2017年第三回定例会一般質問 質問者 中村しんご

開催日:平成29年9月11日 

 日本共産党葛飾区議会議員団を代表して区政一般質問を行います。
 まず、8月29日の北朝鮮によるミサイル発射強行は、あってはならない暴挙であり、厳しく抗議しなければなりません。通告なしにわが国の上空を飛び越えるのは極めて危険な行為であり、同時に、北朝鮮のミサイル開発行為は「国際の平和及び安全に対する明白な脅威」と指摘した、国連安保理決議にも違反する暴挙です。
 さらに、9月3日、北朝鮮は、水爆実験を成功させたと驚くべき挑発行動のエスカレートを繰り返しています。
 これまでの、対話解決を模索する国際社会の努力に逆行する行為であり、絶対に容認できないものです。
 一方、安倍政権の「圧力」ばかりを強調する態度は世界でも異質です。
 国際社会は、「核抑止論」ではなく、核兵器の廃絶に向かっています。今年、7月7日、国連本部で、「核兵器禁止条約」を122ケ国の賛成で可決しました。しかし、核保有国をはじめ、唯一の戦争被爆国である我が国の政府、安倍政権は、この条約に反対しています。
 何よりも平和解決のために話し合いのテーブルを模索することが破滅の危機からの脱出の手かがりであり、そのことを改めて強調するものです。 

 さて、今定例会は、私たち区議会議員にとっては、今期最後の定例会であり、区長の任期は異なりますが、改めて、青木区政の8年が問われていると思います。
 まず第一に、区役所建替え計画の異常さです。
 先月の「区民の意見を聴く会」でも、区役所建替えの問題について質問がありましたが、区長は、「区内にある約450の公共施設を順次、更新していくもので庁舎を優先していない」と答えていました。しかし、現実に庁舎だけを特別扱いにしていることは明白であり、すでに、保健センターや児童館、教育資料館などを次々に廃止してきたではありませんか。
 現庁舎は、まだ使用できる建物であるにもかかわらず、立石駅北口再開発を救済するために、いくら必要かを議会にも区民にも示さず強引に進めていることが最大の問題です。
 区長は、先ほどのあいさつで、この再開発都市計画決定に触れましたが、区役所のことは、一言もなく、住民による「公聴会を開催せよ」という当たり前の要求を無視して、5月30日の都計審で、再開発の都市計画決定を行なったことは、葛飾区政に重大な汚点を残したといっても過言ではありません。また、区長の後援会ニュースも拝見しましたが、区役所のことは一切触れていません。

 わが党は、連続立体交差化事業と再開発は、別の事業であり、一貫して切り離して事業を実施すべきだと求めてきました。そして、連続立体交差化事業は、平成34年度までに完成させるために、連続立体交差化事業と再開発にかかる土地を任意買収して、土地取引の特例措置が適用されることになりました。
 再開発に固執すれば、立石駅北口再開発にかかる立石駅区間と呼ばれる区域だけが、地権者が再開発の是非について意見が分かれ、店舗や住宅が多く残ってしまっために、連続立体交差化事業が進まないという状況になり、その結果、連続立体交差化事業にかかる店舗や家屋は、強制的に土地収用までできるようにしました。
 しかし、この措置は、皮肉にも連続立体交差化事業が先行することになり、立石駅北口再開発とは事実上、一体で進めるという方針は破たんしました。
 実際に、連続立体交差化事業の工事が先行して進捗する中で、再開発の合意形成が進まないから、住民をせきたてるために、都市計画決定を強行したというのが真相なのではありませんか。

 しかも、再開発の保留床を購入するという移転計画のため、いくらかかるのかという最も大事な資金計画がないまま移転を進めようというのにも無理があります。
 各地の自治体で庁舎移転の計画がありますが、どこでも、設置場所やどのような庁舎にするのかという説明責任を果たすために、詳細な計画を示しているものです。
 しかし、葛飾区の計画は、これがないというでたらめぶりです。選挙の前に区役所移転を前提の再開発都市計画決定だけ決定し、選挙だというのに区役所を建て替え移転することを隠してやり過ごそうというのは、白紙委任せよといっているのと同じです。絶対に許されるものではありません。
 改めて、立石駅北口に区役所を移転させるのにいくらかかるのか、責任ある答弁を求めます。
 そして、現庁舎は、まだ使用できる建物であるにもかかわらず、立石駅北口再開発を救済するために、強引に進めることは許されません。区民合意もありません。いったん立ち止まるとともに、計画の撤回を求めます。答弁を求めます。

