2016年第二回定例会代表質問 質問者 中江秀夫

開催日:平成28年6月6日 

 日本共産党区議団を代表して一般質問を行います。
 まず、防災について質問します。
 熊本県を中心とする九州地方で、今年4月14日と16日、二度の震度7を含む地震が発生し、今も余震が続いています。熊本県災害対策本部によると、6月3日時点で、死者49人、関連死20人、行方不明1人、負傷者は1736人、避難者7263人、住宅被害は10万棟以上という状況です。犠牲者のみなさんに謹んで哀悼の意を表し、被災された方に心からのお見舞いを申しあげます。復興にはまだまだ長い時間がかかることが想定され、今後の支援が必要だと思います。
 去る5月26日、私は、熊本県益城町に行き、日帰りで現地の被害状況を見るとともに被災者の率直なご意見を伺いました。仮設住宅の建設も遅れており、多くの方は生活の再建どころか住まいのあてもない状況でした。
 復旧・復興の遅れの原因は、政府の地震に対する認識の甘さや初動態勢の遅れがありました。また、非常時に参集する職員が足らず、現場での対応に手が回らないことがあります。その最大の要因は、自治体がその業務を外部に委託して正規職員を減らしてきたことが影響していると現地の関係者が指摘しています。
 それが、罹災証明の発行の遅れと混乱に表れていました。益城町では、罹災証明の発行が、本震から一か月以上経ってからとなりました。
 罹災証明を発行しているグランメッセでは【パネル1】、早朝から罹災証明を求める人が行列を作り、その日も9時の受付と同時に締め切りとなり、このようなことが連日続いているということでした。何回もバスでやってくる高齢者の方もいるといいます。罹災証明の発行が、その後の仮設住宅への入居に影響し、住宅再建にも左右します。
 大量の支援物資が滞留する一方、食事も当初は届かない避難所もあり、今も1食だけはお弁当になりましたが、あとはおにぎりとパンという偏った栄養の食事になっています。自衛隊も引き上げてしまい、お風呂や生活用水の不安が増しています。
 避難所となっている総合運動場は【パネル2】、夜、車を止めて寝るための場所を確保するため、駐車場に私物を置いているところが多数ありました。
 体育館では、アリーナだけでなく通路まで段ボールのベッドがところ狭しと並べられていました。最近になって、一部、布で間仕切りをしたスペースが作られ、そちらに移ることが可能になったといいますが、プライバシーのない狭い空間で長い期間暮らさなければならないのは、大変つらいことだと思います。
 震源地に近い木山地区では、1階あるいは2階がつぶれた建物や完全に倒壊した建物、そして、がれきが道の両側に延々と連なり、地震のエネルギーの大きさと恐ろしさをまざまざと感じさせられました。片づけをしている人のお話を聞くことができましたが、枕元の扉が壊れ、ガラスが飛散した上に裸足で飛び出し、無我夢中で逃げたそうです。避難所では、いつまた大きな地震が来るかわからず、靴を履いたまま緊張をきらさず寝ていましたので、ガラスで足の裏をけがしていたのに気づいたのは3日後だったそうです。別れ際の言葉は、「やり直したいが、もうここには住めないね」という、何ともやるせないものでした。
 先月、建設環境委員会が石巻市を視察したと伺いました。市の説明では、震災から5年経過した今も、津波の被害を避けるという、この地ならではの難しさは伴いますが、復興公営住宅の供給は4割台、住宅の復旧、再建もなかばで、未だに8600名以上が仮設住宅に居住しています。その一つの要因は、被災者生活支援法による支援が、世帯条件によって異なりますが、二人以上の一般世帯で300万円となっていることにあります。大規模な震災のたびに改善されてきましたが、この支援金の額を引き上げるよう国に求めるべきと思いますが、いかがでしょうか。
 また、このような甚大な災害の復旧・復興は、全額国庫負担で行うことを明確にして、被災自治体が、「財政負担」への不安なく積極的に取り組みが行えるように、区長としても国に要請すべきと思いますが、いかがですか。答弁を求めます。
 今回の地震の経験から、本区の防災対策を強化しなければなりません。
 今年3月に改訂された「葛飾区耐震改修促進計画」では、2020年度までに目標を達成するためには、これまでのペースより6,364戸、3.2%耐震化の促進を図る必要があるとしています。そのためには、現行制度では不十分です。
 不燃化特区内の優遇だけではなく、不燃化特区以外の地域でも、耐震補強の助成率の適用や補助額の増額も必要だと思いますがいかがですか。
