2017年第二回定例会一般質問 質問者 三小田准一

開催日:平成29年6月5日 

 日本共産党区議団を代表して一般質問を行います。
 まず、北朝鮮が国際社会の強い警告にも関わらず、度重なる弾道ミサイル発射という暴挙に厳しく抗議をし、経済制裁の全面実地・強化とともに対話による外交努力を抜本的に強めることを求めるものです。

 さて、今年は、日本国憲法が施行されて70年の節目の年です。
 安倍首相は、5月3日の憲法記念日に、憲法9条に自衛隊を明記する改憲を行い、2020年に施行すると宣言しました。内閣総理大臣が時期まで決めて改憲の宣言をするのは、「憲法を尊重して擁護する義務」を公務員に課した憲法99条に反するものです。自衛隊の制服組トップの河野克俊統合幕僚長が安倍総理の改憲発言に「ありがたい」と述べたことも同様です。
 改憲の内容は、きわめて重大です。
 憲法9条に第3項を書き加え、自衛隊を明記するというものです。
 第1項の戦争放棄は、国連憲章にも書いてある世界のスタンダードですが、2項の戦力不保持は、日本国憲法にしかない、まさに「世界の宝」です。
 3項として自衛隊を明記すれば、2項を残したとしても、空文化され、その制約は、自衛隊に及ばず、無制限に海外での武力行使が可能になってしまいます。
 自衛隊を単に書き込むだけにとどまらず、まさに憲法9条の大改悪です。
 区長にお伺いしますが、安倍首相の期限を決めての改憲発言は、憲法尊重擁護義務に反すると思いますが、どのようにお考えですか。また、憲法9条について、どのような認識をお持ちでしょうか。お答えください。

 戦争を永遠に放棄した憲法を深く理解するための取り組みは、ますます大切になっています。
 郷土と天文の博物館では、5月27日より7月9まで、旧教育資料館収蔵品展「かつしか学びの玉手箱−子どもたちと戦争−」が行われていますが、期間が短いのではないでしょうか。せめて終戦記念日の月、8月末まで開催すべきと思いますが、答弁を求めます。
 戦後72年になる今日、実際に戦争を経験した人たちは少なくなっています。戦後生まれの区民、とりわけ生徒・児童が、戦争の体験を学び、資料を閲覧できる施設を充実することも必要です。
 昨年8月20日から旧教育資料館の収蔵品が博物館に展示されていますが、非常に貧弱で、しかも有料になりました。また、旧教育資料館の建物の倒壊防止工事が行われましたが、このように(パネルを表示)見た目も悪く、歴史的建造物を保存するのにはふさわしくないものです。

 そこで改めて提案しますが、旧教育資料館の耐震補強も含めリニューアルし、貴重な戦争や教育の資料の展示を現地で行うべきと思うがどうか。
 その際、本区における戦争と平和に関する写真や資料などをデーター化し、その場でディスプレイで、またインターネットで閲覧できるようにしてはどうか。答弁を求めます。

 核兵器廃絶の課題も今、大きく動き始めています。
 今年3月27日〜31日、ニューヨークの国連本部で開催された「核兵器全面廃絶につながる、核兵器を禁止する法的拘束力のある協定について交渉する国連会議、第1会期」には、115カ国の政府やNGOが参加しました。
 その後、5月22日には、核兵器禁止条約の草案が発表され、今月15日からの第2会期での成立が目指されています。多くの国連加盟国の賛同を得て、採択されることを強く期待するものです。
 そして唯一の被爆国である我が国が、核兵器禁止条約に背を向ける態度を改め、今からでも条約への参加を真剣に検討することを求めるものです。
 「ヒロシマ、ナガサキの被爆者が呼びかける核兵器廃絶国際署名」は、現時点で40近くの国々から172万人分が集まっています。また、国内の県知事・市町村長の「ヒバクシャ国際署名」への賛同も5月19日現在で570人、青木区長も賛同されております。