 第二に、区役所建て替え計画を進めるために子どもが犠牲にされていることです。
 まず、現在、43ケ所の区立保育園も36園も減らし、7園だけ残すものです。
 立石駅前保育所は、0、1、2歳児のための公立で唯一、低年齢児保育所ですが、先の保健福祉委員会で廃止方針が打ち出されました。連続立体交差化事業では、この園舎は、かから ないにもかかわらず、今年度から募集を停止して、廃止する方針です。区長が自ら掲げている「待機児ゼロ」が達成できていないのに、廃止の理屈は成り立ちません。ましてや、併設されている立石地区センターは、来年4月以降も引き続き区民に利用されるとのことでこれとの整合性もありません。
 立石駅前保育所の廃止計画は、撤回し、真剣に待機児ゼロを追求すべきと思うがどうか。

 二つ目に、公立学童保育クラブと児童館全廃計画を異常な執念を持って進められています。すでに新小岩児童館を廃止し、その利用者は西新小岩の児童会館を利用すればよいといっていたのに、その児童会館の廃止を狙っています。また、小菅、細田児童館の廃止計画も進められ、地元では施設の存続を求める運動が進められています。この計画は、平成25年7月に策定された「子育て支援施設の整備方針」に基づいて進められているものです。
 「子育て支援施設の整備方針」を撤回し、児童館、公立学童保育クラブ全廃計画をやめるべきと思うがどうか。学童保育クラブでは、大規模化の解消こそ求められており、学校内にかかわらず、積極的に増設すべきと思うがどうか。

 三つ目に、鎌倉公園プールの廃止計画も進めようとしています。渋江、中道、上平井プールに続くものです。「夏しか使えないプールは、廃止することがいいことだ」と開き直っていますが、なんと冷たい態度でしょうか。鎌倉公園プールでは、夏休みの間、「プールをなくさないで」との声と運動が子どもたちからも大きく広がり、存続を求める署名が5000筆以上も寄せられています。
 子どもたちの「この切実な声」に耳を傾けるべきではありませんか。答弁を求めます。

 四つ目に、小中学校の建て替えです。
 平成26年9月、昭和30年代に建設された14校の「候補校について」という文書がまとめられました。改築する学校を高砂小、東金町小、小松中、一部改築を西小菅小、本田中とし、その他9校の改築は見送ってしまいました。しかも、公共施設の長寿命化方針とし、修繕すれば75年間使用できるとしました。これでは、何故、区役所だけは例外なのかと批判が出るのは当然です。
 さらに、小中一貫教育校であるとして当初の候補校ではない高砂中を加え、当初あげた原田小学校は検討から外すというのは支離滅裂です。
 しかも、今年度は、教育施設整備基金のルールに基づく基金の積み立てもさぼりました。今年度予算では、毎年約18億円を基金に計上していたものを3億円に減らし、残りの15億円は前年最終補正で庁舎基金として15億円を流用している格好となっていることも看過できるものではありません。こうした財政操作が、学校よりも庁舎優先を裏付けているといえます。
 学校は、子どもたちの成長の場であるとともに、地域の拠点施設であり、災害となれば被災者のよりどころともなる大切な施設です。
 教育施設整備基金のルールに基づく基金を積み立てるとともに学校施設の建て替え計画を策定すべきと思うがどうか。

 第三に、高齢者に非常に冷たいということです。
 今年5月に品川区で86歳の母親を息子が殺害した事件がありましたが、7月には葛飾区でも都営住宅で84歳の妻を夫が殺害するという痛ましい事件が起きました。
 こうした事件は、後を絶ちません。様々な要因がありますが、高齢化社会を迎えている中、高齢者の暮らしをどう守っていくのか、区政のあり方も問われているのではないでしょうか。
 ところが本区では、見守り型緊急通報システムは非課税の人からも利用料を徴収する、くつろぎ入浴は70歳から、心身障害者福祉手当は所得制限とともに年齢制限、どれをとっても高齢者に冷たい態度を取ってきました。
 その背景には、区長が本会議で「格差が拡大しているとは必ずしも言えない」などと答弁し、その認識のもと区政運営を進めているからに他なりません。
 その結果、2015年度普通会計決算における本区の一人当たりの老人福祉費は、23区中22番目になっています。
 いまこそ、これまでの態度を反省し、支援策を講じるべきです。
 そこでまず、身近な所で気軽に相談にのれる体制を作ることが必要です。
 地域で見守ることや助け合うことも当然必要ですが、そういう地域を作っていくためにも、区民の身近なところに相談窓口をたくさんもつべきです。
 本区では地域包括支援センターが7か所、そして分室として高齢者総合相談センターが6か所、それに出張相談窓口があります。
 地域包括支援センターは、地域包括ケアシステムを構築する上でも重要な役割を果たす拠点です。その地域包括支援センターは、中学校区に1か所と言われています。
 わが党は、設置数が少ないことを繰り返し指摘してきましたが、改めて地域包括支援センターを増設すべきと思いますが、いかがでしょうか。