 また、区の現行制度では、耐震診断は、新耐震基準の住宅も対象として助成していますが、耐震改修設計・工事は対象としていません。熊本では、新耐震基準の住宅が倒壊していることや、新耐震基準とは言っても、法改定直後の住宅は、すでに35年経過しており、様々な要因で、耐震性が劣化していることは想定できることです。したがって新耐震基準の住宅なども、耐震改修設計・工事の対象とすべきと思いますが、いかがですか。
 また、くりかえし要求してきた簡易な改修・補強も含め、耐震補強の助成メニューを増やし、リフォーム助成も創設すべきです。答弁を求めます。
 「葛飾区耐震改修促進計画」において、耐震化率の目標は「防災上重要な区有建築物」の100%達成を2020年度とする一方、「民間特定既存耐震不適格建築物」は2025年度までに95%を超えればよいことになっています。高齢者や障害者など、災害の影響を大きく受けやすい方たちの居場所が多く含まれる「民間特定既存耐震不適格建築物」の耐震化率をもっと促進するとともに、非構造部材の調査・改修も、区の責任で早急にすべきではないでしょうか。答弁を求めます。
 「葛飾区耐震改修促進計画」に掲載されている、2014年4月に公表された東京都の東京湾北部地震の被害想定で、本区は、液状化の危険度が高い地域がほとんどです。しかし「計画」では、液状化に対する対策がほとんど示されていません。液状化対策の計画を早急に作る必要があるのではないでしょうか。ご答弁ください。
 国道、都道の災害時緊急輸送道路は【パネル3】、一部建造物でアスファルトが1メートルにも及び、液状化の影響を受けにくいとされています。しかし、区道は、地下に上下水道、ガスなどライフラインの影響を直接受け、その後の復旧・復興に大きく影響することは明らかです。
 区道の液状化対策にも取り組むべきだと思いますが、答弁を求めます。
 熊本地震では、火災による被害は少なかったようですが、本区で地震が起これば、多くの火災が起こることが予想されます。その原因の一つは、再通電によるものであり、その対策として感震ブレーカーの設置が効果的です。本区でも、感震ブレーカーの設置に対する助成を行うべきですが、答弁を求めます。
 震災の際には、正確で早急な情報の伝達が求められます。本区の防災無線は多額の経費を注いで更新しましたが、いまだ、路地の奥など聞き取りにくい個所も多数あり、区民から改善を求める声があります。
 防災無線を屋内で聞くことができる個別受信器を、無償で配布している自治体が増えていますが、本区でも聞こえにくい地域に配布してはどうでしょうか、答弁を求めます。
 本区の第一順位の避難所としている小中学校についてですが、学校建替え・改修の候補として挙げた14校のうち、着手しているのは5校のみです。残りの9校が緊急に求められており、早急に具体化すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 また、プライバシーの配慮など避難所機能の拡充を検討する必要があるのではないでしょうか、答弁を求めます。
 防災対策に関連して、新小岩公園の高台化について質問します。
 さる5月29日にTBSの「噂の東京マガジン」という番組で、新小岩公園の高台化の問題が取り上げられました。「高台化、なぜか住民が大反対」と題して特集が組まれていました。
 わが党は、先の定例会の代表質問で、この問題に対し、区長の見解を問いましたが、区民の不安や批判はさらに強まっています。
 高台化されると6メートルも自力で登れない、10年間使えないデメリット、産業廃棄物での高台など不要、周辺の都営住宅やUR住宅に避難するほうが合理的ではないかなど、理にかなった意見ばかりでした。
 大切なことは、区民の意見を聞かず、実施先にありきで、住民への説明責任が尽くされていないことです。
 新小岩公園は、区民の貴重な財産です。テレビでも、これだけ区の姿勢も含めて批判されているのですから、計画を説明する場を検討する必要があると思いますが、いかがですか。
 区民の理解が得られないのなら、高台化を撤回することも検討すべきと思いますが、いかがですか。答弁を求めます。
 
 次に、高齢者の暮らしについて質問します。
 内閣府の調査によると65歳以上の相対的貧困率は22%、単身男性では38.3%です。単身女性では52.3%で、半分以上が貧困以下で生活していることになります。
 本区では、低所得の高齢者向けの年金生活者等臨時福祉給付金の対象者は4万3千人で、高齢者人口の約4割を占めます。被生活保護世帯の約5割が高齢者世帯です。 
 安倍政権は、この高齢者世帯の暮らしを直撃する社会保障の給付減と負担増を一層強めています。