 本区は、非核平和都市宣言区として、8月1日の祈念式典をはじめ、非核平和事業に取り組んでいますが、核兵器廃絶の機運が高まる中、その取り組みを今以上に強めていくことも重要だと思います。
 たとえば、青戸平和公園には、2012年10月に、東京都の原爆被害者の団体、一般社団法人東友会が建立した原爆犠牲者慰霊碑が移設され、平和のシンボルとしての機能がますます大きく求められています。しかし、トイレなどが老朽化し、使いづらいものになっています。
 非核平和事業の一環として、青戸平和公園を求められる役割にふさわしく、より区民に親しまれる公園にリニューアルしてはどうか。答弁を求めます。
 被爆者の高齢化が進む中、被爆体験を語り継ぐためにも、若い世代が被爆地、広島、長崎を訪れることは非常に重要なことです。そこで、小中学生の広島・長崎の平和祈念式典への派遣を実施すべきと思うがどうか。また、高齢化した被爆者の家族が祈念式典に同伴して参加する場合、その費用の助成の増額を検討してはどうか、答弁を求めます。
 以上が平和関連の質問です。

 次に、国民健康保険料について質問します。
 今年の春まで実施した私どもの区民アンケートでは、保険料、税金、公共料金の負担増によって「暮らしが苦しくなっている」と回答した方が6割にもなっていました。軽減策を講じていくことが求められています。
 ところが、今年度の国民健康保険料は、過去5年間の中で最大の値上げ幅で、区民生活をさらに圧迫するものです。
 この保険料の通知が、今月13日から発送されますが、前年度の区民からの問い合わせ件数は、2,378件、1日900件の日もあり、毎年続く保険料値上げへの区民の悲鳴とも言えます。
 なぜ国民健康保険料が毎年値上げになるのか。その原因を取り除かなければ、保険料の値上げ、滞納世帯の増加、国保財政の悪化、そして保険料の値上げ、と悪循環を断ち切ることはできません。
 何よりも国保加入者が貧困化しているという問題があります。
 国が実施している国民健康保険実態調査では、本区の被保険者の一人当たりの所得額は、2008年度は101万4千円で、2015年度は、94万6千円、もともと低所得の上、さらに年額7万円も減っています。
 区の保険料試算には、国保料を払うと生活保護以下になる、そういう試算も出していますが、生存権についての認識が問われるものです。
 08年度と15年度を比較すると、所得に関係のない均等割保険料は、3万6900円から4万4700円、今年度は、4万9500円です。この均等割保険料は、無収入の子どもからも徴収しています。
 加入者の貧困化という構造上の問題があるにもかかわらず、国は、国庫負担を増額せず、自治体は一般財源を削減しているのです。23区では、4年間で高額療養費等への250億円を超える一般財源の削減が現在進んでいます。
 国民健康保険は、協会健保、組合健保と違い事業主負担がないために保険料負担率が異常に高く、国や自治体の財政負担は欠かせません。
 ところが、その責任を果たさず、逆に削減しているがために、保険料が上がり、少ない所得から保険料という形で所得を奪っているのです。「暮らしが苦しくなる」のは当然です。
 来年度からの広域化においては、都道府県が示す納付金、標準保険料率をもとに区が保険料を決定、徴収することになります。
 すでに大阪、埼玉、北海道などで試算が出されていますが、法定外の一般財源の繰り入れを考慮しておらず、これまでの保険料が1.2倍〜2.2倍になっています。
 このように広域化は、国民健康保険制度の構造上の問題を解決するものではなく、むしろ法定外の一般財源繰り入れを削減、解消し、さらなる保険料値上げを押し付けるものと言えます。
 国民健康保険制度の最大の問題は、加入者の貧困化にあります。したがって、その対策として国、都に対して財政負担の増額を求めること、広域化による東京都の納付金の試算を公表させ、保険料が値上げにならないよう区自身の一般財源繰り入れの検討をすること、収入のない子どもからの均等割り保険料は免除すること、区独自の減免制度を構築すること、以上、区長の答弁を求めます。
 歴代政権の国保政策は、構造上の問題にメスを入れず、2つの滞納者締め付け路線をとっています。
 一つが、資格証明書の発行という保険証の取り上げです。本区では、600人台で推移しています。皆保険制度である以上、資格証明書の発行はやめるべきと思うがどうか。
 今1つは、滞納処分、いわゆる差し押さえです。これが今急増しています。
 国保年金課だけでも、2014年度105件、15年度307件、16年度12月末現在で242件となっています。本年1月27日の国民健康保険運営協議会では、滞納分の収納率が23区中11位から8位になったことを委員から問われ、担当者が「滞納処分に一番力を入れてきた」と回答しました。
 なぜ滞納になっているのか、どういう相談に乗ってきたのか、滞納処分によって生活はどうなるのか、区民生活ではなく、収納率をあげることしか関心がない姿勢に唖然としました。
 滞納が増えるのは、構造的な矛盾があるのに実効ある救済措置がない、という制度の不備から生じていることを認識すべきです。一律にペナルティーを科して、生活困窮者に追い打ちをかけても何も解決しません。
 私が受けた相談の中には、「住宅ローンがあと2年で終了する、そうなればその分を納めることができる、それまで分納で」という相談にも耳を貸さず、住宅ローンの分を毎月滞納分に充てるよう言われ、口座が差し押さえされた方がいました。ホームレスになれと言っているのと同じです。
 また30万円の収入で滞納分17万円の支払いを余儀なくされているケース、差し押さえしたことによって生活保護の受給に至ったケースもあります。
 塩崎厚労大臣は、滞納者を生活保護基準以下の所得状況に落とし込むようなケースは、処分は停止すべき、と国会で答弁をしました。滞納処分の執行停止要件は、本人10万円、生計を一にする配偶者その他の親族一人につき4万5千円となっています。
 先ほどの生活保護に至ったケースなどは、執行停止の制度を適切に活用していない証拠です。
 加入者締め付け路線を改め、国保料の収納活動を貧困把握の「入り口」と位置づけ、生活困窮者は、積極的に減免制度や執行停止、さらには福祉施策につなげる方向に転換すべきと思うがどうか。区長の答弁を求めます。
 以上が、国民健康保険料についての質問です。

