企業に占められていました。区内の社会福祉法人こそ戦前から脈々と葛飾の保育を築き上げてきたパイオニアであり、それにふさわしい支援を行うべきではないでしょうか、答弁を求めます。
2016年度4月から入所は、前年と比較して540名増を区長は所信表明でも強調しました。しかし、昨年の252名の待機児の内、8割が0才・1才児でした。
増員した540名分の内、0〜1才児の増員は124名であり努力したことは理解するが、ミスマッチとなっています。
具体的に、0〜2歳と3〜5歳の人数配分を縮小する、また、低年齢保育の分園の設置など躯体化する必要があると思うがどうか。
そして、そのためには、区として果たす役割として公立園の新設も除外すべきではないと思うがどうか。
第三の特徴は、議会軽視と区民不在であることです。
前青木勇区長は、「10年以内に区役所の建替えをどうするのか結論を」と勇退前に述べていました。
ところが、青木克徳区長は、区長選当選後に、区役所を10年後を目途に建て替えると表明しました。これは、選挙で問わずに方針転換ということにあたり公約違反だといわなければなりません。
三年前の区長選では、確かに新基本計画を策定し、11プロジェクトの一つに区役所の建替えを上げたが、区長は選挙でほとんどふれず、選挙公報にもだんまりでなにもかかれていませんでした。
そして、当選した後は、総合庁舎の基本構想をつくり、その中で、立石駅北口の再開発ビル内に移転を目指すことを基本方針としました。これも、公約違反の態度だといわなければなりません。
そして、今期目立つのは、柴又職員寮を外国人バッグパッカー向けのホステル計画、細田児童館廃止など、住民にも議会にも諮らずに進める計画が続いています。
立石駅北口再開発と連続立体交差化事業を一体で進め区役所が再開発ビルに収まらないと計画が成り立たないというのも混迷を象徴しています。
わが党は立石駅北口再開発と連続立体交差化事業は、別の事業であり切り離すべきだと一貫して主張してきました。
東京都は、連続立体交差化事業を平成34年度までに完成させるために土地収用法にもとずく事業として建設工事に必用な仮線を確定しました。新立石駅が完成と同時に北側に6〜8mの道路を設置して完了する事業なのですが、区が再開発方針にしがみついているために地権者の権利に重大な侵害を作り出しています。
立石駅区間の一部は連続立体交差化事業の仮線より、さらに北側に道路が設置されることになります。現在、都と地権者との間で話し合いが続けられていますが、仮線までの補償をした場合、やがて駅北側の道路の補償が問題になるとさらに生活補償が問題になる可能性があります。
こうした問題があるのに立石駅区間の北側取り付け道路の線を明確にして住民にも区民にも説明しないのは行政としての怠慢であると批判しなければなりません。
当たり前のことをきちんと言わないのは、再開発にしがみついているからだと言わなければなりません。
立石駅区間の駅北側道路の位置を地権者にきちんと説明すべきと思うがどうか。答弁を求めます。
そして、区役所建替え計画と立石駅北口再開発の抜本的な見直しを求めるものです。
毎年つみあがる基金は、ついに1000億円を超える規模になりました。こうした基金の活用で区役所の建替えではなく学校建替えのさらなる具体化、切実な区民要求に応えていくべきだと求めていきたいと思います。
次に、新小岩公園の高台化について質問します。
事業の詳細は、国の制度を活用するということで、詳細についてはまだ不明な点も多いのですが、その高台の土砂は、リニア中央新幹線の残土だと報道されており、先の建設委員会でもそのことは認めています。
まず、リニア中央新幹線に対する疑義の世論が相当あることです。
2013年に新幹線に関する世論調査が行われましたが、全体では4割近い回答者、70代では過半数が推進すべきではないと回答しています。人口減少過程にあるわが国にとってリニア中央新幹線が本当に必要なのか様々な角度から検証することが必要なのではないでしょうか。ドイツでは、リニア実現の技術はあるが巨額の建設費が問題になり計画を中止したことも重く受け止めるべきです。リニア新幹線への賛否がかなり拮抗していることについて区長はどう考えているか、答弁を求めます。
第2に、高台化の理由は、洪水対策と言われていますが、ハザードマップの洪水被害想定とは何か、冷静に見る必要があります。
国土交通省が水防法とその施行規則によって、洪水浸水想定区域を指定したものがハザードマップとして配布もされています。荒川水系では、その流域で200年に一度降る可能性があるという三日間に548ミリの大雨が降ったと想定してその結果、28ケ所の堤防の決壊場所を選定しました。
施行規則によって選定されたから計算した、というのが大切なところであり、その決壊個所が現在、特別に危険であるということではなく、葛飾区でいうならば、先ほど述べたシュミレーションで葛飾区の堀切と新小岩だけが2か所決壊した時に計算された数値なのです。ちなみに、新小岩の危険個所は、東京都が高規格堤防を計画している地点です。
葛飾区の場合は、荒川左岸の上平井水門以南は、中川、上平井水門以北は、綾瀬川と並行しており、どちらの河川も高潮対策としての護岸工事が完成しています。高潮の圧力は台風・暴風雨を伴うもので一般的には、上流から流れる洪水よりも強いと計算されておりしたがって強固な護岸として整備されています。
したがって、洪水がどこで発生しやすいか、それは護岸工事が、遅れていたり、行われていない流域の洪水が最も現実性があるのは自明のことです。しかし、川口市より上流で破堤した場合、葛飾区は水没しないというのがこの被害想定であることも正しく見ておく必要があります。
それでも葛飾区の新小岩だけが破堤すると仮定すれば、浸水があることになります。
そこで、何故、6メートルの高台が必要なのかが問われています。
中川、江戸川でも200年に一度の大雨が降った場合、洪水が発生すると想定されていますが新小岩公園は水没しません。国土交通省の想定は荒川の洪水でのみ、新小岩公園の水没を想定していますが、その水深は0.5〜1.5メートルという被害想定になっています。
であるならば、二メートル程度の高台で十分なのではないかという議論があって当然だと思います。答弁を求めます
第三に、リニア中央新幹線トンネル工事は、その距離という点でも、南アルプスを貫通するなど難工事になると言われています。したがって8年で完了する保証はなく、長引く可能性があることも心配されていますが、この点についても答弁を求めます。
第4に、冒頭でも述べたように、この工事の仕組みは不明な点も多く、葛飾区議会としての意思決定、関与の仕組み担保されていません。
予算上執行されるルールや国、事業所、区との協定は、議会で承認するべきものと考えるがどうか、答弁を求めます。
第五に、洪水対策は高台化だけではなく、総合的に取り組むべき課題だという点です。川底にたまる土砂の浚渫、堤防の定期的点検、メンテナンス等の総合的対策が求められます。水害が発生すると現場となる自治体がきわめて重要な役割を果たさなくてはなりません。
水害の発生を予測し、避難訓練は自治体の独自の取り組みが必要となります。国土交通省が決壊すると想定した地点は、決して危険個所ではないので、自治体の調査で決壊する可能性の高いところを想定して、訓練すべきです。それぞれ答弁を求めます。
それでも、六メートルの高台化しか選択肢がないというのならば、区民の理解は得られず、理屈も成り立ちません。そして、リニア中央新幹線の残土処理のための計画ではないかという批判にさらされることになるでしょう。
この計画一つをとっても、大型事業や大型公共事業か、区民のくらし第一なのか、これが問われていることを指摘しなければなりません。
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