 2014年6月には医療介護総合確保法、2015年5月には医療保険改革関連法が施行され、2018年4月からは介護保険の第7期事業計画がはじまります。
 どのような改悪が準備されているでしょうか。
 医療では、病床を現行から15万床以上削減、高齢者の高額療養費を現役世代と同水準へ、入院食費、居住費に患者の預貯金等にもとづく負担導入、一般病床の水光熱費を患者負担に、75歳以上の窓口負担は原則2割と保険料の軽減特例の段階的廃止、国民健康保険の都道府県化でさらなる値上げ、介護では、軽度者に対する生活援助や福祉用具、住宅改修を原則自己負担に、要介護1、2の通所介護を地域支援事業に、65歳以上の利用料負担を原則2割に、年金では、所得が一定以上の高齢者の年金一部支給停止、支給開始年齢のさらなる引き上げ、年金課税の見直し、生活保護では、能力に応じた就労等を行わない受給者に対する保護費減額などです。
 2年前の消費税8%で増税不況から未だ抜け出せず、暮らしはいっそう厳しくなってきています。
 区長、今後計画されている社会保障の給付減、負担増で、高齢者の暮らしはますます脅かされるという認識はありますか。答弁を求めます。
 こうしたときに、区民の暮らしを守ることが区政の仕事です。
 ところが現青木区政は、暮らしを守るどころか、介護保険料や国民健康保険料の値上げ、要支援者の訪問・通所サービスの総合事業への移行、入院食費の値上げ、生活保護費の削減、特養ホームの整備が待機者解消に追いつかず、入所を待ちわびながら年間200人を超える人が亡くなるなど、高齢者の暮らしを国といっしょになって脅かしています。
 今年度からはじまった総合事業での要支援者の訪問サービスは、1回60分308円が1回45分304円と時間短縮で、実質値上げです。生活援助のみの場合は、1回45分150円の訪問サービスをわざわざ廃止して、257円に値上げ、緊急一時介護は3倍の値上げです。
 時間が短縮されれば、これまで同様のサービスの維持はできません。住まいが清潔であることで健康を守り、ヘルパーとの会話で気持ちがまぎれ精神的に落ち着き、状態悪化を防ぐことができます。宅配の弁当ではなく、バランスのとれた手作りの食事をとることも必要です。時間短縮では、ヘルパーの専門的な観察眼が生かされなくなります。
 ヘルパーの研修時間も短時間となり、実質無資格に近いものです。ケアマネージャーの面談も年3回から年1回になるといわれた利用者の方もいます。サービスの質の後退です。
 国民健康保険料は、毎年値上げです。今年度は法定減免が拡充されたものの、それでも高い保険料に変わりません。介護保険料は、23区で3番目に高く、高い保険料を払っても介護サービスを受けられる保障はなく、今回、総合事業への移行でサービスは後退しました。特養ホームに至っては、1000人を超える方が入所待ちです。
 地方自治体の最大の使命は、住民福祉の向上です。
 国が、負担増と給付減を押し付けるなら、区自身がその防波堤となるよう、以下の取り組みを求めるものです。
 国民健康保険料は、一般財源による現金給付によって軽減を図り、特に収入のない子どもの均等割りが無料になるようにすること。
 介護保険料の独自の減免制度の実施、総合事業は、サービスの後退になっており、緊急に改善をすること。
 待機者解消に見合った特養ホームの増設計画や高齢者の住宅確保のために、東京都の補助金を活用した都市型軽費老人ホームの整備計画を持つこと。
 介護職員の処遇改善のために、独自の賃金助成や家賃助成を実施すること。
以上、答弁を求めます。
 
 次に、児童館及び学童保育クラブについて伺います。
 まず児童館です。「子育て支援施設の整備方針」では、7か所の基幹型児童館は、「保育園における地域の拠点施設」として整備するとなっています。保育園における施設となれば、その対象は、就学前となります。
 その他の児童館は、のびのび広場事業の需要があるとして、保育園との複合化を図り、7つの地域に1〜2か所整備するとしています。ここでものびのび広場事業、いわゆる子育てひろば事業となっており、その対象は就学前となります。それ以外は廃止です。
 この「整備方針」は、0歳〜18歳未満を対象にしている児童館を、就学前に限定し、小学生、中高生の居場所を奪う、事実上の児童館全廃方針と言わなければなりません。
 そもそも児童館とは、どんな機能、役割を持っている施設でしょうか。
 児童館は、児童福祉法第40条に規定された児童厚生施設の一つで、0歳〜18歳未満の子どもたちが自由に利用できる施設です。