 次に、子育て支援についてです。
 第一に、待機児童解消についてです。
 区長は先の所信表明で、保育所増設に取り組むとともに、「緊急対策」として1歳児枠を設け、73人受け入れたが、76人の待機児童が生じていると述べました。しかし、認可保育園に申し込んだのに入れなかった児童、いわゆる旧基準では、待機児童は531人です。
 しかも「緊急対策」は、1年間だけの緊急避難的なもので、今回受け入れた73名の保護者は、再び2歳児の保活に奔走しなければなりません。
 しかし、2歳児は、360人分に対して応募数は601人、いろいろな対策を講じて待機児童は11人となっているものの、このままでは、来年度は2歳児で多数待機児童を出さざるを得なくなってしまいます。
 「緊急対策」は、個々に契約をし、8時間では月額2万円、11時間では2万8,000円の定額負担となっており、所得に応じた保育料となる認可保育所の負担と比べると低所得世帯にとっては、極めて重くのしかかることになります。
 認可保育所並みの負担となるよう対策を実行すべきと思うがどうか。
 今年度は3歳児でも待機児童が生じました。これは金町地域で、子育て世帯の急増によるものではないかとも指摘されています。待機児童「ゼロ」を真に実現するためには、地域バランスへの即時対応が必要です。民間任せでは限界があるというのがこの間の取り組みの実感と言えるのではありませんか。
 今やるべきことは、区直営の認可保育園を整備することに他なりません。区長の答弁を求めます。

 同時に、保育士の処遇改善も求められています。
 わが党は昨年の4定で、東京都内の株式会社が運営する認可保育所では、人件費割合が平均50%程度になっており、国などは「70%程度」の想定で補助金を交付している事を考えると相当の乖離があることを指摘しました。
 社会福祉法人が運営している保育園は、人件費割合は、70%程度です。
 このように株式会社の保育所では、本来、人件費にあてるべき費用が、事業拡大の費用に回り、保育士の処遇改善の足かせとなっている実態が浮き彫りになっています。
 これに区長は、「東京都との合同指導検査、区独自での指導検査を実施している」と答弁しましたが、区内における保育士のこうした実態がどのように改善されたのか、答弁を求めます。
 北区が今年度から直営で新設した保育園では職員募集に多数の応募があったと報じられました。これは保育士処遇改善が求められていることの現われであり、この点でも、公立認可保育園の整備が求められています。
 さて、今年度は本区「子ども・子育て支援事業計画」のローリングを行うと伺っています。本来であれば、今年度は待機児童ゼロにする目標値でしたので、平成29年度以降は、増設計画はありません。計画策定時から見込みを見誤っていたと言わなければなりません。
 「子ども・子育て支援事業計画」のローリングにあたっては、抜本的に目標値を見直すべきと思うがどうか。