 特別養護老人ホームの入所基準が改正され、例外を除き、要介護3以上となりました。これ自体問題がありますが、それでも待機者は、1,000人近くになっています。
 施設入所を待ち望んで、それが叶う前に亡くなる方もたくさんいます。今やるべきことは、待機者解消のための増設計画を持つことです。来年度から第7期介護保険事業計画となりますが、この計画に位置付けるべきです。同時に、経済的なハードルを下げるためにも、国民年金でも入所できるように区としての軽減制度を創設すべきです。答弁を求めます。

 日常的に高齢者を見守る地域づくりという点ではどうでしょうか。
 地域包括支援センターが70歳になった高齢者を訪問、区内事業所と協定を結ぶことやかつしか安心ネットなど、様々な取り組みがありますが、社会福祉協議会に委託している「ひとりぐらし高齢者毎日訪問事業」も大変有意義なものだと思います。ひとり暮らしの高齢者に乳酸菌飲料を配達し、声かけをしながら安否確認をするというサービスで現在1本10円ですが、無料にし、対象者を拡大してはどうでしょうか。
 あわせて、見守り型緊急通報システムの利用料を非課税世帯は無料に、心身障害者福祉手当にある外出支援、いわゆる福祉タクシーですが、所得制限・年齢制限の撤廃、くつろぎ入浴の対象年齢の引き下げ、近隣区や隣県でも利用できるようにすること、それぞれ答弁を求めます。

 第4に、国民健康保険料、介護保険料、後期高齢者医療保険料の負担を押し付けていることです。
 高齢者の多くが年金で細々暮らす中、国民健康保険料は毎年、介護保険料が三年に一度、後期高齢者医療保険料が二年に一度と値上げとなります。
 そして来年度は、3つの保険料一斉に値上になることが予想されます。

 国民健康保険料は、介護分も含めると、年収400万円で夫婦40代・子ども2人の4人家族では、2009年度では介護分も含めて249,100円でしたが、今年度は、482,937円円と2倍にもなっています。政府統計でも所得の減少が続いているのに、青木区政の8年間で2倍です。
 この保険料の負担が区民のくらしに重くのしかかっています。
 さらに来年度から都道府県化され、大幅値上げが予想されます。
 厚生労働省の「納付金及び標準保険料率の算定方法についてのガイドライン」に基づき、全都道府県が試算した結果、現行の1.3倍など多くの自治体で大幅な負担増なりました。厚労省は、急きょガイドラインを見直し、8月31日までに試算結果を報告するよう都道府県に通知しています。
 そこでお聞きしますが、東京都と区との間では、どのような協議がされているのか、厚労省のガイドラインで保険料を計算すると本区の保険料はどうなるのか、特例基金や都道府県繰入金などを活用して激変緩和をおこなうとも言われていますが、どういう内容なのか、国や都に対して、区は、どのようなことを求めているのか、答弁を求めます。

 保険料引き下げには、区自身の独自の軽減制度をつくることが必要です。特に、この8年間で、均等割額は、1.33倍にもなっています。せめて収入のない子どもの均等割は免除すべきです。答弁を求めます。

 生活習慣病の改善や早期発見・早期治療によって医療費を下げる努力も必要です。経済的負担の軽減によってがん検診の受診率をあげることができるというのは、区の報告書でも示しているところです。本区のがん検診をすべて無料にしてはどうか、答弁を求めます。