 厚労省の児童館ガイドラインには、@遊びによる子どもの育成、A子どもの居場所の提供、B保護者の子育ての支援、C子どもが意見を述べる場の提供、D地域の健全育成の環境づくり、Eボランティアの育成と活動、F放課後児童クラブの実施、G配慮を必要とする子どもの対応が示されています。
 施設の規模によって違いますが、集会室、遊戯室、図書室、相談室、創作室などが設けられており、専門の指導員が健全な遊びを提供しています。
 子どもは遊びを通して、考え、決断し、行動し、責任をもつという、自主性、社会性、創造性を身に着けます。いわば「遊び」というのは、自立を支援していく要素を持っています。
 その遊びを、専門の指導員が提供する児童館は、子どもの成長の場として極めて重要であり、異年齢の集団の中で子どもたちが交流する大切な施設と言えます。
 同時に、子どもにとって安心、安全な環境を整備するには、地域の大人たちの理解と協力が必要です。児童館で遊ぶ子どもを通して、地域のコミュニティーをつくる役割を持っています。
 さらに、発達のつまずき、コミュニケーションでのつまずきのある「支援が必要」な子、集団生活ができない子が増えていると言います。児童館には、いつでも寄り添ってくれる大人の専門職員がいます。
 「子どもの意見を聞く会」や中高生の意見を聞き企画に反映する場もあります。
 このような機能、役割をもつ児童館を、わくわくチャレンジ広場で肩代わりさせることはできません。またわくチャレは、ほとんどが三季休業は実施しておらず、その期間は、児童館に来る子どもたちがたくさんいます。
 新小岩児童館が今年3月末で廃止となりましたが、その結果、子どもたちは、わざわざ平和橋通り、蔵前通りを渡り、1q先の児童会館に通っています。現場では「戦争状態だ」と声が上がっているというのです。
 児童館を利用しているお母さんは、「私が小学生の時からお世話になっていて、いま子どもとお世話になっています。他のお子さんやお母さんたちとも交流ができますし、今後子どもが小学生になったときには、家でゲームなどではなく近所の児童館で遊んでもらいたいと思っています」と語っていました。子を持つ親として当然の思いです。
 また、児童館に母子手帳を取りに来た方が「この児童館に通っていたよ」とウルウルしながら、当時の先生の名前も覚えていたそうです。いつでも、帰って来れる場所が児童館なのです。
 区長、児童館の機能や役割についてどのように考えているのですか。答弁を求めます。
 廃止計画がでている児童会館、細田児童館、小菅児童館は、区内27か所の児童館の中で、利用者がもっとも多いベスト3の児童館です。
 5月31日に開催された児童会館を含む複合施設の説明会では、「住民への押し付けだ」「小中高生の支援について何もない」「児童館がなくなる」など、たくさんの意見が出されました。細田地域や小菅地域ではまだ住民説明会さえ開催されていません。それでも計画を進めるのは、あまりにも乱暴です。ただちに住民説明会を開催すべきではありませんか。答弁を求めます。
 特に、細田児童館は、基幹型でありながら突然の廃止計画です。地域住民が納得するはずがありません。私ども区議団のアンケートでは、すべてが廃止反対でした。
 南鎌倉保育園を拠点施設にすることと、細田児童館の廃止は、別問題です。強引に廃止しようとするのは、拠点施設は7か所という「整備方針」の矛盾からくるもので、方針の見直しをすべきです。そして3か所の児童館の整備計画は、中止すべきです。区長の答弁を求めます。

 学童保育クラブはどうでしょうか。
 「整備方針」は、小学校内への学童保育クラブの設置を計画的に進め、その整備に合わせて公立学童保育クラブでの新規入所をさせず、区立学童を全廃するというものです。
 しかし、このやり方はあまりにも異常です。
 たとえば、梅田学童保育クラブは、新たに学校内に私立学童保育クラブを設置したため、今年度から新規入会をさせないというやり方です。それでも、4月1日現在2年生以上で66人も児童が入所しています。異年齢の交流をあえて遮断し壊そうとしているのです。
 新水元学童保育クラブでは、2014年度に1年生を受け入れず、昨年度は2年生、そして今年度は3年生、その結果現在4年生が3人のみとなっています。ここでも異年齢の交流を壊す「いじめ」のようなものです。
 区は、「在籍者のみの申請交付としたもので、異年齢間の交流を遮断し、わざわざ学童保育クラブとしての魅力を減少させ、応募者を減少させる意図はまったくない」と答弁していますが、現実には、そうなっているのです。
 放課後児童クラブガイドラインでは、1学童保育クラブあたり40人程度が望ましいと言われているのにほとんどが50人、60人です。100人を超える学童保育クラブもあります。