 第二に、学校給食についてです。
 まず、食材の調達方法について改善を求めるものです。
 納入業者を見ると、「牛乳」「パン」「麺」は区内すべての学校で「財団法人 東京都学校給食会」が扱っています。この団体は、東京都の天下り先の一つです。また一般物資として多くの学校が、江戸川区の日本給食株式会社、足立区の株式会社日本生科学研究所、千葉県市川市の高橋商事株式会社という区外の事業者を利用していますが、なぜ、他区の事業者をあえて選んでいるのでしょうか。
 今年2月には、立川市の学校給食で1000人を超える食中毒が発生し、大問題になりました。食中毒から子どもたちへのリスクを軽減するためにも一括購入は改善が必要ですし、何よりも区内の食品を扱う事業者育成と地産地消という観点から抜本的な改善が求められていると思うがどうか。

 本区では、就学援助や多子世帯への独自助成によって、すでに3人に1人が学校給食費が無料となっています。学校給食の無償化は、現在、大きく広がり始めています。目標期日も定めて、早期に全面無償化を実施すべきです。答弁を求めます。

 第三に、就学援助について伺います。
 5月19日、私ども区議団は、塩澤雄一教育長あてに「就学援助制度の改善について」の要望書を提出しました。
 具体的には、準要保護について、「要保護」になるべき世帯かどうか精査し、該当者に対しては要保護者として就学援助を実施すること、準要保護の新入学準備金の支給額の改善、小学生の入学準備金の支給時期の改善、修学旅行費の実施前支給をはじめ全費目について支給時期の検討、を求めました。
 すでに、狛江市では、準要保護世帯にも今年4月入学の児童・生徒への入学準備金を2倍に増額し、来年入学の児童・生徒から入学前に支給することを含めた補正予算が提案されました。
 本区においても準要保護世帯の入学準備金の増額、小学生の入学準備金と修学旅行費の支給時期の前倒しを実施すべきと思うがどうか。

 準要保護の決定する際の住宅扶助費の改定が行われたことは一歩前進でした。しかし、さらに改善の余地があります。
 東京都社会福祉協議会の塾代、受験料の貸付事業である「受験生チャレンジ支援貸付事業」は、合格すれば返済不要となる制度です。収入条件として、生活保護水準の1.1倍とされていますが、家賃は、二人以上の世帯で月額7万円を上限とし、母子家庭世帯には独自の控除制度もあり、世帯によっては、本区の就学援助基準を上回る世帯で事業が適用されます。
 したがって、本区における就学援助基準の住宅扶助費を「世帯の平均から」、住宅扶助の最高額に変更すべきと思うがどうか。
 また、全国的に見ても、準用保護基準を生活保護基準の1.3倍にしている自治体が一番多く、本区でも1.3倍に改めるべきです。答弁を求めます。
 以上が、子育て支援についての質問です。

 次に、低所得・生活困窮者を守る安全対策について質問します。
 さる、2017年5月9日、北九州市小倉のアパートで6名が火災で死亡する事件がありました。深刻なのは、この建物が、生活保護申請者の受給が決まるまでの「つなぎ施設」として利用されていたことです。
 この間の報道によれば、事実上、簡易宿泊所として使用されていた実態がうかがえますが、そうであるならば旅館業法にもとづき150u以上で消火器、自動火災報知機、避難経路、避難誘導灯の設置が必要とされ、また、カーテン、絨毯は燃えにくい製品の使用が義務付けられます。
 しかし、そうした設備はありませんでした。それどころか、この物件は、共同住宅としての届け出もなく、消防法による消火器設置の義務も従っていなかったことが被害を拡大したのではないかとみられています。
 追いつめられ、生活保護にいたる直前の方々や低所得者を犠牲にした、人災ではないのかという批判が出るのは当然です。
 群馬県の高齢者施設「たまゆら」、大阪での個室ビデオ店、川崎の簡易宿泊所など、いずれも火災で多数の死者が出ました。
 なぜ、全国でこうした大惨事が繰り返されるのかといえば、建築基準法からの逸脱、何よりも貧困ビジネスの横行を事実上黙認しているからです。
 こうした事故を二度と起こさないように、行政として必要な改善策を実施する必要があるのではないでしょうか。
 第一に、違法な物件、施設の調査が必要です。
 2年前の川崎の事件の後、当時区内7ケ所の簡易宿泊所の検査が行われ、現在、11ケ所となっているそうですが、定期的な検査がなされていると伺いました。しかし、先月の北九州の事件は、届出がない違法物件でした。
 まず、北九州の事件のように違法な営業を行っている施設が区内にあるのか調査する必要があると思うがどうか。
 無料低額宿泊所についても居住面積によって住宅扶助額の改定が行われましたが、その後の運用にどう変化があったのか、また、利用者から実情を把握すべきと思うがどうか。
 事実上宿泊施設化している漫画喫茶、ネットカフェなどについても都の関係部局とも連携して定期的な検査が必要だと思うがどうか、それぞれ答弁を求めます。