 介護保険料はどうでしょうか。
 基準額で2009年度から2017年度の間に、一人当たり2万5680円の負担増です。制度発足当時は「23区で安い保険料」と言っていましたが、いまでは港区、足立区に次いで3番目に高い保険料となっています。
 その結果、滞納者は2015年度で5698人、介護サービスを受けるといったん全額負担の後、還付される12か月以上の滞納者は51人、利用料の自己負担が3割となる24か月以上滞納者は52人にもなっています。
 改定のたびに値上げを押し付けるために滞納となり、介護サービスが必要になった時には、利用料の負担が重く受けられなくなる、本当に深刻です。
 区は、「老齢福祉年金受給者に独自に減免している」と答弁してきましたが、対象者はいません。今こそ、区独自の減免制度を実施すべきです。答弁を求めます。

 後期高齢者医療保険料はそもそも「高齢者だけの医療保険とは何なのだ」「差別的扱いではないか」など多くの反対意見が噴出する中、9割減免など特例をつくりスタートさせた制度でした。しかし、この特例措置を段階的に廃止しています。やがて被用者以外の高齢者の減免削減が狙われています。9.割減免、8.5割減免、7割減免、これらがなくなればケースによっては10倍にも保険料が跳ね上がります。区長は、現行制度の後退を許さないと区長会等で主張すべきと思うがどうか。また、区として独自の支援策を講じるべきです。答弁を求めます。

 もともと払えない保険料を無理やり徴収する、それも差し押さえまでして区民の生活自身を破たんに追い込む、こんなやり方はあらためるべきです。だいたい「差し押さえに力を入れ.」などというのは、本末転倒です。国保料も、後期高齢保険料も、介護保険料も、滞納分の執行停止をおこなうべきです。必要な支援も行って、現年分をきちんとおさめてもらうことこそ収納率の向上にもつながるのです。答弁を求めます。

 次に、連続立体交差化事業の高架下の活用について伺います。
 四ツ木・青砥駅間の連続立体交差化事業は平成34年度に完成する予定ですが、そこで、問題になるのは、四ツ木駅から立石8丁目までの2.2キロメートルの区間の活用が問題となります。
 四ツ木駅、立石駅の真下の他、巨大な空間が創出されるわけですから、どのように活用するのか、民主的な議論が必要な課題なのではないでしょうか。
 完成した高架下の15%までが東京都と地元自治体で活用できます。ちなみに、現在、踏切のある道路は、この15%から除かれます。
 したがって、約330メートル分高架下は、幅10、5メートル、駅下はさらに広くなっていますかから、約3500平方メートル以上の活用が可能になってくるわけです。これは、規模の小さな学校面積のほぼ半分以上の面積であり、効果的な活用が期待できるものです。 
 さらに、青砥駅の入り口、ヨハンシュトラウス像やベンチのあるところは、京成と区が協定を結んで、京成から土地を借り、区民に活用されています。
 ですから、積極的な協議や工夫によってさらに区民のための面積を確保することが可能なわけです。
 5年後には、連続立体交差化事業が完成するのですから、青砥駅のように協議によって、四ツ木駅でも立石駅でも区民にとって有益なスペースを確保することや町会だけではなく幅広い区民の意見を汲み尽して、積極的な活用を図るべきと思うがどうか。

 次に、新小岩公園の高台化についてうかがいます。
 そもそもこの事業は、一昨年12月17日区長が記者会見を行って発表されたものです。国土交通大臣からリニア品川駅建設工事の発生する22万立米の土を新小岩公園の高台化に利用することを提案され、その提案を受け入れるという形で、新小岩公園の高台化に取り組む方針を確認したというものです。
 そして12月25日付の広報かつしかのトップに、高台化された新小岩公園の想像図を大きなイラスト入りで発表しました。
 わが党は、昨年の一定の代表質問で洪水と高潮の危険性の認識、高台化が、なぜ6メートルなのか、意思決定の過程で議会の関与の曖昧さや工期の長さから区民の不安があることなど問題点を質疑しましたが、疑義は解消されませんでした。
 その後、区は国土交通省総合政策局とともに「新小岩公園防災高台化整備事業の共同事業者の公募要項」をまとめ工期を1期、2期と分け、この工事に関する特記仕様書(案)をまとめました。
 そして、区民の不安や議会で出された疑問にもまともに答えることなく、2016年4月から6月にかけて共同事業者の公募を行いましたが、共同事業者の応募がなく、実施のめどはいまだ立っていない状況です。
 リニアの残土という前提で区長が記者会見で明らかにしましたので、共同事業者は、当然、JR東海だと想像するのは当然です。
 この点の他、様々な疑問があることから、わが党議員団は、さる8月24日、国土交通省総合政策局に面会し説明を求めました。
 昨年の三定で無所属議員が本会議の質問で、この公募に共同事業者の応募がなかった答弁がありました。
 しかし、問題なのは、区長は、同時に質問された河川敷の公園の広さなどの質問に答えただけで、肝心の応募がなかったという大問題を担当部長に答弁をさせたことは、責任逃れではないのかと思います。
 その後の経過が明らかになるにつれそれは確信となりました。
 その担当部長答弁では、次回の公募に向け、国や関係機関などとの十分な検討・検証を行い、再公募すると答弁されました。その時期も平成29年度当初と述べましたが、8月24日の国土交通省との面会では、「公募の見通しは、たっていない」という回答でした。
 ところが、公募の問題について区都市整備部に照会しましたら、「再公募に向けての検討」なる資料の説明を地元でおこなったというのです。
 私は、現在、建設環境委員、都市基盤整備特別委員会の副委員長の任を仰せつかっていますが、見たことのない資料です。ここには、当初、高台化は2期工事とありましたが、「3期に分けて行う」「公募内容は指定方式から協議方式」などいくつかの変更が記載されています。
 なぜ、これだけ重大な政策変更を議会に説明をしなかったのか、明確な答弁を求めます。

