2017年第四回定例会一般質問 質問者 木村ひでこ

開催日:平成29年12月7日 

 日本共産党の木村秀子と申します。通告にもとづき一般質問を行います。どうぞよろしくお願い致します。

 まず高齢者の暮らしについてです。
 私は介護福祉士として、今年の3月まで介護の現場で働き、高齢者の深刻な暮らしの実態を見てまいりました。
 ゴミに埋もれて生活をしていた方を訪問した時、汚れた布団の中にはいなく、いつも着ている汚れた洋服が置いてあるため浴室を確認すると浴槽の中で亡くなられていました。
 歩くことが不自由な要支援の方は、転倒し、味噌汁を鍋ごとこぼしたのか、部屋中味噌汁だらけになっていました。部屋の片隅で、本人を支える福祉用具に紐をかけて自殺されていました。
 高齢者住宅に住んでいた方は、トイレに行こうとしたら転倒し、発見した時は、床一面と着ている寝間着から体中、汚物で汚れていました。身体検査の後抱きかかえてお風呂に入れたこともありました。
 障がいをお持ちの娘さんがいるお宅では、冷蔵庫を開けるとうどんが1玉しかない、冷暖房もつけずに我慢する、電気やガスの停止もありました。
 高齢者を見守り、暮らしを支えることは、自助、共助だけでできるものではありません。

 私は、9月の第3回定例会本会議質問を傍聴しましたが、そこでは、「ひとりぐらし高齢者毎日訪問事業」の乳酸菌飲料1本10円の値上げを検討しているとの答弁をお聞きし、大変、驚きました。
 この事業の乳酸菌飲料は、当初無料でした。「玄関に置きっぱなしになっている」から有料にしたとのことですが、逆ではないでしょうか。
 玄関の前に乳酸菌飲料がそのままになっているから近所の方が「どうかしたのかしら」と思う、新聞でもポストにたまっているからおかしいと思うのです。
 この事業の利用者は、2016年は1431人と対象者の1割にも達していません。
 親戚や地域との関わりが薄くなる中、多様な方法による日々の安否確認の必要性はますます大きくなっています。

 高齢者の見守り体制を強化し、暮らしを支えるためにも、対象世帯を、ひとり暮らし高齢者だけでなく、2人世帯にも拡大し、無料にしてはいかがでしょうか。区長の答弁を求めます。

 次に、高齢者総合相談センターについてお聞きします。
 高齢者総合相談センターは、その名の通り、高齢者が「住み慣れた地域で安心して暮らすため設置された身近な相談窓口」です。本区では、水元の出張相談窓口も含め14カ所となっています。
 高齢者やご家族は日頃から日常生活の中でいろいろな問題や困りごとを抱えている方が多く相談をどこにしたらいいのか、どのようにすればいいのか、わからない方も多いのが現実であり、もっと身近な所にあることが重要だと思います。
 本区における1か所当たりの高齢者数は7,982人と、23区平均の6,460人より1500人も多い高齢者を対象にしなければなりません。品川区の1か所当たり3,849人をはじめ、23区平均より少ない区は12区あります。
 地域包括ケアシステムを構築する上でも高齢者総合相談センターの果たす役割は重要です。
 少なくとも中学校区ごとに1ケ所設置すべきと思いますが、いかがでしょうか。

 次に、特別養護老人ホームについてお聞きします。
 11月20日の介護保険事業審議会に示された来年度からの第7期介護保険事業計画案では、特別養護老人ホームの整備計画は、2施設となっています。
 しかし、本区の特別養護老人ホームの待機者は、本年3月末で1000人となっており、さらなる増設計画が必要です。
 同時に、経済的理由により入所を断念せざるを得ない事例も生じています。それは、利用料を軽減する補足給付が受けづらくなったことやホテルコストの導入などによるものです。
 特別養護老人ホームへの入所が可能なのに、所得が低いがために、入所できない、こんなことは放置されるべきではありません。
 待機者解消に見合った増設計画を作るとともに、国民年金でも安心して入所できるよう、区独自に利用料等の軽減をすべきではないでしょうか。区長の答弁を求めます。