 第二に、必要な規制を実行することです。
 まず、民泊についてであります。
 厚生労働省が初の全国調査を行いましたが、少なくとも30%が無許可で営業し、実態不明が過半数、23区などの大都市部に限ると「許可」を得て営業しているのは、わずか1.8%にとどまっていることが判明しました。
 民泊新法の実施、また、その内容についても定かになっていない状況にありますが、本区における民泊の実態調査、違法性の著しい施設については、現行法に基づいて、関係官庁との協力の下で是正する必要があると思うがどうか。
 二つ目に、脱法ハウスです。倉庫を改造したり、また、マンションの居室を小分けにするなどして違法な状態で居住空間を供給するものが、未だに残されています。こうした施設で、ひとたび事故があれば大惨事になりかねません。かつて、わが党の指摘に対して、消防や警察関係と連携して指導、取り組みを継続すると答弁されましたが、現状と今後の取り組みについて答弁を求めます。
 三つ目に、重層長屋等への区独自の規制を行うべきです。
 敷地に面する道路の間口が狭い「路地状敷地」は、災害時の避難路が確保しにくい場所でありながら、大規模な「重層長屋」を建築していることが問題になっています。
 足立区議会では、「都建築安全条例の見直しを求める意見書」を全会一致で採択し、今年、関係要綱を改正し、二階建て10戸以上の長屋を建てる際は、区との事前協議を義務付けました。
 世田谷区でもワンルームマンションと同水準まで規制する条例改正案を準備しています。本区でも同様の措置が必要と思うがどうか。
 また、都建築安全条例の改定によって、「路地状敷地」に「寄宿舎」を建設することが可能になりましたが、安全確保という観点から重層長屋と同様の危険が伴うものと思いますが、合わせて答弁を求めます。

 第三に、簡易宿泊所や無料低額宿泊所に頼らない自立支援の在り方を変える必要があります。
 5月12日付都政新報では、特別区人事・厚生事務組合が事務処理を担当する厚生関係施設に関し、施設整備や運営の在り方検討に着手したという記事が掲載されました。
 以前の一般質問や決算委員会の質疑でもこの特人厚組合の厚生施設、宿所提供施設、宿泊所の運営について、改革の必要性を主張してきました。
 その最大の問題は、特人厚組合は、地方公共団体であり、組合議員は、区長が就任していることから、区議会と区民の目に届きにくいところで問題が深刻化していったことです。
 各施設が、すべて直営で公務員が運営していたものを指定管理者に変更し、運営に様々な障害を生じているのに、問題の解決が実施されず、2年前の答弁では、特人厚の各施設の平均入所率は、57.3%にまで低下していることがわかりました。
 改善を事実上サボタージュし、登録制の無料低額宿泊所を安易に拡大し、それでも施設が足りないからと、簡易宿泊所やネットカフェでの宿泊まで緩和してきたのが今日の実態です。
 遅きに失したものの改善を図るのは当然の方向性であります。
 そこで、特人厚組合の厚生施設、宿所提供施設、宿泊所の運営については、基礎的自治体が担うべき事業だと思うがどうか。組合議員である区長は、特人厚組合に働きかける必要があるのではないか、答弁を求めます。

 最後に、簡易宿泊所、無料低額宿泊所、特人厚組合の厚生施設、宿所提供施設、宿泊所の利用者の自立支援を進めるためにも、また、今日の公営住宅の需要と供給のバランスが大きくかけ離れている実態を直視し、区として、公営住宅の供給に真剣に取り組むべきと思うがどうか、答弁を求めます。

 以上で終わりますが、答弁いかんによっては再質問することを表明いて終わります。