 このリニア新幹線事業で発生する残土は、全国各地で大問題になっています。
 その一つは、残土とはいっても様々な「残土」が発生するからです。
 掘削工事に大量の有害な薬品が使用されるために、単なる残土ではなく、産業廃棄物とされるものも大量に発生するものです。そのままでは公園の盛り土には使えず、時間と費用をかけて浄化しなければならないものです。
 だからこそ、この事業の公募要項と区の特記事項にもそのことが定められています。
 したがって、この事業のために残土を持ち込む共同事業者が相当の負担が生じることは、容易に推察することができます。これが各地で問題となっているわけです。

 例えば、リニア新幹線工事によって川崎市梶ヶ谷非常口から排出され残土を千葉県富津市の残土処分場へ移送されることが問題となっています。
 一方、わが党の調査で、なんと、この富津市の処分場には、リニア新幹線品川駅南・北区間の22万立米の残土、当初、区長が記者会見で明らかにした新小岩公園の高台化のために活用しようとしていた残土を処分するための事業許可申請が、去年の10月に同市の事業者が富津市長あてに申請していることが判明しました。
 関係者の証言では、工事の進捗状況なのか、まだ、富津市の処分場に品川駅の残土は運び込まれていないと伺いましたが、当初、区長の記者会見で利用を見込んでいた品川駅から排出される残土は、富津市の残土処分場で処分されることになっているのですが、それでもリニアの残土にしがみつく理由は何なのでしょうか、答弁を求めます。

 先ほど、「再公募の検討」が秘密裏に行われていること自体を問題にしたのですが、その内容は、場合によっては、さらに深刻なものとなりかねません。
 共同事業者という名の「相手」が乗ってこないとなれば、協議を行う、事業推進の根拠が共同事業者の「善意」だけが頼りとなるなら、今後の再公募を行う際に、使用する土の基準を緩めることになりかねないという危惧が生じるからです。
 そうなれば、千葉県など郊外の残土処分場で処分される汚染物質を含む産業廃棄物を新小岩公園に運んでくることになりかねないのではないかと警鐘を鳴らさなければなりません。すでに、新小岩住民の中からは、産業廃棄物の高台などもってのほかだ、という声が上がっています。
 また、共同事業者の善意もあてにできないということになれば、汚染土の浄化に区の税金が投入されるということになりかねず、区の持ち出しをなくして高台化が実現できるという説明が破たんしたということになるではありませんか。
 「再公募の検討」とは、何を検討しているのか、答弁を求めます。
 リニアの残土を受け入れる形で高台化を目指したが、公共工事のようでそうではない、民間事業者の善意で実施される事業であり、法的根拠もなく予算の裏付けもない、現状では議会の議決も必要のない事業とは、いったい何なのか、説明いただきたい。
 しかも、応募がなかったというのは、私は政治的大問題だと思いますが、区民に真摯な態度で区長自身が説明をする必要があると考えますが、いかがでしょうか。

 区長の独断という特徴がこの問題にも顕著にあらわれています。こうした区民無視、議会軽視の区政運営は改めるべきだと申しあげておきます。

 以上で質問を終わりますが、答弁次第では、再質問させていただくことを表明いたします。ご清聴ありがとうございました。