 最後に、介護保険料についてお聞きします。
 第7期の保険料は、介護給付費準備基金から17億円を保険料に算入するとしていますが、それでも月額6,400円〜6,600円とあり、今期の5,980円から、さらなる値上げです。
 改定のたびに、保険料の値上げ、給付の削減が繰り返されており、『国家的な詐欺』と言われても仕方がありません。
 介護給付費準備基金はすべて使うことはもちろん、一般財源を活用した区独自の減免制度を実施するなど、あらゆる手立てを講じて、保険料を値上げすべきではないと思いますが、区長の答弁を求めます。

 次に、公共交通網の充実についてお聞きします。
 区長は、昨日のあいさつの中で、公共交通網の構築に向けて検討委員会を設置したこと、そして「特に、路線バスの開設に課題がある地域における高齢者等の移動手段については、利用者の目線に立ち、具体的な方策を検討する」と述べられました。
 大変重要な視点だと思います。
 バス交通は、高齢者が買い物や医療機関に通うことも含め、生活のための移動手段としてますます重要になっており、公共交通網の構築には、福祉の視点が必要だと思います。

 私は、検討委員会での検討と同時に、19年前の調査による交通不便地域については最優先に解消していくことが必要だと思います。
 1つは、JR金町駅からウェルピアに向かうレインボーバスの路線です。
 この路線によって新宿・高砂地域の交通不便地域が解消され、地域のみなさんから大変喜ばれています。ところが年々、本数が減らされ現在1時間に1、2本となっています。
 障害のある子どもさんと一緒に病院に通っている方から、本数が減ったために新宿から亀有駅まで歩いていくことが多くなったと聞きました。
 私は、増便の要望書をバス事業者に提出しましたが、「経営上採算がとれず、廃止するかどうかの瀬戸際である」と述べられていました。
 このままでは交通不便地域に戻ってしまう恐れがあります。そうならないためにも、通勤・通学などに必要な朝晩の時間延長も含め増便することを、区と事業者が真剣に検討すべきだと思います。
 2つは、高砂団地周辺です。高齢化が進み、駅に行くにも、買い物に行くにも、容易ではなく、約900世帯の団地内だけでも1000筆を超えるバス路線を求める署名が区長に提出されました。
 道路が狭隘であることを理由に背を向けることはできません。福生市では高齢者や障害者、妊婦などの方々が市内福祉施設、買い物、駅などに向かう交通手段として福祉バスを運行していますが、本区でも検討・実施し、交通不便地域を解消すべきではないでしょうか。それぞれ答弁を求めます。

 バスの社会実験のあり方も検討が必要です。
 これまで行った社会実験では、金町〜新小岩間の1路線を除き本格運行には至っていません。しかもこの路線も土曜・休日のみです。
 実態に沿った需要を調査になっているのか、検証が必要です。
 なぜなら、金町〜新小岩間は、土曜・休日のみ、新柴又〜区役所方面は、平日のみ、新小岩〜高砂1丁目は、全日で、現在実施している綾瀬駅〜区役所方面は、全日、時間帯や期間も路線によってバラバラでした。
 やはり、土日、平日ともに行い、朝、夜の時間帯を設け、せめて1年は続ける必要があると思うがどうか。
 採算性だけではなく、高齢者を含めたその路線の必要性を考慮すべきです。
 新柴又駅から区役所方面への細01での利用者アンケートでは、75%の方が「ぜひ運行してほしい」、21%が「できれば運行してほしい」で、あわせると96%の方が定期路線化を望んでいましたし、「30年来の夢だった」などの喜びの声も寄せられていました。
 富山市では、利用者を増やすために、65歳以上の高齢者に対して「お出かけ定期券」を1,000円で交付し、バス料金を100円にしています。その定期券を提示すれば、協賛店での割引や文化施設等を半額または無料で利用することもできます。
 また本格運行後の利用者を増やすために富山市の取り組みなども検討すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 そして「高齢者等の移動手段」が必要な地域には、採算が取れなくても総合的に判断し、小菅1丁目地域や他区でも行われているように、事業者に対し区が補助を行い、定期路線化の検討を行うべきだと思いますが、区長の答弁を求めます。

 検討委員会では、新金線の旅客化についても調査・検討されるものと思います。
 新小岩東北口の活性化、東京理科大学の開設など、ますます南北交通の確保・充実は欠かせないものになってきています。
 調査・検討の進捗状況、具体的には、国道事務所、JR東日本、JR貨物などとの協議などは進んでいるのでしょうか。お聞かせください。

 以上で、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。