 学校内につくった学童保育クラブだけでは児童があふれています。区立、私立の学童保育クラブを対立的にとらえるのではなく、適正規模になるように募集をすることが必要ではないでしょうか。
 このことが、花の木学童保育クラブの火災事故の教訓だと思います。
 新水元学童保育クラブをはじめ、現在すすめている廃止計画は撤回すべきです。
 そして、廃止した南新宿学童保育クラブの復活を求めるものです。区長、いかがですか。
 いま必要なことは、「整備方針」にもとづく区立学童保育クラブの「全廃」計画を見直し、「放課後児童クラブガイドライン」にもとづき、1学童保育クラブあたり40人とし、のびのびと過ごせる施設にすることです。そのためにも学校内にこだわらず、学童保育クラブを抜本的に増設すべきと思いますが、いかがですか。答弁を求めます。
 
 次に、若者対策について質問します。
 今、若者を取り巻く環境は悪化の一途をたどっています。
 都内の青年団体と若手弁護士有志らの労働実態調査では、今の仕事は3年以内に辞めたいが3人に1人、サービス残業があるは4割、賃金に不満は7割にもなっていることがわかりました。
 大手フランチャイズ加盟店で働いていた19歳の男子学生は、「タイムカードがなく、労働時間は15分単位で切り捨て。人員不足で登校日もシフトを入れられた。過労死ラインの残業月80時間も超えていた」と生々しい体験を語っていたそうです。 
 東京都が昨年10月〜11月に実態調査をしたところ、契約社員の3割が正社員の転換を希望していたことが明らかになりました。今の会社で正社員になりたいという回答は、20代で約6割、回答者の多くが、「業務内容が同じだから」と回答しています。
 冒頭の熊本地震の質問の中でも指摘しましたが、自治体が業務を外部委託して正規職員を減らしてきたことが、現場で手が回らないという問題を生み出しています。
 区内最大の職場である葛飾区役所では、2人に1人が非正規雇用です。区内実態調査を実施し、正規職員を希望する若者を把握し、非正規から正規への流れをつくっていくことが必要と思いますが、いかがですか。
 夏の参議院選挙から、18歳選挙権が実施されます。有権者としての責任を持つことが期待されます。
 そこで、成人式への参加の有無にかかわらず、新成人全員にポケット労働法を配布するとともに、18歳、19歳の若者にも配布し、過労死につながる長時間過密労働、心も身体も病んでしまうブラック企業、ブラックバイトなどに対する法的防衛を身に着けることが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 またブラック企業を労基署任せにせず、区役所にブラック企業・ブラックバイトの相談窓口の設置、カウンセラーなどの資格を持つスタッフが就活やこころの相談などに対応する若者サポートステーションの創設を、今こそ検討すべきと思いますが、区長の見解を伺います。
 先月、保健福祉委員会が佐賀市の生活自立支援センターの視察をしたと伺いました。このセンター内には、佐賀県子ども・若者総合相談センターも設置され、NPOが運営を受託しています。
 子ども・若者総合相談センターの支援対象は、主にひきこもり、若年無業者等、いわゆるニート、小中高における不登校児童生徒、就学や就業はしているが不適応状態にあるものです。
 相談センターでは、従来の相談者が相談に来るという施設型支援だけでなく、アウトリーチ、訪問型の支援をしています。
 家庭訪問をすることで、その若者と家庭の状況を知ることができ、個々に応じた適切な支援に結び付けることができます。またハローワーク、ジョブカフェ、児童相談所、障害者支援センター、精神保健センター、警察などの協議会をつくり、複数の構成機関が連携して、継続的に支援ができるようにネットワークが構築されています。
 本区でも、若者対策として、アウトリーチができる体制を検討してはいかがでしょうか。
 日本は、世界的にも高い学費でありながら、給付制奨学金制度がないという特異な国です。そのために、奨学金という名の借金を背負って大学生活をスタートし、卒業後は、この重い借金を背負ったまま社会人としてのスタートを余儀なくされます。高い学費と奨学金という借金が新たな貧困を生み出しています。
 このような状態を放置することは日本の現在と将来にとってマイナスです。本来、国の責任で給付制の奨学金を実施することが必要ですが、国がやらないから仕方がないということでは自治体の存在意義が問われます。
 今年度から足立区、世田谷区が給付制奨学金に一歩踏み出しました。本区でも独自に実施すべきです。答弁を求めます。
 
 以上ですが、答弁いかんによっては再質問を行うことを表明し、質問を終わります。